作家の思い描くイメージをそのまま作品に反映させやすいリトグラフは、石版印刷によって作られた版画の総称だ。アロイス・ゼネフェルダーによって1798年にその技法が確立されたリトグラフの中には、200年以上の昔に作られた歴史的価値の高い作品も存在する。
また、ひとつのテーマに対して数十~数百枚もの作品を仕上げられるリトグラフは、収集のしやすさといった意味でも世界中の絵画コレクターから注目される美術品になっているようだ。今回は、リトグラフの売却前に知っておきたい査定情報や買取相場を紹介していく。
本記事のポイント
- これまで高額価格がついた作家の作品と価格とは?
- リトグラフでも数十万円の価格がつくことがある
- 高い査定額がつくポイントとは?

CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
高く売れるリトグラフ作家の買取実績、買取相場
まずは、高額査定実績の多い作品を例にあげながらリトグラフ版画はいくらぐらいで売れそうか?という皆さんの疑問を解消していこう。尚、本コラムに記載する価格は2019年12月現在のものであり、変動する可能性があるので十分注意しよう。
草間彌生
2016年11月に文化勲章を受賞したばかりの草間彌生も、リトグラフを使ってたくさんの絵画作品を生み出す人気作家だ。
彼女を象徴するモチーフ・南瓜のリトグラフ作品には、40,000円~60,000円ほどの査定が付いている。
阿部出版から発刊された草間彌生の全版画集には、作品付特装本という高い価値により150,000円もの査定額で買い取られたこともあるようだ。
瀬戸内国際芸術祭にも多くの作品を出品した草間彌生は、買取市場でも旬なリトグラフ作家と位置付けられる。

棟方志功
20世紀美術を代表する巨匠・棟方志功も、リトグラフを中心とした版画作品をたくさん作った作家である。
沢瀉妃の柵という作品には、3,800,000円もの高額査定がついたことがある。おいだ美術では、「大慈航観世音菩薩図」のリトグラフが436,000円、「はまなす妃図」が348,000円など、多く30〜40万円台で販売されている。買取価格はこれよりも安くなるはずだが、このことを踏まえると、数十万円での買取を望めるだろう。
また近頃では、山陰地方で棟方志功展も開催されているため、彼の作品に触れることのできるシーンが増えることで、買取相場にも好循環が生まれそうだ。

東山魁夷
東京国立近代美術館や兵庫県立美術館などに多くの作品を寄贈している東山魁夷は、静かで穏やかな日本の自然や風景を描く人気作家だ。
白を基調とし夏に咲く花をモチーフにした初夏には、3,100,000円もの高額査定がついたことがある。リトグラフの場合には、緑和堂で「霧立つ山湖」が200,000円の高額査定がついたことがある。
東山魁夷らしい青を基調とした作品には、1,000,000円を超える鑑定額がつくこともあるため、作家名だけでなく人気作品や作風について詳しくなるユーザの努力も高額査定につながると考えて良いだろう。

ヒロ・ヤマガタ
世界的現代作家・ヒロ・ヤマガタは、アメリカに移住した頃から多くの版画作品を生み出すようになった。
現存作家である彼の作品は、その多くが10,000円~50,000円ほどで買い取られている。
比較的カジュアルなデザインのヒロ・ヤマガタ作品は、若い世代からも多く支持されているため、需要の多さといった意味では他の作家を凌ぐ勢いがある。

ベルナール・ビュッフェ
具象絵画を代表するベルナール・ビュッフェのリトグラフ作品には、40,000円~100,000円ほどの高額査定が付いている。
死没から15年以上経った彼の作品は、徐々に希少性が高まりつつあると言われている。
また、東京都中央区のブリジストン美術館にアナベル夫人像という作品が収蔵されている日本では、諸外国と比べてベルナール・ビュッフェのファンやコレクターが多い傾向があるようだ。

マルク・シャガール
投資目的でリトグラフ作品を購入するなら、フランスの画家であるマルク・シャガールは絶対に外せない。
古代イスラエルのダビデをテーマにしたリトグラフ版画の中には、マルク・シャガールのサインが入っていることで800,000円もの高額査定が付いた物もある。
またアメリカ亡命中に制作したアラビアンナイトには、2,500,000円近い鑑定額がつくケースも見受けられるため、マルク・シャガールは、他のリトグラフ作家と比べて数十倍もの価値がある作家と捉えて良さそうだ。

デペルト
ゴルフ場を描いた作品が人気のデペルトのリトグラフも高価買取が期待できる。中でも赤旗がある作品が人気で、買取価格が高くなる傾向にある。リトグラフ作品の買取参考価格50,000円ほどだ。
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平山郁夫
鮮やかな色彩を描き、東京藝術大学の学長をも務めた平山郁夫の人気は非常に高い。平山郁夫の作品は原画のみならず、リトグラフ作品も高価買取となる。
アート買取協会では「絲綢之路天空」のリトグラフ作品が80~100万円で買い取ることができるようだ。この他のリトグラフ作品も数十万円の買取が期待できるだろう。

高額買取画家ランキング
- レオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバトール・ムンディ」約508億円
- ウィレム・デ・クーニング「インターチェンジ」約330億円
- ポール・ゴーギャン「いつ結婚するの」推定約300億円
- ポール・セザンヌ「カード遊びをする人々」約300億円
- ジャクソン・ポロック「ナンバー17A」約220億円
人気画家のリトグラフは高価額がつきやすい。作家名でリトグラフの相場や価格は大きく影響してくる。

リトグラフ作品を高く売るコツ
リトグラフ版画の売却で納得の現金化が得られた人たちは、これから紹介する取り扱い方法などを心掛けた上で、収集や買取に向けた行動を起こしている。
正しい方法で保管・管理をおこなう
大変デリケートなリトグラフ作品は、一般家庭での保管が大変難しい美術品となる。
間違った方法で管理や保管をおこなっていると、紙の伸縮やシワ、シミなどが生じることで査定時に減額対象になってしまう。
また美術品保管の場合は、市販の防虫防カビ剤なども基本的にNGとなるため、購入時にはショップの鑑定士に理想的な扱い方について確認しておくことをおすすめする。
リトグラフは買手市場
誰もが簡単に落札できるオークションサイトの普及により、リトグラフ作品は買手市場へとシフトしつつある。
こういった状況下でいつかプレミアがつくかもしれないと自宅保管を続けていると、経年劣化により作品のコンディションが低下することで買取自体が難しくなるケースも多く見受けられるため、注意が必要だ。
美術品のまとめ売りで高額査定を狙おう
リトグラフ作品と一緒に著名作家によって描かれた絵画やポスター、ブロンズ像などの美術品を売却すると、セット売りによる高額査定が狙いやすくなる。
近頃では、自宅に査定士を呼んでさまざまな美術品を鑑定してもらう出張買取サービスも人気となっているため、故人のコレクションを処分する際にも家族が苦悩することはなくなってきている。
シリアルナンバーが小さい方が高く売れることも
リトグラフ作品の片隅には120/200といった形でシリアルナンバーが付番されている。前述の例で考えると、シリアルナンバーの意味は全体で200枚制作された版画のうち120番目に摺られたものといった形になる。
買取業者では、基本的にシリアルナンバーが何番であっても分け隔てなく査定をしてくれる。
シリアルナンバーの分母が低い作品は、それだけ版数が少ないと考えられるため、現存数や希少性が気になる人は購入時に重視をすると良いだろう。

技術のある専門店に依頼すると高額査定が期待できる
リトグラフを含めた絵画作品全般の扱いに慣れていて、店内でしみ抜きやシワ伸ばしができる業者では、経年劣化によりコンディションの下がった作品でも積極的に買い取ってくれる。
このような店を利用すれば、他店で買取を断わられたリトグラフ作品にも査定を付けてもらうことができる。
ユーザが捨ててしまおうか?と思うほど状態の悪いリトグラフでも引取りや買取をしてもらえるため、処分前に一度は問合せをしてみてほしい。
リトグラフを高値で買い取ってくれる業者とは?
ユーザにとって良いとは言えない状況に陥ってしまったリトグラフ買取市場では、口コミなどを参考としてリトグラフの買取実績が多い業者を選ぶことでより高値で売りやすくなる。
買取実績が豊富な専門店はそれなりに利益が出ているため、ユーザの希望額を叶えやすい傾向があるのだ。
また、絵画専門店の中にはオーナー自身がリトグラフコレクターであるケースも多く見受けられるため、査定士とのコミュニケーションを通してショップ側が求めている作品の種類を聞き出してみるのもコツとなる。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターでは、あらゆるジャンルの美術品を買い取っている。特に著名作家の作品は高額査定を提示してくれると評判。
さらに安心のクーリングオフ制度も設けているので、万が一契約内容に納得いかない場合でも契約日から8日以内に無条件でキャンセル可能。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡などの都市圏を中心に全国対応しているため、初めての人でも安心して依頼しやすいのではないだろうか。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
数多く存在する買取業者の中でも、特に実績豊富な本郷美術骨董館がオススメ。同社は東大赤門前で40年の実績を誇る買取店だ。日本全国で展開しており、来店鑑定・宅配鑑定・出張鑑定に対応している。東京などのほか、大阪近郊では神戸に支店がある。
経験豊富な専門家による鑑定・買取が魅力的だ。写真鑑定だけでなく、電話による無料見積もりにも対応しているので、気軽に査定してもらってはいかがだろうか。
アニメ版画やアールビバンの版画買取事情
リトグラフやシルクスクリーンなどの版画が用いられる作品は、従来の美術作品としてイメージされる写実的・印象派などの油彩画や水彩画のみではない。最近では、アニメ系の作風のものやデジタル的な作風もの、はたまたディズニー公認のアーティストが手掛けたイラスト作品などもリトグラフとなり流通している。
これらの作品はアールビバンやその提供サービスのアールジュネスなどで取り扱われており、アニメ版画やイラスト系版画と呼ばれることがある。 アニメ版画やイラスト系版画は、今後の流通の増加や相場形成・上昇が期待できるだろう。
アニメ版画やアールビバンの版画買取業者
既にアニメ版画の買取を行っている業者も存在している。一例を紹介しよう。
あにぽす
アニポスはタペストリーの買取専門店だが、リトグラフなどの版画作品の買取も行っている買取業者だ。HPには、いくつかの人気作品の最大買取価格を掲示しているため、買取の価格の目安を知ることができるだろう。LINEによる無料の事前査定も行っているため、おおまかな価格を知りたい場合に有効だ。
グッズメイト
版画、タペストリー、抱き枕カバー、複製原画などを買い取るグッズメイトは、「アールジュネスをはじめとしたイラスト系版画を各種高価買取中」とのこと。一般向けの天野喜孝などアールビバンの版画の買取を行っているそうで、買取に際して、版画専用の段ボールも無料で郵送するサービスを実施している。
まとめ
買手市場になりつつあるリトグラフも、オンライン査定などを使って相見積もりをおこなえば、ユーザの考える基準に近い価格で売却が可能になってきている。
また近頃では、版画作品(リトグラフやシルクスクリーン)買取に積極的な業者も増えているため、スマートフォンを使って入念に調査や比較検討をおこなえば、初めての売却に挑戦するユーザであっても失敗は起こりにくいと考えて良さそうだ。
