蔵の中からひょっこり出てきたり、遺産として古びた日本刀を手に入れた場合、どうすれば良いかわからない方も多いだろう。手に入れても登録証がないと所持自体が難しく、インテリアとしては物騒でもあるので、手放したい人も多いと思われる。愛好家の間ではかなりの高額で取引されているため、高値がつく可能性もあるので、捨ててしまうのはもったいない。
傷があったり錆びた日本刀はどのくらいで売れる可能性があるのか、また錆びや傷があると売れないのか、などについて詳しく見ていくことにする。
mekuki-ana, habaki, hamon (ca. 1865/1868) / géry60
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
日本刀の需要と相場
日本刀は古来より輸出品として人気の品目だったが、純粋に武器としての性能を買われていた部分が大きい。時代は変わって現代、日本刀を武器として必要とする国はなくなったが、今度は美術品として国内のみならず、世界中で人気を博している。
東洋的で機能美にあふれた日本刀の姿は欧米を中心に評価が高く、有名な刀匠の手によるものは数百万円をくだらない値がつくこともある。市場が世界に広がったことで値崩れが起きにくくなり、投資の対象としても熱い注目を浴びているのが日本刀だ。
査定のポイント
現在でも刀匠によって日本刀は作られ続けており、そういった新刀の価格はおよそ20万円~50万円ほどが相場となっている。とはいえ、非常に高い技術が必要なうえに刀匠の数は少ないため、大量の供給で値が下がるということは考えにくいだろう。何百年も前に鍛造された刀の場合は、こういった新しい刀に骨董品的な価値が付加され、数十万円のものから値段のつかないものほど高価なものまでその値段は幅広い。
日本刀の相場を知るうえでは、まず新造刀の20万円から50万円程度というのを叩き台にし、そこから保存状態の良しあし、刀匠名、歴史的な価値、姿の美しさなどを加味して判断するのが通例となっている。鑑定書はもちろん基準の一つにはなるが、鑑定士によってかなりばらつきはあるので、参考程度にするのが良いだろう。
模造刀も需要がある
ちなみに純粋な鑑賞用としては、刃の部分をつぶした模造刀が手軽に買えると人気であり、こちらも国内外を問わず多数流通している。日本刀とは違って刃がないため(表面にそれらしき紋を施してはあるが)、銃刀法に定められた銃砲刀剣類登録証をとる必要がないのも買いやすい点だろう。
これらの多くは鍛造されたものではなく、単に鉄を成形しただけの工業製品なので値段も1万円前後と非常に安い。姿かたちは似ているが、本物の日本刀とは完全に別物ととらえるべきだろう。とはいえ、日本土産で模造刀を贈られた外国人がその美しさにほれ込み、日本刀マニアになるなど、ファンの裾野を広げるには一役買っている。
錆びと傷がある場合の対処法
手元にある日本刀を売ろうと思ってよく確認したら、傷や錆びがついている、といった場合にはどうすべきだろうか。通常の中古品販売であれば、なるべくコストをかけず自分で綺麗な状態にし、業者に持ち込んだほうが高値がつくことが多い。
錆びた日本刀のセルフクリーニングは御法度
ゲーム機やCD、家具や家電であれば表面の汚れを落とすのも容易だし、服やバッグであれば丁寧に洗うこともできるだろう。しかし、それと同じように日本刀も錆びているから、その部分を削り落とした方がいいだろうと素人がサンドペーパーやグラインダーで削るのは、絶対にやめたほうが良い。
日本刀はたしかに武器としては実用品だが、高値で売れるのは芸術品だからである。とくに重要視されるのは刀の姿だけではなく、刃の表面に浮いた紋様の見事さだ。刃紋は、意図的にデザインして作られる部分であり、刀工が刃に施した装飾である。
日本刀を作る工程の中に焼き入れというものがあるが、その際に刃につける焼き刃土の厚さを調整して、伝わる温度の差で紋様を浮かび上がらせるのだ。このように高い技術で作られた刃紋を錆びと一緒に削ってしまえば、美術品としての価値を大きく落とすことになる。日本刀には汚れを落としたり、磨き直したりする専門の職人がいるので、そちらに依頼するほうが良いだろう。
職人に依頼する際の注意点
ただし職人に依頼するにも、日本刀の研磨は非常に高い技術を要求するため高額の料金がかかってしまう。相場としては一寸一万円と言われており、一寸が3cmに該当するため、刀身全体を磨くとなると数十万円が必要になる計算だ。
当然、売ってお金にしたいわけだから売り値以上のコストをかけるわけにはいかない。となると、傷や錆びがなければいくらで売れるのかを知っておかないとかえって損をしてしまう点に注意が必要だ。
日本刀の専門買取業者がおすすめ
結局、錆びや傷がある日本刀を売りたい場合は買取の専門店を訪れるのが一番ということになる。そういった店は研磨職人ともつながりがあるため、安価に磨いてもらうことも可能だ。何より実際に刀を見てもらえば、相手は鑑定のプロなのでこれは高値で売れるから、研磨代を払ってもプラスになるし買取たい価値のわりに汚れがひどいから、買取はできないし研磨も無駄だということを教えてくれる。
もちろん、素人を相手に不当に買い叩く悪質な業者もいる。心配であれば複数の店に持っていって査定してもらうのが良いだろう。
傷があったり錆びた日本刀を買取してもらう際のおすすめの買取業者
傷があったり錆びた日本刀を買取してもらう際は、専門買取店に査定依頼をおこなうことをおすすめする。こちらでは目利きのプロが在籍する買取業者を紹介するので参考にしてみてほしい。
神田藤古堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京・神田に店舗を構える神田藤古堂は、日本刀や刀剣、鍔、甲冑、刀掛け等刀剣武具類を取り扱う専門の買取店。おもに店頭での買取だが、場合によっては出張買取にも対応でき、買取成立後はその場で現金払いが可能。
鑑定料は無料で、査定後にキャンセルしても手数料は発生しない。郵送での鑑定にも対応できるので、日本刀の売却を考えている方はフォームから無料査定を申し込もう。
刀剣古美術 飯田高遠堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
新宿・目白駅にある刀剣古美術買取業者飯田高遠堂。創業は明治13年で、専門の目利が刀剣の価値を査定してくれる。こちらの買取業者は、無料査定も受け付けており、試しにいくらで売れるのかを確かめる際にも利用したい。店舗買取以外にも出張買取をおこなっているため、ぜひ利用してみてほしい。
つるぎの屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
創業45年以上を誇る安心と実績の買取業者つるぎの屋。特徴は独自販路の豊富さで、店舗販売はもちろんのこと、オークション出品なども手掛けている。日本刀がより高く売れる販路を選択できるため、買取査定額も高い傾向にある。買取方法は店舗買取・出張買取・宅配買取の3つ。宅配買取では、無料宅配キットを提供してくれる。
刀剣佐藤
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
年間買取本数1,000本を超える大手刀剣買取業者の刀剣佐藤。大量買取の秘訣は独自のLINE査定にある。LINEで刀剣佐藤に対して、日本刀の写真などの情報を送ることで査定額を出してくれるのが非常に手軽だ。
日本刀が錆びない手入れ方法
先述のように、日本刀はいったん汚れや錆びがつくと落とすのに多額の費用を要するでものだ。そのため、日本刀を所持しているならば、売却のときに不利にならないように手入れをしっかりとおこないたい。
ちなみに、日本刀の手入れはほぼ錆びを防ぐことを目的としている。鉄でできているという性質上、どうしても酸化には弱く錆びやすい。この酸化のメカニズムを知って美しい状態を保つことが、高値で売るための最善の方法である。
古い油の拭き取り
日本刀の手入れは、刀身の油を拭い去ることから始める。前回の手入れの最後に油を塗っているためで、この古い油も放っておくと酸化してしまう。酸化した油は刀身に染みを作る原因となるため、まずはこれを綺麗に拭きとる必要がある。
懐紙など専門の手入れ用具がない場合は、ティッシュペーパーを使っても構わない。柔らかい紙で何度か刀身を拭い、油を取り去って地鉄(じがね)が見える状態にする。ちなみに手入れのついでに刀を鑑賞をしたい場合は、このタイミングがベストである。
打粉で磨き上げる
つぎに、打粉と呼ばれる粉を用意してこれを刀身に打ち付ける。打粉は砥石を粉末にしたもので、ごく弱い研磨効果で刀の表面を美しく磨く作用がある。また、わずかに残っている油や表面の水分も吸収してくれるため、日本刀にとって無くてはならない手入れ道具なのだ。
時代劇で侍が刀にポンポンと何かを打ち付けているシーンがよく描かれるが、あれが打粉である。打粉をつけたらまた紙で拭きとり、これを何度か繰り返せばこの過程は終了となる。
油でコーティング
最後に、もう一度油を刀身に塗り付ける。油でコーティングし、周囲の空気による酸化から守るためだ。油をつけすぎると垂れて柄などに染みができたり、鞘の内側が汚れるので最後に軽く油を拭きとり、手入れは完了である。理想を言えば鑑賞の度に手入れするべきであるが、鑑賞をしなくても半年間に一回はこの手順でメンテナンスしておくと良いだろう。
注意点
注意点としては、鞘の内部が汚れているとそこに触れあっている刀身も傷んでしまうことがある。鞘自体を取り換えることも可能だが、価値の高い刀剣の場合、鞘とセットにしたほうが高額で売れることが多い。鞘師という鞘の調整を専門におこなっている職人に頼んで、刀身とぴったり合うようにしてもらうのも選択肢の一つとなるだろう。
日本刀はたとえ骨董品であっても、錆びていてもその切れ味はものすごいものだ。手入れのときにはくれぐれも手を切らないよう、とくに刃の部分を触るときには細心の注意が必要である。また息がかかるとその水分で錆びが進行するため、可能な限りマスクをして作業に臨むと良い。
日本刀の種類と価値
錆びたり傷ついたりしている刀剣は売りものになるかどうかわからず、価値を知ることができない。もちろん、最終的には買取業者に持ち込んで鑑定してもらう必要があるだろう。しかし刀剣を運搬したり発送するのは非常に面倒な作業であり、ある程度でも高値がつきそうなものがわかれば、それに越したことはない。専門の業者に持っていく前に価値を知る方法はないのだろうか。
正確な売値は専門家にしかわからないが、ある程度の見当をつけることは可能だ。
太刀
まず、刀の大きさである程度のランク付けがなされる。刀身が60cmほどのものが刀、あるいは打刀と呼ばれるもので、これより長いものは馬上で用いられる太刀という特殊な刀だ。太刀は現存する数が少ないうえ、鑑賞用に作られるものではないので骨董品としての値打ちも見込める。持っているのが太刀であれば、ある程度は買取価格に期待しても良いだろう。
脇差しや短刀
逆に、刀より刀身の短いものは脇差しや短刀と呼ばれるもので、これらは全般的に価値が低めである。江戸時代に町人や女性の護身用としても出回ったため比較的現存数が多いこと、短めの刀は熟練の刀工でなくても作れることなどが理由として挙げられる。もちろん、保存状態が良かったり装飾が美しく価値の高い短刀も存在する。とはいえ、短い刀であれば買取値にはあまり期待しないほうが良いかもしれない。
銘の有無
定番の長さの刀に関してはかなり鑑定は難しいが、ひとつの基準として銘があるかどうかが挙げられるだろう。銘は普段隠れている部分、刀の茎(柄に埋まっている部分)に刻まれており、名工の作の場合はその銘があることで買取価格が高くなる。無銘でも高額な刀はあるし、偽物の銘もあるので一概には言えないものの、あったほうが高値が期待できるということは言えるだろう。
作られた時代
もう一つ、刀の価値を左右するポイントとして、作られた時代が挙げられる。古い時代のもの、平安末期や鎌倉初期の刀には国宝級の値段がつくこともあるのだ。古いものほど現存数が少ないということもあり、室町以前の刀は特に貴重である。室町時代は戦乱の時代であり、この時期以降急速に日本刀の生産数は増えていくため、よほどの名匠の作か、有名な武将の佩刀などでないと驚くような高値はつきにくい。
現存数の少ないものや、古い時代のものに高値がつくのは他の骨董品と同様であり、こういった刀が手元にあれば買取業者に持ち込んでみると良いだろう。傷や汚れがあれば査定からその分は引かれるものの、それでもプラスになるようなお宝の可能性もある。
まとめ
傷や錆びのある日本刀の買取事情について調べた。傷や錆びがあっても、日本刀本来に価値があれば買取は可能だということがわかった。複数の専門の買取業者に査定依頼をして、手持ちの日本刀の価値や相場をまず理解しよう。
また、錆びてしまってから良い状態まで復活させるのは高額な費用がかかるので、自身でできる日ごろのメンテナンスをしっかりして、日本刀の高価買取を目指すようにしよう。
当サイト「ヒカカク!」でも最大20社から一括査定を無料で行うことが出来る。査定フォームはこちらから。