上村 淳之(うえむら あつし)は、花鳥画を描く日本を代表する画家だ。独自の作風を構築しただけでなく、教育者としての功績もある。文化功労賞も受賞しているため、絵画の価値は高いといえる。
もし家に眠っている上村淳之の日本画や作品がある場合はそのまま置いておくのはもったいない。必要としている次のオーナーに引き渡すことを検討してみても好いのではないだろうか。そこで今回は、上村淳之の日本画・作品の軌跡を振り返りながら、作品の価値や買取相場をお伝えする。
本記事のポイント
- 文化庁も買い上げるほど評価されている
- 原画は多く収蔵品となっており市場になかなか出てこない
- 版画で人気があるモチーフは?

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上村淳之 日本画・作品の歴史・特徴
上村淳之は、花鳥画を描く日本の代表的な画家であり教育者の1人だ。現在では、京都市立芸術大学名誉教授や松柏美術館館長などさまざまな栄誉を極めている日本画家である。上村淳之には、画家としての側面や教育者としての側面があり、ともに秀でた才能を発揮している。それぞれの功績を分けて辿っていきたい。
画家としての軌跡・略歴
上村淳之は、昭和8年に画家である上村松篁の息子として京都市で生まれる。祖母は上村松園であり、生粋の画家一家の中で育ったといっても過言ではないだろう。京都画壇の家系として生まれ、その才能を遺憾なく発揮している。昭和28年には、京都市美術大学日本画家に進学、このときに鳥の飼育を始めこれが多くの作風に影響している。京都の美術大学に通う傍で奈良県の禽荘に住み始めた。在学中の成果も目を見張るものがあり、新制作協会第20回展で初入選を果たす。
その後も、「鴨A」「鴨B」などの鳥をモチーフにした作品は第一席という成果をあげ、大学が買い上げた。大学を卒業する年には、第6回朝日新人展に「沼」を発表し、初めての個展を開催した。このときに、花鳥画を描く日本画家としての基礎を築いたといわれている。さまざまな花鳥画を描き続け、賞を受賞した。昭和47年には、画号として本名の淳から淳之を使用するようになる。平成4年には、「上村淳之―四季の譜・鳥に遊ぶー」が開催され、京都府文化功労賞を受賞している。
その翌年には、フランスパリで上村松篁、淳之自選展を開催し、注目を集めた。平成6年には、上村家三代の作品を展覧する松柏美術館を開館し館長となる。次の年には、「雁金」で第51回日本芸術院賞を受賞した。2013年には文化功労賞を受賞している。
教育者としての活躍
上村淳之は教育者として、日本の美術教育に多大な功績を残している。昭和36年に京都市美術大学助手になり、教育者としての活動を始めた。昭和47年には、京都市立芸術大学助教授に任命され、画家としてのキャリアと教育者としてのキャリアを同時に進めていった。昭和53年に第5回創画展に出品した際の作品は、文化庁が買い上げ、昭和55年には創画賞を受賞する。
次の年には、上村淳之展が京都で開催され、創画会会員となった。昭和59年には、京都市立芸術大学教授となり、京都画檀日本画秀作展に何度も出展している。平成11年には、京都市立芸術大学副学長に就任し、平成14年には日本芸術院会員となった。
教育者としては、華々しい軌跡を辿ってきているが、日本画に対しての危機感は常に持っていたようだ。学校教育では国粋主義への堕落の反省から、西洋画偏重の教育をおこなっていることを懸念しており、日本画の教育や発展のために何ができるのかを考え続けてきたという。
もっとも、日本美術に偏重しているわけではなく、文化や芸術は異文化との衝突の中で磨かれるという認識から、多角的視野での評価を重要視している。日本文化に関しても、異文化から見た視点の中で評価されることもあり、その視点も大切に見つめている。
文化庁の主催するボランティアにて「絵とは何か」という公演もおこなっている。学校教育者を含め、多くの若い世代が西洋画しか知らない状況のなか、写実以外にも人間の内側から生み出される絵画があることを説き続けている。
絵画の特徴
上村淳之の絵画は、花鳥画をモチーフにしたものが多いが、その芸術性の高さゆえに京都だけでなく、文化庁も買い上げるほど価値が高い。花鳥画という独自の世界を築き、日本を代表する画家として知られているが、京都画壇だけでなく日本画壇も牽引している1人なのだ。描く鳥や花は、単に動物・植物を描いているのではなく、自然観、人間観や感性・思想を表現している。
日本で人気のある西洋画は写実主義を主体としているが、上村淳之の絵画については、個人の感性や思想、情念など内面的なものを描いている。とはいっても、西洋画との対立を望んでいるわけではなく、切磋琢磨した上での共生という視点も持ち合わせている。
地道な努力の上に素晴らしい感性や能力が開花すると考え、その思想は作品にも表れている。絵画だけでなく、氏の考え方も世界中の多くの人が共感し支持を得ているのだ。
高価買取査定のポイント
まずは、上村淳之の作品を買い取ってもらう前に、どんな作品が高い値段で取引されるのかなどのポイントを知っておこう。
花鳥画の人気が高い
上村淳之の作品の中では、花鳥画が代表作である。緊張感のある空間表現ができる作家であり、花鳥画に関しては特にその技術に優れている。また、絵としての評価が一般でも高い。そのため花鳥画は人気が高く、高額で取引されるだろう。

作品の詳細情報は、アピールポイントになる
作品の情報については、ある程度集めておいたほうが良い。というのも、査定前に作品の詳細情報があるほうが、高額で買い取ってもらえる可能性が高いからだ。作家名はもちろんのこと、描かれた時期や技法など査定に出す際に利用できるため、自分で調べられる点については調べておこう。
劣化した作品も価値が高い
絵画については、保存状態が良好である方が価値が高いのは言うまでもないだろう。しかし、保存状態が悪くとも、価値の高い作品はあるため、諦めないでほしい。
上村淳之の作品は日本で評価が高く、希少価値の高い作品であれば、劣化していても評価してもらえることがある。古美術では劣化した作品はよくあることであるため、あまり心配する必要はないといえるだろう。劣化が激しいものであっても、一度査定に出してみることをおすすめする。
絵画の一般的な高価査定のポイント
絵画の一般的な高価査定のポイントをお伝えする。事前に確認しておくと査定額に差がでるため、ぜひ理解しておいてほしい。
真作かどうか
まず、真作かどうかは重要なポイントだ。贋作である場合は、価値が一気に落ちてしまい、買取業社では基本的に買い取ってもらえない。人気の画家であるがゆえに、レプリカも多く作られているため、本物の作品かどうかをしっかりと確認しておいてほしい。
鑑定書があるか
真作かどうかを確認したくとも、素人ではわからないことも多いだろう。そこで確認してほしいのは鑑定書があるかどうかだ。これがある場合は、真作としてお墨付きを得たようなものであるため、査定額は上がる傾向にある。また、箱などの付属品がある場合はそれも一緒に査定に出すべきである。
保存状態は良好か
言うまでもないが、保存状態が良い方が価値は高くなる。絵画の場合は、紫外線や湿気などによって劣化してしまうケースが多い。家に飾っておくことで、シミやカビ、汚れ、キズなどの問題も生じがちだ。手入れできる範囲でキレイにしておくと良いだろう。
もっとも、知識なく手入れをおこなうと作品をより劣化させてしまうこともある。素人ができる範囲の手入れをインターネットで調べておこなうと良いだろう。それを超えて無理をすると逆に価値を損ねてしまうことがある。専門業社がいるため、任せたほうがいいはずだ。
ちなみに額に関しては、美術的価値がない限りキズや汚れなどがあっても査定に響かないことが多い。ただし、査定は第一印象も大切であるため、ふき取れる範囲で汚れはとっておこう。
大きさはどれくらいか
査定の際に記入しておくべき事項として、作家名や作品名といった基本的事項に加えて大きさを指摘されていることが多いため、絵画の号数や大きさも事前に確認しておこう。スムーズに査定をしてもらうためにも、必要な情報はできるだけ事前に調べておきたい。号数がわからなくても、縦×横の大きさがわかれば十分だ。
絵画専門の買取業者に査定を依頼する
買取業者に査定に出す際は、必ず絵画専門の鑑定士がいる業者を選んでほしい。絵画の買取は、最近ではリサイクルショップなどでもおこなっているが、そのような場所では専門の鑑定士がいる可能性は極めて低い。
絵画は鑑定が難しく、専門も多岐にわたるのが通常だ。そのため、しっかりとした経験のある鑑定士にみてもらうことが適正な査定の第一歩である。必要な場合は、外注で専門の鑑定士に依頼してくれる業者もあるため、できる限り絵画あるいは美術を中心に扱っている業者に依頼しよう。
複数の業者に査定を依頼する
1つの業者に査定を依頼して、それで満足してしまう人がいるがこれは実にもったいない。というのも、当該絵画の本当の相場というものは、複数の業者に鑑定してもらって初めてわかることが多いからだ。
他の業者ならば、もっと高額で買い取ってくれた可能性もある。業者によって日本画に強い、洋画に強いなども異なるため複数の買取業者に依頼するようにしてほしい。そうすれば本当の相場がわかるだろう。
複数作品がある場合は、一緒に査定に出す
複数の美術品を所有している場合は、一括で査定に出してみよう。複数点一緒に査定に出すことで査定額がアップすることがある。特に劣化の激しい作品などは、他作品と一緒に査定に出すことで買い取ってもらえる可能性が高くなる。いくつかの美術品を所有している場合には、事前に検討してみてほしい。
大きな作品は出張買取を利用する
自分で運ぶのが難しいほど大きな作品は、出張買取の利用を検討しよう。自分で運ぶ際にキズなどが付いてしまうケースがあり、こうなると作品の価値が下がってしまう。動かすのが難しい作品は、事前に業者に出張買取を依頼して査定してもらうのが賢明な判断だ。
上村淳之の日本画作品・版画の買取相場
上村淳之の作品はとても価値が高いため、その多くが収蔵品となっている。したがって、真作がマーケットに出回ることは非常に少ないといわれている。
上村淳之の原画の買取相場
アート買取協会では、いくつかの作品の買取相場を提示しており、「新雪」100〜150万円、「雪野」70〜100万円、「鶯」70〜100万円とされている。また、シンワオークションという美術オークションにおいては、「鴫」が120万円で落札された事例がある。数百万円での売買も期待できる画家と言えるだろう。
上村淳之の版画の買取相場
花鳥画は人気でリトグラフやシルクスクリーンでの作成はおこなわれており、市場に流れている作品の多くは版画だ。限定部数が付いている作品の場合は、数万円の値段で売買されることが多い。木版画の場合は、十数万円の値がつくことがあり、安い作品でも2〜3万程度になるだろう。
もちろん作品の状態や技法にもよるが、全作品の相場としては、版画が数万円〜十数万円、原画は数十万円〜百数万円程度となる。ちなみに、代表作は「四季花鳥図」 「夕日に」「月に」であり、人気作品でもある。代表作の版画は、限定部数にもよるが高額買取になりやすい。

LINE査定に対応している買取業社
最後に、美術品の買取に特化したおすすめの買取業者を紹介したい。
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、幅広い美術作品を取り扱う買取業者だ。それぞれの分野で20年以上の鑑定経験をもつ鑑定士が査定をおこなってくれるため、適正価格の査定が期待できる。絵画だけでなく骨董品やアンティークなども買取しているため、他にも買い取ってほしい物がある場合は一緒に査定に出すと良いだろう。査定については無料査定フォームや電話による申し込みがある。店頭買取や宅配買取、出張買取、ライン査定など買取方法も充実しているため、一度検討してみてほしい。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アート買取協会では美術品専門店による高額買取査定、年間3万点の買取実績、専門スタッフによる丁寧な鑑定・査定、全国出張買取・宅配買取を実施している。上村淳之の作品の買取を強化しており、代表作として「雪野」(買取相場70-100万)「新雪」(100-150万)「鷽」(40-50万)などの買取相場が掲載されている。
出張買取に対応している買取業社
ギャラリーホープ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ギャラリーホープは、絵画の買取実績が多い専門業者だ。相場は基本的に、美術オークションや交換会の流通価格となる。多くの買い手を抱えているため、相場よりも高く買い取ってもらえる可能性がある。真作かどうかの判断ができない場合も、こちらの業者に任せれば鑑定をしてもらえる。国内外の流通ルートをもっているため、買取価格も期待できるだろう。
査定や送料は無料だ。持ち込み査定以外にも出張買取や宅配買取、ライン査定など買取方法も充実しているので、一度査定申込みを検討してみよう。
翠波画廊
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
翠波画廊は創業30年の老舗。魅力あるアート作品を多くの方のもとへお届けしたいという思いでアート作品を紹介する画商。年間1500点ほどの販売実績があり、LINE査定や出張買取など様々な方法に対応している。翠波画廊では上村淳之の作品は人気がありとてもよく売れているため上村淳之の絵画(日本画・版画)の買取には特に力を入れている。
まとめ
今回は、上村淳之 日本画・作品の価値・買取相場をお伝えした。氏の作品は日本でかなり価値が高く、真作の一点ものであればかなり高額になることが予想される。
リトグラフであっても数万円の値がつくことがあるため、家に眠っている作品があるなら一度査定に出してみると良いだろう。複数の業者に査定に出すのが面倒なら、一括で査定申込ができるシステムを利用してみるのはいかがだろうか。価値の高い作品だからこそ、できるだけ高価で買い取ってもらおう。