那波多目功一(なばためこういち)とは、四季の花々を描いた作品が多く見られる日本画家だ。本格的な作家活動は、1950年前後からおこなわれている。制作では薔薇や牡丹をモチーフにすることを好み、その雄大で味わい深い造形に惹かれるファンが少なくない。20〜40歳のころは画風が安定していなかったこともあり、作品によっては現在と違い洋風の技法やテイストを大胆に用いたものが見られる。
この記事では那波多目功一の作品の価値や買取相場について解説していく。自宅に那波多目功一の作品が眠っている方は、参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 世界的に人気が高いことから那波多目功一作品は、買取金額が高くなりやすい
- 人気がある花のモチーフなら数十万円の買取も期待できる
- 特に人気があるモチーフとは?
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日本画家 那波多目功一の略歴・生い立ち
那波多目功一は1933年茨城県で、日本画家那波多目煌星(なばためこうせい)の子として生を受けた。歌人の花香煌星は弟にあたる。作家としては、1950年に再興第35回日本美術院展覧会で松山が入選したのを皮切りに、月輪などの作品で日本美術院賞を得るなど画壇で大きな活躍を果した。
また、日本美術院の代表理事も務め、日本画界の牽引する存在としても名を馳せている。過去には横浜そごう美術館で那波多目功一展が開かれ、美術界を志す若年層にも注目される作家となった。
絵を始めたきっかけ
那波多目功一の絵を描くきっかけは、父である那波多目煌星と父の友人の関係性から生まれたという。那波多目功一の父、那波多目煌星とその友人は院展に作品を長年出品していたが落選を繰り返していた。しかし、ある日父の友人だけが入選、その日を境に態度が尊大になり、関係性は友人ではなく師弟関係のようになっていく。
父への対応が酷くなる父の友人に対して反感を覚えたのが那波多目功一である。父を不憫に思った那波多目功一は、自身が院展に入選して見返すことを決意した。初めての試みで見事賞を獲得、続く日展にも初入選して父の友人による中傷を跳ね返す程の活躍を見せるのであった。
画家になったきっかけ
また、那波多目功一は数々の入選を果すまで、仕事の傍らで絵を描いていたというエピソードがある。上記のような父関係のこと柄で絵を描き始めたものの、那波多目功一自身はいつやめてもいい趣味として認識しており、仕事として作品を手がけるのはある程度年を重ねてからになった。
本業として絵を手がけるきっかけになったのは、画風を固めて入選を果した際に師である松尾敏男が口にした『責任ある賞を取りましたね。もう戻れませんよ』という言葉だった。
那波多目功一の代表作を紹介
那波多目功一の代表作はこれから紹介する2点だ。
月輪
日本美術院賞を受賞した一作。静けさを感じる砂浜と夜空にひと際輝く月が大胆に構成されているこの作品は、画面に描かれたパーツ自体は少ないものの内面に詰まった情報量や情緒、細かな自然が確かに息づく作品だ。日本美術特有の引き算の美学を用いて不要な要素を廃したその構成は、日本文化ならではの侘び寂びをも感じさせる。
爛漫
情緒溢れる枝垂桜を描写した一作。桜の淡い色合いが、東京・六義園をモチーフとした門の黒色に響きあい現実と幻想が入り混じった独特の雰囲気を作り上げている。那波多目功一が手がけたものの中でも、極めて日本的要素で構築されている作品だ。
那波多目功一の画風について
那波多目功一は、20歳〜40歳あたりのころまで西洋技法を取り入れたり、影響を受けたものを取り込むなどよく言えば挑戦的、逆に言えば画風が安定しない傾向にあった。初入選の際に発揮した徹底的な写実性も当時はあまり見ることが無かったとも言われている。そんな那波多目功一に助言を与えたのが、師である松尾敏男だった。
松尾敏男の『自然の力を見なさい』『あなたらしい優しい絵を描きなさい』という言葉を聞いた那波多目功一は、以前の写実性を取り戻し、それまでとは違う余計な要素を廃した日本画を見事描き上げたのだ。日本美術は引き算の美学が特徴だと言われている。
不必要なものを削ぎ落として本当に見せたいものを浮かび上がらせるのが大切なのだ。那波多目功一はその引き算の美学を徹底して、描きたいもののために引き立つ周囲の要素を描く、色を生かすための色を使うということを実践して素晴らしい作品を日本画業界に発表した。
那波多目功一の買取相場
日本画は店頭販売されている商品などとは違い、相場が定まっていない。買取価格は査定する業者によって異なり金額幅が出てしまうことがあるため、買取依頼をする際は注意しよう。また、付属品の有無や作品の状態でも金額は大きく変わる。
十二支 戌は約32,000円
例えば、那波多目功一の「十二支 戌」は約32,000円の価格が付けられた。こちらは3号サイズで額裏に共シールが付いたもので、土佐犬の堂々とした佇まいに迫力を覚える一品である。作品の状態は良好で、落款・印章も確認できている。
すいせんは88,000円
また、「すいせん」という作品は88,000円の値が付けられた。すいせんは、金地と味わい深く描かれた水仙が調和を果している一品で、細部に細かな筆遣いが心地良く息づいている。3号サイズで額縁にはややキズがあるものの、作品状態は良好で共シールや落款も確認できた。
紅白富貴は600,000円
美術オークションでは、「紅白富貴」という作品の落札報告で600,000円の価格が記載されている。那波多目功一の作品の中では、高額な買取事例となるだろう。
贋作と複製画について
作者によって制作されていない海賊品やコピー、偽物として贋作や複製画の存在が挙げられる。日本画の買取では、偽物の作品の存在は真作の金額を大きく下回るため注意しなければいけない。それぞれの違いについては下記を解説する。
日本画の贋作とは
贋作とは、写しやコラージュを駆使して本物そっくりに作り上げる偽物作品のことである。ファンや弟子など、作者とは別の作家によって作られていることが殆どで、多くの場合価値を持たない。しかし、巧妙に作られたものは一目で贋作とは見抜けないほどクオリティが高いため、絵画の売買をおこなう人にとっては不安視する存在だ。
本物と見分ける手段として、証明書や銘、本人サインの確認、作成技法や筆跡の鑑定をおこなうのが一般的である。ただ、真偽の判断は専門家レベルでなければ難しいため、安易に本物かどうか疑わしい高額作品を購入したりするのは避けるべきだ。
過去には、著名な画商が贋作に騙されて膨大な損額を出してしまう事件も起きているため、高額作品の買取は非常に慎重をおこなう。真作の有無を確認できる要素は、買う側売る側双方が安心できなければいけない。
日本画の複製画とは
複製画とは、コピー印刷などで真作をそのままの状態を複製したものである。贋作と同様、本物と偽って複製画が売買されるケースはあるが、一般的に安価で名作が楽しめるアイテムとして作製されていることが多く、品物自体も複製品として表記されていることが多い。複製画でも、例えば昭和におこなわれた凹版印刷といった今の時代では実現できず、クオリティが保障されている技法によって作製された作品は多少のプレミアが付随することがある。
買取価格を上げるテクニック
作品の買取を考えるならば、気になるのはどれだけ高額で買取してもらえるかだろう。高額で買い取ってもらえるかどうかを判断するには、プロがどの点を見て買取査定をおこなっているのか、査定ポイントを把握する必要がある。基本的に日本画でチェックされるのは、以下の通りだ。
作品の傷み、磨耗
日本画は歴史的な資料という側面も持つが、やはり買取時に重要なのは絵として形を保っているかどうかである。日本美術は、繊細な表現や静動の表現バランスが画面の説得力を構築するのが特徴であるため、絵画として成立しなくなるような部分があると査定でマイナスポイントとして処理される。
絵の破れ、腐食などは内容に影響が無い部分だとしても、画面を構成する一部分が欠けていると判断されることが多い。また、色落ちや色焼け、変色は、作品としての意味合いや内容が変わるため、保存する際に注意すべきことだ。
額縁に入れるときに固定テープを用いる場合は、定期的に張り替えないと額縁内でズレが発生し、こちらも作品に負担を掛ける原因になってしまう可能性がある。保管の仕方を工夫して品質を保持しよう。
蛍光灯や陽の光にあてない
それぞれの光からは紫外線が発生するため、光のあたる場所に作品を置いておくと作品品質や色彩に影響が出る。現在は通常の物より多少値が張るがUVカットの額縁も販売されているため、品質を保ちた人にはおすすめだ。額裏を密封することで湿気対策にもなるため、購入を検討してみよう。
カビや腐食に気をつける
カビや腐食は、作品に大きなダメージを与える要素だ。カビや腐食は一目見ても発生に気づかないパターンが多々あり、不安要素を軽減する事前の対策が必須となる。カビや腐食を防ぐ対策として、湿度が高すぎない場所に収納しておくことが挙げられる。また、乾燥が続く場所では作品が傷むことがあるため気をつけよう。
買取前には作品の手入れも必要?
作品に負担をかけず、軽くホコリやゴミを取る程度なら手入れをしても問題ない。ただ、日本画等の絵画は、安易に素人が修正したり手を入れたりしてはいけない。手入れした部分だけが目立つ可能性が高く、プロから見ると一目でばれてしまう。
もし作品が劣化していて、手直しをしたい、大掛かりなケアをしたいという場合は絵画修復やケアの専門業者に依頼しよう。仮に作品に見られる色焼けやシミがあっても、修復業者によっては回復できることがあるため、所持している作品で困りごとがある場合は早いうちに相談しておくのが望ましい。
買取業者を選ぶポイント
日本画は、日本文化が背景に根付く作品が多いことや画材・流派・技法が多様化していること、作家の経歴が作品評価に関係してくることなどから、買取査定する業者によっては提示金額が異なる。買取金額の幅は業者によって数千円から数千万円と言われており、かなり大きな金額差がある。依頼する買取業者は極力日本画に詳しく、評価するための知識と観察眼を持つ専門業者を選ぼう。
日本画買取の専門業者に依頼する
美術品、及び日本画の買取をしてくれる業者は現状数多く存在する。価格がそこまで高くないものならリサイクルショップでも頻繁に買取がおこなわれているので、最寄りの買取業者でも問題ないだろう。
しかし、中には作者による本物の作品であるにもかかわらず、複製品や贋作と判断して質の悪い買取をおこなう業者が存在する。損をしないためにも優れた業者を選ぶことは、非常に大切だ。
相見積もりで買取価格を比較する
できるだけ高額で買い取ってもらうには、複数の業者に査定依頼する相見積もりを依頼しよう。複数の業者に依頼することで、相場と差がある査定結果や間違った鑑定による損失を防ぐことができる。前述してきたように日本画の価格幅は広く、査定する業者によって違うため、相見積もりを駆使して賢く高値買取を目指そう。
LINE査定に対応している買取業者
那波多目功一の作品を買取してもらうときにおすすめの買取業者を紹介するため、これから買取を考えている方は参考にしてほしい。
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ジャンルに合わせて専門の鑑定人が在籍している総合美術買取センター。ここではクーリングオフ制度を導入しているため、契約内容に納得できない場合でも契約日から8日以内であれば無条件でキャンセルすることができる。
アート買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画や掛け軸、陶磁器など年間3万点に及ぶ買取実績を持つアート買取センター。確かな美術品に関する知識と長年の取引に基づくデータによって、他社に負けない高額買取を実現してくれるようだ。ホームページでは、絵画を売却するときのポイントなどを一般向けに紹介していて参考になる。
出張買取に対応している買取業者
ワールドギャラリー
買取価格
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
創業20年以上の実績ある買取業者である。扱う作品は幅広く、ほぼ美術品全般を取り扱っているため、確かな観察眼はもちろん対応スピードにも期待ができる。また、委託販売や代行オークションも依頼することが可能なので利用しやすい。
買取依頼をこれまでしたことがない方にも分かりやすいシステムと説明による親身な対応が好評だ。もちろん査定で提示された金額に納得がいかなければ、買取キャンセルすることは可能だ。
こたろう
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品買取業者の中でも、意欲的な買取で評価が高い口コミを獲得しているのがこたろうだ。公式ページでは目に見える形で買取実績が確認できる。遺品整理のときに作品が見つかった場合でも気軽に査定依頼ができる。買取の際は、金額が決定された理由や説明をおこなうため、納得のいく取引が可能だ。
まとめ
那波多目功一は、色彩溢れる花々を表現した作品を多く世に出した日本画家である。不要な要素を削ぎ落として表現する引き算の美を効果的に作品に盛り込んだ作家で、作品には日本のみならず、海外にもファンや収集家が多く存在する。世界的に人気が高いことから那波多目功一作品は、買取金額が高くなりやすいのが特徴だ。那波多目功一の作品を所持している方は、1度買取業者に査定を依頼してみると良いだろう。あなたが思っている以上の価値が期待できる。