タブレットやスマートフォンの進化は大変早く、次々に高性能の機種がリリースされる。そのため、「持っている機種を買い取りに出して新しいものに買い換えよう」と考える人も多いのではないだろうか。
しかし、このようなデジタルデバイスを売るときには、個人情報の流出に細心の注意を払わなくてはならない。金銭的な被害にあったり犯罪に巻きこまれたりするリスクがあるためだ。ここでは、タブレットを売却する前に済ませておきたい個人情報の削除方法や初期化の手順、および知っておきたい注意点などについて詳しく紹介する。
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タブレットの個人情報は初期化で削除できない?
タブレットなどのデジタルデバイスを買い取りに出すときは、個人情報がもれてしまわないよう万全の準備をしておく必要があるだろう。タブレットのデータをdeleteしたりゴミ箱に移したりすると一見消えたように見える。
しかし、実際にはインデックスから消えただけで、肝心のデータそのものは残っていることがあるのだ。そのため、特殊なソフトウェアなどを使ってデータが抜き取られてしまう可能性も捨てきれない。
個人情報を守る基本
初期化(リカバリ)やフォーマットをすれば良いと考える人も多いかもしれないが、これだけでは個人情報を完全に消せないことがある。個人情報がもれるのを防ぐためには、すでにあるデータの上に別のデータを上書きしたり暗号化したりするのが基本だ。
買い取り業者がデータ消去ソフトウェアなどを使って、データの上書き作業をしてくれることもある。ただし、データが抜かれてしまうリスクは常に付きまとうだろう。自分でデータを守るのがベストだが、一口にタブレットといっても複数の種類があり、初期化や個人情報を消す方法は一様ではない。
買取に出す前に済ませておきたい手続き
また、買い取りに出す前にはOSのパスワードやソフトウェアの認証を解除したり、データのバックアップや移行などの手続きを済ませなくてはならないだろう。より高く売るためには、押えておきたいポイントもある。そこで、次項からはOSによる個人情報の消去法の違いや、タブレットを売る前にやっておくべきことについて詳しくみていこう。
タブレットの個人情報を守る方法とは
タブレットはスマートフォンよりも画面が大きいため操作性が良く、パソコンよりも軽量なので携帯性に優れている。両者の良いところ取りをしたデバイスなのだ。
ところが、一口にタブレットと言っても、OSの違いによって大きく3つの種類に分けられる。iOSとAndroid、およびWindowsだ。OSとは、オペレーティングシステム(Operating System)の略で、コンピューターを動かすためのベースとなるソフトウェアを指す。
iOS
iOSとは、Apple社が開発したソフトウェアで、iPhoneやiPadなどに搭載されている。iPhoneは日本では人気が高いので使っている人も多いだろう。直感的な操作が可能で、アプリケーションの審査基準が厳しいことで知られている。そのため、安全性が高いのが魅力だ。
iOSタブレットで個人情報を守るためには
iOSの場合、iOS8以降のOSでは内部ストレージがデフォルトで暗号化されている。内部でいくつかの端末固有のKEYを使いながら綿密にデータが管理されているため、初期化をするだけでデータは完全に消去されるのだ。「設定」→「一般」→「リセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」→「iPhone を消去」という流れで操作しよう。
iOSのバージョンがiOS8より前だった場合は、データ消去専用のソフトウェアなどを使ってデータの上書きをする必要があるだろう。
Android
AndroidはGoogle社がモバイル機器向けのOSとして開発したもので、オープンソース化されているため非常に多くの種類がある。価格帯も比較的手頃で、若者を中心に人気が高い。
Androidタブレットで個人情報を守るためには
Androidタブレットでは初期化をしてもデータを内部ストレージから完全には消せない。個人情報を守るためには、データを暗号化する必要がある。たとえ、情報を抜かれたとしても、暗号化されたデータを解読するのは難しいからだ。
Androidの暗号化は、Android 6.0 以降のバージョンで標準搭載されている。その手順は、「設定」画面から「セキュリティ」に進み、「端末の暗号化」を選ぶという流れになる。端末を暗号化したうえで初期化しておけば、安心して買い取りに出せるだろう。
また、Androidタブレットを初期化するには、「設定」→「バックアップとリセット」→「データの初期化」という手順を踏むことになる。ただし、暗号化も初期化も、機種によって操作が異なる場合があるため注意しよう。工場から出荷された時点で暗号化されている機種もある。
端末が正常に起動しない場合は、「Android Recovery」機能を使って初期化するのも一つの方法だ。これは、端末を強制的にリセットする方法で、機種によってやり方が違う。ただし、正常に動作しないタブレットは基本的に買い取りの対象外となることを知っておこう。
Windows
パソコンを使っている人になじみ深いのがWindowsだろう。Microsoft 社が開発したOSで、パソコンと同じ操作で利用できるのが最大の特徴といえる。
キーボードと連結すればノートパソコンとして使える2in1PCタイプのタブレットが主流だ。Windowsはもともとパソコン向けのOSなので、タブレットのスペックがある程度高くないとサクサク動かないことがある。ハイスペック向けのタブレットといえるだろう。
Windowsタブレットで個人情報を守るには
Windowsタブレットの場合は、法人向けと個人向けの機種で対処法が異なると考えて良い。基本的に法人向けの機種には暗号化機能がデフォルトで付いていることが多いが、個人向けの場合はそれがないのが一般的だ。法人向けのタブレットの場合、Microsoft 社をはじめとした各社が暗号化ソフトウェアを開発・提供している。
暗号化ソフト「BitLocker」を使用する
なかでも、Microsoft 社が提供している暗号化ソフトがBitLockerだ。Windows Vistaで初めてリリースされた機能で、Windows10ではWindows 10 ProfessionalとEnterpriseに標準搭載されている。
ただし、BitLockerでシステムディスクを暗号化するには、TPM(Trusted Platform Module)というICチップが不可欠だ。これは、BitLockerが暗号化を行うための暗号キーを保存する領域に当たり、OSから独立して動作できる機能を備えている。
個人向けタブレットでBitLockerが使えない理由は、TPMが搭載されていないことにあるのだ。個人向けタブレットの個人情報を守りたい場合は、データ消去ソフトウェアを使って、データを上書きしてから初期化しておくと良いだろう。
BitLockerは手軽に暗号化ができる優れたサービスだが、問題がないわけではない。ディスク全体を包括的に暗号化できないことに加え、ローカルの管理者権限があれば暗号化が簡単に解除できる点は知っておく必要があるだろう。そのような欠点を補うソフトウェアも各種開発されているものの、有料となるケースも多いことに注意しよう。
初期化の方法はそれぞれバージョンによって異なる
Windowsの初期化の方法はバージョンによって異なる。Windows10の場合は、「Windowsの設定」から「更新とセキュリティ」を開き、「回復」をクリックして「このPCを初期状態に戻す」を選ぶ。「個人用ファイルを保持する」か「すべて削除する」かのどちらかを選べるので、「すべて削除する」を選んで、初期状態に戻そう。
初期化をする前にやっておくべきこと
タブレットを初期化する前に、やっておかなくてはならないことがいくつかある。
- ・バックアップを取る
- ・OSのパスワードやネットワークの暗証番号を解除・初期化する
- ・外部サービスのアカウントを確認し、必要ならログアウト・解除する
- ・アクティベーションロックなどの遠隔ロック機能を解除する
- ・SIMカードやmicroSDカードを外す
まずは、必要なら大切な情報についてバックアップを取る必要がある。CDやUSBメモリなどの外部媒体を使う方法のほか、クラウドサービスを利用するのも良い方法だ。
次に、個人情報に関係する外部サービスについて利用内容を洗い出し、削除したり解除したりしなくてはならない。OSにパスワードを設定している場合や、Googleアカウントを利用しているときは忘れずに解除しておこう。
またiOS端末の場合は、iCloudをサインアウトする必要もある。「iPadを探す」機能(アクティベーションロック)などの遠隔ロックを利用している場合も同様だ。
タブレット端末には、Wi-Fiを利用するWi-Fiモデルとモバイル回線を使うセルラー(Cellular)モデルの2つがある。セルラーモデルの場合は、必ずSIMカードを抜いておこう。また、外部ストレージとしてmicroSDカードを利用しているなら、これも抜かなくてはならない。
できるだけ高く買い取ってもらうためには
タブレットをできるだけ高値で買い取ってもらうためには、配慮すべきことがいくつかある。
付属品を確認しよう
タブレットを購入した説明書や電源アダプタ、ケーブルなどの付属品は、多くそろっていたほうが高値が付きやすい。CDやDVDなどのディスク類も忘れず探しておこう。
盲点になりやすいのがリカバリーエリアだ。タブレットを簡単に復旧するために使われるエリアで、デフォルトで付いている機種が増えている。ところが、リカバリーエリアは常に一定のストレージを占領する。
ストレージを広げるためにその機能をUSBメモリに移して、もともとのエリアを消してしまうケースがみられる。リカバリーエリアがないと減額の対象になることがあるため注意が必要だ。
クリーニングしよう
当然だが、タブレットはきれいな状態であるほど高く売れる可能性がある。手あかやほこりをふき取り、できるだけ購入したときの状態に近づけよう。液晶保護フィルムやシールなどをはっているなら、きちんとはがしておくことが求められる。
できるだけ人気のあるうちに売る
タブレットでは、新モデルがリリースされると旧モデルの価格が急激に落ちやすい。そのため、買い替えを考えているならできるだけ早く買い取りに出したほうが有利なのだ。長く使っているうちにOSのバージョンアップに対応しなくなる可能性もある。そうなったら、売れにくくなってしまうだろう。
タブレットを売る前にはしっかり準備をしよう!
タブレットを買い取りに出すなら、あらかじめしっかり準備しておく必要がある。タブレットには、多くの個人情報が記録されているのが普通だ。そんな大切な情報が流出することがないよう配慮しなくてはならない。
個人情報を守るためには、データを暗号化するかデータ消去ソフトウェアなどを使って別のデータで上書きする方法が有効だ。そのうえで初期化してから買い取りに出そう。
また、暗号化や初期化をする前にパスワードや外部サービスのアカウントについてチェックしておくことも大切だ。できるだけタブレットを高く売るためのポイントについても知っておくと役立つ。売ったあとでトラブルに巻きこまれることのないよう、買い取りに出す前にしっかり確認しておこう。
まとめ
今回は、iOS、Android、Windowsのタブレットといったデジタルデバイスを売却する前に済ませておきたい個人情報の削除方法や初期化の手順、および知っておきたい注意点などについてご紹介した。
それぞれのデジタルデバイスで、個人情報の削除方法や初期化の設定が異なるので、自分が売却を考えているデバイスをよく理解した上で削除や初期化を進めてほしい。また、買取に出す際には、暗号化や初期化をする前にパスワードや外部サービスのアカウントについて確認したいところである。


