いらなくなった品物を売ったり、ほしい品物を格安で買ったりするとき、ヤフオクは非常に便利なオークションサイトだ。健全に利用すれば、お得な売買を楽しめる。
しかし、ヤフオクでは取引に関するトラブルも少なくない。たとえば、腕時計など高級な品物が絡む取引では十分に注意したいところだ。あらかじめトラブルの種類を知っておくと、危ない相手との接触を避けられるだろう。
そこでこの記事では、ヤフオクで腕時計を売買する際に起きたトラブル事例を紹介していく。
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
落札した品と違う腕時計が届いた
まず紹介するのが、落札した品と違うものが届くトラブルである。
写真とは似ても似つかない腕時計が
ヤフオクでよくあるトラブルが「写真との相違」である。ネットオークションであるヤフオクでは、実物を確認してから入札するわけではない。あくまでも出品者が記載している情報を信用し、入札するしかないのである。
しかし、気に入った腕時計があって落札したのはいいが、写真とまったく違う品物が送られてくるトラブルが数多い。しかも、大抵は落札者が想定していたよりも大幅に質が悪い腕時計だ。
当然、落札者は出品者に抗議をするものの、「写真の出来が良かっただけで同じ品物」と出品者は主張してくる。埒が明かないまま、泣き寝入りして代金を支払う落札者までいる。だが、あきらめる前にもう少しトラブルを検証してみよう。
詐欺の可能性も
こうしたトラブルではまず「単なる手違い」の可能性がある。あるいは、本当に落札者の勘違いで出品者はサイトに掲載されていた同一の品をきちんと送ってくれていることもありえる。すぐに「だまされた」と決めつけてかかるのは得策といえない。まずは、送られてきた腕時計をしっかりと調べる。そして、特徴がオークション時に記載されていたものと一致しているか、念入りに確かめてみよう。
「写真と違う」という意見にせよ、出品者が多くの入札をもらえるように美しく撮影するのは当然の心理なのだから一概に「詐欺」とはいいにくい。しかし、明らかに特徴が異なる腕時計を送ってきたのなら、詐欺の可能性ははね上がる。出品者と連絡を取り続け、返金してくれないなら法的手段に訴え出るしかない。
ヤフオクは仲裁してくれるのか
ちなみに、ヤフオクは「届いた品物が違う」というケースだと仲裁には動かない。そのかわり、「取引ナビ」を使えば出品者と直接連絡が取れる。
また、取引後の評価コメントを利用して、出品者が不正行為を働いていることを宣伝する方法も効果的だ。他の入札者も、出品者が信用できる人間かどうか確かめるため、過去の評価は閲覧している。少なくとも、自分のような被害者を増やさないように努力はできるだろう。
それでも、落札者にとって一番重要なのは「お金が戻ってくるかどうか」のはずだ。一向に出品者から連絡が来ない場合は、警察に届け出るのが一番である。裁判になっても証拠を提出できるように、内容証明郵便を出品者に送るなど、伏線は張っておこう。
いつまで経ってもお金が支払われない
落札者がいつまでたってもお金を支払わないケースも存在する。支払ってくれない落札者の心理と対処法について紹介しよう。
落札者と連絡が取れなくなってしまう
ヤフオクで腕時計などの高級品を出品するには、かなりの決断力が必要だったはずだ。何しろ高価な品物なわけで、手元に残しておきたい理由もあっただろう。わざわざオークションに出したからには、相応の金額をすみやかに支払ってもらいたいところである。
ところが、まれに落札者がいつまで経っても代金を支払ってくれないことがある。それだけではない。そもそも連絡が取れなくなり、督促すらままならなくなってしまうケースがあるのだ。
ただし、こうしたトラブルにもきちんと対処法はある。落札者は悪質なユーザーである可能性もあるわけで、決して妥協せずに代金を支払わせるようにしよう。
代金を支払わない落札者の心理
もっとも可能性が高いのは、「放っておけば督促が止む」と考えている場合である。これがヤフオクの怖いポイントで、出品者が一般企業であったなら絶対に督促は止まない。支払われるまで督促は続くし、落札者もあきらめざるをえない。
しかし、一般人なら督促を繰り返す行為がつらくなり、あきらめる可能性もゼロではないのだ。だからこそ、出品者は絶対に督促を止めてはいけない。もしも裁判などにもつれこんでも「私は督促を続けていました」と主張できる。
また、「落札した後で品物がほしくなくなった」と考えている場合もある。もちろん、そんなことは落札者の都合であって出品者の気にするところではない。百歩ゆずってオークションを取り消したいなら、品物を受け取っている行為が違反にあたる。出品者は無料で腕時計をくれてやることなどない。
ヤフオクに協力は頼めるのか
残念ながら、ヤフオクは「支払いをしてくれない」というトラブルについて、積極的に仲裁はしてくれない。取引ナビを利用して、落札者と出品者の間で解決しなくてはいけないのだ。出品者は落札者の連絡先がわかるなら、直接電話をかけよう。書面やメールで送るよりも、直接言葉で伝えたほうが相手に気持ちが伝わるからだ。
ただし、「書面やメールは必要ない」わけではない。督促を形にして残しておくことは大切である。出品者が落札者を訴えれば、「督促をどの程度行ったか」は争点になる。通話履歴だけでは、証拠としてやや弱い。文面があれば出品者の正当性が裏づけされ、代金を支払われる可能性は高くなるだろう。しかも、裁判に勝訴すれば損害賠償金まであわせて請求できるのだ。
メンテナンスされていない腕時計が届いた
メンテナンスされていない腕時計を避けるためにどのようなところに注意をすればいいのか紹介していこう。
「だまされた」といえるかは微妙なところ
落札者側にとって被害にあたる事例として「整備されていない腕時計が送られてきた」というものがある。確かに、文字盤に傷や汚れがあったり、ベルトがサビていたりする腕時計は不良品にも見えるだろう。そもそも針が止まっており、腕時計として機能していない品物が送られてきても落札者は困ってしまう。
しかし、こうした事例を「詐欺」とまで決めつけられるかはかなり微妙だ。出品者側が虚偽情報をヤフオクに掲載していたという証拠がなければ立証は難しい。
なぜなら、腕時計の世界では汚れや傷を「アンティーク」として歓迎するマニアもいるからである。時計が止まっていたとしても、落札者側でメンテナンスを行えば再び動き出す可能性は高い。
まずはオークション時点から注意
もちろん、すべての入札者がアンティーク時計を好んでいるわけではない。それに、有名ブランドや人気モデルの腕時計だからこそアンティークには価値がある。廉価版の腕時計に汚れがあっても価値は落ちるだけだし、それを隠していたのだとすれば落札者は「だまされた」ことになる。
とはいえ、出品者が不利な情報を上手く隠そうとするのも普通の行為なので、「マナー違反」だが「法律違反」にはならないといったところだろう。
そこで、入札者はオークション時点から情報を収集し、じっくり吟味して品物を見極める必要がある。ずる賢いタイプの出品者から、質の悪い腕時計をつかまされないように細心の注意を払うべきなのだ。
オークションで注目するポイント
入札者はオークションで品物の情報を読み込むことだろう。ただし、ここまでは基本であり、悪徳ユーザーを見抜くには「ユーザー情報」に注目するのがコツである。
たとえば、出品者が過去に行ってきた取引にはどんな評価がつけられているかを見てみよう。もしもポジティブな評価が並んでいたら信用してもいい。しかし、ネガティブな評価が並んでいたら、関わってはいけないユーザーである。
ただし、手のこんだ悪徳ユーザーになると、あえて仲間内での取引を続けてポジティブな評価を増やしていることもあるのだ。ポジティブな評価が誰によって書かれているかも重要である。万が一、同じユーザーばかりと取引していたら、ヤフオクの規範にも反しているので即刻、運営に報告してもいい。
腕時計の転売に巻き込まれないように
転売の品物を落札するデメリット
ヤフオクなどのオークションサイトで「転売」といえば、不当な手段で得た品物を出品する行為を指す。わかりやすい例では、盗品の処分だろう。ショップに直接持ち込めば顔が割れてしまう。そこで、不特定多数のユーザーが匿名で取引をしているヤフオクを利用する。ヤフオクに限らず、転売先として有名になってしまったオークションサイトは多い。
転売の品物を落札してしまうと、最悪の場合、犯罪の共犯者としての疑いをかけられてしまう。そうでなくても、正規ルートで流通していない品物を所持しているのはいい気分といえない。腕時計のような高級品を入札する際には、十分に気をつけて転売品を避けるようにしよう。
転売品の特徴とは
どうして転売が起こるのかというと「そもそも人気がある商品だから」である。つまり、ブランド品になればなるほど転売に遭遇する可能性は高い。腕時計にせよ、盗品や偽造品をヤフオクで転売する犯罪者は存在する。
こうした転売品を見抜くためには、まずブランド品である時点で慎重になることだ。保証書や鑑定書は付いているのか、ブランドの特徴を満たしているのかをしっかりチェックする。正当な理由もなく、格安で出品されている腕時計も怪しんだほうがいい。
そして、やはり出品者の履歴を必ず調べよう。いわゆる「捨てアカ」と呼ばれるような、履歴の少ないアウカウントでいきなりブランド時計を出品しているようなら、関係を持たないようにするのが無難である。
まとめ
転売などの怪しい取引を避けるためには、ヤフオクの「目安」を知っておこう。ヤフオク全体を見渡せば、取引における相場が読めてくる。カルティエの腕時計がいくらくらいで取引されているか、セイコーならいくらなのかも読めるはずだ。
相場を知らないと、「ブランド時計が安く買える」という宣伝文句にあっさりつられてしまう。そもそも、ブランド時計を高い値段で購入した人が、「安くてもいいから売りたい」などとはなかなか思わないだろう。
ヤフオクには一見、うまい話に見える取引が転がっている。しかし、本当にいい買い物をしたいなら「うまい取引」よりも「安全な取引」を優先して探そう。