ジラール・ぺルゴは、現在では数少ない真のマニュファクチュール(全ての部品を自社で一貫生産のうえ時計を製造するメーカー)の1つとして知られる。創立は1791年。名時計師として知られるジャン・フランソワ・ボットがジュネーブの地に開いた工房がその発端である。その後1856 年にコンスタン・ジラールとマリー・ペルゴが誕生させたジラール・ペルゴがその工房を引き継ぎ、現在にまで至っている。
225年を超える歴史の中で際立つのは、ジラール・ベルゴの先進性だ。1880年に世界で始めて腕時計を量産。1957 年には極めて薄い時計を製造するための超薄型高性能自動巻システム、ジャイロマティックを導入。そして1970年には、日本のセイコーに先を越されたものの、スイス発のクオーツ時計を開発している。
その後は数々の新型機械式ムーブメントを開発して他社に供給するなど、欧州ではその技術力で人気の高級ウォッチブランドである。
幕末の日本で初めて売られた高級スイス時計がジラール・ベルゴの時計であったということから、日本とも実は関係の深いブランドでもある。ここでは、このジラール・ベルゴの型番(=リファレンスナンバー)とモデル名との関連性や、型番の読み解き方を説明していきたい。
なお、ジラール・ベルゴの型番については、同社の日本版公式サイトに記載の型番を参照した。
Girard Perregaux wwtc Chronograph / Fiver Driver
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ジラール・ベルゴの型番について
まず最初に、ジラール・ベルゴの型番の特徴を公式サイトに掲載してあるモデルからピックアップし、確認してみよう。
コレクション「1966」の型番
ジラール・ぺルゴが1966 年、毎時 36,000 振動の並外れた精度を実現する初の高振動ムーブメントを発表。コレクション「1966」 はこの時代に敬意を表したコレクションであり、主にクラシカルでシンプルな文字盤を特徴とする。
- ①WW.TC:REF.49557-52-131-BB6C
- 素材:ピンクゴールド/直径:40ミリ/文字盤:オパール光沢シルバー/ストラップ:アリゲーター/キャリバーGP03300-0022(自動巻機械式ムーブメント)
- 表示:時, 分, スモールセコンド, デイ/ナイト インジケーター付きワールドタイム
- ②WW.TC:REF.49557-11-132-BB6C
- 上記素材がスティールに変更。キャリバーGP03300-0027(自動巻機械式ムーブメント)。以下同様
- ③WW.TC:REF.49557-11-132-11A
- ケース素材とブレスレット素材がスティール。キャリバーGP03300-0027(自動巻機械式ムーブメント)。以下は同様。
「WW.TC」は、24のタイムゾーンを瞬時に表示できるワールドタイムウォッチ。さて、ジラール・ベルゴの型番は、少々長めの番号をハイフンでつなぐ形式となっている。ここで見る限りは冒頭5ケタの数字が共通となっていることから、この「49557」がモデルの型番=モデルナンバーと見られる。
そして、ケース素材が変化したことで2番目のユニット部の2ケタの数字が「52」から「11」に変化。この部分が素材を表しているとみられる。
3番目のユニットは3ケタの数字。①が「131」で②と③では「132」に変化している。変わっているのはムーブメントの型番。3モデルとも同じ性能のムーブメントを使用しているが、①のみローター部がピンクゴールド製で、ムーブメントの型番であるキャリバーの数字の末尾が変化している。
そして4つ目のユニットは、ストラップ(ブレスレット)の種類だ。「BB6C」がブラックのアリゲーターのストラップであり、「11A」がスティールのブレスレットであることを示していると思われる。ストラップ部はその素材によって、あるいはブレスレットにしてもその種類によって型番の文字も変化してくると考えられる。
コレクション「ヴィンテージ 1945」の型番
1945年に発表された、ジラール・ベルゴの傑作モデルの復刻版が「ヴィンテージ 1945」のコレクション。ケースが微妙にカーブしており、腕に自然にフィットするアールデコ調のレクタンギュラ―ケースが特徴のモデル群である。
- ①SMALL SECONDS:REF.25880-11-121-11A
- 素材:スティール/36.2x35.25ミリ/文字盤:シルバー/ストラップ:スティール
- キャリバー GP03300-0051(自動巻機械式ムーブメント)
- 表示:時, 分, スモールセコンド
- ②SMALL SECONDS:REF.25880-11-421-11A
- 文字盤:ブルー 以下同様
- ③SMALL SECONDS:REF.25880-56-111-BBBA
- 素材:ピンクゴールド/文字盤:オパール光沢シルバー/ストラップ:アリゲーター
6時の位置にスモールセコンドがあるシンプルなタイプの腕時計。やはり冒頭5ケタの「25880」が共通のモデルナンバーということになるだろう。①と②の2ユニット目の「11」が、やはりケース素材のスティールを示していて、③のピンクゴールドは「56」という数字で示されている。
3ユニット目はキャリバーは同様なのに、それぞれ変化が見られる。変化しているのはむしろ文字盤の色である。スティールのストラップとアリゲーターのストラップの違いは、明らかに4ユニット目の型番が異なることで見て取れる。
コレクション「ロレアート」の型番
こちらは1975年に発表された、ポリッシュ仕上げの八角形ベゼルと一体型ブレスレットを備えたスポーティなオリジナルモデルの復刻版のコレクション。自動巻ムーブメントとクオーツムーブメントを使用するモデルがある。
- ①LAUREATO 42 MM:REF.81010-11-431-11A
- 素材:スティール/直径:42ミリ/文字盤:「クル・ド・パリ」仕上げブルー/ストラップ:スティール/キャリバー GP01800-0013(自動巻機械式ムーブメント)
- 表示:時, 分,センターセコンド,日付
- ②LAUREATO 42 MM:REF.81010-26-232-BB6A
- 素材:チタン&ピンクゴールド/文字盤:「クル・ド・パリ」仕上げスレートグレー/ストラップ:アリゲーター/キャリバー GP01800-0012(自動巻機械式ムーブメント)
- 上記以外①と同様
- ③LAUREATO 42 MM:REF.81010-26-232-26A
- 素材:チタン&ピンクゴールド/文字盤:「クル・ド・パリ」仕上げスレートグレー/ストラップ:チタン&ピンクゴールド/キャリバー GP01800-0012(自動巻機械式ムーブメント)
- 上記以外①と同様
モデルナンバー「81010」は、センターセコンドに日付表示というシンプルな文字盤のモデル。ケースにチタン&ピンクゴールド素材のモデルがある。
スティールケースとの違いは、やはり2ユニット目の2ケタの数字で示されている。3ユニット目はキャリバー、文字盤色がともに違っていて、①と②③で分かれる。数字の在り方をみる限り、やはり文字盤の色によって変化していると思われる。
ジラール・ベルゴの型番の特徴
前章で3つのコレクションから型番をピックアップしてみたところ、ジラール・ベルゴの型番に見られる特徴が見えてきた。
型番の冒頭5ケタの数字はモデルナンバー
ジラール・ベルゴの型番の冒頭の5ケタの数字、最初のユニット部はモデルごとに振られたナンバーとなっているようだ。同モデルの文字盤カラー違いやスティールブレスレットとレザーストラップの違いなどの場合は、この部分の数字は固定されている。それぞれのコレクションのモデルナンバーは以下のとおり。一部の例外はあるが、各コレクションにおけるモデルナンバーの冒頭数字はそろえられている。
- コレクション「1966」
- WW.TC:49557
- PERPETUAL CALENDAR:49547
- SKELETON:49549
- DUAL TIME:49544
- ANNUAL CALENDAR AND EQUATION OF TIME:49538
- 40MM: 49555
- 44MM:49551
- FULL CALENDAR:49535
- DATE AND MOON PHASES:49545
- 30MM:49528
- 36MM:49523
- MOON PHASES : 49524
- 50TH ANNIVERSARY:49525
- 38MM:49525
- THE CHAMBER OF WONDERS:49534
- DATE AND SMALL SECONDS:49543
- 41MM:49527
- LARGE DATE AND MOON PHASES: 49546
- JEWELLERY:49525
- LADY 38MM:49525
- コレクション「ロレアート」
- LAUREATO 42MM CERAMIC:81010
- LAUREATO SKELETON:81015
- LAUREATO TOURBILLON:99105
- LAUREATO 42MM:81010
- LAUREATO 38MM:81005
- LAUREATO 34MM:80189
- コレクション「ブリッジ」
- PLANETARIUM TRI-AXIAL:99290
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES 40MM:99285
- NEO BRIDGES:84000
- MINUTE REPEATER TOURBILLON WITH BRIDGES:99820
- LA ESMERALDA TOURBILLON:99275
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES 45MM:99280
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES 41MM:99193
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES 38MM: 99240
- CONSTANT ESCAPEMENT L.M.:93500
- TRI-AXIAL TOURBILLON:99815
- NEO-TOURBILLON:99270
- コレクション「キャッツアイ」
- TOURBILLON WITH GOLD BRIDGE:99490
- CELESTIAL:80496
- LA FENICE:80494
- SPARKLE:80489
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES:99495
- DAY AND NIGHT:80488
- RETROGRADE:80495
- BI-RETRO:80485
- MAJESTIC:80493
- POWER RESERVE: 80486
- SMALL SECONDS:80484
- HIGH JEWELLERY:91702
- BLOOM:80476
- WATER-LILY:80489
- コレクション「コンペティツィオーネ」
- STRADALE:49590
- CIRCUITO:49590
- コレクション「ヴィンテージ 1945」
- XXL LARGE DATE AND MOON PHASES:25882
- DATE AND SMALL SECONDS:25835
- SMALL SECONDS:25880
- LADY:25860
- XXL CHRONOGRAPH:25883
- TOURBILLON WITH THREE GOLD BRIDGES:99880
- コレクション「ヘリテージ」
- LAUREATO:81000
- 1957:41957
- PLACE GIRARDET:22500
2ユニット目の2ケタ数字はケース素材を示す
ジラール・ベルゴの型番の2ユニット目の2ケタ数字は、ケースの素材を示している。これまで見てきた型番を例にとると、まず多いのが「11」で、これはスティール素材を意味している。以下、調べた限りで次のように表されていた。
なお、この2ケタ数字の前に「D」のアルファベットが加えられる場合、ケースにダイヤモンドの装飾が施されたことになる。また、その場合の型番はハイフンではなく、そのまま3ユニット目までつなげられた型番となっていた。
- <ケースを素材を示す2ケタの数字>
- 11:スティール
- 52 or 56:ピンクゴールド
- 53:ホワイトゴールド
- 39:カーボン&チタン コンポジット
3ユニット目の3ケタ数字は文字盤の色を示す
いくつか例外もあるが、ほとんどの場合において3ユニット目の3ケタの数字は文字盤(ダイヤル)の色や装飾を示していると思われる。ただし、最も多く見られる「131」は公式サイト上では「オパール光沢シルバー」と表現されているが、型番の数字が「231」となって明らかに色が異なるグレー系の文字盤も「オパール光沢シルバー」と書かれているモデルがあり、この部分に関しては法則性が見えずらい。
とはいえ、基本的には文字盤の特徴で変化していることは間違いない。だいたいの数値としては、「131」は白系統、「231」はグレー系統、「431」になるとブルー系統といった傾向がみられる。なお、ベゼル部分にダイヤモンドセッティングがなされている際には、3ケタ数字の前に「A」が入る場合がある。さらに、インデックス上にもダイヤモンドが配される際には、「1A1」のように数字でアルファベットを挟む型番も見られる。
4ユニット目のアルファベット+数字の型番はストラップの素材を示す
ジラール・ぺルゴの型番の末尾部分、4ユニット目の部分が示しているのは、ストラップ(ブレスレット)の素材だ。比較的多く出現する「BB60」はブラックアリゲーターのストラップを意味している。
レザーストラップはほとんどのモデルがアリゲーターを使用しているが、その加工法や色等でアルファベットや数字が変化している。一方、スティールブレスレットの場合は「11A」となり、同様に「52A」はピンクゴールドのブレスレットである。
まとめ
ジラール・ぺルゴの型番は、<モデルナンバー→ケース素材→文字盤→ストラップ>と、それぞれユニット毎に役割が決まっていた。その意味では、非常にわかりやすい型番だ。各コレクションのモデルナンバーは前述のとおり。コレクション毎に冒頭の数字がほぼ統一されていることも、ユーザーにとっては便利で覚えやすい。気に入ったモデルがあったら、このモデルナンバーを覚えておけば、後々役に立つはずだ。
たとえば買取査定に出す際に、ブランド名とともにモデルナンバーを買取業者に伝えれば、ある程度の査定額も判明するはずであろう(当然ながらダイヤモンドセッティングのモデルの場合はその旨を伝えるか、型番全てを伝えたほうがよりわかりやすい)。一方、2ユニット目以降に関しては例外もあるので、あくまでも参考程度としていただきたい。

