世界中に数ある高級腕時計の中でもトップクラスに位置づけられるメーカーの一つにジラールペルゴがある。
日本では、比較的なじみが薄い名前かもしれないが、腕時計の愛好家の間では知る人ぞ知るハイレベルなブランドであり、それほど数が出回っていないこともあって、中古品であっても非常に高値で取引されることが多い。
そこで以下では、このジラールペルゴの歴史に触れたうえで、その資産価値が時計メーカー名の中でどれくらいの順位に位置づけられるのかを見ていくこととする。
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ジラールペルゴの歴史
スイスを代表する腕時計メーカーである「ジラールペルゴ」には、現在に至るまでにどのような歴史を歩んできたのだろうか。ここでは、ジラールペルゴの歴史の概要についてお伝えしていく。
歴史の概要
ジラールペルゴは、スイスを代表する腕時計メーカーで、世界で初めて腕時計を量産することに成功した会社でもある。同社は、19世紀の半ばに、コンスタン・ジラールによって設立されたジラール社が前身であり、コンスタンがマリー・ペルゴと結婚した後に、社名をジラールペルゴに改めたことで誕生した。
1861年には、マリーの弟であるフランソワ・ペルゴが日本の横浜に来航し、本邦初のスイスの時計商館を同地に設けている。1861年というと1868年の明治維新よりも前であり、当時は相次ぐ黒船の来航によって、江戸幕府の権勢が揺るぎつつあった時代である。
そのような状況にあって、日本に入ってきたジラールペルゴの腕時計は、太平の世に慣れた日本人に大きな衝撃を与えたことだろう。その後、パリ万博で同社のトゥールビオンが金賞を獲得したり、ドイツ海軍用の腕時計に採用されるなど、同社の有する技術は非常に高く評価されるようになっていく。
それとともに、懐中時計が主力であった同社のビジネスは徐々に腕時計中心へとシフトしていくこととなり、1930年にはついに両者の売り上げが逆転することとなる。第二次世界大戦後は、世界的な大資本の傘下に入るなどしてビジネスをさらに拡大し、現在では世界有数の高級腕時計メーカーとしての地位を確固たるものとしている。
ジラールペルゴのトゥールビヨン
トゥールビヨンとは、機械式時計の姿勢差を克服するために用いられるパーツで、フランスの時計技師であるブレゲによって18世紀後半に発明されたものである。
機械式時計には不可欠なものであるが、ジラールペルゴのトゥールビヨンは、独自の技術が採用されており、特にスリー・ゴールド ブリッジが付いたものは、前述のパリ万博（1861年）で金賞に輝くほどの完成度を誇っている。
このスリー・ゴールド ブリッジ付トゥールビヨンは、それ以降、ジラールペルゴを代表する部品となっており、現在でも同社のモデルの多くに採用されている。
世界中で高く評価されるわけ
では、このジラールペルゴは、なぜ世界中で高く評価されているのであろうか。ここでは、同社のフラッグシップモデルともいえる、ヴィンテージ1945について見ていくこととする。
洗練されたフォルム
ヴィンテージ1945のデザインの特徴は、長方形のケースに先が鋭くとがった形状をしているラグが付随している点にある。また、横から見ると、微妙にアーチ状の形をしており、それが使用者の腕にフィットして抜群の装着感を与えるのである。
高級時計の中には、装着してみるとパーツが腕にあたって違和感を覚えるようなものもあるが、ヴィンテージ1945については、そのようなことはまずないと言える。このカーブは本体全体にわたって取り入れられており、表面のガラス版も同様の形状をしていることで全体としてもバランスよく仕上がっている。
内部機構
時計の性能を左右する内部の機構であるが、ヴィンテージ1945ではGP3300と呼ばれるムーブメントが採用されている。このムーブメントは決して多機能ではないものの、性能だけでなく見た目にも美しいデザインであり、このモデルの評価を高める一因となっている。
意外に知られていないが、カルティエやヴァシュロン・コンスタンタンの商品にもこのムーブメントが使用されているモデルが存在しており、その事実からもいかにジラールペルゴの技術力が同業他社からも高く評価されていることが分かるであろう。
人手を介した製造工程
現在では腕時計の製造はほとんどが機械を用いて自動化されており、特に安価な商品の場合にはまず人手が介在することはない。この点、ジラールペルゴの商品については、製造段階において今でも職人の手が多く加えられており、それが同社の商品の精密な作りを実現することにつながっている。
ヴィンテージ1945も例外ではなく、同社の熟練工が手塩にかけて一つ一つ調整を加えているため、同じモデルでもそれぞれが唯一無二の品物であるということができるだろう。
資産価値は何番目か
では、次にジラールペルゴの資産価値について見ていくこととしよう。ここでは、主に先ほど見たヴィンテージ1945の価値を中心に検証することとする。
ヴィンテージ1945の新品の価格は100万円台のものが多いが、モデルによっては400万円を超えるものも存在する。一方で、オンラインショップなどで、それらの中古品を見た場合、概ね50万円から100万円程度のものが多いが、状態によっては100万円を超えるものもあり、また限定品については当初の販売価格よりも高く取引されているモデルも存在する。
ヴィンテージ1945は、過去のモデルのデザインを復刻した比較的新しいモデルであることを考えると、アンティークとしての評価が上乗せされていない段階で、それほど大きく価値が落ちていないという事実は特筆に値するであろう。
このような扱いをされている時計メーカーは、世界でもそれほど多くはなく、一概にジラールペルゴの資産価値が何番目であるかを特定することは困難であるが、様々な評価ランキングにおいて同社は概ねトップ5に位置づけられることが多いことからも、それくらい高いランクに位置していることは明らかであろう。
高額で売却するための条件とそれを維持するためには
いかにジラールペルゴが評価の高いメーカーの腕時計であっても、状態が悪いものを高値で売却することは困難である。そこで、以下では高額査定を受けることができる腕時計の条件について見たうえで、それを維持するためにはどういった点に留意すればよいかについて考えてみることとする。
文字盤
もっとも時計の印象を左右するのが、時計本体の文字盤である。傷があったり、日焼けして色合いが悪くなっていたりした場合には、その分評価が下がることとなるため、普段使いする際にもなるべく丁寧に扱うことが重要である。
色あせは、アンティーク品としてはあってよいようにも思われるが、実際にはそれによって評価が上がることはまずないと考えてよいであろう。メーカーに依頼すれば修理してもらったり、色合いを修復してもらうことも可能であるため、状態が悪くなる前に相談してみるとよいだろう。
リューズ・プッシュボタン
リューズ・プッシュボタンというのは、主に時計の側面に付いていて、時間調整やタイマー設定などに用いるときに使用するボタンである。
使い込んだ時計の場合、このボタンの戻りが悪くなっていたり、反応が遅くなっていたり、まったく動作していないといったことがよくあるが、そういった状態もまた時計の評価を引き下げることとなり得る。そのため、時計を使っていて違和感がある場合には、なるべく早めに修理に出すようにすべきである。
ベルト・ブレスレット
時計本体以外にベルトやブレスレットの状態も重要である。
特に一つの時計を長年使い続けていると、ベルトが摩耗して新しいものと交換したくなる時があるが、当初付属していたものと異なるものを付けた場合には、正規品としての評価を受けることが困難となり、その分評価が落ちることがあるため注意が必要である。必要に迫られて交換する場合には、なるべくメーカーの純正品を選ぶことを心がけるとよいだろう。
一方、ブレスレットの場合にも同様に交換はなるべくしない方がよいが、こちらは元のものが付いていてもジョイントが緩くなっていたり、コマとコマの間に汚れがたまっているような場合には評価が悪くなる恐れがある。こまめにクリーニングを行うことで汚れは取り除くことができるので、手間を惜しまずきれいにするように心がけるとよいだろう。
ムーブメントの状態
一見すると分からないが、時計である以上、その正確性は何よりも重要である。時計の正確性を決めるのは、ムーブメントと呼ばれる機構の性能で、これが正しく動作していないような場合には、せっかく高い評価を得ているモデルであったとしても、中古品の価値は大きく落ちることとなる。
そのため、高級時計は定期的にオーバーホールに出してメンテナンスを行うことが不可欠であると言えよう。
売却する方法
以上で見てきたように、ジラールペルゴは数ある腕時計メーカーの中でも一級品の存在であるが、その価値を正しく把握していないところに売却しようとした場合には思ったよりも低く査定されてしまう恐れがある。
価値を直接売る機会を探す
中古品の買取ショップや質屋などの場合、再販を前提として買取を行うことから、当然買取価格と再販価格の差によって利益を得ることができるよう、ある程度値引いた金額でしか買ってもらうことはできないであろう。
そこで、なるべく高くジラールペルゴを売却するためには、その価値を知る愛好家に対して直接売る機会を探すことが必要となり、そのためのツールとして使い勝手の良いのがヤフオク!などのインターネットオークションである。
インターネットオークションで売却するメリット
そのメリットは、最低落札金額を自分で設定することができるため、予想外に安く購入されるリスクを最初から回避することができることに加え、出品している腕時計を欲しいと思う愛好家が複数存在する場合には、それぞれを競わせて価格を釣り上げることができる点にある。
インターネット故に、実物を手に取って確かめることができないことから、時計の状態が前述した高く評価されるための条件を満たしていることを写真や説明文を駆使して理解してもらう必要があるが、それさえできれば希望以上の高値売却も決して不可能ではない。
まとめ
今回は、ジラールペルゴについて、資産価値と時計ブランドの中で何番目なのか、また、そのような価値を得るまでに至る歴史に触れながらご紹介した。
自分の持っているジラールペルゴにどのような資産価値があるのか、また、ジラールペルゴを売却しようと考えている場合、より高額に売却できるポイントについてもお伝えした。価値のあるものだからこそ、自分の資産として活用していくために後悔のない選択をしていただきたい。
