アメリカ出身の時計職人だったフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが、スイスのシャフハウゼンに「インターナショナル・ウォッチ・カンパニー」を創立したのは1868年。ちょうど日本の明治元年にあたる年だ。以来高度な技術力を背景に、高級腕時計の世界でその地位を築いてきた。
「IWC」とは、もちろんその略称。フランス語圏のきらびやかな他のブランド時計とは異なるシンプルなデザインが特徴で、人気の高いブランドの1つだ。
ここでは、その「IWC」の型番とモデル名について調べてみた。
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IWCの型番の見方
IWCの型番=リファレンスナンバーは、すべてIWで始まるのが特徴。それ以外のアルファベットはなく、IWCの製品であるという証明でもあるということだろう。それ以外はモデルごとにある一定の数字の配列が決まってくる。
IWCの型番の例
- IW371445 ポルトギーゼ・クロノグラフ
- IW327011 パイロット・ウォッチ・マーク XVIII
- IW376804 アクアタイマー・クロノグラフ
- IW380803 インヂュニア・クロノグラフ
4ケタのREFERENCEと型番
IWCのカタログにはIWで始まる製品固有の型番の他に、「REFERENCE」と書かれた4ケタの数字が掲載されている。この数字は、IWで始まる型番の上4ケタの数字と同様である。前述の「ポルトギーゼ・クロノグラフ」で言えば、「REFERENCE 3714」といった具合だ。
- ポルトギーゼ・クロノグラフ(REFERENCE 3714)
- IW371445 ステンレススティール製 ブラックのアリゲーター・ストラップ
- IW371482 18Kレッドゴールド製 ブラックのアリゲーター・ストラップ
カタログ掲載例:ポルトギーゼ・クロノグラフの場合
IW371445の「ポルトギーゼ・クロノグラフ」は、IWCの定番中の定番機種で、常に高い人気を持っているモデル。シンプルかつ清冽なデザインが印象的だ。一方のIW371482は、ケースが18金のレッドゴールドとなった高級バージョンで、文字盤もブラックに変更されており、非常に高級感がある。
どちらも「ポルトギーゼ・クロノグラフ」というモデル名は変わらず、型番で差別化が図られていることになる。
つまり、「ポルトギーゼ・クロノグラフ」シリーズのリファレンス番号は「3714」で、末尾2ケタの違いがそのモデルの特徴を表しているということになるだろう。逆に、「3714」で始まる型番のモデルは、全て「ポルトギーゼ・クロノグラフ」の派生モデルということがわかる。
さらに、この「3714」は、1998年の登場以来2017年まで必ずイヤーカタログに登場してきた唯一の番号で、このモデルがいかにIWCの中でも重要な製品であることがうかがい知れる。
とにかく、IWCの時計を探す時には、好みのモデルの4ケタの「REFERENCE」番号を覚えておくと大変便利ということだ。ただし、近いモデルだからといって侮ってはいけない。IW371445とIW371482には100万円近い価格差がついている。後で痛い目を見ることのないよう、型番と価格はしっかり確認しよう。
IWC各モデルの型番
ここからは、IWC主要モデルの型番とともに前述の「REFERENCE」番号との関係を見ていこう。
ポルトギーゼシリーズ
まずはIWCきっての人気モデル「ポルトギーゼ」シリーズから見ていく。モデル名の横に「REFERENCE」番号。モデル名の下にあるのは、ムーブメント/メカニカル/ケース直径/キャリバー形式番号の順で記した。
ポルトギーゼ・クロノグラフ【3714】
機械式クロノグラフ/自動巻き/直径40.9ミリ/79350
- ・IW371445
- ・IW371446
- ・IW371447
- ・IW371480
- ・IW371482
基本はスティールカバー、アリゲーターストラップ、シルバーメッキの文字盤カラーで、末尾45~47までがストラップの色や文字盤の色違いで799,200円の同価格。末尾80と82が18Kレッドゴールドカバーで文字盤が色違い。価格も1,760,400円と跳ね上がる。
ポルトギーゼ・オートマティック【5007】
機械式/ペラトン自動巻き/直径42.3ミリ/52010(自社製)
- ・IW500701
- ・IW500702
- ・IW500703
- ・IW500704
- ・IW500705
1930年代に作られたポルトギーゼのデザインを踏襲して2004年に発表された人気モデル。順序よく並んだ型番だが、こちらは末尾01と02がレッドゴールドカバーの高額モデル2,635,200円。スティール製のカバーのスタンダードは05。1,393,200円。
ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ【3905】
機械式クロノグラフ/自動巻き/直径43.5ミリ/89361(自社製)
- ・IW390501
- ・IW390502
- ・IW390503
- ・IW390505
ポルトギーゼのスポーツモデルということで、ストラップはブラックのラバー製。末尾02と03がスティール製カバーで、01と05がレッドゴールドカバーの高額モデル。末尾の数字に他のモデルとの共通性は見いだせない。
パイロット・ウォッチシリーズ
やはりIWCの人気モデルと言える「パイロット・ウォッチ」。特に、マーク12から続く一連のタイプは、2016年に18が発表された。
パイロット・ウォッチ・マークXVIII【3270】
機械式/自動巻き/直径40ミリ/30110
- ・IW327001
- ・IW327002
- ・IW327011
スティールカバーと肌ざわりの良さそうなサントーニ社製カーフスキンのストラップが01と02で、違いは文字盤の色。末尾が大きく飛んだ11がスティールブレスレットのモデルとなっている。元々軍用に開発されたというストーリーと、正確で堅牢、温度耐性や防水性、耐磁性に優れ、メンテナンスにほとんど手がかからないという、まさに質実剛健な特徴が人気の理由か。
パイロット・ウォッチ・クロノグラフ【3777】
機械式クロノグラフ/自動巻き/直径43ミリ/79320
- ・IW377709
- ・IW377710
末尾09がカーフスキンのストラップ、10がスティール製ブレスレットの違いとなる。オプションとして布製ストラップも装着することができる。
ポートフィノシリーズ
クラシカルかつシンプルなポートフィノシリーズ。特に定番の「オートマティック」の、まさにムダを省いた機能的なシンプルぶりは、ちょっと物足りなささえ感じてしまうほどだ。
ポートフィノ・オートマティック【3565】
機械式/自動巻き/直径40ミリ/35111
- ・IW356504
- ・IW356511
- ・IW356501
- ・IW356502
- ・IW356517
- ・IW356505
- ・IW356506
- ・IW356514
- ・IW356515
- ・IW356516
シンプルなだけに、派生モデルも多いのがオートマティックの特徴。基本は末尾01のスティールケース+アリゲーターストラップ+文字盤白。02が文字盤黒。飛んで17が文字盤白のインデックスが金色で、この3つが同価格となる。
05と06は「ミラネーゼ・メッシュ」というブレスに変更されて、04と11がケースがレッドゴールド仕様となり、さらに15と16はベゼル部分にダイヤモンド72個をセットした18Kレッドゴールド製のスーパー豪華版。元の496,800円が、2,073,600円に跳ね上がる。それでもシンプルさを失わない美しさを保っているのはさすが。
ポ―トフィノ・クロノグラフ【3910】
機械式クロノグラフ/自動巻き/直径42ミリ/75320
- ・IW391020
- ・IW391021
- ・IW391022
- ・IW391007
- ・IW391008
- ・IW391009
- ・IW391010
クロノグラフとは思えないシンプルさが魅力の「ポ―トフィノ・クロノグラフ」も、オートマティックに次いで人気が高い。商品構成はダイヤモンドベゼルを除いたオートマティックものと同様だが、末尾番号が全く異なる構成になる。
基本のアリゲーターストラップは22、07、08。09と10がミラネーゼ・メッシュで20と21が18Kレッドゴールドカバーだ。そう考えると、IWCの末尾2ケタは単に作られた順番なのかもしれない。
インヂュニア/アクアタイマー/ダ・ヴィンチ
ここでは、IWCの個性的な3つのシリーズの定番モデルの型番をピックアップする。
インヂュニア・オートマティック【3570】
機械式/自動巻き/直径40ミリ/35111
- ・IW357001
- ・IW357002
- ・IW357003
初代モデルを時計デザインのレジェンド、ジェラルド・ジェンタ氏が担当したことで知られるシリーズ。かつては耐磁性を売りにしたモデルだったが、現在はその面影はなくなっている。耐磁性の強化をしなくなったため、よりすっきりとした印象になっている。
末尾01がスティールカバー+アリゲーターストラップ、02が同カバー+スティールブレスレットで、03がいきなり豪華仕様のレッドゴールドカバー版。
アクアタイマー・オートマティック【3290】
機械式/自動巻き/直径42ミリ/30120
- ・IW329001
- ・IW329002
- ・IW329003
- ・IW329004
IWCらしいシンプルさが特徴のダイバーズウォッチ。末尾はきれいに並んでいるが、01と03がラバーストラップの同価格モデルで、02と04がスティールブレスレット採用モデル。ブレスレットのほうが若干価格も高い。
ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ【3921】
機械式クロノグラフ/自動巻き/直径43ミリ/89630(自社製)
- ・IW392101
- ・IW392103
日、曜日、月、4桁の西暦、永久ムーンフェイズを表示する永久カレンダーが採用されたモデル。同じ機構のものはポルトギーゼシリーズにもある。スティールカバーは末尾03で、01が18Kレッドゴールドカバー。03のほうでも3,650,400円と高額モデルなのは、やはり超複雑な機構を持つからであろう。
まとめ
ここまで、IWCの型番とモデルの関係について、人気モデルをピックアップしつつ紹介してきた。IWCの場合、4ケタの「REFERENCE」番号がキモとなるのはこれまで説明してきたとおり。定番モデルの「REFERENCE」番号は受け継がれるか、近い番号にてモデルチェンジを受け、新たな「REFERENCE」番号が与えられるというのがこれまでの流れのようだ。
モデル固有の型番=リファレンスナンバーは、末尾2ケタでそのバリエーションであることが表現されていた。数字に法則性はなく、何かの順番で振られているにすぎないことが推測できた。
今後はIWCで好きなモデルを見つけたら、その型番の最初の4ケタの数字を覚えておけば、お店などで迷うことなく見つけることができるはずだ。
なお、ここで紹介したIWCの「REFERENCE」番号とその型番は、2017年にIWCのカタログに記載されていたものから抜粋したものであることも付け加えておきたい。
売買・買取に関するお知らせ
尚、IWCを査定依頼するつもりでこの記事を見ている人は以下の記事を参考にして欲しい。
