ユリス・ナルダン(ulysse nardin)は、1846年スイスのル・ロックルで創業された老舗の高級時計ブランドの1つである。現在はグッチなどの高級ブランドを傘下に置くケリンググループの傘下にある。ここでは、歴史ある腕時計ブランド、ユリス・ナルダンの型番の特徴や、モデル名との関係性、その読み解き方について説明していきたい。
なお、ユリス・ナルダンの型番については、ユリス・ナルダンの日本版公式サイトに記載のものを参照している。
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ユリス・ナルダンについて
ユリス・ナルダンは、当初は航海に不可欠な船舶航海用のマリーンクロノメーターでは圧倒的なシェアと正確性を誇る時計製造会社だったという。以来、20世紀半ばまでは高精度を誇る高級時計の分野では名の知れた企業ではあったものの、やはり他のスイスの時計メーカー同様にクオーツショックに抗うことができず、一時会社は休眠状態に陥った。
しかし1983年、ロルフ・W・シュナイダーがブランドを買収する。この第二の創業とも言うべき出会いによって、ユリス・ナルダンは復活を遂げることになる。折からの機械式時計の復権に加え、1985年に発表された「アストロラビウム・ガリレオガリレイ」は、名門復活を大いに印象付けた。
古代史研究家、時計師、そして発明家であったルードヴィヒ・エクスリン博士の協力のもと、太陽や月、さらには星の動きも含めて144,000年分の天文情報がプログラムされた腕時計は時計業界に衝撃を与え、後に世界一複雑な腕時計としてギネスブックに認定された。
さらに1988年の「プラネタリウム・コペルニクス」、1992年に「テリリウム・ヨハネスケプラー」を発表し、「天文三部作」を完成させる。その後も多くの革新的な時計技術を発明、発展させ、世界の時計業界の中でも確固たる地位を確立するとともに、優れた技術力を誇るメーカーとして、現在に至っている。
ユリス・ナルダンの型番について
さて、ここからはユリス・ナルダンの型番について説明していこう。ユリス・ナルダンの型番は、おおよそのモデルにおいて、数字によって構成されている。各コレクションから製品をピックアップして、その型番を確認してみよう。
「マリーン クロノメーター」の型番
- ●クロノメーター トルピユール:42ミリ/自動巻ムーブメント(キャリバーUN-118)
- ・1182-310/40……ローズゴールド・文字盤白・レザーストラップ
- ・1183-310/40……ステンレススティール・文字盤白・レザーストラップ
- ・1183-310/43……ステンレススティール・文字盤青・レザーストラップ
60時間パワーリザーブの自動巻ムーブメントに、スモールセカンドと日付表示を備える。まずケースの素材の違いで型番が変わり、文字盤の色の変更で末尾2ケタの数字が変わったことがわかる。
- ●クロノグラフ:43ミリ/自動巻ムーブメント(キャリバーUN-153)
- ・1532-150-3/40……ローズゴールド・エッグシェル文字盤・ラバーストラップ
- ・1532-150-3/43……ローズゴールド・ブルー文字盤・ラバーストラップ
- ・1532-150/40……ローズゴールド・エッグシェル文字盤・レザーストラップ
- ・1532-150/43……ローズゴールド・ブルー文字盤・レザーストラップ
- ・1533-150-3/43……ステンレススティール・ブルー文字盤・ラバーストラップ
- ・1533-150/40……ステンレススティール・オフホワイト文字盤・レザーストラップ
- ・1533-150/43……ステンレススティール・ブルー文字盤・レザーストラップ
- ・1533-150/E0……ステンレススティール・オフホワイト文字盤・レザーストラップ
人気のクロノグラフは、30分計、12時間計、スモールセコンド、9時位置に月表示、前後に調整可能なアニュアルカレンダー、日付といった表示。最後のref.1533-150/E0の機種のみ、6時の位置にあるスモールセコンドが外されている。
冒頭の数字を見ると、18Kローズゴールドのケースが「1532」で、ステンレススティールケースが「1533」になっている。さらにラバーストラップとレザーストラップで型番の末尾の表示が微妙に異なっており、ラバーストラップの場合はハイフンによって、型番が3つのユニットに分かれている。そして、末尾2ケタ数字「40」が白い文字盤で「43」が青い文字盤となっている。
「ダイバー コレクション」の型番
- ●ブラック:45.8ミリ/自動巻(キャリバーUN-35)/クロノグラフ
- ・353-90-3C……ステンレススティール(マットブラックラバーコーティング)+ ブラックおよび18Kローズゴールドの逆回転防止ベゼル・ブラック文字盤・ラバー
- ・353-98LE-3/ARTEMIS……ステンレススティール(マットブルー/ラバーコーティング)・ブルー文字盤・ラバー
下のref.353-98LE-3/ARTEMISは、ヨットのアメリカズ・カップに参戦しているアルテミスレーシングチームをスポンサードしているユリス・ナルダンの記念モデルで、世界限定250本。
このコレクションでは、冒頭の数字が3ケタになっている。とはいえ全てがそうなってはおらず、4ケタ数字のものと共存している。セカンドユニットが「90」から「98」に変化しているが、使用しているムーブメントは同様ながら、「98」は30分積算計が機能として付与されている(「90」は30分計のみ)。
「クラシック コレクション」の型番
- ●デュアルタイム:42ミリ/自動巻(キャリバーUN-324 or 334)
- ・3243-132/E0……ステンレススティール・グランフーエナメル文字盤・レザー
- ・3343-126LE/93……ステンレススティール・ブルー文字盤・レザー
- ・3346-126LE/93……ローズゴールド・ブルー文字盤・レザー
ref.3243-132/E0のモデルのみ、リューズ上のボタンにて機能の切り替えができるリューズセレクターが装備されている以外は機能は同じ。やはりケース素材によって冒頭4ケタの末尾が変わっている。型番のセカンドユニット冒頭3ケタ数字に、「132」と「126」で違いがある。これはキャリバーが異なるためと考えらえる。前者がキャリバーUN-324を使用しており、後者がキャリバーUN-334を使用。リューズセレクターの有無によるものと思われる。
「フリーク コレクション」の型番
- ●クルーザー:45ミリ/手巻(キャリバーUN-205)
- ・2050-131/03……ホワイトゴールド・レザー
- ・2056-131/03……ローズゴールド・レザー
シリシウム製デュアルユリス脱進機を擁し、7日間パワーリザーブを誇るカルーセル・トゥールビヨン。機械式時計における数々の先進機能を満載したモデルだ。両者の違いはケースの素材のみで、やはり冒頭4ケタ数字の末尾が変化している。
ユリス・ナルダンの型番の特徴
前章で見てきたユリス・ナルダンの型番の特徴をまとめた。
冒頭4ケタ及び3ケタの数字はケースナンバー
ユリス・ナルダンの型番の冒頭は全てのモデルで4ケタか3ケタの数字になっており、これらはモデル固有の番号=ケースナンバーが振られていると思われる。ただし、同じモデル名でも、ケースのデザインが異なる場合には、その型番の数字が大きく変化する場合が見受けられる。
また、モデル固有の数字はケースの素材や大きさの違いによって若干変化する。たとえばケースの大きさ(直径)が変化する場合には3ケタ目が変化し(4ケタの場合のみ)、素材が変化する場合には、末尾が変化していた。
型番の2ユニット目の3ケタの数字はムーブメントや時計の機能を示す
ユリス・ナルダンの型番後半部、あるいは型番が3ユニットに分かれる場合の2ユニット目には、必ず3ケタ(稀に2ケタ)の数字が現れる。これはムーブメントや時計の機能を示す数字と考えられる。基本的にはムーブメントが異なれば、この数字が変化する。ムーブメントが同様でも課された機能が若干異なる場合もあり、その際もこの部分の数字が変化するようだ。ムーブメントにこだわりたい人であれば、この2ユニット目の3ケタの数字は要チェックの型番である
。文字盤の色は型番の末尾の数字でだいたいわかる
ユリス・ナルダンの型番における末尾の数字は、だいたいにおいて文字盤の色を示している。たとえば次のような型番の場合<ref.1533-150/40>、文字盤は白である。このように、通常タイプの型番であれば、スラッシュの後にくる数字だ。「40」は白、「42」は黒、「43」が青となっている。
また前述の40番台の数字に混ざって「/E0」や「/E3」という末尾も見られるが、これも特定の文字盤素材とインデックスデザインの組み合わせを指しているものと思われる。なお、文字盤にダイヤモンドセッティングなどの宝飾が施されている場合は、末尾は3ケタの数字に変化する。
ストラップがスティールやラバーになると型番が3ユニット化する
ストラップの素材がスティールやラバーになると、型番は以下のように変化する。
- ▶ラバー……1533-150-3/43
- ▶ステンレススティールブレスレット……1183-126-7M/43
このように型番のハイフンのつなぎが1つ増え、3つのユニットに分かれることになる。そして上記のように、ラバーの場合にはスラッシュの前に「3」が入ることになる。またスティールブレスレットの場合には、「7M」という数字が入っている。ただし、ユリス・ナルダンのラインナップには、スティールブレスレット仕様になっているモデルが非常に少ない。ある意味貴重なモデルと言えるだろう。
また、最後のユニットを省略した型番もあった。ref.3203-950は、型番にストラップ部分の表記がない。それは、このモデルのストラップが他に例がない帆布であるため、その設定が用意されていなかったからではないかとも考えられる。
まとめ
ユリス・ナルダンのラインナップはそれほど多くないため、モデルのバリエーションもある程度限られる。従って型番の種類もあまり多くなく、モデル名と型番をある程度結び付けて覚えておけば、モデルの特定は容易にできるだろう。重要なのはケースのデザインや素材を示す冒頭のケースナンバーと、2ユニット目のムーブメントの種類だ。ただ、同一モデルでムーブメントが大きく変わることはないことを考えると、冒頭のケースナンバーである程度のモデルは特定できることになる。ケースナンバーでモデルを特定
たとえば、ユリス・ナルダンでもっとも人気の高い定番モデルと言えば、やはり「マリーン クロノメーター」をおいて他にない。このコレクションに属するモデル別のケースナンバーは以下のようになっている。
- ・クロノメーター トルピユール:1182/1183
- ・クロノグラフ:1532/1533
- ・クロノメーター:1133/1183/1186/3203
- ・レディ:1182/1183
- ・グランデッキ:6300/6302/6309
- ・レガッタ:1553
- ・トゥールビヨン:1283
上記のようにケースナンバーとモデル名を関連付けておけば、型番だけでだいたいのモデルが想像できるはずだ。おすすめはデッキクロックの伝統を受け継ぐ「クロノ―メーター」。「1183」や「1186」のケースナンバーで覚えておこう。