スイスの高級スポーツウォッチブランド、タグ・ホイヤー。世界初の自動巻きクロノグラフを開発し、その後はモーターレースやスポーツの世界で公式時計を務めるなど、そのブランド性を培ってきた。2016年からは、Jリーグの公式タイムキーパーも務めている。
ちなみに、かつてはホイヤー(Heuer)一族の運営する『ホイヤー』という社名だったが、1985年に資金難からTAGグループの傘下に入り、『タグ・ホイヤー』に社名を変更した。ただし、現在はブランドコングロマリット・LVMHの傘下にある。
さてここでは、そのタグ・ホイヤーの型番=リファレンスナンバーが表すコードについて、説明しよう。
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タグ・ホイヤーのリファレンスナンバーの見方
まずは、タグ・ホイヤーのリファレンスナンバーはどこで確認でき、その数字や英字が意味するところを説明していこう。
型番は本体裏面に刻印されている
タグ・ホイヤーの型番は、本体裏面に刻印されている。ロレックスのようにブレスレットを外したりする必要がないので、とてもわかりやすい。ただし、シリアルナンバーも一緒に刻印されているので、注意が必要だ。
タグ・ホイヤーのリファレンスナンバーは、3文字のアルファベットと4ケタの数字で構成され、CかWで始まる。もちろん保証書があれば、必ず記載されているはずだ。国際保証書の場合、[Model No.]の欄にあるのがリファレンスナンバーである。
タグ・ホイヤーの型番の読み解き方
カタログに記載されているタグ・ホイヤーの型番を見ると、非常に長いのが特徴的だ。たとえば『アクアレーサー クロノグラフ300M』のリファレンスナンバーは、<CAY1110.BA0927>。なお、腕時計の裏側に刻印されているのは、ドットの前の7ケタの英字と数字の組み合わせが記載されている。それぞれの数字やアルファベットが表すと想定される意味は、次章で説明していこう。
- ①C ②AY ③1 ④1 ⑤1 ⑥0 . ⑦BA ⑧0927
タグ・ホイヤーの型番のコードを読み解く
ここからは、前項で掲げたリファレンスナンバーに振った各数字に沿って説明する。
①:時計のタイプを表すコード
- C:クロノグラフ
- W:ウォッチ
- S:スマートウォッチ
通常の腕時計は「C」で始まるクロノグラフと、「W」で始まる三針時計の2つに大別される。ここに最近、スマートウォッチの「S」が加わった。この場所のコードだけでも覚えておくととても便利そうだ。
②:英字2文字で各機種シリーズを表すコード
- AC/AH/AU/AZ:フォーミュラ1
- AB/AF/AK/AN/AP/AJ:アクアレーサー
- AL/AW:モナコ
- AR/AS/BG/BB:タグ・ホイヤー カレラ
- AT/BC/JF:リンク
- AV:グランドカレラ
- AG:SLRフォー メルセデス・ベンツ
- AY/BD:ニューアクアレーサー
- BF:コネクテッド モジュラー45
- V:タグ・ホイヤー カレラ
- J/T:リンク
- W:モナコ
- L:キリウム
- R:モンツァ
- Y:オータヴィア
アルファベット2文字の組み合わせが多いが、1文字のみの場合もある。冒頭のアルファベットと、この2文字のコードをある程度覚えておけば、タグ・ホイヤーの機種についてはリファレンスナンバーを見るだけでどういう機種かすぐに判別できるというわけだ。以下個別のモデルで見ていく。
アクアレーサー
現行「アクアレーサー」は、タグ・ホイヤーの公式サイトで見る限り、ほぼ「AY」や「BG」の機種で占められている。中古市場では「AK」や「AF」、「AP」が多く見られた。「AY」や「BG」なら新しめのモデルと覚えておくといいだろう。
タグ・ホイヤー カレラ
現行モデルはほぼ「AR」で占められるが、「V」の1文字コードの機種も数多く見られる。中古市場でもほぼ同じ傾向なので、他のコードのモデルの流通量は少ない。ちなみに10年前の製品ラインナップをみると、この機種のコードは全て「V」で統一されていた。「AR」のほうが新しいモデルであることを示している。
なお、「AR」コードの製品には、2015年に発表されたスマートウォッチ「タグ・ホイヤー コネクテッド」も含まれる。実際に盤面には「CARRERA」の文字が刻まれたモデルもある。どちらかというとアナログ寄りと思われていたスイスの高級腕時計ブランドのタグ・ホイヤーが、グーグルやインテルとコラボレーションをしたことで話題となった。
モナコ
四角いケースが印象的なモナコは現行3モデルしかなく、うち「AW」が2つで「AL」が1つ。全てモナコの名を世界に轟かせた自動巻きクロノグラフだ。中古市場では、やはり「W」で統一されていた頃のモデルが多数流通している。
フォーミュラ1
現行モデルでは「AZ」が多数を占め、次に「AH」も散見された。だがそれ以外は見られなかった。中古市場でも同様の傾向だが、中には「AU」のコードを持つものもあるようだ。
タグ・ホイヤー リンク
スタイリッシュなケースとブレスレットのデザインが特徴的な「リンク」は、2003年に発表された比較的新しいモデルタイプ。現行は「BC」と「AT」のみ。かつてみられた「J」や「JF」は見られなくなった。
タグホイヤーコネクテッドなどその他
「BF」のコネクテッドモジュラー45は、タグ・ホイヤーのスマートウォッチの最新シリーズ。それ以外は過去のモデルとなっている。また、上記リストには掲載しなかったが、スペシャルモデルにつく「BE」というコードもある。
③:ムーブメントの種類を示すコード
- 1:クウォーツ
- 2:自動巻き
- 5:自動巻きクロノメーター
- 7:電気機械式
- 8:CPU
このコードも7と8は別としてわかりやすい。基本的には1か2を好みで選ぶことになるだろう。8はスマートウォッチの際につけられているコード。最新のモデルでは、インテルのAtomプロセッサー搭載で、OSはAndroid Wear 2.0となっている。
④:腕時計のサイズを示すコード
- 0:large man
- 1:man
- 2:medium
- 3:woman
- 4:small woman
- A/B:Magnum Carrera
- C:King Size Carrera
現行のモデルで確認してみたところ、0でケース直径42ミリ前後、1で同40ミリ前後、3で直径32~35ミリ前後、4で直径27ミリ前後となっていた。2は未確認。39ミリも1に含まれていたので、37~38ミリ前後のモデルに2が振られるということだろうか。0以上に大きいモデルにはアルファベットが入る。
⑤:ケースの素材を示すコード
- 1:スティール
- 2:スティール+ゴールド(金メッキ)
- 3:ローズゴールド
- 4:スティール+ゴールド
ここにはケースの素材を示すコードが割り振られている。現状で確認できたところで、8と5いう数字が入ってくるモデルも見受けられる。8はチタン製、5はピンクゴールドとスティールの組み合わせであるように思われるが、真偽が定かではないのでリストには入れていない。
⑥:文字盤を示すコード
文字盤に関してのコードであると想定されるが、数字の違いが何を表しているのかは 不明。この位置にアルファベットが入るものも数多く見受けられる。
⑦ブレスレット(ストラップ)の素材を示すコード
- BA:スティール
- BB:スティール+ゴールド(金メッキ)
- BC:皮
- BD:スティール+ゴールド
- BT:ラバー(フォーミュラ1シリーズ)
- FC:皮以外
- FT:ラバー
リファレンスナンバーのドットの次のアルファベットは、ブレスレットの素材を示すコードが振られている。タグ・ホイヤーの場合は、「BA」のほか、「FT」や「FC」も多い。
⑧ブレスレット(ストラップ)のリファレンスナンバー
4ケタの数字は、ブレスレットのリファレンスナンバーを示している。
ここまで記載のコードは公式なものではないので、あくまでも参考としてとらえていただきたい。当然ながら、この例に合わないものもある。この例からもわかるように、タグ・ホイヤーのリファレンスナンバーのドットの後ろの後半部分は、ブレスレット(ストラップ)についてのリファレンスナンバーであることがわかる。
まとめ
ここまで、タグ・ホイヤーのリファレンスナンバーに書かれたコードを読み解いてきた。特に冒頭の「C」と「W」の違い、ムーブメントの種類を示す左から3つ目のコードのクウォーツの「1」と自動巻きの「2」の違いを覚えておくと、その腕時計の方向性がほぼわかることになる。そのうえで、「AY」や「AR」といった人気モデルのコードを覚えておくと、判別の精度はかなり高くなるというわけだ。
スポーツの世界に確固たる地位を築いてきたタグ・ホイヤー。果敢に取り組んだスマートウォッチの分野でも大人気となった。型番の傾向としても、新しいモデルには新しいコード記号が振られているようで、今後も新たなコードが生まれてきそうだ。