高級ブランド界の王者、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が時計製作事業に本格的に乗り出したのは2002年である。高級ウォッチの世界では新しい部類に入るメーカーの1つだ。だがブランド界最大のコングロマリット、LVMHグループ傘下の時計メーカー(タグ・ホイヤーやゼニス、ウブロ等)の協力もあり、スイスに本格的な時計工房を設立した。
オリジナル製品として初めて発表された「タンブール」がすぐに人気となり、時計界においてもその存在感を見せつけた。さらに2017年7月にはブランド初となるスマートウォッチも発売するなど、常に業界に新しい風を起こしている。
ここでは、時計ブランドとしてのルイ・ヴィトンの型番(=リファレンスナンバー)とモデル名との関連性や、型番の意味や考え方について説明していきたい。なお、ルイ・ヴィトンの腕時計の型番は、日本版公式サイト(http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage)に記載のものを参照している。
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ルイ・ヴィトン腕時計の型番の特徴
まずは、ルイ・ヴィトン腕時計の型番の特徴について説明していく。公式サイトを見ると、各製品には必ず型番の記載があるが、一部の製品で他のメーカーには見られない型番の使い方が見られたので紹介していきたい。
ルイ・ヴィトンの型番の例
では、実際のルイ・ヴィトン腕時計製品の型番を見ていこう。
- 【ルイ・ヴィトン腕時計の型番】
- タンブール ムーン オトマティック GMT ブラック:QAAA10
- タンブール オトマティック クロノグラフ ブルー:QAAAA7
- タンブール ダミエ ブラック (SSブレスレット):Q1D071
- ヴォヤジャー オトマティック GMT シルバー:Q7D310
- タンブール ムーン スター MM ブロンシュ:QAAA41
- タンブール ホライゾン ブラック:QAAA27
以上がルイ・ヴィトンの腕時計製品の中からピックアップした型番だ。「タンブール ホライゾン」はスマートウォッチのシリーズである。他は、機械式やクォーツの通常の時計だ。問題となるのは、そのスマートウォッチも含む「QAA××」となっているモデルのナンバーである。この形式の型番には、全てに注釈がついている。たとえば「タンブール ムーン オトマティック GMT ブラック」の場合は下記のようである。
<QAAA10は、Q8D30Z(ケース)とR15054(ストラップ)を組み合わせた製品です。>
ケースの型番である「Q8D30Z」は、そのような注釈の入っていない「タンブール ダミエ ブラック (SSブレスレット)」や「ヴォヤジャー オトマティック GMT シルバー 」の型番と似た構造となっている。そして、ルイ・ヴィトン腕時計の中古製品も含めた型番は、こちらのケースの型番に近い。
各モデルの型番とケースとストラップの型番の例
ルイ・ヴィトン腕時計の現行モデルの型番は、モデルによってはケースとストラップそれぞれの型番を統合する型番として存在する。ここではそれを「統合型番」と名付け、その傘下にあるケースの型番をそのまま「ケース型番」と「ストラップ型番」と呼ぶことにする。その例を下記にて挙げておこう。
(1)タンブール ムーン オトマティック GMT ブラック
- QAAA10
- ケース:Q8D30Z/ストラップ:R15054(ブラック ラバー)
- QAAA11
- ケース:Q8D30Z/ストラップ:R15064(イエロー ラバー)
(2)タンブール ホライゾン ブラック
- QAAA27
- ケース:QA002Z/ストラップ:R15126(モノグラム・エクリプス キャンバス)
- QAAA25
- ケース:QA002Z/ストラップ:R15353(ブラウン アリゲーター)
- QAAA26
- ケース:QA002Z/ストラップ:R15046(ダミエ・グラフィット キャンバス)
(3)タンブール レガッタ クロノグラフ ネイビー
- QAAAA3
- ケース:Q102DZ/ストラップ:R15136(ブラック ラバー)
- QAAAA4
- ケース:Q102DZ/ストラップ:R15042(ダミエ・コバルト キャンバス)
- QAAAA5
- ケース:Q102DZ/ストラップ:R15073(ブルー アリゲーター)
ケースとストラップの組み合わせによる統合型番である「QAAA××」(もしくは「QAAAA×」)では、全て単純な数字の順番による型番と見ることができる。「タンブール」は自分で簡単にストラップを付け替えられる(ルイ・ヴィトンが特許を持つ)ことから、このような型番の構造となっていると思われる。
ただし、問題となるのは「QAAA××」の型番は、ルイ・ヴィトンの公式サイト以外でほとんど見かけないということだ。
ルイ・ヴィトン腕時計の本来の型番はケースのほうか
前項で紹介した「タンブール レガッタ クロノグラフ ネイビー」のケースの型番は「Q102DZ」。そして、腕時計の中古ショップで掲載されている同モデルの型番(ケース型番ではなく製品そのものの型番)は、「Q102D0」となっている。両者の外観やスペックは同様なので、ルイ・ヴィトンの腕時計の型番は変更されたと見ることができる。
しかし、こうして見ると本来のルイ・ヴィトン腕時計の型番は、ケースの型番とされている「Q102DZ」と見ることが可能だ。そのほうが、統合型番の表記のないモデルの型番である、前述の「Q1D071」や「Q7D310」に近い。
ただし、「QAAA××」の統合型番と、ケースの型番である「Q102DZ」のどちらがショップなどでも採用される型番であるかどうかは、現状では判断が難しい。なぜなら、両方の新しい型番自体が小売店段階まで流通していなく、ネットで検索してもほぼ出てこないからである。
統合型番として表記されたモデル以外にも、様々なタイプのストラップを使用することが可能であるなら、ケースの型番を優先したほうがわかりやすいとも考えられる。しかし、この記事内では、とりあえず統合型番とケース型番の両者を記載しておくこととしたい。
ルイ・ヴィトン腕時計の型番の特徴
さて、ここまで説明してきたように、過渡期のためか、その構造や考え方自体が錯綜しているように感じられるルイ・ヴィトン腕時計の型番だが、統合型番とケース型番それぞれの特徴を記しておこう。
順番に数字を割り振った統合型番
前章でも説明したように、ルイ・ヴィトンの統合型番は、単純に数字を順番に割り振っただけの型番である。ここでは象徴的なモデルの統合型番と、そのケース型番を紹介していこう。
QAAAA2(Q1155Z+R15090)タンブール オトマティック GMT ブラウン
ルイ・ヴィトンのモノグラム・キャンバスを想起させるブラウンカラーが印象的なモデル。ストラップはイエローのアリゲーター。機械式の自動巻ムーブメントを使用している。
ちなみに「QAAAA1」は、同じケースにダミエ・アンフィニ レザー(型番:R15052)を組み合わせている。統合型番の若さから考えても、ルイ・ヴィトンのメンズ腕時計の中で筆頭にあげられるモデルと言えよう。
QAAA54(Q8D11Z+R15137)タンブール ムーン スター GM ノワール
こちらは、6時の位置にあるスター・モノグラム フラワーの秒針が印象的な女性向けモデルである。ケース直径39.5ミリで、モノグラムのデザインされたラバーストラップが合わされる。
QAAA36(Q13MJZ+R15171)タンブール スリム MM
シルバーオパールカラーのギヨシェ紋様が施された文字盤上に、8つのダイヤモンドインデックスとルイ・ヴィトンのモノグラム・パターンを施し、12時の位置にはルイ・ヴィトンのロゴが入っている。ストラップもナノ・モノグラム キャンバスの、まさに「全部ルイ・ヴィトン」なモデルと言える。ムーブメントはクオーツで、直径33ミリの女性向けウォッチである。
QAAA64(QA003Z+R15054) タンブール ホライゾン モノグラム
Android Wear 2.0搭載のスマートウォッチ。統合型番自体は、他の機械式やクォーツ時計の統合型番と同列上にあり、区別しにくい。一方ケース型番は「QA00×Z」(×の箇所に数字)がスマートウォッチのケース型番の特徴で、男性向けは×のところに2、3、4が入って区別されている。
ケース型番がそのまま型番となっているモデル
こちらでは、ケース型番がそのまま型番となっているモデル、すなわち統合型番が採用されていない、旧タイプから通じている型番のモデルを紹介していこう。
Q5D200 エスカル オトマティック タイムゾーン
ルイ・ヴィトンの時計製造アトリエ、「ラ・ファブリク・デュ・タン・ルイ・ヴィトン」で開発されたキャリバーLV87を搭載し、24ヶ国のタイムゾーン表示機能を持つ。ルイ・ヴィトン トランクから着想を得たという、カラフルなデザインが特徴的なモデルである。
ベゼル素材が18Kピンクゴールドのモデルの型番は「Q5EK40」。前項で紹介したケース型番の末尾が全て「Z」になっているのに比べると、当モデルの型番は旧タイプの型番の構造のまま残っている。
Q1D071 タンブール ダミエ ブラック (SSブレスレット)
「タンブール」シリーズであるものの、ステンレススチールのブレスレットのために、ケース型番がそのまま型番となっているモデルである。さらに、このケース型番を擁する統合型番のモデルがある。
「QAAAA8」の「タンブール スリム ダミエ・グラフィット」というモデルで、ケース型番が「Q1D071」でストラップ型番が「R15046」という組み合わせである。また、統合型番に内包されるケース型番の末尾は、必ずしも「Z」とは限らないということがわかった。
Q7D300 ヴォヤジャー オトマティック GMT グレー
GMT機能搭載のトラベルウォッチ。こちらの型番はカーフレザーのストラップだが、ケースが同タイプで、ステンレススチールブレスレットを採用するモデルの型番は「Q7D301」。カーフレザーのほうを統合型番としないのは、「タンブール」のようにストラップを自在に取り換えることができないためということだろうか。いずれにせよ、こちらの型番の表記の仕方のほうが分かりやすいことは間違いない。
Qで始まるルイ・ヴィトン腕時計の型番
ルイ・ヴィトン腕時計の型番の最もわかりやすい特徴は、「Q」で始まるということである。統合型番もケース型番もそれは変わらない。そのほかの特徴は以下のとおりである。
- ・統合型番=「QAAA××」(QAAAA×)は、モデル毎に任意の順番で割り振られる。
- ・スマートウォッチのケース型番は「QA00×Z」。×の数字は現状では2、3、4のどれか。
- ・統合型番傘下のケース型番の末尾はZが多い。
- ・ケース型番の構造は旧タイプの型番と同様(数パターン存在)。
- ・ケース型番(旧型番)の構造で多いのが「QwDxyz」。wとxyzには数字が入ることが多い。また、モデルによって「D」の位置に別のアルファベットが入る。それが何を意味しているかどうかは不明。
ルイ・ヴィトン腕時計の型番まとめ
ルイ・ヴィトン腕時計の型番は、統合型番とケース型番が存在し、モデルによってはケース型番がそのままモデルの型番として採用されている。さらに、モデル自体の型番とケース型番の両方に登場する番号もある。このように、ルイ・ヴィトン腕時計の型番は非常に複雑な状況になっていた。
全体の整合性をとって運用されているように見えないのは、やはり製品全体の構成を見直ししている過渡期だからだろうか。今後ショップなどで統合型番とケース型番がどのように扱われるのかによって、ルイ・ヴィトン腕時計の型番に対する考え方も変わってくると思われるので、現状では今後の推移を見守るしかない。
やはり確認すべきはケース型番か
ただ、少なくともケースの型番は時計の性能そのものであり、ストラップは交換可能なアイテムにすぎない。そのため、今後ルイ・ヴィトン腕時計の製品をチェックしていくとすると、やはりケース型番を確認しておいたほうが確実に当該モデルを捕捉できると思われる。また、型番からモデルを類推する手がかりや法則性は見つけられなかった。そのため、気に入ったモデルの型番はしっかりチェックしておきたいところと言える。
型番はどこで確認をすることができるのか
では、ルイ・ヴィトンの型番の特徴について記載してきたが、型番を知りたい時どこで確認ができるのか紹介しいと思う。しかし、これは腕時計全般での場合の確認方法となるので、ご了承してほしい。
ホームページで確認できる
ほとんどの企業の場合、型番はホームページの商品情報欄などに記載がある。自分の欲しい商品などがある場合はそのブランドのホームページの商品情報であらかじめ型番をチェックしておくと買い物の際便利だろう。
保証書で確認ができる
実際に手元にある商品の型番が知りたい場合、ほとんどの場合は保証書に型番が記載されているはずである。しかし、保証書には型番とシリアル番号が載っていることが多いので、間違えないようにしよう。
腕時計のケースに刻印されている
また、ほとんどどのブランドでも腕時計のケースの裏側に刻印されていることが多い。そのため、今手元にあるのであればそこを見るのが一番簡単かもしれない。しかし、中にはブレスレットを外した12時側の側面に刻印されていることもあるようだ。もし、裏側やその周辺を見ても型番らしきものが刻印されていなければ、保証書を確認した方が楽と言えるだろう。
型番を知っておくことのメリット
また、型番を知っておくことのメリットもここで少し紹介していこう。 型番を知っていても意味がないのではないかと思う人は、是非最後に以下を一読して今後の売買や生活に役立てて欲しい。
情報収集が簡単になる
型番を知っていることでまず最初にあげられる利点が、情報収集が簡単になることである。型番を知らずにモデル名などでネットで検索をすると、欲しい情報を得ることが少し困難になる。
型番は、商品が特定できる数字とアルファベットの羅列である。モデル名は他にも類似したものや、単語のため違う意味のものが検索エンジンで検索した場合ヒットしてしまうこともある。また、モデル名などになってしまうと人によってその書き方が異なることもあるため、型番の方が正確に絞って検索をすることができる。
中古での売買に役に立つ
さらに、中古での売買に役立つ。まず、先ほどの情報収集とかぶる点があるが、買取相場などをネットであらかじめ調べることができるからだ。さらにネット上で見積もり依頼したい場合も型番はほとんど必要不可欠と言えるだろう。中古で購入したい場合は、中古の業者で型番を伝えることでスムーズに欲しい商品を案内してもらうことができると言える。
また、近年はそういったお店ではなく、個人での売買も流行している。メルカリなどのフリマアプリや、ヤフオクなどのネットオークションだ。それらは時に掘り出し物を見つけることができるということで話題を集めている。
こういった個人間でのやり取りとなる中古の売買でももちろん型番は非常に役に立つ。まず、こういったサイトやアプリで売る場合商品情報は自分の物差しで好きな量書くことが多いだろう。その時、かならず商品情報に型番を記載するようにしよう。
また、その他購入した年月日、傷や汚れがあるか、動作に問題ないかなども忘れずに記載しよう。なるべく多くの情報を買い手に伝えることで売買をよりスムーズにトラブルを防いで行うことができる。
しかし、こういったサイトは個人間でのやりとりとなってしまうためトラブルが起きる可能性は中古のお店で買うよりも格段に上がる。また、トラブルが起きるだけではなく、全て自分の責任となってしまうため、自分で対応しなければならないのも大変なポイントだ。どこで売買を行うかは非常に重要である。よく考えてから購入、売りに出すようにしよう。
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