翼のついた砂時計のマークが馴染み深いロンジン(LONGINES)。その歴史は数あるスイスの時計メーカーの中でも古く、創業は1832年にまでさかのぼり、すでに180年以上の歴史と伝統を誇る。
1900年代中盤までは高度な技術力を誇るマニュファクチュールでもあったが、多くの機械式時計メーカーを窮地に陥れたクォーツショックを経て、1986年にスイスの時計産業が大同団結したSMHグループに参画。
後にこれが時計界最大の勢力となるスウォッチグループになると、ロンジンはグループ内のETA社製ムーブメントを利用することでコストを削減し、安定した生産体制と巧みなマーケティング戦略でブランドの価値を維持し、現在に至っている。ここではそんなロンジンの型番とモデル名について、その関係性と型番の読み取り方について調べてみたのでお伝えしていこう。
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ロンジンの型番について
まずはロンジンの型番=リファレンスナンバーについてのあれこれを説明しよう。なお、リファレンスナンバーはロンジンの公式サイトに掲載のものを参考にしている。
重要な意味を持つロンジンの型番
ロンジンの型番は、全て「L」で始まる8ケタの数字で構成される。
ロンジンの型番の例
- L2.257.4.78.3
- L2.257.4.71.3
- L2.759.4.51.6
- L2.759.4.78.6
上記はロンジンの「マスターコレクション」というシリーズに属する各モデルのリファレンスナンバーだ。「マスターコレクション」というモデル名以外の名称はなく、多数のモデルがある「マスターコレクション」シリーズにおける商品の区別は、全てこのリファレンスナンバーが表している。
つまりロンジンにとっての型番とは、モデル名と同等の重要な地位にある。欲しいモデルを探す際には、シリーズ名とともに型番を覚えておかないことには、モデルの特定ができないという存在である。
ケース裏には「L」に続く5ケタの数字が刻印されている
ロンジンの各製品のケース裏には、やはり「L」から始まる5ケタの数字が刻印されている。つまり、「L2.759.4.78.6」というリファレンスナンバーであれば、ケース裏には「L2.759.4」と刻印されているはず。
すなわち、この5ケタの数字がケース部分のモデルナンバーであろう。以下の3ケタで、文字盤の色やブレスレット(ストラップ)などの種類が示されていると思われる。
各シリーズ間の型番を比較してみる
さきほどマスターコレクションの型番を出したので、他のシリーズモデルの型番もそれぞれ抽出して比較してみよう。
モデル名 | 型番 |
---|---|
ドルチェヴィータ | L5.755.5.71.7 |
プリマルナ | L8.111.0.87.6 |
サンフォネット | L2.305.9.81.0 |
ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン | L4.908.2.31.7 |
アガシ | L4.691.6.11.0 |
ミニ | L2.303.0.81.4 |
マスターコレクション | L2.673.4.51.6 |
コンクェスト クラシック | L2.285.5.76.7 |
エレガント コレクション | L4.810.5.57.7 |
エヴィデンツァ | L2.642.8.73.4 |
イクエストリアン | L6.141.4.77.2 |
コンクェスト | L3.700.4.56.6 |
ヘリテージ | L1.611.8.78.4 |
L2.751.4.53.4 | |
L3.674.4.50.0 | |
L4.767.8.73.2 |

「ヘリテージ」のみ4つの型番を掲載したのは、同シリーズ内にL1~L4までのナンバーが存在したため。それ以外のシリーズは、シリーズ間の重複はあるものの、単一の数字から始まる型番で分けられていた。つまり型番の1ケタ目で、ある程度のモデルの方向性が位置付けられているというわけだ。
イメージとしては、クラシカルなモデルにはL2、エレガンスという言葉が出てくるとL4 、スポーティエレガンスにはL3といった形になる。L5 とL6、L8はシリーズ専用の数字に近い。一方「ヘリテージ」は、ロンジンの歴史にオマージュを捧げたモデル展開をしているため、様々なコンセプトが内包されるシリーズということであろう。
ロンジンの型番の意味
前章で各シリーズ毎の型番を確認したが、それぞれのシリーズ内にも非常に多くのバリエーションがある。現行モデルだけで実に合計489個もの製品、つまり型番が存在している。そんな時に、型番の読み解き方がある程度わかっていると製品を特定しやすい。
ここからはロンジンの腕時計の型番の各パーツが示しているコードについて読み解いていく。型番の各パーツを以下のように分解し、その記号に沿って説明していこう。
- L 4.767.8.73.2=L a.bbb.c.dd.e
aの数字はモデルカテゴリーを示す
aの部分は、前章でも説明したとおり、ロンジン内での製品カテゴリーを示したコードだ。改めてまとめると、以下のように分類される。現状ではL2の守備範囲が非常に広い。たとえば同じ「コンクェスト」の名称がついても、よりクラシカルな「コンクェスト クラシック」はL2に分類されている。
製品カテゴリーのコード
- L2:サンフォネット/ミニ/マスターコレクション/コンクェスト クラシック/エヴィデンツァ/ヘリテージの一部
- L3:コンクェスト/ヘリテージの一部
- L4:ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン/アガシ/エレガント コレクション/ヘリテージの一部
- L5:ドルチェヴィータ
- L6:イクエストリアン
- L8:プリマルナ
bの3ケタの数字は各モデルを示す
bの部分の3ケタの数字は、ケースの形やムーブメント、その素材などの組み合わせによって、各モデルに割り振られた数字であると考えられる。たとえば人気の「ヘリテージ」を例にとると、19種類もの3ケタの数字=モデルナンバーが存在する。
ヘリテージの型番の例
- 【L4.795.4.78.2】
- 形 : ラウンド(38.5ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL615)
- 【L4.785.8.73.2】
- 形 : ラウンド(38.5ミリ)
- 素材 : 18Kピンクゴールド
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL609)
- 【L4.767.8.73.2】
- 形 : ラウンド(34ミリ)
- 素材 : 18Kピンクゴールド
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバー L609)
- 【L4.267.8.73.2】
- 形 : ラウンド(26.5ミリ)
- 素材 : 18Kピンクゴールド
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバー L595/592)
- 【L3.674.4.50.0】
- 形 : ラウンド(42ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL633)
- 【L2.751.4.53.4】
- 形 : ラウンド(47.5ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL704.3)
- 【L2.749.4.72.2】
- 形 : ラウンド(40ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL688)/クロノグラフ
- 【L2.713.4.13.0】
- 形 : ラウンド(47.5ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL699)
- 【L2.678.4.11.0】
- 形 : ラウンド(47.5ミリ)
- 素材 : ステンレススティール(双方向回転ベゼル)
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL699)
- 【L2.310.4.72.0】
- 形 : スクエア(36×36ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバー L619/888)
- 【L2.309.4.23.2】
- 形 : ラウンド(38.5ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL615)
- 【L1.611.8.78.4】
- 形 : ラウンド(35ミリ)
- 素材 : 18Kピンクゴールド
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL633)
- 【L2.831.4.53.2】
- 形 : ラウンド(44ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL704.2)
- 【L2.812.4.23.2】
- 形 : ラウンド(41ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL788)/クロノグラフ
- 【L2.811.4.53.0】
- 形 : ラウンド(44ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL615)
- 【L2.809.4.23.2】
- 形 : ラウンド(41ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL615)
- 【L2.803.4.23.0】
- 形 : ラウンド(40ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL619/888)
- 【L2.801.4.23.2】
- 形 : ラウンド(40ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL788)/クロノグラフ
- 【L2.800.4.53.0】
- 形 : ラウンド(41ミリ)
- 素材 : ステンレススティール
- ムーブメントタイプ : 自動巻(キャリバーL788)/クロノグラフ
こうして並べてみると、各カテゴリーに関係なく、モデルナンバーが存在することがよくわかる。そして、近い数字のナンバーはサイズ違いやムーブメントが異なるなどの、少しの違いかと思えば、「309」と「310」はラウンドケースとスクエアケースでデザインがまるで異なる。
そのモデル数の多さから考えると、全体を把握するのも容易ではないことから、このモデルナンバーに関しては、自分の好みのモデルのナンバーを覚えておいたほうがよさそうだ。ちなみに、「ヘリテージ」には様々なナンバーが集まっているが、他のシリーズのモデルナンバーはある程度似通った数字になっている。
cはケースの素材を示す
前項の型番を改めて見ていただくと、cの部分が何を示しているかよくわかる。すなわち、ケースの素材だ。以下にそのコードを示した。
ケースの素材を示すコード
- 0:ステンレススティール+ダイヤモンドセット
- 1:ステンレススティール&レッド PVD
- 2:ステンレススティール&イエロー PVD
- 4:ステンレススティール
- 5:ステンレススティール&18Kピンクゴールド
- 6:18Kイエローゴールド
- 8:18Kピンクゴールド
- 9:18Kピンクゴールド+ダイヤモンドセット
dは文字盤やベゼルの色を示す
次のdの部分が示しているのは、文字盤やベゼルの色を示した数字と思われる。先ほどの「ヘリテージ」や他のシリーズを例にとると、以下のようになる。「××番台」としたのは、末尾の数字の変化がわずかな違いを示していると思われるためだ。やはり多いのは70番台と50番台。90番台はそれぞれスペシャルカラーが各番号に割り振られている模様だ。
文字盤やベゼルの色を示すコード
- 70番台:シルバー系
- 50番台:ブラック系
- 10番台、20番台:ホワイトラッカー「ポリッシュ」
- 30番台:ギルト
- 80番台:マザーオブパール
- 90番台:スペシャルカラー
eはブレスレット(ストラップ)の素材を示す
eの部分の数字が示しているのは、ブレスレット(ストラップ)の素材を示していると思われる。ざっと各シリーズの型番を例にとると、以下のように分類される。アリゲーターストラップの数字を分けているものは、必ずしも色とは限らない。
ただし、「5」をつけていたのは赤いストラップの製品だった。それ以外は同じ「2」でも黒もあればピンクのストラップも存在する。ブレスレットでは、やはりほとんどが「6」となるようだ。
ブレスレット(ストラップ)の素材を示すコード
- 0/2/3/4/5:アリゲーターストラップ
- 6:ステンレススティールブレスレット
- 7:ステンレススチール&18Kローズゴールドブレスレット
まとめ
ここまで、ロンジンの型番の特徴とその読み解き方について説明してきた。とにかくモデル数が多いので好みのモデルを選び出すのは非常に困難を伴うが、それだけに型番は、モデルを選別するためにもとても重要ということ。特に「ヘリテージ」シリーズのような様々なタイプの時計が混ざっているシリーズならなおのこと、その型番を確認しておかないと、想像とは異なるモデルに辿り着いてしまう可能性もある。
一方でロンジンは、他の超高級ブランドに比べて購入しやすい価格設定の製品が多く、それでいてブランドとして長い歴史と伝統を保有することから、所有する喜びも大きいおすすめのブランドだ。なので、雑誌やウェブサイトなどで好みのロンジンの製品を見つけたら、まずは型番をチェックしておいていただきたい。中古モデルを探すことになればさらに型番の重要度は高まるので、忘れずにメモしておこう。
