数ある高級時計メーカーの中でも最高峰のブランドの1つとして知られるパテック・フィリップ。ポーランド人のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックと、フランス人の時計職人、ジャン・アドリアン・フィリップが出会ったことで生まれた、唯一無二のマニュファクチュールと言われているブランドである。
その顧客リストには、世界中の王侯貴族をはじめとする真のセレブリティたちが名を連ねている。天才時計師が作り出す複雑な仕組みとそれを完璧に駆動させる部品の数々。その全てを可能にすることができるジュネーブ伝統の工芸技術である。芸術品とまで言われるそのタイムピースの数々は、今でも世界中の時計ファンを魅了してやまない。
今回は、このパテック・フィリップの型番、モデル名の調べ方、また、知ることのメリットについて説明してきたいと思う。パテック・フィリップの腕時計を買いたい、または売りたいと思っている人であれば役に立つ情報をまとめたので、お得な技を知るためにも是非一度見てほしい。
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パテック・フィリプの型番を知っておくことのメリット
ここで、型番という言葉に馴染みがない人も多いだろう。型番とは、ブランド側、またはまメーカー側が商品管理をするために使用している英数字のことである。商品名のみとなってしまうと、その商品名がカタカナか、どこに点が入るか、アルファベットか否かなど、様々な間違いがおこりやすく、正確に管理ができないためそのように管理しているとも考えられる。
企業側のために作られているこの型番だが、把握することで消費者側もいくつかメリットがある。
欲しい情報、商品がすぐに見つかる
まず、第一に挙げられるメリットがその情報収集の容易さである。型番を知っておくと、先ほども述べたが商品名と違って間違いが発生しにくいので正確な情報をインターネットなどから得ることができる。欲しい商品の情報が知りたければ型番を入力してYahoo!やGoogleなどの検索エンジンで検索をするとたくさんの情報が出てくるはずである。型番を入れず商品名だけで検索をしてしまうと、似たような商品名、あっているのかあっていないのかわからないといったことが発生しやすいのである。型番であればすぐに調べることができる。
売り手にとってもメリット
メリットは購入するときだけに発生するのではない。自分が愛用した腕時計を売りたいと思った時にももちろん役に立つ。特に、近年流行っているネットオークションやフリマアプリを使用しているのであれば商品名だけを載せるのではなく、しっかりと型番を載せることで信用度の高い商品とみなされることができる。また、型番で顧客が検索した時にヒットした時に出て来てくれるので、曖昧な商品名を載せるよりも高確率で自分の商品が多くの人の目に触れることができるのである。
逆に型番を載せないで少ない情報のみをネットオークションやフリマアプリに載せてしまうと信用度の低い商品とみなされ、安く買い取られたり、場合によっては誰にも買ってもらえないということでさえ有りうるだろう。そのため、自分の愛用したパテック・フィリップの商品をオークションなどで高く売りたいのであれば、最低限型番は把握するようにしておこう。
偽物かどうか見分けることができる
買い手にとって一番重要なポイントとなるが、型番は、その商品が本物か偽物か見分けるのにも非常に役に立つ。例えばネットの個人のやりとりで売買が行われるフリマアプリなどでパテック・フィリップの商品を購入したいのであれば、まずは型番の確認を必ずするようにしよう。先程型番をわかっていないと売り手側が売る時に信用してもらえないと述べたが、買い手の目線でいうと型番がわからない商品は信用するべきではないということになる。
以下にて説明があるが、型番は必ず保証書には記載されているはずで、本体に刻印されているものも場合によっては存在する。もし、中古市場で安く買おうとしていて、自分の目で確かめた時、または相手に型番を提示された時に違う型番やデタラメな型番を言われるようなことがあれば、偽物であるという可能性が高いと考えたほうがいい。
このように、型番を知っているだけで偽物を買ってしまうのを防ぐことも可能になる。実に大切な情報であることがわかっていただけただろうか。では、今度は実際に以下でパテック・フィリップの型番=リファレンスナンバーについて調べてみよう。
パテック・フィリップの型番あれこれ
パテック・フィリップの現行モデルの型番は、基本的には4ケタの数字で構成されているようだ。これら4桁の数字がモデルナンバーで、その末尾に素材を示すアルファベットが入る。合計5桁となったこの英数字に続けてハイフンでつなげて次の4ケタの数字が加わる。ただし、型番を呼称する際には、ほとんどの場合4ケタの数字かその後に続くアルファベットのみが読み上げられることが多い。
- <カラトラバの型番の例>
- 5116R‐001
- 5119R‐001
- 5153G‐010
また、現行モデルの数字は4〜7で始まる数字が使われているようである。特に多いのが「5」で始まるナンバーだ。また、ひと世代前の過去の生産終了モデルは「3」で始まる4ケタのリファレンスナンバーだった。
アルファベットのコード
パテック・フィリップの型番のうち、4ケタの数字の末尾にあるアルファベットはケースの素材を示している。そのコードは以下のとおり。
- A:ステンレス
- J:イエローゴールド
- R:ローズゴールド
- G:ホワイトゴールド
- P:プラチナ
継承される型番
また、1932年に発表された「カラトラバ」の初期モデルで、ref.96の型番を持つもの(時計好きの間では「くんろく」などと呼ばれる)は、その完璧なデザインが評価され、20年以上に渡って製造されて来たが、そのデザインをベースにしたモデルは、ref.3796(1982年)、ref.5096(1995年)、ref.5196(2004年)というように、型番が継承されていく例がある。パテック・フィリップのみならず、腕時計の型番を調べる際には、こうした名機の系譜を追ってみるのも面白い。
本体の型番は見ることができない
腕時計の型番は、どのメーカーもほとんどの場合モデルナンバーやシリアルナンバーをケース裏等に刻印しているが、パテック・フィリップの場合はこれをケースの内側に刻印しているため、通常は見ることができない。本体の型番を調べるためには、保証書等で確認するか、なければショップ等で確認をお願いするしかない。
一方でケースバックがスケルトン仕様のモデルなどは、リファレンスナンバーは見えないものの、キャリバーのリファレンスナンバーが見えたりする。これらはもちろん、偽物を排除するための方策でもある。ケース裏にわざわざリファレンスナンバーが刻まれたパテック・フィリップと称するものがあれば、それは紛れもなく偽物である。
パテック・フィリップの型番の例
以下、各シリーズモデルから主なモデルをピックアップして、型番を比べていこう。
カラトラバ
シンプルさが気品あるラグジュアリー感を引き立たせてくれる「カラトラバ」。1932年から続くパテック・フリップの伝統的なコレクションである。
【ref.5196】
37ミリ/手巻ムーブメントキャリバー215PS/スモールセコンド/アリゲーターバンド
- R-001:ローズゴールド/オパーリン文字盤/ゴールド植字インデックス
- G-001:ホワイトゴールド/シルバー文字盤/ゴールド植字インデックス
- J-001 :イエローゴールド/オパーリン文字盤/ゴールド植字インデックス
- P-001:プラチナ/2トーン・シルバー文字盤/ゴールド植字ブレゲ数字
名機ref.96の流れを汲むref.5196。スモールセコンド仕様で長針と短針の2針、白系の文字盤にバーインデックスと、拍子抜けするほどにシンプルな構成である。「P-001」のみ2トーンの文字盤と、ブレゲ数字でだいぶ趣が変わっている。
【ref.5296】
38ミリ/自動巻ムーブメントキャリバー324SC/センターセコンド/アリゲーターバンド/サファイアクリスタルバック
- G‐010:ホワイトゴールド/オパーリン文字盤/ゴールド植字インデックス
- R-010:ローズゴールド/オパーリン文字盤/ゴールド植字インデックス
- G-001:ホワイトゴールド/2トーン・シルバー文字盤/ブルー・インデックス
- R-001:ローズゴールド/2トーン・シルバー文字盤/ブルー・インデックス
ref.5196を少し大きくし、自動巻きムーブメントのセンターセコンド仕様とより現代に使いやすい方向に振った感のあるモデル。こちらはクリスタルバックで裏から精緻な部品の動きを垣間見ることができる。「001」のほうは2トーンの文字盤でやはり趣が違う。
ノーチラス
伝説的時計デザイナーのジェラルド・ジェンタがデザインした、潜水艦『ノーチラス号』をモチーフにした「ノーチラス」。エレガントなスポーツウォッチとして人気が高い。
【ref.5711】
40ミリ/自動巻ムーブメントキャリバー324SC/日付窓表示/センターセコンド/サファイヤクリスタルバック
- 1A-010:ステンレススチール/ブラック・ブルー文字盤+夜光ゴールド植字インデックス
- 1A-011:ステンレススチール/シルバー・ホワイト文字盤+夜光ゴールド植字インデックス
- 1R‐001:ローズゴールド/ブラウン・ブラック・グラデーション文字盤+夜光ゴールド植字インデックス
ジェラルド・ジェンタがデザインしたref.3700の直系モデルがref.5711。中でも人気は「1A-010」のブラック・ブルー文字盤のもの。
【ref.5712】
40ミリ/自動巻ムーブメントキャリバー 240 PS IRM C LU/ムーンフェイズ、日付を指針表示、パワーリザーブ表示/スモールセコンド/サファイヤクリスタルバック
- G‐001:ホワイトゴールド/レザーストラップ
- R‐001:ローズゴールド/レザーストラップ
- 1A-001:ステンレススチール
シンプルなref.5711にムーフェイズや日付、パワーリザーブ表示を入れたモデル。ノーチラスシリーズでは初のレザーストラップ仕様がある。
【ref.5990】
40.5ミリ/自動巻ムーブメントキャリバーCH 28-520 C FUS/60分計付クロノグラフ/センターセコンド(クロノグラフ秒針)/ブラック・グラデーション文字盤+夜光付ゴールド植字インデックス/サファイヤクリスタルバック
- 1A-001:ステンレススチール
「ノーチラス・トラベルタイム・クロノグラフ」と称される、シリーズの最新版に当たるモデル。出発地と現地の時刻を表示するデュアルタイムゾーン機構、出発地と現地の昼夜を窓表示、現地の日付を指針表示と、様々な複雑機構を装備している。
グランド・コンプリケーション
2つ以上の複雑な機構を擁するモデルシリーズである。透明のケースバックから見られる超複雑な機構が動くさまはまさに芸術的である。
【ref.5270】
41ミリ/手巻ムーブメントキャリバー CH 29-535 PS Q/センター・クロノグラフ秒針、瞬時運針式30分計/永久カレンダー/スモールセコンド/タキメーター目盛/ムーンフェイズ/シルバー・オパーリン文字盤+ゴールド植字インデックス/アリゲーターバンド/サファイヤクリスタルバック(通常のケースバックも付属)
- R-001 :ローズゴールド
永久カレンダーとムーンフェイズとクロノグラフを搭載。価格も2千万円近い超高級複雑時計。
【ref.5940】
37x44.6ミリ/超薄型自動巻ムーブメントキャリバー 240 Q/永久カレンダー/ムーンフェイズ/アリゲーターバンド/サファイヤクリスタルバック(通常のケースバックも付属)
- R-001 :ローズゴールド/シルバー・オパーリン文字盤+ゴールド植字ブレゲ数字
- G-010:ホワイトゴールド/エボニー・ブラック・オパーリン文字盤+ゴールド植字ブレゲ数字
名機ref.3940に搭載されていた永久カレンダー搭載超薄型キャリバー 240 Qを、レトロチックな角型ケースへと移し替えた。曜日、日付、月を指針表示。
パテック・フィリップの売却におすすめの買取業者
持っている腕時計の型番やモデル名が分かれば、買取業者への依頼もスムーズにできるだろう。そこで、パテック・フィリップの腕時計を高く買取してくれる買取業者を紹介しよう。
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世界三大高級腕時計のひとつであるパテック・フィリップをはじめ、さまざまな高級ブランド腕時計に対応している高価買取専門店。買取実績豊かな熟練の鑑定士が在籍しているので、保証書や購入証明がなくても安心だ。ブランド品買取の激戦区である銀座・渋谷・新宿・心斎橋に店舗があるだけに、どこにも負けない査定額・サービス・接客が期待できるだろう。
買取依頼時は宅配・出張・店頭・手ぶらと4つの方法から選ぶことができる。東京23区内に住んでいる場合は、最短即日に対応してくれる出張サービスが便利。自宅に訪問し目の前で査定、その場で現金支払いをしてくれる。パテック・フィリップは、ものによっては査定額が100万円を超えることもあるので、配送中や持ち運び中の紛失や盗難が心配な人には特におすすめ。
GINZA RASIN
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欠損していたり動かなくなってしまった時計を売却したいなら、「GINZA RASIN」に相談してみよう。同社は社内にメンテナンス工房を持っているため、修理代を差し引いた価格で買取することができる。型式が古く、本国修理となってしまうモデルに関しては大きく減額される可能性があるものの、ガラスの割れやリューズが破損したくらいでは査定額にそこまで大きな影響はないようだ。
また、同社は専門の査定員が商品を鑑定してくれるため、最短5分で査定が完了。ショッピングのついでにサクッと利用してみてはいかがだろか。
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「ギャラリーレア」は、1979年創業の老舗買取店。東京・大阪を中心に全国展開し、高級ブランド品を専門的に買い取っている。高級時計なら、パテックフィリップはもちろん、ロレックスやオーデマ・ピゲ、オメガなども買取強化中。
状態がよいものほど高価買取を狙えるが、ガラス欠けや傷、欠損、ベルトコマの不備など、トラブルを抱えたモデルも買取してもらえるようだ。経験豊富なバイヤーが在籍しているので、まずは気軽に相談してみるとよいだろう。
買取に関する詳細情報

まとめ
時計ファンにとっては憧れの最高峰ブランドとも言えるパティック・フィリップ。ここまでその型番について説明してきた。以下で箇条書きにわかりやすくポイントを並べておこう。
- ・基本的には4ケタの数字で表され、その末尾のアルファベットが素材を表すコードであること。
- ・現行モデルは4〜7の数字で始まるモデルが多く、特に多いのが「5」で始まること。
- ・過去の人気モデルの型番が継承されることが多いこと。
特にパティック・フィリップの場合、過去の名品の流れを汲む型番を持つモデルは非常に人気が高く、ノーチラスシリーズのref.5711などは入手することさえ困難とされている。前章でも述べたように、「カラトラバ」のref.96、パーペチュアル(永久)カレンダー搭載のコンプリケーションref.3940、そして「ノーチラス」のref.3700は、随所でそのストーリーが語られ、系統を継ぐモデルには世界中の注目が集まる。まさにパテック・フィリップの歴史は、型番が引き継いでいると言っても過言ではない。
パティック・フィリップの型番は、その背景にあるストーリーも含めて知っておくと、よりパティック・フィリップを知るきっかけとなる。どの商品もおいそれと購入できる価格ではないが、そんな楽しみ方ができるのも、パティック・フィリップという稀有な時計メーカーだからこそなのかもしれない。