かつて日本では「コンスタンチン」と呼んでいた記憶があるのは、間違ってはいないようだ。雑誌などでも1990年以前は、「コンスタンチン」と英語的な読み方で紹介でされていたという。フランス語的な発音によれば、「ヴァシュロン・コンスタンタン」。
1755年に創業し、現在まで続く時計メーカーとしては最古の企業として知られる。その歴史はざっと260年。パテック・フィリップ、オーディマ・ピゲと並んで世界三大高級時計メーカーの一画を成すブランドとして、世界中の時計ファンからリスペクトされるマニュファクチュールである。
現在やIWCやカルティエと同じ、リシュモングループ傘下のブランドでもあるヴァシュロン・コンスタンタン。ここでは、このスイスのジュネーブに本社を構える高級時計メーカーの型番とモデル名について調べてみた。
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ヴァシュロン・コンスタンタンの各モデルの型番について
まず最初に、ヴァシュロン・コンスタンタンの主なシリーズモデルの型番を紹介しつつ、そこに見られる法則性やコードについて考えていきたい。
なお、非常に歴史のあるこのブランドは長くやっている分だけ、以前に販売されていたビンテージモデルの人気も高く、古いモデルであるほどプレミアムがついて取引されていることも多い。しかし、ここではひとまず現行モデルのリファレンスナンバーからわかることを探っていくことにしたい。
「パトリモニー」の型番
リファレンスナンバー | モデル名 |
---|---|
Ref.85180/000G-9230 | パトリモニー(自動巻き・3針) |
Ref.81180/000J-9118 | パトリモニー(手巻き・2針) |
Ref.86020/000G-9508 | パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト |
Ref.81530/000G-9681 | パトリモニー・スモールモデル |
Ref.43175/000R-9687 | パトリモニー・パーペチュアルカレンダー |
Ref.30110/000R-9793 | パトリモニー・エクストラフラット・キャリバー 1731 |
Ref.4010U/000G-B330 | パトリモニー ムーンフェイズ・レトログラード・デイト |

ヴァシュロン・コンスタンタンを代表するシリーズが、この「パトリモニー」だ。細身の針と細いバーインデックスが高貴なシンプルネスを演出する、1950年代に販売していたモデルに着想を得て作られたというコレクションだ。
スタンダードなモデルはRef.85180の自動巻きか、さらにシンプルかつクラシックなRef.81180の手巻きもあり、どちらも人気のモデルだ。
他のブランドと同様に、冒頭の5ケタの数字がショートリファレンス、あるいはモデルナンバーと言われる数字で、ケースバックに刻印されているナンバーだ。パーペチュアルカレンダーや、ムーンフェイズのモデルになると、リファレンスの数字が大きく変化した。これについては後述する。
スラッシュの後の数字とアルファベットの4ケタの英数字は、ケースの素材とストラップやブレスレットの組み合わせを表していると考えられる。「パトリモニー」のシリーズはほとんどがアリゲーターストラップなので、「000」はレザーストラップでほぼ決まり。ただし、同じアリゲーターストラップにも「001」があって、それはパープルというカラーだった。
他は茶も黒も「000」であった。また、一部あった「110」というリファレンスは、ケースと同素材のブレスレット仕様であることを示していると思われる。
そして末尾のアルファベットは、ケースの素材であろう。「パトリモニー」で出てきたのは以下の4つだった。「R」はローズゴールドではなく、ピンクゴールドとしていたところが他のブランドど違っていた。
- J:イエローゴールド
- R:ピンクゴールド
- G:ホワイトゴールド
- P:プラチナ
最後の4ケタの英数字は、文字盤(ダイヤル)の色やデザイン、インデックスや数字の種類等を示したリファレンスと思われる。これは「9」で始まる4ケタの数字と、「B]で始まる4ケタの英数字で構成されるリファレンスに大別された。
上記のリファレンスのみで見ると「ムーンフェイズ」のモデルだけが「B」始まりだが、シリーズ全体でみるとシンプルな文字盤にも「B」始まりのものがあり、共通性を見出すことはできなかった。
「オーヴァーシーズ」の型番
リファレンスナンバー | モデル名 |
---|---|
Ref.4500V/110A-B126 | オーヴァーシーズ |
Ref.2300V/100A-B170 | オーヴァーシーズ・スモールモデル |
Ref.5500V/110A-B075 | オーヴァーシーズ・クロノグラフ |
Ref.7700V/110A-B129 | オーヴァーシーズ・ワールドタイム |
Ref.4300V/120G-B102 | オーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー |

ヴァシュロン・コンスタンタン唯一のスポーツラインが「オーヴァーシーズ」のシリーズ。“海を渡る”というコンセプトの元に作られ、シリーズ自体は2004年秋に防水機能や耐磁性構造をより強固して生まれ変わった。日常的に使用するにはやはり堅牢な作りは捨てがたく、大人が使用するシーンを選ばないスポーツウォッチとして、男性を中心に人気が高い。
リファレンスとしては、「パトリモニー」と異なり末尾にアルファベットが入るが、これは当シリーズ全て同じ「V」。恐らくは、「オーヴァーシーズ」の特徴とも言える、独特な形状のベゼルを使用していることを示しているのであろう。
ちなみにスクエアタイプのケースが特徴的な「ハーモニー」シリーズには、末尾に「S」が入っている。リファレンスとしてはRef.4500がスタンダードで、クロノグラフがRef.5500、ワールドタイムがRef.7700と区別しやすい。
一方で、クロノグラフやワールドタイム仕様のモデルは他のシリーズのものでも似たようなリファレンスナンバーになるので、「オーヴァーシーズ」シリーズであることを見極めるには、モデルナンバー末尾の「V」が決め手になる。
スラッシュ後ろのブレスレットの素材と形状は、「100」「110」「120」で、ブレスレットの仕様で間違いない。2、3ケタ目の違いはバックルの止め方の違いだ。4ケタ目のアルファベット「A」はステンレススティールを表している。
リファレンスの最後の4ケタの部分は、「パトリモニー」とは違い、全て「B」で始まるところに共通点がある。日付表示はあるにしてもスタンダードな3針のバージョンでも「B」始まりは変わらない。
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「マルタ」の型番
リファレンスナンバー | モデル名 |
---|---|
Ref.82230/000R-9963 | マルタ |
Ref.81015/000R-B282 | マルタ・スモールモデル |
Ref.30130/000R-9754 | マルタ・トゥールビヨン |
Ref.30135/000R-8973 | マルタ・トゥールビヨン・スケルトン |
Ref.7000M/000R-B109 | マルタ・ムーンフェイズ・パワーリザーブ |

ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルマークである「マルタ十字」に由来するシリーズ。リューズにそのマークがあしらわれている。アーチを描くトノー型のケースが大きな特徴。メゾンのシンボル的シリーズとして、この個性的なカバーにメゾンの技術の粋が注ぎ込まれている。
リファレンスとしては、「パトリモニー」と同様に「8」で始まるが、こちらのスタンダードなモデルのリファレンスはRef.882230。手巻きのムーブメント、キャリバー4400ASを内蔵するクラシックな腕時計だ。サイズは36.70 x 47.61ミリ。Ref.881015のスモールモデルになると、 28.40 x 38.67ミリとなって、ムーブメントも同じく手巻きのキャリバー1400ASに変更される。
一方で、内部機構がトゥールビヨンになると、リファレンスナンバーがRef.30×××になり、ムーンフェイズはRef.70×××に。シリーズモデルに関係なく、つまりケースの形状に関係なく、複雑な内部機構にファレンスナンバーが連動していることがよくわかる。
「トラディショナル」の型番
リファレンスナンバー | モデル名 |
---|---|
Ref.43075/000R-9737 | トラディショナル |
Ref.87172/000G-9301 | トラディショナル(カレンダー表示+スモールセコンド) |
Ref.86060/000G-8982 | トラディショナル・ワールドタイム |
Ref.43172/000P-9236 | トラディショナル・スケルトン・パーペチュアルカレンダー |
Ref.5000T/000R-B304 | トラディショナル・クロノグラフ・パーペチュアルカレンダー |
Ref.6500T/000P-B100 | トラディショナル・ミニットリピーター・トゥールビヨン |

まさにトラディショナルなラウンドケースに、あらゆる技術を盛り込んだバラエティ溢れるモデルが多数あるのが、「トラディショナル」である。文字盤上は2針のみの手巻きムーブメントキャリバー1120を使用するシンプルモデルは型番がRef.43075。
そこにカレンダー表示とスモールセコンドが加わったのがRef.87172で、リファレンスナンバー的にはむしろこちらがスタンダードモデルなのだろうか。
そしてここまでいくつかのシリーズを紹介してきたことで、3や4、そして5始まりのリファレンスナンバーのコードがある程度見えてくる。「5」で始まるリファレンスナンバーはシリーズ関係なく「クロノグラフ」だ。Ref.43×××ならパーペチュアルカレンダーのモデル。Ref.30×××はトゥールビヨン。Ref.65×××はミニットリピーターであろうか。
ここまで見てきた限りでは、ヴァシュロン・コンスタンタンのリファレンスは、やはりシリーズモデルよりも複雑な内部機構に連動している。同じシリーズであっても、カレンダーが加わるとリファレンスナンバーは「4」から始まるし、クロノグラフなら「50」や「51」、あるいは「53」といったナンバーから始まっていくといったイメージだ。
「ハーモニー」の型番
リファレンスナンバー | モデル名 |
---|---|
Ref.7810S/000R-B141 | ハーモニー・デュアルタイム |
Ref.7800S/000R-B140 | ハーモニー・デュアルタイム・スモールモデル |
Ref.5300S/000R-B124 | ハーモニー・クロノグラフ |
Ref.4000S/000R-B123 | ハーモニー・コンプリートカレンダー |

スクエア―なケースが特徴的な「ハーモニー」。このシリーズはコンプリケーションが標準なので、「8」で始まるスタンダードなリファレンスのモデルはない。
分表示, 昼夜表示付きの第二時間帯表示がお洒落な「デュアルタイム」仕様のRef.78×××や、クロノグラフを示すRef.53×××、カレンダー仕様のRef.40×××というリファレンスナンバーで占められる。
なおモデルナンバー末尾の「S」は、前述したようにこのシリーズ特有のスクエアなケースであることを示していると考えられる。つまり、この位置に「S」が入るなら、それは「ハーモニー」のシリーズモデルであるということだ。
ヴァシュロン・コンスタンタンの型番についてまとめる
世界三大高級腕時計ブランドのヴァシュロン・コンスタンタンの型番は、調べると以下のようにまとめられる。
- ・スタンダードなモデルのリファレンスナンバーは、たいていどのシリーズも「8」で始まる。ただし「オーヴァーシーズ」以外。
- ・「オーヴァーシーズ」シリーズのスタンダードモデルのモデルナンバーはRef.4500V。これはカレンダー表示が入っているからと考えられる。そして末尾の「V」こそが「オーヴァーシーズ」シリーズであることの証となっている。この末尾のアルファベットは特殊なベゼルやケースの形状を示していて、スクエアなケースの「ハーモニー」シリーズなら「S」が入る。
- ・内部機構に複雑な機構が加わってくると、モデルナンバーも連動して変化する。異なるシリーズでもクロノグラフならRef.5××××、カレンダー系ならRef.4××××、トゥールビヨンならRef.30×××、ワールドタイムならRef.77×××といった傾向が見られた。
- ・スラッシュ後の4ケタの英数字のうち、「000」はレザーストラップを表し、「100」、「110」、「120」はケースと同様素材のブレスレットであることを表す。数字の違いはバックルの形状の違い。
もし今後ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計を買うことになった、あるいは欲しくなった時には、参考にしていただけると幸いだ。特に人気なのは「パトリモニー」と「オーヴァーシーズ」なので、中古ショップで探す時には、この2つのシリーズの型番の特徴を覚えておくといいだろう。
