フリマアプリなどを使ってHERMES Kerry（エルメスケリー）などのブランドバッグの売買をする時、命名規則や型番、品番などの仕組みを知っていた方がよりスムーズに取引を進めやすくなる。
ルイヴィトンやグッチとは少し異なった命名規則を持つエルメスの場合は、その独特なルールを頭に入れておくことも、このブランドでは必要不可欠だと言えるだろう。
そこで今回は、エルメスケリーの購入や売却に役立つ、この商品の特徴や命名規則、型番・品番などの基礎知識や調べ方を徹底解説していく。
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エルメスケリーとは？
もともとエルメスはティエリ・エルメスによって1837年に高級馬具メーカーとしてパリにオープンした。パリ万博の馬具部門で銀賞、金賞を獲るなど実績を上げ、ナポレオン3世やロシア皇帝などそうそうたる面々を顧客としていた。
3代目の時代に皮革製品業者になるとバッグや財布、腕時計といったアクセサリーを作るようになり、超有名高級ブランドへと更なる成長を遂げた。商品ではなくそのユーザーこそが主役だという信念のもと、今もなお最高の品質の製品を提供し続けている。
ケリーバッグは、
エルメスケリーの認知度が高まるきっかけ
エルメスケリーは、モナコ公妃であるグレース・ケリーの妊娠をきっかけにその存在が社会に広く知られるようになったと言われている。妊娠中のお腹をパパラッチから隠すために使われたこのバッグは、雑誌への写真掲載によりサドルバッグの改良品から世界の女性のあこがれの的へと変わっていったようだ。
また現在使われているケリーバッグという名称は、写真掲載による話題に便乗したエルメスがモナコ公国の許可を受けて改称したと言われている。
フォーマルバッグ=ケリーバッグ？
この商品が登場したばかりの時代は、エルメスオリジナルの台形型バックに対してケリーという呼称が使われていた。しかし類似の形状のバッグが増えた現代では、「台形型のフォルムである」のと「かぶせ蓋と鍵が付いている」といった条件を備えた女性用フォーマルバッグであれば、エルメス製品でなくともケリーバッグと呼ばれることもあるようだ。
エルメスケリーの種類
エルメスケリーは型番の他に様々な特徴別の種類がある。中縫いや外縫い、モデルによって特徴が変わるため型番の前にどの種類なのかを把握しておきたい。モデルによっては人気や希少価値の高いものも多く存在している。
2つの顔を持つエルメスケリー
2つの縫製の方法があるエルメスケリーは、そのどちらを選ぶかによって活用できるシーンが大きく変わる特殊なバッグだ。
生地を中に織り込むことにより縫製部分を隠せる内縫いの商品はカジュアルなファッションによく組み合わせられるエルメスケリーだ。これに対して敢えて縫い目を見せる外縫いのエルメスケリーについては、カチッとした印象によりフォーマルなシーンに適したバッグとなっている。
個性派モデルのケリームー
エルメスケリーには、携帯性を兼ね備えたケリームーという少し変わったモデルも存在している。内側の革と外側の革の間に敢えて芯地を入れずに縫製を行うケリームーは、折りたたみのできるエルメスバッグとなっている。
かなり特殊な技術によって型崩れの心配のない復元力を備えたこの商品は、旅先などにケリーバッグを持っていくコレクターの間でかなり注目度の高い存在となっているようだ。
激レアアイテムのビニールケリー
エルメスケリーの中には、真夏のリゾートなどでも活躍しそうなビニール素材のモデルも存在している。1997年と1998年に開かれた「不思議の国、エルメスへの旅」という展示会で販売されたビニールケリーは、デザイン性と希少性の高さにより買取市場でも大注目の限定品となっている。
また材質がレザーではないビニールケリーには、本革を使った製品と比べて遥かに購入しやすい特徴もあるため、ファーストエルメスとして購入を考えてみても良いかもしれない。
エルメスケリーには型番・品番がない
エルメスケリーには型番や品番がない。そのため刻印からの特徴や商品名からエルメスケリーを見分けることになる。
ブランドバッグや小物の型番や品番を調べるとき、多くの人はその商品本体に記載がないか探すのではないか。しかし、エルメスケリーの本体には型番や品番はない。さらに残念ながらエルメスには型番や品番自体存在していないため刻印には別の情報が記載されている。
エルメスケリーに刻印されている文字・記号からわかる情報
比較的新しいエルメスのバッグには、その全てに「HERMES PARIS」と「MADE IN FRANCE」という刻印が2段で入っている。この他には、バッグの商品情報に繋がるマークとも言える記号や英字が入るのが一般的な刻印のルールとなるようだ。
右側にある英字の刻印からわかること
2段刻印となる「HERMES PARIS 」と「MADE IN FRANCE」の右隣に入っている英字は、エルメスケリーが製造された年を表している。
法則は以下のようになっている。
- 1964年〜1970年に製造されたもの：TからZまでアルファベット1文字のみの印、アルファベット順
- 1971年〜1996年に製造されたもの：○の中に入ったAからZまでの1文字の印、アルファベット順
- 1997年〜2014年に製造されたもの：□のの中に入ったAからRまでの1文字の印、アルファベット順
- 2015年に製造されたもの：Tの1文字のみの印
- 2016年に製造されたもの：Xの1文字のみの印
- 2017年に製造されたもの：Aの1文字のみの印
例えば、「Y」という刻印が入っていた場合、1969年に作られたエルメスケリーと特定することができる。
このように毎年マークが変わっているのだが、 1964年と2015年が「T」と被りが発生している点では注意が必要だろう。
記号の刻印は何をあらわしているの？
同じ部分に刻まれている蹄鉄や流星の刻印のエルメスケリーを見つけたら、希少性の高い商品と捉えた方が良い。
蹄鉄マークの入ったケリーバッグは、パーソナルオーダー品となる。素材や色などが購入者の好みでカスタマイズされたオンリーワンのデザインだ。エルメスがパーソナルオーダーを受け付けているのはヘビーユーザーなど特別な顧客だけ。そのような顧客が選んだデザインは、センスの良いものとして期待できるかもしれない。
また、可愛らしい流星が刻まれたエルメス製品は、エルメス関係者や上顧客のために職人の中でも一級の人が作ったものと判断することができる。特に品質が良いと期待できるだろう。
特殊な革を使ったエルメスケリーにも記号が入る
エルメスではバッグの素材に牛革、山羊、クロコダイル、リザードなどが使用されている。
それぞれが非常に似通っている爬虫類系の素材については、その違いをお客様に知らせる目的で、「HERMES PARIS」と「MADE IN FRANCE」の右や下あたりに記号が刻まれる。
例えば、クロコダイル素材を使ったエルメスバッグの場合、アリゲーターには「□」、ニロティカスには「・・」の刻印が入る形となる。
またこの他のレザーにも記号が用意されているため、エルメスバッグの刻印部分に見慣れないマークを見つけたら、少し特殊なレザーを使ったバッグと捉えて良いだろう。
エルメスケリーの商品名の隣に書かれた数字は何を意味するの？
ケリーを含めたエルメス製品の商品名を見た時、その後ろに書かれた英数字は、基本的にサイズを意味している。例えば、エルメスケリーの中で最も小さな黒いバッグの場合は、「エルメスケリー25 黒」や「ケリーバッグ25 ブラック」といった商品名で買取専門店などのサイトに掲載される形となる。
こうした形でタイトルを見ただけでサイズのわかるエルメスには、型番や品番がなくても商品の情報に出会いやすい命名規則に近いルールがあると言えそうだ。
エルメスケリーにはどんなサイズがあるの？
日本の中古市場では、15・20・25・28・32・35といったサイズのエルメスケリーが多く流通している。フォーマルバッグとして使われることの多いケリーは、40や45サイズのある同ブランドのバーキンと比べて遥かに小ぶりなラインナップとなる。
しかし類似のシーンで使われることの多いボリードと比べると、パーティーなどにも適したコンパクトなバッグも豊富なシリーズと捉えて良いだろう。
エルメスケリー15の特徴
高さ11cm・横幅15cmのケリー15には、ミニミニケリーという愛称がある。超レア的な位置づけとなるこのモデルは、日本の中古市場でもかなり流通量は少ないと言われている。エルメス愛好家の中には、ケリー15をバッグというよりもアクセサリーに近い感覚でコーディネートする人が多いようだ。
エルメスケリー20の特徴
高さ16cm・横幅20cmのケリー20は「ミニケリー」という愛称を持つ。アクセサリーサイズよりは少し大きくなるので、休日のお出かけに使えるだろう。このサイズになると、素材のバラエティも豊富になる。
エルメスケリー25の特徴
高さ19cm・横幅25cmのケリー25は、より実用的なサイズ感になる。外縫いのクージュセリエ製法のデザインが施されているものが多いので、背筋を伸ばして使いたい。なお、このサイズから上はショルダーストラップがついてくる。
エルメスケリー28の特徴
高さ22cm・横幅28cmのケリー28は、財布やメイクポーチ以外にタブレット端末なども入る収納力で大変人気が高い。国内の市場にも多く流通するケリー28は、買取業者の参入するヤフオクでも150を超える数の出品が行われている。
エルメスケリー32の特徴
高さ23cm・横幅32cmのケリー32。タンブラーも入るこのサイズ、実は最も人気が高いそうだ。グレース・ケリーが愛用していたのもこのサイズと言われている。
エルメスケリー35の特徴
高さ24cm・横幅35cm。A4サイズの書類も入るケリー35は、キャリアウーマンなどにも人気の高い大きさとなっている。このシリーズの中で最も収納力の高い35サイズを購入すれば、手荷物の多い女性でも安心と考えて良いだろう。また内縫いケリーはデニムなどとの相性も抜群となるため、恋人とのデートや日帰り旅行など休日にも活躍しそうだ。
エルメスケリーのカラーバリエーションと素材の関係
買取専門店のサイトなどに並ぶエルメスケリーの商品名の中には、「グラファイト」や「エトゥープ」、「ヴェールグリス」といった見慣れないキーワードが入っている。これは、エルメスケリー選びに欠かせない色名称となる。
エルメス製品には何種類ぐらいの色があるの？
エルメスケリーを中心としたバッグや小物の色は、100種類を遥かに超える数が存在する。エルメス買取に積極的なMARUKAという専門店のサイトには、黄色系だけで12種類、青系についても36種類もの色見本が掲載されている。
エルメス専門ブティック 西麻布レグランでは色見本と名称のサンプル一覧もあるため参考にしてみると良いだろう。同様に素材の種類一覧も掲載されているため、あわせて見てみてほしい。
日本人でもイメージしやすい色もある
買取業者が公開しているエルメスのカラーバリエーションを見ていると、案外日本人でも理解しやすい名前を使った色もたくさん存在することに気付かされる。中には黒や白、アップルグリーンといった非常にシンプルな名前も含まれているのだ。
またエルメス専門の販売店が増える近頃では、色や革素材の見本を掲載するサイトも増えている。そのため、エルメスケリーならではとも言える鮮やかなカラーに興味のある皆さんでも情報収集はしやすい時代になりつつあると捉えて良いだろう。
素材から色選びをするコレクターも多い
ケリーを中心としたエルメスのバッグには、選ぶレザーによって質感や雰囲気が大きく変わるという特殊な魅力もある。例えば、黒やトゥルティールグレー、ベージュパール3といった色に使われるトゴという素材には、適度な柔らかさによって多くの愛用者が存在している。
またエルメスの場合は、同じ黒系であっても多彩なレザーが使われている。そのため、カラーチャートに記載された材質に関心を向けることでより自分の希望に叶うバッグに出逢いやすくなると言えそうだ。
市場価値の高いエルメスケリーの特徴
エルメスケリーの品番・型番でなくとも市場価値を調べることはできる。定価以上の価値がつくことも珍しくないエルメスケリーだが、特に新品で使用や開封のないものや今季の刻印のものは価値があがりやすい。
また刻印でわかる製造年数で希少価値が変わってくることが多く、先ほど説明した流れ星のスターマークがついているかもポイントだ。
2017年に登場したエルメスの人気カラー
「オブジェに宿るもの。」が年間テーマとなる2017年。これまでブルーザンバジルやトフィ、ブルーゼフィールといった多彩なカラーが登場している。
また秋冬コレクションでも、クリスマス時期にぴったりのローズエクストリームやヴェールヴェルティゴといったインパクトの強い色も登場している。このようなカラーバリエーションに興味を持つだけでもエルメスケリー選びの楽しみは更に広がるだろう。
エルメスケリーは型番でなく色や素材で見分ける
いかがだっただろうか。エルメスケリーは他のブランドと違い、型番や品番がない代わりに色や素材でバッグの種類を見分けていく。さらに製造年月日などが希少価値に関係してくれるものもあるので、ぜひあわせておさえておいてほしい。
購入を検討しているエルメスケリーや売却しようかと思っているエルメスケリーを取引するのであれば、情報収集をしておくことが良い取引につながる。上記を参考にぜひ色や素材などの情報を収集して役立てほしい。
