Leica(ライカ)の「M」と聞けば、オールドカメラファンなら誰もが思い浮かべる、「M3」から始まるレンジファインダー式カメラの名機だ。その人気、実力はデジタルカメラの時代に入っても変わることなく、しかもレンジファインダーという古いカメラの機構を残したままでデジタル化が図られた。プロ、アマチュア問わず多くのカメラマンにとって憧れのカメラだ。
ここでは、このドイツの高級カメラメーカー、ライカが販売するレンジファインダー式デジタルカメラ、「M」シリーズの型番とその特徴、調べ方、命名規則をまとめている。なお、ライカのモデル名と型番については、ライカの日本版公式サイトに記載のものを参照した。
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ライカ「Mシステム」の型番について
ライカの「型番」として使われているコードには、ショップによって異なる例も見られる。ここでは1960年以降使用されてきた、5ケタの数字による「ORDER NUMBERS」を使用する。「ORDER NUMBERS」はライカの公式サイトからダウンロードできるカタログに記載されており、「商品コード」と言われる場合もある。
ライカ「Mシステム」デジタルカメラの型番
2017年11月現在における、「Mシステム」現行モデルのカメラの型番を記載していこう。
- ①ライカM10
- Black chrome:20 000
- Silver chrome:20 001
- ②ライカM(Typ 240)
- Black enamel:10 770
- Silver chrome:10 771
- ③ライカM‐P(Typ 240)
- Black enamel:10 773
- Silver chrome:10 772
- ④ライカM-D(Typ 262)
- Black anodized:10 930
- ⑤ライカM モノクローム(Typ 246)
- Black chrome:10 760
現行ラインナップでは、ライカMシステムにおけるデジタルカメラは上記の5モデル。カラーバリエーションがあるモデルは、カラー毎に型番が付加されている。当然ながらレンズキットなどは含まず、ボディのみの型番である。
最新機種の「ライカM10」
最新は2017年2月に発売された①の「ライカM10」。タイプ名を記すと「ライカM10(Typ 3656)」と表記される(カタログには表記がないため上表では表記せず)。型番数字が明らかに変わっているように、タイプの数字もケタが違う別格の扱いになっている。
「Typ 240」より大幅にボディが薄くなり、かつてのフィルムカメラの名機「M」に近づいた。このことより、ようやく多くのファンも納得する「M」のデジカメが誕生したとも言われる。ISO 100〜50,000という広域感度設定、秒間5コマの高速連写、新開発2400万画素のフルサイズCMOSセンサー搭載と、「Mシステム」最高のスペックを誇る機種だ。ただし、薄型化のため動画撮影機能は省かれた。
「ライカM(Typ 240)」
一方②の「ライカM(Typ 240)」は、2012年発売のモデル。こちらも2400万画素のフルサイズCMOSセンサーは搭載している(M10搭載センサーはその進化バージョン)。動画撮影機能もついている。
「ライカM‐P(Typ 240)」
③は2014年に発売になった②のプロスペック仕様モデル。ボディ前面の赤いライカのマークが外されていることで他のモデルと区別できる。バッファメモリーが1GBから2GBに増量され、より多彩な撮影が可能となった。
「ライカM-D(Typ 262)」、「ライカM モノクローム(Typ 246)」
④は2015年発売。液晶ディスプレイ非搭載で、設定できるのはシャッタースピード、絞り値、ISO感度のみという究極のシンプル仕様のデジカメ。ただし実勢価格は税込で83万円する。 ライカが「写真を撮る」というカメラの本質を追求して設計したこのモデル。液晶ディスプレイが無い分、撮影者がより創造力を発揮できることを売りとしている。
⑤は名前のとおりモノクロ撮影専用デジカメ。もちろん高品質なモノクロ動画を撮影可能だ。LEICA MAESTROという高性能な画像処理エンジンを利用している。そのため、素早い撮影ができ、撮りたい瞬間を逃すことなく撮影できる。
「Mシステム」フィルムカメラの型番
「Mシステム」のラインナップには、日本ではほぼ見ることがなくなったフィルム用のカメラも存在する。デジタルカメラの型番と区別しておくためにも掲載しておこう。
- ●ライカM-A (Typ 127)
- Black chrome:10 370
- Silver chrome:10 371
- ●ライカM7
- Black chrome:10 503
- Silver chrome:10 504
- ●ライカMP
- Black enamel:10 302
- Silver chrome:10 301
「Mシステム」デジタルカメラの型番の特徴
前述したように、ライカの型番は5ケタの数字によって表現される。カメラだけでなく、交換レンズからMシステムのアクセサリーまで、全て5ケタの数字だ。
なお、2ケタと3ケタで分割して記載したのは、カタログの表記がそうなっているからだが、それなりに意味を持つ。冒頭2ケタが20または10なのは、カメラの型番である証拠となる。
冒頭2ケタの法則
たとえば交換レンズ群の冒頭2ケタは11、ケース類は14で始まるなど、一定の法則がある。また、1つだけ20で始まる「ライカM10」専用のアクセサリーは、本体に合わせて2で始まる型番となっている。
たとえばM10 用レザーホルスター(ブラック)は「24 016」。専用レザープロテクター(ブラック)は「24 020」といった具合だ。
末尾が示す型番
カメラの型番では、M10が「20000」と「20001」で非常に分かりやすい。「M Typ240」が「10770」から始まる型番で4モデル順(「Typ」の後の数字が大きくなるごと)に数字が増えていくようになってる。
「M Typ262」が末尾930、モノクロ専用機の「M Typ246」が末尾760というふうになっている。こちらの数字に関しては分かりやすい規則があるとは言い難いので、覚えるしかない。
また、末尾3ケタの数字が大きいのがデジタルカメラで、300番台や500番台はフィルムカメラとなる。
ライカ「Mシステム」デジタルカメラの過去のモデルの型番
以下は「Mシステム」デジタルカメラの生産終了製品のモデル名と型番だ。
- ●ライカM8…シルバー:10 702/ブラック:10 701/ホワイト:10 708
- 2006年発売のライカMシステム初のデジタルカメラ。ISO感度設定は160〜2500のマニュアル設定。有効画素数1030万画素、18mm x 27mmサイズのコダック製CCDイメージセンサーが採用された。
- ●ライカM8.2…ブラック:10 711/シルバー:10 712
- 2008年発売。「M8」のバージョンアップモデル。
- ●ライカM9…ブラック:10 704/スティールグレー:10 705/チタン:10 715
- 2009年発売。イメージセンサーに1850万画素、35mmフルサイズCCDを採用。チタンは限定色。
- ●ライカM9-P…シルバー:10 716/ブラック:10 703
- 「M9」のプロ仕様バージョン。やはり赤いライカのマークが外された。
- ●ライカM-E…10 759
- 2012年発売。M9をベースに装備を簡略化したモデル。
Leica Mの型番の調べ方
以上のような型番はどのようにして確認できるのか、分からないと言う方も多いだろう。ここではその調べ方を紹介する。
「Mシステム」のカメラ本体はシンプルな見た目をしていると言える。必要なボタン以外はモデルによってはライカのロゴと「M」のプリントがあるくらいで、ボディには、型番の記載はない。そのような中で型番を確認するには、購入時に同封されていた取扱説明書・保証書を見るのが一番良い方法と言えるだろう。 万が一、取扱説明書・保証書を無くしてしまった場合は、ライカのホームページから取扱説明書やテクニカルデータをダウンロードすることができる。テクニカルデータは日本語版の用意がされていないモデルもあるようだが、ダウンロードして見てこの記事にある番号を探せば見つかるはずだ。英語版では「Order no.」、ドイツ語版では「Bestell-nr.」と書かれた欄にあるのが型番だ。カメラのモデル名や見た目を頼りに、この方法をとることもできるので覚えておいて欲しい。
Leica Mの型番の活用方法
ライカ「Mシステム」のカメラの型番とその規則、調べ方を説明してきたが、一体いつ、この情報は役立つのだろうか。正直言って、カメラを使用すること自体には型番などあまり関係ない。型番を知っていることが役立つのは、主にカメラの購入時や売却時、またはお持ちのカメラに不具合があった時が考えられる。
購入時や売却時に活用
上記のカメラの型番は、各モデルの正確な情報を示す。そのため、メーカーや家電量販店などに購入したいカメラの型番を伝えられれば、思い通りの製品を出してもらえるだろう。
すでに持っているカメラを中古売却したい場合も同じで、購入してくれるかもしれない人に向けて型番を示すことが大事となる。中古買取業者に電話やオンライン見積もりを依頼する場合、業者は型番を利用して査定する。製造番号なども必要となることもあるが、まずはなによりも型番を把握することが最も重要と言える。
ネットオークションや、近頃人気のフリマアプリなどに出品する場合でも、型番を記載すれば見ている人にとって分かりやすい。販売するのであれば、商品を欲しいと思ってもらえなければならない。必須事項となっていない場合でもなるべく商品について詳しく情報を記載することで、売れる可能性や、価値も上がることが考えられる。出品者としての評価も高くつけば、今後の売却にも有利になるだろう。
カメラの故障時に役立つ
カメラを愛用し、大事に扱っているつもりでも、時として不具合に見舞われることがある。故障が疑われる場合は速やかにメーカーや購入した家電量販店のサポートセンターに問い合わせるべきだろう。
直接店舗に持ち込む場合は、実物を見せれば型番の確認は店員に任せることもできるだろう。しかしまずは電話やインターネットで状況を伝えて、それから対処方法を考えるという方法をとる場合もある。そのような場合はカメラを直接見せることができないので、代わりに型番を伝える必要が出てくる。速やかに伝えられるようにしておくと良いだろう。
まとめ
ここまで、ライカ「M」システムデジタルカメラの型番とその調べ方、命名規則を紹介した。Mシステムのデジタルカメラでは最高峰となる「M10」は、ボディだけで税込販売価格950,400円と大変高価なカメラだが、日本版公式ストアでも予約販売となっており、その人気の高さがうかがえる。
一方で「M10」の発売により、生産終了モデルが中古市場で見られるようになってきている。当記事記載の型番を参照しつつ、店頭やネットで探してみてはいかがだろうか。
なお、記事内に記載の型番=ORDER NUMBERSは、ライカのカタログに記載のものを参照している。すでに記載した通り本体等には書かれていないので、型番を確認したい場合にはカタログや保証書で確認していただきたい。