中国から伝わった歴史を持つ漆器は、西洋人を魅了するほどの伝統工芸品として世界に知られる存在となっている。
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しばらく好循環の続く漆器市場
また、東京オリンピックに向けたインバウンドビジネスが活況を迎える近頃では、日本国内の旅行を通して漆器を使って食事をしたり、職人の技に感銘を受ける外国人観光客も増加傾向にあるため、漆器を中心とした伝統工芸品市場の好循環はしばらく続くと考えられているのだ。
今回は、和食器買取専門店、骨董品買取店、古美術品専門店などで歓迎される漆器について、「どんな商品が高く売れるのか?」という謎に迫っていきたいと思う。
高価買取される漆器の条件、特徴
どんな専門店でも高い値がつく漆器は、下記の5条件をバランスよく満たしている。
日本三大漆器
日本三大漆器と呼ばれる山中漆器、会津漆器、紀州漆器の商品は、多くの買取店で高価買取対象としている。
これらの産地にはそれぞれに特徴があるため、紀州漆器であれば渋地椀、会津漆器なら蒔絵や花塗りといった形で、その地域の傾向を良い形で表現している器を購入すれば、手放す際にもかなり高額な現金化が期待できることだろう。
木製、天然漆
骨董品や古美術品としての価値が高い漆器には、「天然木を使った木製」と「天然漆を塗布していること」という条件がある。
さまざまな産地で「幅広い人々に漆器を使ってもらいたい」と考えるようになった近頃では、リーズナブルな価格で購入できるプラスチック製や木質という天然漆とは異なる素材が多く使われるようになった。
このように、天然素材以外の材質で作られた漆器は、どんな専門店で購入したものでも「普通の食器」としての価値しかないため、大事な人へのプレゼントや将来的な売却を目的とした買い物をするなら、「天然素材を使った本物の漆器」を選ぶべきだと言えるだろう。
有名産地・メーカー
地域産業として質の良い漆器を作る産地は、全国に50ほど存在している。このような場所で購入した漆器は、材質さえ問題なければそれなりに高い価値がつく。
また、各県にはその地域の漆文化を伝承し続ける職人が多くいるため、前述の日本三大産地に含まれなくても有名産地であればそれなりの質の良い漆器と考えて良いだろう。
有名作家
北大路魯山人などの芸術家や、一后一兆、川端近左、渡辺喜三郎といった人気作家によって描かれた蒔絵や漆器には、骨董品や古美術品としての高い価値がつく。
また、作家が数百年前に亡くなっていて現存数が少ない場合は希少性といった部分で付加価値がつくため、鑑賞、使用、贈答、売却といったさまざまな部分で購入のメリットが得られると考えて良さそうだ。
中国漆器
近年の中国骨董ブームにより、中国産の漆器にも高価買取実績が多く見受けられるようになった。
特に中国文物の海外持ち出し基準が改定された2007年以降は、20年以上前に日本に入ってきた中国漆器にかなり高い査定が付いているのだ。
そんな中国漆器には、黒の漆器に文字や模様を彫り込む「紅花緑葉」などの技法が用いられているため、国産の漆器とは全く異なるデザインや珍しさも高額査定を生んでいると考えて良いだろう。
高く売れる漆器の商品カテゴリと参考買取相場まとめ
高価買取対象の漆器を収集するなら、前述の産地や素材、作家だけでなく、これから紹介する商品カテゴリも重視して欲しい。
香合
茶道以外に仏具としての用途のある「香合」は、海外需要も高い商品カテゴリである。
特に茶道具専門店では、一般の買取店と比べて倍以上の金額を付けることも多いため、高く売りたい場合はショップ選びにもこだわるべきと言えるだろう。美しい蒔絵が施された香合には、50,000円~200,000円もの値がつくこともある。
簪(かんざし)
和の装いに欠かせない簪や櫛なども、蒔絵が施されている物には5,000円~50,000円もの高額査定がつく。
多種多様な漆器の楽しみ方が増えた近頃では、若い女性たちがレトロな簪や櫛を使うシーンが多く見受けられるため、形見分けや遺品整理の際に出てきた古い漆器アクセサリーであっても、堂々と買取店に持ち込めると考えて良いだろう。
お椀
漆器の中で最も生産量が多いお椀には、料亭や割烹などからの需要もある。
また、丁寧な扱いをしていた漆器は、古い物であっても十分に人々をもてなすことができるため、蔵や食器棚に眠っているものがあれば積極的に査定依頼をかけてみて欲しい。
そんなお椀の買取相場は、茶道具やアクセサリーと比べて非常に幅があることで知られている。無名作家の場合は3,000円前後となってしまうが、山中漆器などの日本三大産地で作られた汁椀には100,000円前後の査定がつくことも珍しくない。
大棗、小棗(なつめ)
抹茶を保管する上で欠かせない「棗」は、可愛らしいフォルムと、汎用性の高さによって外国人コレクターからも人気の高い商品である。
一瓢斎などの有名作家の「大棗」は、50,000円~70,000円もの高額査定となる。また、コンディションの良い外箱が付いている場合は、100,000円前後で買取られることもあるため、棗本体だけでなく付属品の管理もしっかりすべきと言えるだろう。
菓子器
棗などと比べて遥かに大きな菓子器は、その価格も2~3倍になりやすいことで知られている。
特に日本を代表する蒔絵師・松田権六などの作品は、芸術性と機能性の両面によって200,000円~300,000円もの高値が付くため、コレクターズアイテムとしても十分に価値ある商品と位置づけて良いだろう。
きちんとした材質の菓子盆であれば、産地や作家名がわからなくても5,000円前後になるため、汁椀などと比べて初心者でも収集するメリットの高い存在として知られている。
まとめ
木と漆という天然素材を使った温かみと実用性、日本の伝統文化を語る上で欠かせない歴史を兼ね備えた漆器は、一般の和食器と比べて遥かに高価買取される商材と考えて良さそうだ。
また「おもてなし」の心を持つ茶道が世界的に注目されている近頃では、棗や菓子盆といったカテゴリにもかなりの需要が出ているため、もし蔵の整理や遺品整理などで不要な漆器が出てきた場合は、早めに骨董品買取専門店に持ち込みをしてみて欲しい。
出張査定や宅配査定といったサービスを行う業者も増えた近頃は、大事な漆器を持ち込む暇のない人でも簡単な方法で現金化が可能な時代と考えて良いだろう。