ジャパニーズ・ウイスキーのひとつである「富士山麓」。キリンがこだわりをもって作っているブレンデッド・ウイスキーだ。過去にはさまざまな富士山麓シリーズが販売されていた。終売となったウイスキーは思わぬ価格で取引されていたりもする。
そこで今回は「富士山麓」の歴史やこだわりの生産方法を紹介するとともに、富士山麓を売った場合の買取価格や査定額などをまとめたので一緒に見ていこう。
First Tasting/mccun934
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
富士山麓の歴史と特徴
日本の静岡県御殿場市にあるキリンの所有する蒸留所、「キリンディスティラリー富士御殿場蒸留所」にて富士山麓は作られている。蒸留所の近くには日本の象徴ともいわれる富士山があり、そこからは澄んだ雪解け水が蒸留所内に流れてくる。この富士山の雪解け水をつかって、富士山麓は作られている。
英国シーバスブラザーズ社、米国シーグラム社、そしてキリンビール。この3社が日本人の味覚に合うウイスキーを作ろうと結託して作られたのが、この富士御殿場蒸留所だ。1973年に製造を開始して45年もの歴史がある。
世界でも稀少な富士御殿場蒸留所で作られている富士山麓
国内外の3社によってこだわりのあるウイスキーを作ろうと建てられた富士御殿場蒸留所。実はここでは世界でも極めて稀なウイスキーの製造方法を扱っている。
富士山麓は「モルト」と「グレーン」、2種類の原酒をブレンドして作られているブレンデッド・ウイスキーだということは冒頭でもご紹介した。他のブレンデッド・ウイスキーは基本的には別々の蒸留所の原酒を混ぜて作られているが、なんとこの富士山麓は、モルトもグレーンも、どちらも富士御殿場蒸留所で生産されているものを使用しているのだ。
珍しい蒸留器を使用して作られる
モルトとグレーン2つの原酒が同じ蒸留所で作られるだけでも珍しいのだが、それだけではない。富士御殿場蒸留所では3つの蒸留器が使用してウイスキーが製造される。
とくにグレーンウイスキーは一般的にはマルチカラム(多塔連続式蒸留器)を用いて作られるのだが、富士御殿場蒸留所ではケトル(バッチ式蒸留器)、ダブラーという蒸留器も使用している。日本では非常に珍しい蒸留器だ。
モルトとグレーン、こだわりの製造方法
同一の蒸留所で作られるモルトとグレーン2つの原酒。この2つの生産にもそれぞれこだわりを持っている。それぞれの材料と糖化〜瓶詰めまでの工程を追っていこう。
グレーンウイスキー
材料は穀類100%。良質のアメリカ産のトウモロコシを使用している。一部ライ麦やごくわずかに麦芽も入っている。材料のトウモロコシに富士の水を加えてスチームで加熱させる作業(糖化)をしたら、約3日間発酵、そしてそのあとは3つの蒸留器を併用してしっかり蒸留させる。
モルトウイスキー
モルトウイスキーの材料は麦芽を使用している。ウイスキーを作る際には少し手間をかけ、まず麦芽を水に浸し、発芽したら熱風で乾燥させる。そして生育を止める、という方法を取っている。
そして糖化、発酵を経て、ポットスチル(単式蒸留釜)を使用して丁寧に2回蒸留させる。このときに使用するポットスチルは銅製のものを使用することにより、硫黄のにおいを除去することができる。
樽詰め
モルトとグレーン、それぞれを蒸留までおこなったら樽に詰めていく。富士御殿場蒸留所では10階建てのビルの高さの蒸留所が6棟ある。高層にすることには理由があり、地面の土のニオイを原酒に付着することを防ぐためだ。
ちなみに1棟につき35,000~50,000もの樽が眠っている。ここでじっくりと熟成することで、安定した品質のウイスキーができあがるのだ。
樽開け~ブレンド
しっかり熟成したら、いよいよ樽明けだ。富士山麓が作られる富士御殿場蒸留所では実は限られた人しか樽明けができない。厳しい官能訓練にパスした職人だけが樽明け、そしてテイスティングをして品質を見極めている。
ここで合格したら、いよいよモルトとグレーン2つの原酒が混ざり合うときだ。ブレンドでは多いときにモルトとグレーンの原酒をそれぞれ30種類以上も調合することがある。ウイスキーの味を決める重要部分だ。
糖化~ブレンド、そして最終段階の瓶詰めまでは、全て富士御殿場蒸留所で一貫しておこなわれている。ほとんどの蒸留所では糖化~瓶詰めまでの作業を一貫しておこなうことは極めて少ない。ここにも富士御殿場蒸留所のこだわりが見える。
富士山麓の種類とテイスティングノート
ここまで、富士山麓が作られている富士御殿場蒸留所とはどのようなところなのか、どのようにして富士山麓というウイスキーが作られているのかを見てきた。次に富士山麓の種類を見ていこう。現行品とすでに生産終了したものまでまとめた。
- ・【現行】富士山麓 シグニチャーブレンド
- ・【生産終了】富士山麓 樽熟50℃
- ・【生産終了】富士山麓 樽熟原酒50℃
- ・【生産終了】富士山麓 シングルモルト18年
- ・【生産終了】富士山麓 18年ブレンデッド スモールバッチ
この5つだ。現行の富士山麓は現在1種類。他4種類が終売のシリーズとなっている。
富士山麓の買取相場
富士山麓は終売のシリーズの中でも「シングルモルト18年」が高価格で取引されている。2015年5月の終売以来、価格は年月が経過するごとに上昇している。樽熟原酒は、現在カインズオンラインやリカーマウンテンで2,180円で購入できるのが確認できる。ちなみに別シリーズの樽熟原酒50℃の定価は700mlで1,490円(税込)だ。
ここでは軒並み高値がつけられている「富士山麓シングルモルト18年」の取引価格を中心に見ていこう。
酒買取業者
まずはネット上で確認できる範囲で「富士山麓」の酒買取業者の買取価格・査定情報を見てみよう。
ネオプライス
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ネオプライスでは、富士御殿場蒸留所限定の「富士山麓 シングルモルト18年」が15,000円、「富士山麓 18年ブレンデット スモールバッチ2018」が20,000円と提示されている。
少数生産で2017年に販売されていた「富士山麓 薫風バレルセレクション2017」は2,500円、現行の「富士山麓 シグニチャーブレンド」は5,400円、「富士山麓 樽熟原酒50度」は700円だ。
大黒屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大黒屋では富士山麓18年シングルモルトが18,000円で買取価格が提示されている。
現行の富士山麓 樽熟原酒50度は500円、富士山麓シグニチャーブレンドは1,000円となっている。また大黒屋では「富士山麓18年ブランデッドスモールバッチ」の価格も提示しており、こちらは10,000円だ。
リンクサス
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
最後にリンクサスを見てみよう。リンクサスでは「富士山麓 シングルモルト 18年」が18,000円、「富士山麓 18年ブランデッド スモールバッチ」が10,000円で提示されている。
3社を見てみたが、いずれも2万円台には届かず、「シングルモルト18年」は1万円台後半の値がつけられていた。
フリマアプリ
近年、手軽に不用品を売れると大人気のフリマアプリ「メルカリ」の相場を見てみよう。
「富士山麓 シングルモルト18年」は箱入り・未開封のものが22,000円、23,000円、27,000円などで出品されていた。他にもシングルモルト18年の出品が確認できたが、どれも20,000円代後半で取引されていた。
他にも「富士山麓 樽熟50℃」の未開封がそれぞれ3,000円、2,399円、「樽熟原酒」も同じような値段で取引がおこなわれていた。また、他の銘柄のウイスキーとセットで売られているのも多かった。
ヤフオク
オークションではどうだろうか。ネットオークション最大手のヤフオクを見てみると「富士山麓 シングルモルト18年」の最高落札価格は50,000円。同じ銘柄2本セットの出品だが50,000円スタートで1件の入札が確認できた。
「富士山麓 シングルモルト18年」を単品で出品しているものでは、30,000円スタートで入札件数が8件、最終的には36,000円で落札されていた。状態は未開栓、そして箱付きだ。「富士山麓 18年ブレンデッドスモールバッチ」も出品されており、こちらは22,000円で入札が1件入っていた。
シングルモルト18年に関してはヤフオクでは空き瓶も出品されている。価格は500円が1件、同じくジャパニーズ・ウイスキーの山崎18年、響17年とセットで出品されているものが入札11件で3,950円で落札されていた。
単品ではメルカリ同様、ほとんどの商品が20,000円代~落札されている。複数本セットで売られているものも多く、多様な売り方が伺える。
高額買取のコツや、売る時のポイント
手元にあるお酒を売ろうと決心したら、1円でも高い値段で売りたいものだ。家で眠っていたお酒を売りたい人もプレミアなお酒を手に入れて数年後に売りたいと企んでいる人もまずは下記のポイントを押さえておこう。
箱や付属品はあるか?
限定品で売り出されたお酒の場合、箱や替栓、テイスティングノートなどの付属品がついてくる場合がある。お酒を売る際はこれら付属品があるのが望ましい。もしない場合は、フリマアプリやヤフオクなどで箱だけ、替栓だけといった具合で調達できることもあるのでチェックしてみよう。
ただし、シリアルナンバーが割り振ってあるものに関しては、箱とボトルとでナンバーが一致していないと意味がなくなってしまうので、注意が必要だ。
液面は低下していないか?
お酒は年数が経つと、アルコールが揮発して内容量が減ってしまうことがある。ウイスキーのような蒸留酒は年数が経過しても比較的味も変わらずおいしく飲めるが、保管状態が思わしくないとアルコールが揮発してしまったり、開栓した場合は味にも影響が出る。
そのため、保管する際は直射日光を避け、冷暗所に保存するようにしよう。箱に入れて、湿度が60度〜70度くらいの場所があればそこがベストだ。
ラベルは剥がれていないか、ボトルに傷はないか
ボトルの状態が悪くても買い取ってくれる業者は多いが、査定額に影響が出ないのかといったら少なからず影響は出るものだ。ウイスキーを売る際は、あらかじめ取り除ける汚れなどがあれば取り除いておこう。その際にはボトルが傷つかないように、柔らかい布で拭くのがベターだ。
まとめ
富士山麓はすでに終売されているシリーズの中でも「富士山麓シングルモルト18年」が比較的高値で買取・査定がおこなわれることがお分かりいただけただろうか。「樽熟」「樽熟原酒」は終売とはいえ、まだまだネット上で購入できることから、買取価格は定価以下を記録してしまっている。
しかし、今後どう買取価格・査定情報が変わっていくかはわからない。それに、他にお酒をまとめて売りたい場合は酒買取業者の場合はまとめ売りでプラス査定をしてくれることも多い。ぜひ無料一括査定をしてみて、買取交渉をしてみてはいかがだろうか。