国内有数の漆器産地にて「金沢21世紀工芸祭」や「塗の芸術祭」などのアートイベントが開催されるようになった近頃では、人々が蒔絵に触れる機会が増えることで、買取市場にも好循環が生まれている。また、インバウンドビジネスが活況状態の近年では、日本料理の専門店で蒔絵や漆工芸の素晴らしさに触れる外国人も増加傾向にあるようだ。
今回は、その美しさに気付く人の増加により高価買取実績が増えている「蒔絵」について、買取相場や査定情報を確認していきたい。もし使っていない蒔絵の器や押入れにしまったままの作品、しまったままで価値の分からないものや処分に困っているもの、コレクションの整理をしたいものなどあれば、この記事を参考にして一度買取査定に出してみてはどうだろうか。
[Inlay and lacquer-work front cover depicting two musicians ... / New York Public Library
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そもそも蒔絵とは
蒔絵とは、漆を使った工芸の一種のこと。漆器の上に金、銀、錫の粉や色粉を蒔いて文様や画などを描く技法のことだ。通常は、漆地の上に施すが、木地やその他のものにも応用されている。
奈良時代の末金鏤 (まっきんる) は蒔絵の原初的な形と考えられており、「まきえ」の名が記録に現れ、作品も残るのは平安時代からとなっている。平安時代中期以降では、貴族社会の間に流行し、寺院建築、家具調度、文房具などの装飾に応用された。その後時代が下るにつれて、武家や庶民の間にも広く愛用されるようになった。
蒔絵の技法は工程上から、研出 (とぎだし) 蒔絵、平蒔絵、高蒔絵の3種類に大きく分類され、粉の種類によって、消粉 (けしふん) 蒔絵、平極 (ひらぎめ) 蒔絵、丸粉蒔絵 (本蒔絵) とも区別される。
また、文様以外の地に粉を蒔く塵地 (平塵) 、平目地、梨地、沃懸地 (いかけじ) などの技法や、螺鈿、象眼 (ぞうがん) 、平文 (ひょうもん) 、彩漆 (いろうるし) なども併用され、複雑な装飾文様が作られている。現在では、印刷技術などを導入した新技法の蒔絵も作られているが、京都や金沢、東京などを中心に伝統的な技法による蒔絵生産が続けられている。
高く売れる蒔絵の製品と買取相場
日々の生活の中で使われることも多い下記6品目は、高価買取された事例が豊富な蒔絵製品だ。
お椀
味噌汁や吸い物、雑煮を食べる際に欠かせないお椀は、一般家庭から料亭まで幅広い場所で使われる蒔絵食器である。産地不明のお椀については、1,000円~3,000円ほどの査定がつく。これに対して高蒔絵や銀、赤金などが施された江戸時代後期のお椀の場合は、歴史的価値と希少性により10客で300,000円もの高額査定になることもあるようだ。
食器、鉢
さまざまなサイズの漆食器セットや盛り鉢なども、お椀と並んで需要の高い蒔絵製品である。古道具専門店に持ち込まれる朱色の木製食器には、日常使いされていたものであっても1,000円~2,000円ほどの査定がつく。これに対して共箱や栞の付いた鉢には、輪島塗特有の美しさによって3,000円で買い取られた実績もあるようだ。
櫛・簪
櫛、簪、ペンダント、指輪、帯留めといったアクセサリーも、買取店に持ち込まれることの多い蒔絵製品だ。アクセサリーの場合は、骨董品・古美術品専門店に加えてブランド品買取店に持ち込まれることもある。買取相場については、人気の高い本鼈甲とのコラボ作品で5,000円前後となっている。
棗
高価買取実績の多い茶道具の中にも、蒔絵を施したアイテムは多数存在している。その中でも外国人コレクターが多く注目する棗には、共箱付きで100,000円~150,000円もの高額査定がついた事例が複数存在するようだ。また茶道具の場合は他製品でも高額査定が見込めるため、「棗と鉄釜」、「棗と茶碗」などのセットでプラス査定を狙ってみても良いだろう。
万年筆
パイロットやセーラーなどの国産メーカーでは、色鮮やかな蒔絵を施した万年筆を限定品として発売している。蒔絵によって干支が描かれたパイロットの万年筆には、22,000円~50,000円の高価買取実績が存在する。また蒔絵の万年筆は、内閣総理大臣の特別慰労品としても贈呈されているため、一般の漆工芸品と比べて非売品や限定品の多いカテゴリと捉えて良いだろう。
家具
色鮮やかな蒔絵が施された家具も、伝統工芸品としての価値により多くの業者で積極的な買取が行われている。センター部分のみに蒔絵が描かれた座卓は、輪島塗の職人・浜高悦朗の作品ということで、25,000円もの高額査定がついている。これに対して人気テレビ番組開運なんでも鑑定団に出品された飾り棚には、明治時代の歴史的価値も相まって1,000,000円もの鑑定額がついているようだ。
蒔絵買取に積極的な業者 まとめ
蒔絵の高額査定を狙うなら、漆工芸品買取に積極的な下記6つの業者に問合せをしてみても良いかもしれない。
ますけん
http://masuken.jp/list/category/sub-category.html?p=1333&cat=1ますけんは、蒔絵専用の買取ページを有する業者だ。文箱、茶入、引き出しといった多彩な買取品目を公開しているため、初めて蒔絵製品を売却する人でも安心して査定依頼のできるショップと位置付けて良いだろう。ますけんの出張買取サービスは、東京都全域と神奈川県、京都市が中心となる。
蔵の美
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
蔵の美は、出張買取の全国対応をする話題の業者だ。小さな物であれば玄関先で買取を行なうため、気軽に依頼ができる点でも多くのユーザに利用をされている。また蒔絵についても、芝山蒔絵、卵殻蒔絵、高蒔絵、平蒔絵といった幅広い種類を高価買取対象としているため、蒔絵コレクターにとって使い勝手の良い業者になることだろう。
さくらなっつ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
さくらなっつでは、宅配買取と出張買取で蒔絵の受付を行っている。問合せ先にはLINEアカウントも掲載されているため、メールや電話に抵抗のある人でも気軽に査定依頼のできるショップと位置付けて良いだろう。さくらなっつのサイトには蒔絵の技法に関するコラムも掲載されているため、漆工芸への専門性といった意味でも信頼できる業者と言えそうだ。
永澤
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
永澤では、作家不明や大量買取となる蒔絵製品についても相談を受け付けている。買取品目の中には、京漆器、輪島塗、会津漆器、山中漆器といった産地も掲載されているため、同一ブランドの蒔絵製品を売却しようとするコレクターにとっても利用のしやすい業者になることだろう。永澤では持ち込み鑑定会などのイベントも実施しているため、開催日に予約を入れてみても良さそうだ。
なんぼや
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
骨董辞典というサイト内で漆器に関するコンテンツを公開するなんぼやでも、蒔絵の買取を歓迎している。骨董品や古美術品に詳しい査定士の在籍するなんぼやでは、蒔絵などの日本漆器だけでなく、海外コレクターから人気の高い中国漆器も買取対象としている。またなんぼやでは現在、茶道具などの買取額アップキャンペーンを実施しているため、棗や菓子盆などがある人にとっては高額査定の狙いやすいショップと位置付けて良いだろう。
ぎゃらりー彩
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ぎゃらりー彩でも、漆器、沈金、蒔絵の高価買取を行っている。このショップのサイトにはたくさんの買取実績写真が公開されているため、そのイメージを掴みたい人にも良き情報源になることだろう。また関東エリアを中心に出張買取を行なうぎゃらりー彩は、座卓などの大きな蒔絵家具も売却しやすいお店と言えそうだ。
蒔絵を高価買取してもらうためのポイント
蒔絵は、日本ならではの落ち着いた中に華美ではない上品さを備えた一品だ。中でも非常に精巧で高い技術によって作り上げられた作品は、古いものほど歴史的な価値が高く、高値がつくとされている。もちろん保存状態の良し悪しにも関係し、破損や傷などがある場合には査定額は当然低くなってしまうだろう。しかし、本当に歴史的にも貴重な作品は、ほとんど市場には出回らないというのが現状だ。
では、そんな蒔絵を高価買取してもらうためには、どのようなポイントを押さえておく必要があるのだろうか。
保存状態よくする
骨董品買取では、主に古いものの取引になるが、基本的には綺麗な状態の方が買取価格は高くなる。 骨董品に限らず、買取査定においては現物の状態が重要視されるものだ。しかし、綺麗な方が高いからと言って、素人が知識もなく闇雲に磨いたり手入れをしようとすることは絶対に避けてほしい。
古い状態の物は、傷に弱いものが多いため、手入れしようと触ることで、逆に傷がついてしまい、せっかくの価値が下がるリスクがある。 では、何をするのかといえば、保存環境の改善だ。長年しまわれていた蔵や倉庫、物置などは埃がたまり、湿気が強く、空気が非常に悪い状態になりがちだ。保管している場所の環境を改善することだけでも、価値の低下は防ぐことができる。
付属品は揃えておく
ブランド品を売るときに付属品である箱や鑑定書、ギャランティカードを残しておく方が高く売れるという事は有名だが、これは骨董品買取においても同様の事が言える。蒔絵の場合は、収納箱や鑑定書などがあげられるだろう。これらの付属品とセットであれば買取価格はプラスされることが多い。古いものであれば、全て綺麗に残っているかは分からないが、ある場合には必ず全て揃えて買取査定に臨むようにしよう。
できるだけ早く売る
蒔絵は、きちんと保存をしていても劣化は進み続けてしまう。特に、保存状態の悪い場所では、劣化の速度は更に早くなってしまうだろう。その為、「不要と悩んだ時」や「価値を知りたい時」にすぐに鑑定や買取の依頼する事をオススメする。単に置いておくだけでは、場所も取り、価値も下がり良いことはないだろう。不要ではない場合でも、一度査定をしてもらって蒔絵の価値など、詳細を明らかにしておくことも大切だと言える。
まとめ
伝統工芸品と美術品、実用品としての価値を兼ね備えた蒔絵は、さまざまなニーズにより確実に高く売れる存在と考えられる。また漆工芸品の場合は、作家名がわからなくても栄作技術だけで査定ができるため、詳しい知識のないコレクターであっても売却しやいいカテゴリと捉えて良いだろう。地方都市在住などの理由で売却先の選択肢が限られてしまう場合は、全国の美術品買取店が登録されている当サイト・ヒカカク!も情報源にしてみて欲しい。