自動車の買取を申し込む時、「中古車買取」、「自動車買取」などとGoogleを検索してみればガリバーやT-UPなどの買取業者や、カーセンサー、Goo買取といった車一括査定サイト、そして買取業者の比較サイトが検索結果にズラッと並ぶ。
1ページ目から3ページ目くらいまでこんな調子だ。買取業者の公式サイトや車一括査定サイトがどんなものなのかは今回のコラムでは省略するとして、ここでは三番目の比較サイトに言及する。これらは「アフィリエイトサイト」であり、注意が必要なサイトだからだ。

Audi R8 arriving at Cars and Coffee in Irvine / Axion23
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
アフィリエイトサイトとは?
これらのサイトは、「アフィリエイト」と言って、そのサイトを経由して査定申込された際にキックバックフィーが与えられるようになっている。そういった形で収益を稼いでいるサイトを「アフィリエイトサイト」と呼ぶ。アフィリエイトプログラムというものを用いることで、どのサイト経由で査定申込が行われたか、分かるようになっているのだ。
アフィリエイトサイトかどうか調べる方法
車買取の査定申込機能を提供しているのは、ASPと呼ばれるA8.net(エーハチ)やバリューコマース、JANet(ジャネット)などのアフィリエイトサービスプロバイダー企業だ。
アフィリエイトサイトでは、査定申込のボタンや外部の買取業者への誘導リンクなどにHTMLタグが仕込まれていて、リンク先のURLが、公式の短いドメインのURLではなくなっている。リンクとなっている部分にマウスのカーソルをあてると、画面左下にURLが表示される。こちらで確認が可能だ。
比較サイトの「おすすめ業者」の真実

Cars and Coffee Lineup / Axion23
本コラムでは「アフィリエイトサイト、比較サイトのすべてを信用するな」と言いたいわけではない。
それなりに正しい情報が書かれている場合が多いし、コラムも役立つものが多い。とはいえ、最終的にはアフィリエイトプログラムを経由して、査定申込させる誘導がなされているのだ。そこでは査定申込をする人にとってのメリット最大化より、サイト運営者の利益最大化が優先される。
「おすすめ業者」は“儲けやすい業者”
これらの比較サイトに掲載されている業者、「おすすめ」されている業者は、アフィリエイトにおいて高単価の報酬を設定している業者が多い。報酬金額は買取業者ごとに異なる価格が設定されており、サイト運営者はどの業者を一番のおすすめにするか自分で選べる。つまり、必ずしも「本当に良い査定業者」がおすすめされているわけではないのである。
アフィリエイターは収益の上がる業者に誘導する
更に深く理解するため、サイト運営者(通称アフィリエイター)側の気持ちになってみよう。
たとえば、とある二つの買取業者があったとしよう。良い査定サービスを行っている車買取業者と、どちらかと言うとあまり良くない査定サービスを行っている車買取業者の二つだ。そして、前者はアフィリエイトサイトに参加しておらず、後者はアフィリエイトプログラムに参加しているとしよう。
この時、あなたが比較サイト運営者だったらどうするか。あなたはアフィリエイトによる収益を上げるためにサイトを運営しているはずだ。であれば、後者のあまり良くない買取業者を「おすすめ」するだろう。そもそも前者の「実は良い買取業者」をサイトに掲載しないだろう。せっかく集めたユーザーをお金の貰えない業者へと誘導していては収益が上がらないからだ。
「おすすめ」業者は査定額が低くなりがち
さらに重要なのは次のポイントである。「それなりに高い査定額を提示している買取業者は広告出稿しない傾向にある」ということだ。
なぜなら彼らは、少しでも高い査定額にするために様々なムダを削り、コスト削減しなくてはならないからである。大手ほど儲かっていて、高い買取価格だと考えるかもしれないが、そんなこともないのが実際のところだ。
儲けてる業者ほど査定額が安くなる論理
むしろ大手業者ほど儲かっているとしたら、その理由は次のように考えられる。
「儲かっている状態」は、売りたい人から安く買い取り、高く転売するからこそ生まれる。つまり、安く買い取りしているからこそ利益が上がるのだ。
「大手であれば安く買い叩かれる」というほど単純ではないが(差別化のために大手であってもそれなりの査定額で勝負する業者もあるだろう)、そういう傾向にあるということをアドバイスしておきたい。
広告露出の多い業者の買取相場は低くなりがち
実は、高く売れるような買取業者ほど露出を控えている可能性が高い。彼らは査定額の高さをウリにクチコミで集客をするのである。そう考えると、上記のアフィリエイトプログラムに参加している業者は、むしろ逆の存在だ。広告出稿に力を入れているため買取にかかるコストも上昇し、その結果として査定額が低めであると考えられる。つまりは、おすすめされている業者ほど買取相場が安めになっている可能性が高いというわけである。
彼らは広告出稿することで集客し、自動車を買い取っている。査定額はそこそこの金額でも、査定依頼者が諦めて車を売ってくれることを期待している。
ランキング最下位が一番まともな査定業者である理由

Ferrari 550 Maranello @ Cars and Coffee in Irvine / Axion23
比較サイトの運営者は査定申込によるキックバック報酬が一番高い業者を「おすすめ」にする。従って、車買取業者ランキングはむしろ順位の高い方から順に査定額は低めで、下の方に行くほど査定額が高くなり、買取サービス業者として良くなっていく可能性が高い。
常時5~10社がアフィリエイトプログラムに参加
アフィリエイトプログラムに参加している車買取業者は、1社だけということはない。ガリバーなど大手から、廃車買取専門の業者など中小業者まで、5~10社程度が常時参加しているようだ。よって、その中で比較を行い「業者ランキング」と称し、彼らは一覧ページを作成する。恣意的な星のランキングや、誰が書いたのかわからないレビューを掲載し、取り繕うのだ。よく見てみるとあまり客観的な事実に従って説明がなされているわけではないこともある。
本当に良い中古車買取業者は比較サイトには掲載されない
ここまでの話を聞いても、「5~10社もあれば、さすがにまともな買取業者があるのではないか」と考えるかもしれない。しかし、「もっと良い査定業者」は掲載されていない可能性が高い。この「おすすめ業者ランキング」からは本当に良い査定サービスを行っている買取業者の情報が抜け落ちてしまうのである。
そもそもアフィリエイトプログラムに参加していない業者の情報が、比較サイトに挙がって来るはずがない。収益につながらないからだ。このような構造的欠陥があるため、比較サイトのおすすめ業者を信用するのはナンセンスなのだ。
おすすめは一括査定サイトの利用

RECOMMENDED! / jm3
我々としては一括査定サイトの利用をお勧めしたい。
一括査定サイトでは、査定業者が「一括査定であること」を認識しているので高めの買取価格を提示してくれる。そして、一括査定サイト運営者側が営業網を拡げているため、最大200社もの業者から選ばれた最適な業者とやりとりできる。その中で、一番高く売れる買取業者を選べばよいのである。この時、一括査定サイトは様々な査定業者に対して問い合わせ情報を提供することで収益を上げている。結果的に、査定申込者がどの業者を選ぼうと、一括査定サイト運営会社側は利益を上げられる。
よって、より売り手にとって便益のある査定業者と巡り合える可能性も高いのだ。
どの一括査定サイトを使うべきか
これについては正直な所、大差がない。場合によっては、同じ一括査定サイトの機能を複数のサイトが別々に運営しているように見せているだけだったりする。例えば、価格.comの自動車買取一括査定サービスはカーセンサーという別会社のサービスが運営している。
このように、ユーザーさえいれば同じ処理をしてしまおうということで、あちこちに同じ一括査定サイトがある。よって、どの一括査定サイトを利用しても基本的には問題ないと言えるだろう。
買取相場を予め調べられる=自分に選択権がある
査定依頼するかどうかは相場を調べてからにすれば良い。買取価格に満足できそうなら、一括査定を依頼すればよい。自分に選択権があるのだ。その意味で、一括査定サイトを使うにしても、利用前に買取相場を調べられるサイトは絞られてくるかもしれない。
インターネット上に掲載されている情報から有用なものを取捨選択していくのは知識と経験が必要だ。「ヒカカク!」でも、今後も折をみて考えていきたい。