最も入手困難なジャパニーズウイスキーとも称される軽井沢。中でも軽井沢1960年シングルカスクは、2017年に香港で開かれたオークションで1400万円という高値をつけた。
その軽井沢1960年がブレンドされているのが軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000だ。今回はこの高級ウイスキーについて買取相場を調べてみた。ウイスキーを高く売るためのポイントもまとめておいたので、ぜひチェックしてほしい。
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ジャパニーズウイスキー 軽井沢とは
ここでは、ジャパニーズウイスキー 軽井沢について解説していく。
軽井沢は幻のブランドだ。
第一弾は国産初の100%モルトウイスキーとして1976年に発売された。軽井沢を冠する銘柄はIWSCなどの世界的コンペティションで数々の賞に輝いている。製造元の軽井沢蒸溜所は内外のウイスキー通から高い評価を得ていたが、経営上の問題から2012年に閉鎖されてしまった。
名声につつまれた軽井沢のオフィシャルボトルが発売されることはもはやなく、年をへるごとに入手は難しくなっている。
軽井沢蒸留所とは
軽井沢蒸溜所は大黒葡萄酒(後のオーシャン)によって開設され、1956年からウイスキーの製造を始めた。度重なる買収劇をへて、2007年にキリングループの傘下に入る。そして2012年に事業再編のあおりで閉鎖となった。
軽井沢の冷涼な気候と浅間山水系の水質、そして職人のこだわり。これらが相まって軽井沢蒸溜所からは世界レベルのウイスキーが生み出された。貯蔵庫がつたでびっしりと覆われていたことで有名で、このつたが庫内を最適な温度と湿度に保つのに一役買っていたと言われている。
残っていた原酒の樽は本場スコットランドなどのボトラーによって買い取られた。そこから数種の軽井沢ブランドが限定品として世に出たが、今後あらたな商品が発売されるかはまったく不明だ。
幻のなかの幻 軽井沢1960年
1960年という名を冠する軽井沢には2種類ある。なかでも超高級品として知られオークションで1400万円をたたき出したのが、2013年に発売された熟成年数52年の軽井沢1960年シングルカスクだ。蒸留所閉鎖後にたるを買い取ったボトラーが限定41本で売りに出したもので、発売時の定価は200万円だった。
軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000の特徴
その軽井沢1960年を初めとして、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代という5つの時代の樽からブレンドして作られたのが 軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000だ。2016年に756,000円で発売され、即完売。非常に希少なウイスキーとなっている。
ボトルにはレーザー彫刻で繊細な模様が刻まれ、化粧箱は立派なひつぎのようなたたずまいを見せる。隅々まで贅をこらした作りだ。
軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000の買取相場
希少なウイスキーであるため、ウェブ上で得られる価格情報は限られている。ここでは2019年3月現在で収集できた相場をお伝えする。
買取業者の相場
ウェブ上の買取業者で買取価格を公表しているのは、筆者の見たところでは大黒屋一軒である。買取上限価格は600,000円となっており、価格が公表されている軽井沢のなかでは最高額だ。(いずれも2019年3月8日現在の情報)
オークションの相場
ヤフオクでは2018年の11月から12月にかけて一桁上の1,400,000~1,500,000円で計3本が落札されている。2019年3月8日現在も1,5000,000円と1,6800,000円で出品されている。いずれも未開封なのはもちろん、付属品もすべてそろった美品である。
買取業者とオークション、どちらが得か?
純粋に売値だけで言ったらオークションのほうが上だ。業者は売るために買うのだから当然だ。だがオークションならではの難点もある。
オークションの難点:クレーム
ネットオークションでは現物を見ずに入札がおこなわれるため、クレームのリスクが大きい。クレーム対応でたくさんの時間を取られることもあるし、返品ということになれば損をするだけだし、話がこじれて裁判になる例もある。高額のコレクターアイテムとなればなおさらリスクは大きい。
オークションの難点:評価
オークションサイトでは過去の落札者による評価というシステムがある。軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000クラスの商品を出品するとなると、同傾向の出品で評価を得た実績がなければ警戒されてしまうかもしれない。上記の落札例でも、出品者は実際には業者かそれに近いセミプロと思われる。
オークションの難点:取引の手間
出品の手続き、入札者や落札者への対応、梱包や発送といったことには思ったより時間が取られるものだ。なかにはいい加減な落札者もいるし、いたずらで落札する例まである。たとえば全部で3時間の作業だったとしたら、それに適当な時給を当てはめてみるといい。その分はもうけから差し引かれるというつもりで出品に臨むことだ。
オークションの難点:売りたいときに売れるとは限らない
初めから希望の価格で出品する場合、今すぐ売れる保証はない。間違いなく入札が入る金額で出品すれば、低すぎる金額で落札されるリスクを伴う。ヤフオクでは少額の手数料で最低落札価格を設定できるシステムがある。
たとえば100万円に設定しておけば、それ以下の入札では落札とならない。1円などの格安な値段を開始価格とすれば間違いなく注目が集まる。だが、これを設定しておくと落札者に敬遠されやすいという問題がある。
どちらも一長一短
業者に売る場合にはこれらのリスクと手間の大半が避けられる。専門の査定人をそなえた業者なら価値に見合った査定額を出してくれるだろう。大きなリスクと手間を引き受けるというデメリットを承知の上で高値を狙うか、安定した取引というメリットをとるか。自分の目的と適性を考えて慎重に選んでいただきたい。
軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000の売りどきは?
ウイスキーの相場は時とともに変動する。売りどきを見極めるポイントは複数あり、しかも絡まり合っているから、一筋縄ではいかない。
どんなウイスキーが高く売れるのか?
売りどきを考える前に、そもそもどんなウイスキーが高値で売れやすいのかについて頭に入れておきたい。以下にポイントを整理しておこう。
ポイント:銘柄の人気と希少さ
味と香り、デザインといった品物そのものの魅力だけでなく、手に入れることがいかに難しいかというのも決定的なポイントだ。欲しがっている人に比べて、物が少なければそれだけ希少価値は高まるし、希少だとなれば欲しがるコレクターが増え、値段は上がる。
ポイント:保存状態
当然ながら、封が開いていればウイスキーとしては買い取ってもらえない。ただし、希少な人気商品なら空のボトルが売り物になる場合がある。未開封だとしても状態が悪ければ値段は下がる。液漏れや目減りが見られれば査定額は落ち、ひどければ買い取ってもらえない。コルク栓の場合、長期保存でコルクが乾燥によって収縮し液漏れや蒸発による目減りが起こりやすい。
ボトルやラベルの状態も価格に影響する。直射日光や高温にさらされていれば変質が早まる。湿度が極度に高いとボトルの外側やラベルにカビが生える。強い匂いのなかに長くおけば香りが台無しになる。寝かせて保存するとコルクやキャップの匂いが酒に移ってしまうと言われている。
ポイント:付属品がそろっている
化粧箱などの付属品も高額査定のためには欠かせない。箱は保管のためにも役立つが、そうした実用面だけの問題ではない。コレクターにとっては、すべてそろっていることが絶大な意味を持つのだ。
状態の悪い箱でもないよりはマシである。軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000のような限定品では特に付属品の有無が重視される。
売りどきを見極めるポイントは?
これらの点をふまえ、売りどきについて考えてみる。
売りどきのポイント:商品の流行
現在国内外でウイスキーブームが続いており、ジャパニーズウイスキーの評価は海外でも高まっている。買い手が増えたことにより、買取金額・オークション落札額は高めに推移している。
売りどきのポイント:希少化
ウイスキーは日本酒やビールよりもずっと長く風味を保つことができ、長期保管品も売り物になる。軽井沢のようにもう発売される見込みのない商品は、年とともに残存数が少なくなっていくから、希少価値が高まりやすい。
売りどきのポイント:商品の劣化
そもそもウイスキーはワインと違って瓶詰めの状態では熟成しない。いくら慎重に保管したとしても飲み物としての品質の価値は下がることはあっても上がることはない。中身もボトルも時間とともに大なり小なり劣化していく。
まとめると
ブームはいつ減速するかわからない。軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000の上限価格はすでに発売価格の2倍ほどに値上がりしている。価格調査をして納得のいく価格が出たら状態のいいうちに売ってしまうのも1つの手だろう。
高値で売るために今からでもできること
ウイスキーをいざ売ろうというときに、今さら保管方法をやり直すわけにはいかない。だが、今からでもできることはいくつか存在する。
商品のチェック・掃除
商品のコンディションをチェックし、付属品はできるだけそろえておく。同じ銘柄でも状態によって買取額は大きく違うから、上限価格が高いからといって安心してはいられない。
ボトルのほこりや汚れなど、掃除で取り除ける欠点は取り除く。だがやり過ぎてラベルやボトルを傷めてしまっては元も子もない。
買取業者の比較
希少品であるほど業者によって査定額がことなりがちだ。個々の業者の売買戦略には違いがあるし、手数料の取り扱いもさまざまだ。売る側としてはなるべく多くの業者を比較したほうがいい。その際に注意すべきポイントを挙げる。
見積り査定
多くの業者が無料で事前の見積りを受け付けている。お酒のデータや現物写真を送って見積りをしてもらう。ウェブ上のブラウザでおこなうものやLINEを使ったものメール・電話・ファックスによるものといろいろあるから自分に合った方法を選べる。
便利なのが一括査定だ。1回の手続きで多くの業者に見積り査定を依頼できるから、利用しない手はない。
手数料やキャンペーン
業者に売る場合、大きく分けて持ち込み・出張・宅配という3つの方法がある。出張買取では出張料の有無や条件を見ておかなければならない。出張料が無料であっても、その分は査定額に反映されると考えるべきだ。宅配送料についてもまったく同じことが言える。また現物査定に不満があってキャンセルする場合の手数料、返送料などもチェックしておくべきだ。
逆に増額の条件もチェックしておきたい。たとえば、同傾向の品物をまとめて出せば出張でも宅配でも買取額の増額が望める。査定額増額などのキャンペーンがおこなわれている場合もある。見積り額にこれらのマイナスとプラスを加味して比較をおこなうことが重要だ。
オークションに出す場合の注意点
出品にあたって商品現物を的確かつ鮮明に写し出した写真を用意しておくべきだ。写りが悪いと実際以上に状態が悪く見えてしまう。ただし、目立つ傷など不都合な点を隠そうとするのはクレームのリスクを大きくしてしまうからオススメしない。
ヤフオクの場合、落札された場合に払うシステム手数料はYahooプレミアムに登録しているかどうかで変わる。登録していれば8.64%で、登録していなければ10%。軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000クラスの商品を出すとしたらこの差は大きい。また、登録していれば出品方法も柔軟にえらべるようになる。
十分な梱包
宅配買取やオークションで品物を発送するさいには、梱包に十分に配慮したい。傷がつかないよう手厚く保護し、梱包箱のなかで動かないように固定する。ここで手を抜いて輸送中の破損を引き起こしてしまっては泣くに泣けない。
まとめ
軽井沢 FIVE DECADES 1960-2000は希少な超高級ウイスキーであり、買取相場は最高ランクに属する。ジャパニーズウイスキーブームの影響もあり、市場価格の上限は発売価格の2倍程度まで上昇している。本コラムを参考にぜひ自分に合った売り方を見極めていただきたいと思う。