軽井沢12年はその名の通り、日本の長野県軽井沢で作られたピュアモルトウイスキーで貯蔵して12年以上熟成したことからその名前がついた。軽井沢シリーズの軽井沢1960年は、2015年には当時競売史上最高額といわれる1,400万円以上の落札価格がついたことで有名だ。
なにしろ世界で41本しかないシングルカスクモルトウイスキー。当初の販売価格自体も200万円というからその貴重さがわかるだろう。日本人ならではのこだわりと緻密さで作られた軽井沢シリーズは、ジャパニーズウイスキーの中でも熟成期間が長く、非常に評価が高いことで知られている。
この記事では、そんな評価の高い軽井沢シリーズの中でも有名な、軽井沢12年の特徴や歴史、買取情報について紹介していく。
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軽井沢シリーズとその歴史
ビールで有名なキリンホールディングスのグループ会社、メルシャン株式会社が作っていたウイスキー軽井沢シリーズ。メルシャンといえばワインという認識を持つ方も多いだろう。しかし、2012年までは軽井沢に蒸留所を持っており、ウイスキーを蒸留していたのだ。
現在ではメルシャンはウイスキー蒸留所を持たず、ワインをつくるための葡萄を17箇所で栽培し、シャトー・メルシャンというワイナリーでワインを製造している。つまりワイン専門に切り替えたのだ。キリンは国内に1つ、富士御殿場に「キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所」を持っており、ここでは富士山麓というブランドのウイスキーが醸造されている。
海外のウイスキーの販売も行っているが、この富士山麓がキリンで醸造している唯一のウイスキーブランド。キリンは各地の工場見学をおこなっていることでも有名だが、製造工程や試飲も含まれている無料ツアーや、有料の場合はもっと詳細な内容を盛り込んだウイスキーマニアなら一度は行ってみたくなる見学がある。ウイスキー好きの方は訪れてみてもよいかもしれない。
メルシャンの軽井沢シリーズに話を戻すと、軽井沢蒸留所は2012年10月をもって閉鎖され、軽井沢12年は終売品となった。軽井沢蒸留所の歴史を振り返ると1955年に建設、それ以前はワイン醸造所として使われていたことで有名だ。
その翌年の1956年からウイスキーの製造を開始し、1976年から販売開始。国産で初の100%モルトウイスキーとして有名に。2001年以降は複数回世界で評価されるなど素晴らしい実績を残していたが2012年に閉鎖された。
一時の操業停止などを換算し、合計44年間の製造期間でその幕を閉じたのだ。閉鎖前には数百もの樽が残っており、その樽はすべて秩父蒸留所に移動された。閉鎖の折にはウイスキー評論家として有名なデイヴ・ブルームが軽井沢蒸留所を訪れ、『WHISKY Magazine Japan』にレポートを寄稿している。これを見ても軽井沢蒸留所の注目度がうかがえるだろう。
軽井沢シリーズの種類・特徴と販売金額
軽井沢蒸留所で作られていた軽井沢シリーズには、下記のようにいくつかの種類がある。
軽井沢8年
8年熟成の軽井沢シリーズ。平たく曲線的なボトルが印象的。販売価格は箱付きで15万円程度。あまり市場に出回らないため、貯蔵年数が少ないにも関わらず比較的高い金額で取引されている。アルコール度数は40度。
軽井沢12年
軽井沢12年にもたくさんの種類があり、軽井沢貯蔵12年、軽井沢12年貯蔵シングルモルト、軽井沢12年 長期貯蔵原酒使用31年~12年の3種類。市場にもたくさん出回っているため、安く購入できるものもある。アルコール度数は40度。
軽井沢貯蔵12年
軽井沢貯蔵12年はピュアモルトウイスキー。軽井沢8年と似ているボトル。
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軽井沢12年貯蔵シングルモルトはシングルモルトウイスキー。こちらは軽井沢8年と似ているものの、ボトルが直線的なデザインなのが特徴。
軽井沢12年 長期貯蔵原酒使用31年~12年
軽井沢12年 長期貯蔵原酒使用31年~12年は貯蔵12年以上の原酒をメインにして長期貯蔵原酒12年~31年(31年は昭和44年の酒)をブレンドして作られたピュアモルトウイスキー。ボトルは昔ながらのウイスキーボトルといった印象で首が長く曲線的なデザイン。
軽井沢12年の販売価格としてはシングルモルトが15万円以上、箱付きなどの条件で20万円以上の価格がつく。他の2種類はシングルモルトに比べて価格が安く、8万円程度。
軽井沢17年
軽井沢12年の長期貯蔵原酒使用と同じく、貯蔵17年以上の原酒をメインにして長期貯蔵原酒17年~31年(31年は昭和44年の酒)をブレンドして作られたピュアモルトウイスキーと、貯蔵17年の2種類がある。アルコール度数は40度。印象的なデキャンタデザインで封をしてあるコルクの上が丸く風鈴のように膨らんでいるのが特徴。
販売価格は貯蔵17年が箱なしで11万円弱、軽井沢17年長期貯蔵原酒17年~31年が15~19万円弱。箱付きの長期貯蔵原酒17年~31年が30万円強といった価格だ。ボトルが全く違うデザインでオールドボトルのバルテュスとジャコメッティ展 記念ラベルがついたものは希少価値が高いためか27万円弱の価格がついている。
軽井沢18年
軽井沢18年は浮世絵デザインのラベルがついており、378本しかボトリングされていない希少性からか販売価格は60万円弱。アルコール度数59.9%のシングルモルトウイスキーとなっている。
軽井沢1964-1965
軽井沢の長期貯蔵として有名な48年~50年熟成のウイスキー。シングルモルトウイスキーでアルコール度数は57.7%~63.1%。900万円弱の販売価格。箱は樽を思わせる木製のデザインでボトルはオールドボトル。
ラベルは軽井沢という文字が大きく書かれており、蒸留した年度、樽番号が漢数字で書かれている。2012年にボトリングされたため、比較的スタイリッシュなデザインが特徴。
軽井沢 命の水
30~50年熟成のシングルカスクモルトウイスキー。アルコール度数は55~62%程度。
金額は30年が285本だけボトリングされていて140万円弱、35年が473本ボトリングされていて180万円弱、45年は137本ボトリングされていて550万円弱。50年は248本がボトリングされていると書かれており、販売価格は1600万円弱。熟成年数も長くボトリングされた数も少ないため、一気に価格が跳ね上がっているのがわかる。
デザインは平たく丸い蓋と短い首が印象的なボトル。熟成年度などによってラベルデザインが異なる。黒のラベルにゴールドと赤文字のタイプとゴールド文字のタイプ、白のラベルに命の水の文字がシルバー、それ以外がゴールド文字のタイプと、その逆のデザインがある。
軽井沢 ファイブディケイズ 1960-2000
61.4%のアルコール度数で、シングルモルトウイスキー。1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年などの各年代の軽井沢がブレンドされているため、ファイブディケイズという名称になっている。販売価格は230万円弱~250万円程度。デザインはオールドボトルの形でラベルではなくビン自体にレースのような花模様の装飾が施されている。
軽井沢 能シリーズ
30年ものなどがあるシングルカスクモルトウイスキー。アルコール度数は57.2%。23年ものは160万円弱。30年ものの価格は2019年5月12日現在で120万円~180万円弱。デザインは能面や能をしている演者がラベルの左側縦半分に配されており、右側には貯蔵年数やボトリングされた年度などの詳細が書かれている。箱も同じデザインになっているのが特徴。
軽井沢 芸者 1974-2016
58.8~61.6%程度のアルコール度数。2000年は50万円強、1995年は90万円弱、熟成期間が1980年代、1990年代前半などは120万円~140万円で取引されている。35年のブルボンカスクは180万円弱、1974年の軽井沢40年は400万円弱の販売価格が特徴。
デザインは絵で芸者が描かれており、浮世絵デザインがほとんど。箱もラベルと同様のデザインが配されている。広告のような近代的なデザインのラベルがついているもの、箱は樽を思わせる木製や文字以外のデザインが入っていないものなどもあるが、ビンの形はオールドボトル。
軽井沢 侍2015
軽井沢の侍が浮世絵デザインで描かれた侍3本セットは700ml×3本ということもあって、780万円弱とかなり高額で取引されている。こうしてみると、人気の高いジャパニーズウイスキーの中でも販売価格が高いことがわかるだろう。
なぜこれほどまでに高いかというと、軽井沢蒸留所が閉鎖され、もう作られることがないという希少性、 IWSC(International Wine and Spirit Competition)のワールドワイドウイスキー部門やインターナショナル・スピリッツ・チャレンジなどで述べ4回の金賞、2回の銀賞を獲っているブランドであることなどが挙げられる。
なかでも軽井沢12年は2回も受賞しており、(2001年 IWSCワールドワイドウイスキー部門金賞、2002年同部門銀賞を受賞)世界的にも有名なウイスキーとなった。そのため、日本のみならず海外でも人気を博し、軽井沢ブランドの販売価格を底上げしていると考えられる。
軽井沢12年の特徴
軽井沢貯蔵12年と軽井沢12年 長期貯蔵原酒使用31年~12年はピュアモルトウイスキー、軽井沢12年貯蔵シングルモルトはシングルモルトウイスキーとなっているが、ピュアモルトとシングルモルトの違い、そして軽井沢12年の特徴についてご紹介しよう。
ピュアモルトとシングルモルトの違い
そもそもモルトウイスキーはモルト(麦芽)を加工して粉砕、そしてタンクで撹拌をおこなう。2度抽出をおこなった後、発酵させたウイスキーのことだ。そのモルトウイスキーの中でもピュアモルトとシングルモルトという呼び方がある。
シングルモルトは1つの蒸留所で全ての工程を行い、モルト=大麦麦芽のみを使って作られ、他のウイスキーの原酒などを混ぜていないウイスキーのことを指す。ブレンディング=モルトの原酒とグレーンの原酒を混ぜることやヴァッティング=モルト原酒やグレーン原酒など種別の同じものを混ぜていないということ。
シングルモルトにすると、その蒸留所だけのお酒となるため、独自の特徴がよくわかる。シングルモルトの場合は同じ蒸留所ではあるものの複数の樽からブレンドするが、他の樽ともブレンドしないウイスキーをシングルカスクと呼ぶ。
ピュアモルトは同じ蒸留所の中でも異なるモルト原酒を混ぜて作っているウイスキーのこと。つまりシングルモルト同士のかけあわせだ。モルトしか使っていないことを強調してピュアモルト(海外ではブレンデッドモルト)と呼ばれている。
軽井沢12年の特徴
次に軽井沢12年の特徴を紹介しよう。軽井沢12年はさまざまな種類があるが、超貯蔵原酒シリーズは、モルトらしく麦の香ばしい香りが特徴。チョコレートやオレンジなどの風味、スパイシーな味わいを感じることのできるウイスキーだ。飲み口は軽め。
せっかくのピュアモルトやシングルモルトの特徴をよく理解できるように、まずはストレート、そしてロックで香りがどう変化するかを楽しみながら飲むのがおすすめだ。できればチューリップ型のグラスで香りを楽しみながら味わってみてほしい。
軽井沢12年の買取相場とは
軽井沢12年の買取相場としては1万5000円~2万円程度と書いてあるところも多いが、箱付きや状態の良さなどで5万円前後までの高価買取をしてもらえる可能性が高いといえる。既に閉鎖されていること、そして世に出回る数が減ってくる可能性が高いからだ。
シングルカスクの軽井沢12年などは既に閉鎖しており希少価値が高いという評価になるため、8万円前後の価格がつくこともある。ピュアモルトよりもシングルモルト、シングルモルトよりもシングルカスクの方が高く買い取ってもらえる可能性が高いので、覚えておくといいだろう。
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まとめ
軽井沢12年の歴史や特徴、買取相場などを紹介した。改めてジャパニーズウイスキーのなかでも非常に評価が高く、既に閉鎖している蒸留所ということでさらに人気が高くなっていることがおわかりいただけただろう。
軽井沢12年に限らず、軽井沢という名前がついたウイスキーが家にある場合は、リビングなどに飾らず、冷暗所に保管しておくのがおすすめだ。また買取をしてもらう場合は査定をする業者によって大きく査定額が異なる場合もあるため、しっかり比較してから選ぼう。オークションなどに出した場合は比較的金額が低めで落札されることもあるから注意してほしい。
安全な場所でキレイに保管しておけば、かなりの高額買取をしてもらえる可能性もある。人からいただいて飲んでいないウイスキーがあれば、それが軽井沢ブランドではないか確認してみるといいだろう。