切手には額面どおりの金額で利用できるほか、価値のあるものは額面以上の金額で取り引きされるということは珍しいことではない。一般的に額面より1円でも高いものは「プレミア切手」と呼ばれ、切手コレクターの間で取り引きされるものはほぼすべてがプレミア切手であるといっても過言ではない。
とはいえ、よほどの希少価値がない限り、一枚数十万円で取り引きされるようなものはプレミア切手の中でも希少なため、家にある古い切手などに過度な期待はできないだろう。ただしその可能性はゼロではないので、これから説明するようなプレミア切手がないかどうか今一度確認してもらいたい。
本稿ではコレクターに人気の高額プレミア切手を中心に、その希少性や価値をご紹介したい。
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1955年以前の切手や中国切手に注目
プレミア切手の多くは額面より多少高値となる程度の売却額となるが、1955年以前に発行された切手は、額面に関係なく高値となりやすい。その中でも希少性の高いものはさらなる高値も期待することができる。
また、現在高値で取り引きされている切手の中で人気を集めているのが、中国切手といわれるものである。切手愛好家の中でも今最も売り時といわれている切手で、1950年~1980年ごろに中国で発売された切手となる。全体的に日本国内で流通しているものが少ないため、1枚のバラ切手でも高額の査定となることも期待することができる。
プレミア切手の価値と買い取り価格の例
では、実際に高値で取り引きされている切手にはどのようなものがあるのだろうか? コレクターの間で特に人気のある日本切手および中国切手の価値と買い取り価格を簡単にご紹介しよう。
見返り美人
日本の記念切手の中で最も有名であるといっても過言ではない「見返り美人」。戦後間もない1948年に発行された歴史のある切手というだけでなく、縦67ミリ、横30ミリという縦長のサイズは日本で発行された切手の中では現在でもなお最大で、非常にインパクトのある切手である。
そのサイズもさることながら、浮世絵を題材とした日本らしいデザインであることもあり、日本国内だけでなく海外でも非常に人気の切手となっている。 買取価格はバラ切手の単位でも一枚3000円程度を見込むことができ、日本の切手の中でも高価で取り引きされるプレミア切手のひとつといえる。
月に雁
「見返り美人」とならび日本で最も有名な切手のひとつといわれている「月に雁」。この切手の発売年は「見返り美人」の翌年の1949年で、縦長のサイズも「見返り美人」と同様インパクトがある。
この「月と雁」は本や雑誌に多く取り上げられることも特徴で、歴史の教科書や「ドラえもん」の漫画にも登場しているなど、切手収集に興味がない人にもある程度の知名度を誇っている。浮世絵師である歌川広重の作品を図案としてデザインされ、切手の全面に描かれた、月を背景に羽を広げた雁の絵は、国内外からも高い評価を受けている。
買取価格はバラ切手単位でも5000円前後と、日本の切手の中では最も高い買い取り価格を誇っている切手のひとつである。
えび蔵
「市川蝦蔵」などと呼ばれることもある「えび蔵」。もともとは「見返り美人」、「月に雁」と同様「切手趣味週間シリーズ」として発行された一枚で、サイズは現行の切手と同じくらいとなっている。「切手趣味週間シリーズ」は発行当初から現代までコレクターの間では高い人気を誇り続けており、「えび蔵」も発行部数は多いものの、現在でも高い人気となっている。
流通量が多いため、バラ切手単位の買い取り価格は200円程度であるが、シート単位であれば5,000円程度と、比較的高値で取引されている。
ビードロを吹く娘
コレクターの間では「ビードロ切手」と呼ばれ現代でも高い人気、知名度を誇る「ビードロを吹く娘」。
「切手趣味週間シリーズ」の第5弾として発行されたこの切手は、喜多川歌麿が描いた浮世絵がモチーフとなっており、国内のみならず海外からの人気も高い。
こちらの買い取り金額はバラ切手で300円程度となるが、シート単位であれば3,000円以上の高価買取となる場合もある。
赤猿
昨今コレクターの間で人気を集めている中国切手。そんな中国切手の中で最も有名なものが「赤猿」だろう。
文化大革命真っただ中の1980年に発行されたものであるが、当時の中国では切手の収集が禁止され、海外へ切手を輸出することも禁じられていたため、希少価値が非常に高く、中国切手の中でもプレミア感が最も高い切手とされている。
その価値はバラ切手でも10万円以上で、シートであればさらに買い取り金額は跳ね上がる。ただ、今後中国切手は流通量が増えることにより価値が下がっていくことが予想されているため、売却を考えている場合は早めに売ることをおすすめしたい。
オオパンダ
「オオパンダ」も文化大革命時代に発行された切手で、流通量が少なく入手しづらい切手のひとつとなっている。水墨画で描かれたパンダが愛らしく、中国国内でも屈指の人気を誇る切手である。
この切手は第一回が1963年、第二回が1973年の2回に分かれて発行されていることが特徴で、一回目と二回目合わせて6種類で完品となる。 売却の際も6種類の完品であれば価値は上がり、4,000円程度の買い取り価格となる。完品でなくても売却することは可能であるが、完品は価値がグンとアップするため、完品で売却することをおすすめしたい。
毛主席の立派な兵士・劉英俊
中国だけでなく日本でも知らない人はいないといっても過言ではない毛沢東。その毛沢東に仕え、最も忠実だったといわれるのが、中国人民解放軍に在籍していた戦士であった劉英俊。
この二人の中国の英雄が描かれた切手は6種類で構成されているものの、分解大革命時代に切手の収集が禁止されていたため、残存数が極めて少ない希少価値の高い切手として知られている。
日本での買取価格は6種類が揃った状態であれば20,000円程度を見込むことができ、すべてそろっていない状態でも高価買取を大いに期待できるだろう。
毛主席の長寿を祝う語録
1967年に全11種類が発売されたこのシリーズは、毛沢東の肖像のほか毛沢東の有名な語録が記録されている。政治色が強いデザインとなっているが、中国国内では長く切手の収集が禁止されていたため、現代における流通量も少ないことが特徴となっている。
このため買い取り価格も非常に高く、11種類すべて揃っていれば20万円以上になることも決して珍しいことではない。
中国切手全般にいえることであるが、未使用品だけでなく消印が付いた切手でも美品であれば買い取りに応じてもらえるショップがあるため、使用済みの場合でも一度査定を依頼してみることをおすすめしたい。
毛主席の長寿をたたえる
文化大革命時代の中国では、その威厳を誇示するため毛沢東をモチーフとした切手が非常に多く発行されている。この切手もその中のひとつで、1967年の5月と9月に全8種類のシリーズとして発売されているものである。
こちらも他の中国切手と同様流通量が少なく、全8種類揃っているものは10万円以上となることもある。バラ切手の状態でも状態によっては1万円程度となることもあるので、価値を知りたい場合は専門業者に査定を依頼してみよう。
毛主席像(中国共産党46年)
中国共産党の父といわれる毛沢東。この切手は、中国共産党の設立から46年に建立された毛沢東の像がモチーフとなっている。同じ図柄で色調の異なった5種類で完品となることが特徴のひとつで、5種類の完品の場合は50,000円程度の買い取り価格となっている。
中国切手は日本切手と比べて流通量が少ないとはいえ、年々ピークは下がり続けている状況となっている。今後も流通量は増えることはあっても減少することは考えにくいため、中国のプレミア切手の売却を考えている場合は、早めに手を打つことをおすすめしておきたい。
毛主席は赤い太陽
こちらも文化大革命時代の1967年に全2種類が発行されたもので、文化革命時代の政治絵画がモチーフとなっている。一般的に文化大革命時代に発行された切手は入手しづらいといわれているが、この2種類は流通量が比較的多く、入手しやすい切手のひとつとなっている。このため、買い取り価格も他の切手よりも安く2種類で10,000円程度となっている。
ただし、買い取り業者によって、価値の付けかたも異なり買い取り価格も変動するもののため、一店だけでなく複数の店舗に査定を依頼することをおすすめしたい。
毛主席詩詞
詩人としても有名だった毛沢東の詩詞をモチーフとして、文化革命時代の1967年に第一次、第二次、第三次の3回に分けて14種類が発行された切手である。
種類が多いことから買い取り価格も跳ね上がり、全種類揃ったものは20万円以上の値が付けられることも珍しいことではない。バラの状態でも高い価値となっており、日本で流通している中国切手の中でも高い価値となっている。


偽物に注意
中国切手はその時代背景から流通量が少なく希少価値が高いものが多い。高い買い取り価格で取り引きされることもあり、本物だけでなく偽物も非常に多い。中には本物と見紛うほど精巧に作られているものがあるので、入手の際は十分注意が必要だ。
専門業者であれば査定のプロである査定員が真贋を見極めたものだけが売られているが、オークションではその限りではない。中国切手だけでなく日本切手の中にも確信犯的に偽物を出品している場合があるので、真贋を自分で判断できないときは手を出さないことが賢明である。
全ての切手が買い取り対象となるわけではない
日本切手の中でも、通貨単位が「銭」のものや沖縄切手など、業者によっては古い切手や珍しい切手でも買い取りに応じてもらえない種類も存在する。査定を申し込む際に、その業者で買い取りに対応しているかどうかを確認しておく必要がある。

おわりに
高価買取は、当然のことながらシミや汚れがない美品であることが大前提となる。日頃から丁寧な保管を心がけることに注意が必要となる。
また、日本で発行されたプレミア切手および中国切手の買い取り価格は現在下り気味であるため。売却を検討しているのであればなるべく早めに売却することをおすすめしたい。尚、プレミア切手の価値を調べられるサイトについてまとめた記事は以下の2つである。チェックして欲しい。

