世界5大ウイスキーの1つに日本産のウイスキーが数えられている。それほどに日本のウイスキーづくりは世界でも定評があり、海外で数々の賞を受賞するウイスキーも多い。
有名なのはサントリーの山崎、響やニッカウイスキーの余市、竹鶴などだが、イチローズモルトもそれに並ぶ人気と実力で、近年注目を集めている。
ウイスキーを飲む習慣がない人には馴染みがないかもしれないが、ウイスキー愛好家やコレクターの間ではすでに有名であり、限定品は高値がつく。
今回は、イチローズモルトの中でも2000年を最後に蒸留を停止した羽生蒸留所でつくられた原酒を使って熟成させた”羽生”と名のつく銘柄について紹介したい。羽生は閉鎖蒸留所で新しい原酒の入手ができないため、現在入手できる原酒は非常に貴重なもの。よって高額買取も期待できる。
イチローズモルトの魅力や”羽生”の種類と買取相場、高値で売るためのコツを紹介するので、ぜひチェックしてほしい。
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イチローズモルトがなぜ人を魅了するのか
イチローズモルトがどのようにしてつくられ発展し、人々を魅了するのか詳しく見ていこう。
イチローズモルトの歴史と評価
イチローズモルトの歴史は、実はそんなに長くない。創立者の肥土伊知郎(あくといちろう)氏が埼玉県秩父市に蒸溜所を設立したのは2007年のこと。
秩父の質の良い水と気候の寒暖差という絶好の環境を備え、原材料も埼玉県産の大麦、ピートを使い国産のウイスキーを製造している。発酵槽にも日本産のミズナラ(ジャパニーズ・オーク)を使用するなど、細部まで日本産にこだわったつくりとなっている。
その後海外でも評価されるようなウイスキーメーカーとなり、イチローズ・モルト カードシリーズの”キング オブ ダイヤモンズ”は世界最高のウィスキーを決めるWWA(ワールド・ウィスキー・アワード)で2007年以降5年連続で日本一という栄冠に輝いた。
最近では2017年、2018年に2年連続でイギリスのウイスキーマガジン主催”ワールド・ウイスキー・アワード2017”と”ワールド・ウイスキー・アワード2018”でシングルカスクシングルモルトウイスキー部門、世界最高賞を受賞。
日本産ウイスキーを世界に知らしめる存在となった。
イチローズモルトの魅力
イチローズモルトの魅力は、何といっても豊富な種類なのではないだろうか。
1つ1つの銘柄がこだわってつくられており、種類は数え切れないほど。熟成樽の違いや原酒のブレンドでさまざまな種類の銘柄が発売されている。
現在使われている原酒は、2000年に蒸留を停止した羽生蒸留所の原酒と、秩父蒸留所、軽井沢蒸留所の原酒が使われている。閉鎖蒸留所となってしまった羽生蒸溜所の原酒は貴重なものとなり、高値がつくものが多い。本数限定で売られているものもあり、終売や完売となった銘柄は市場でお目にかかる機会も少く高額で取引されているようだ。
コレクターをうならせるデザイン性の高さ
品質の良さと味は、受賞歴とウイスキーファンからの人気の高さでも十分伝わるが、カードシリーズのようにトランプをモチーフとして全てコンプリートしたくなるようなコンセプトの銘柄もあり、コレクターも多く価格が高騰している。
こうしたシリーズものなどのボトルのデザインは非常におしゃれで、人気シリーズの銘柄はボトルのみでも価値が高い。
ヤフーオークションで2019年3月19日現在、カードシリーズのジョーカー・カラー空瓶は、59,000円~73,000円、ジョーカー・モノクローム空瓶は553,000円という驚きの価格がついていた。
イチローズモルト羽生とは
イチローズモルトに”羽生”とつく銘柄は数多くある。”羽生”とは、前述の通り今はすでに閉鎖蒸留所となった羽生蒸留所の原酒を元につくられたウイスキーである。
ここで”羽生”について、詳しく解説しよう。
羽生蒸留所で蒸留された原酒について
2018年11月に小学館から出版された”ウイスキー・ライジング:ジャパニーズ・ウイスキーと蒸留所ガイド決定版”によると、羽生蒸留所で蒸留されたヴィンテージは6種類。1985年、1986年、1988年、1990年、1991年、2000年で、毎年蒸留されていた訳ではなかった。
やがて経営不振となり会社は売却、売却先のメーカーから原酒400樽を廃棄するよう命じられた際に、福島県の笹の川酒造に樽を預かってもらった経緯がある。
このため、ベンチャーウイスキー設立以前に発売されたものは、製造販売が笹の川酒造、企画としてイチローズモルトの名前で出されたものもある。
羽生蒸留所でつくられた原酒をボトリングしたシリーズ
イチローズモルトは羽生蒸留所、秩父蒸留所、軽井沢蒸留所でつくられた原酒を元につくられているが、羽生蒸留所でつくられた原酒をボトリングしたシリーズは複数ある。
- ・ザ・カードシリーズ
- ・ザ・能シリーズ 21年(羽生)、10年(羽生)
- ・ザ・ゲームシリーズ 1st~6th
- ・ザ・ゴーストシリーズ 3rd
- ・月と失われゆく動物シリーズ 1st、2nd
他、花札シリーズにも羽生の原酒が使われていたものもあったが、花札シリーズは希少価値が大変高く市場でもほとんど目にすることができない。
秩父蒸留所の原酒などとブレンドされて発売されているものもあるが、羽生蒸留所でつくられた原酒は希少価値が年々高くなっているので、価格も高騰する傾向にある。
”羽生”とつく銘柄について
シリーズ以外の”羽生”と名のつく銘柄で、現在販売が確認されているのは以下の銘柄がある。
- ・イチローズモルト ザ・ファイナルビンテージ・オブ・羽生
- ・イチローズモルト 羽生【一番 NUMBER ONE HANYU】
- ・イチローズモルト 羽生 22年 クォーターカスク
- ・イチローズモルト 羽生 16年
- ・イチローズモルト 羽生 15年
- ・イチローズモルト 羽生 13年 バーボンバレル
- ・イチローズモルト 羽生 クォーターカスク 1991-2011
- ・イチローズモルト 羽生 2000
- ・20年 カスクストレングス 羽生
- ・15年 カスクストレングス 羽生
他にもあると思われるが、種類が豊富過ぎて全てを把握することはできない。
”羽生”の価値
この中で、ザ・ファイナルビンテージ・オブ・羽生は”2000年に蒸留を止めた羽生蒸留所の最後の作品”として有名で、WWA2008(ワールド・ウイスキーアワード)熟成年数12年以下のクラスにおいて、ベスト・ジャパニーズ・シングルモルトウイスキーを受賞した。
お手持ちのイチローズモルトで、羽生、羽生蒸留所、HANYU、と書かれたものがあったら、高額買取可能なウイスキーかもしれない。
ベンチャーウイスキーオリジナルで発売されたものの他、百貨店や酒店、ホテルなどが樽を購入しオリジナルでボトリングしたプライベートボトルも数多く存在するため、同じような名前でボトルデザインが異なるものもある。それらも限定で発売されているものが多く、価格が高騰しているものも少なくない。
希少性の高い原酒でつくられ、出荷本数も少ない羽生は世界的にも有名で、愛好家にとってもコレクターにとっても価値が高いものとなっている。
イチローズモルト羽生の買取相場
イチローズモルト羽生の買取相場は、種類によって大きく変わる。また、どこに売るかでも変わってくるので、以下を参考に検討してもらいたい。
買取業者での価格相場
例えば、ある買取業者での価格は以下の通りである。
- ・イチローズモルト ザ・ファイナルビンテージ オブ 羽生 :150,000円
- ・イチローズモルト 羽生 22年 クォーターカスク:100,000円
- ・イチローズモルト 羽生 15年 ファイナルヴィンテージ:70,000円
- ・イチローズモルト 羽生 15年:40,000円
- ・イチローズモルト 羽生 クォーターカスク 1991-2011:58,000円
- ・15年 カスクストレングス 羽生:70,000円前後
- ・20年 カスクストレングス 羽生:150,000円前後
銘柄の1つ1つが希少価値が高く高値がついているものが多いが、種類も多く買取相場の上限はこの金額、という明確な価格を出すことは難しい。お手持ちの銘柄を直接買取業者に問い合せすると良い。
オークションサイトやフリマアプリ
2019年3月19日現在、ヤフーオークションでイチローズモルト 羽生【一番 NUMBER ONE HANYU 】が338,000円で出品されている。ザ・ファイナルビンテージオブ羽生は10万円で、イチローズモルト羽生13年バーボンバレルは22万円での出品がある。
フリマアプリでは、メルカリもラクマも2019年3月19日現在”羽生”とつく銘柄は出品がなかった。
オークションサイトやフリマアプリでの価格は、価値がわからず値段をつけてしまうと買取業者より低い価格で売ってしまうことになる場合も。
市場の平均価格をしっかり調べる必要があるのと、出品から発送まで全て自分でやらなければならないこと、手数料がかかること、落札者との間でトラブルになることもあるので、出品の際は十分注意しておこなってほしい。
高値で売るためのコツ
今や、イチローズモルトはサントリー、ニッカウイスキーと並ぶ世界的に注目を集めるウイスキーにまで成長し、大手に比べると生産本数が少ないため価値は高まる一方だ。高値で売るためのコツを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
商品の状態により査定額が大きく変わる
どのウイスキーにも言えることだが、箱の有無で値段が変わってくる。どんなに箱がボロボロでも諦めて捨ててしまわず、まずは買取業者に相談した方が良い。付属品は全てつけて査定に出すが、高額買取への鉄則だ。
また、ラベルが剥がれかけていてもそのままにしておくのが基本。イチローズモルとはラベルが凝ったデザインになっているものもあり、コレクターの中にはラベルを目当てに集めている人もいるくらいなのだ。
付け加えるならば、箱やボトルがホコリを被ったり汚れていたら、綺麗にするだけでも査定額に反映するので、状態のチェックをしてみて落ちる汚れは落としておくことが高額買取につながる。
複数の買取業者に査定をしてもらう
買取業者によって査定額は大きく異なる場合がある。納得のいく価格で売るためには、複数の買取業者に査定をしてもらうと良いだろう。
イチローズモルトは人気で買取強化品目に入っている業者も多い。
買取担当者がどのくらいイチローズモルトに詳しく価値を理解しているかは、相談してみないとわからない。
満足のいく売却をするためには、焦らずじっくりと買取業者を探すことが肝心である。
まとめ売りをして査定価格アップを狙う
まとめて売ると、買取業者の査定時間の短縮やコスト削減につながる。よって査定額をアップさせることができるのである。
ウイスキーの売却は珍しいことではなく、価値のあるものは高値がつくのでまとめ売りする人もいる。
業者によっては、10点以上のまとめ売りで1万円アップなど明確に金額を出しているところもあるので、何点か持っているようであればまとめて査定に出すと良い。
まとめ
現在、羽生蒸留所の原酒を使ったウイスキーは、右肩上がりに価値と価格が上昇している。驚くのは、イチローズモルトをつくるベンチャーウイスキーはサントリーやニッカウイスキーなどの大企業と比べるとかなり小規模であるということ。
大企業だけが、上質なウイスキーをつくれるとは限らない。細かなところまでこだわってつくられたウイスキーは、最高級の品質となる。規模の大小ではないことをイチローズモルトが証明したのだ。
ただ、規模が小さいがゆえ生産本数も少なく、価格がどんどん高騰していく原因となっている。
ウイスキー好きなら1度は飲んでみたいウイスキーであるイチローズモルト。そのイチローズモルトの”羽生”を手にしているというのは、かなりのラッキーであるといえる。
もし飲む予定がなく処分を考えているようなら、売却を検討してみてはいかがだろうか。その際は、今回の記事を参考に複数の買取業者に納得のいくまで相談し、高額買取を目指してもらいたい。