煎茶盆(せんちゃぼん)とは、江戸期に中国からもたらされ、日本独自の発展を遂げてきた煎茶道の手前などに使用される盆のことである。本コラムでは煎茶盆や煎茶道について、煎茶盆の種類、中古の煎茶盆買取価格の相場や査定情報などをまとめて紹介する。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
煎茶盆とは
煎茶盆とは、煎茶道(せんちゃどう)で使われる盆の総称である。そのなかには一般的な盆手前(ぼんてまえ)に使われる大型の手前盆や、茶入れや茶杓、茶入れ袋または仕服をのせる三器盆、お運び盆と呼ばれる、茶を運ぶための細長い一文字(いちもんじ)盆などが含まれる。煎茶道の盆手前では、これらいくつかの盆を使い分けて披露される。
盆のそれぞれの名称や種類については後述するが、煎茶盆はサイズや素材となる材質、また仕上げ方にもあらゆる種類が存在する。形は細長いもの、正方形のもの、角が丸くなっているものや尖っているものがあり、黒漆や朱漆が塗られたものや、透明の漆仕上げのもの、塗装仕上げされていない天然木が経年とともに飴色に変化するものまで、質感もさまざまだ。木製で表面に鎌倉彫や讃岐彫が施されているもの、くり抜き無垢型のものもあれば、少数ながらも銀製や銅製の煎茶盆が見られることもある。
煎茶道について
ここで、そもそも煎茶盆を使用する煎茶道とはどのようなものなのか、茶道とはどのような違いがあるのかを見ていきたい。
茶道との違い
茶の湯とも呼ばれる茶道は、日本の伝統的な様式に従って客人に抹茶を振舞い、もてなす儀式である。それに対し煎茶道は、煎茶や玉露の茶葉を急須に湯を注いで味わうという、形式から解き放たれた自由さがある。型や作法よりも、客人と茶を味わいながら自由に対話を楽しむことが重要とされているのだ。
煎茶道の形式は、明の時代の中国で生まれたものといわれている。日本に煎茶道が伝わったのは、1654年頃のこと。この年に、中国福建省の禅僧であった隠元隆琦(いんげん りゅうき)が煎茶道具を抱えて来日し、煎茶をたしなんでいたことがわかっている。
煎茶文化の発展
日本からの要請によって来日した隠元隆琦は、日本三禅宗のひとつとなる黄檗(おうばく)宗を伝えるために京都の宇治市に黄檗山萬福寺を開いた。そして宗教だけに留まらず、書や絵画などの美術のほか、中国の精進料理とされる普茶(ふちゃ)料理や煎茶、スイカやインゲン豆の輸入といった食文化をもたらしたことでも知られている。
江戸時代の中期には、同じく黄檗宗の僧侶であった売茶翁(ばいさおう)により、文人を始めとする上流階級社会が中心となって日本独自の煎茶趣味及び煎茶文化が広まることになる。
形式にこだわらず、自由に茶を楽しむのが本来の煎茶道の流儀だ。しかし江戸時代の後期になると、煎茶に作法や形式を定める動きが出始め、家元制度が誕生することになる。現在では全日本煎茶道連盟に加盟している流派の数は実に39、非加盟の小流派も入れると、かなりの数の煎茶道流派が存在するのが現状である。
煎茶盆の種類
前述のとおり、煎茶盆は使用用途によって異なる種類がいくつか見られる。そのなかでも代表的なものには、以下のようなタイプがある。
- ・一文字盆
- ・二文字盆
- ・一双盆
- ・葉盆
- ・半月盆
一文字盆はお運び用と呼ばれ、煎茶盆のなかでももっともよく見られるタイプだ。小ぶりな煎茶の茶碗が横一列に5つ並ぶ、細長いサイズの盆である。一番長いところは基本的に一尺二寸から一尺三寸、つまり36㎝~49㎝前後と定められており、これは一般的な女性の腰の幅とほぼ同じ大きさであるとされている。
約39㎝ほどの長さに対し、幅は10㎝前後、高さは2㎝程度が一文字盆の通常のサイズだ。この寸法は煎茶を運ぶ際に持ちやすく、また見た目にも映えることを計算して出された黄金比とも考えられている。
細長い一文字盆に対して、二文字盆は約30㎝前後の長さに幅が約20㎝となっており、限りなく正方形に近い形となっている。この二文字盆は宝瓶や湯冷ましをのせるための手前盆として使用される。小型のものは長さ20㎝強に対し、幅が15㎝程度となっており、宝瓶と湯冷ましの2つがちょうど収まるサイズにつくられている。
一双盆は一文字盆が角盆であることが多いのに対し、楕円形の丸みを帯びた形をした盆だ。サイズも小型の二文字盆と同程度で小ぶりなサイズが多いのが特徴ともいえるだろう。
葉盆も一文字盆のように細長い形のタイプが多くみられるが、バショウの葉をかたどった大型のものや、白菜をかたどったものなど、バラエティーに富んでいる。半月盆はその名が指すように半月の形をした盆で、二文字盆のように約30㎝径あることから手前盆として知られている。
煎茶盆の中古買取相場
煎茶盆の種類がわかったところで、中古買取市場で煎茶盆は大体いくらぐらいの価格がついているのか、その相場を見てみたい。
骨董品買取 栄楽堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術品や骨董品の買取を専門とする栄楽堂では、煎茶道具の各品を始め、煎茶盆の買取参考価格を公表している。同社によると、紫檀(したん)製の煎茶盆参考買取価格に20,000円という値段がつけられている。ほかにも作家ものの煎茶茶碗5客が13,000円、京都東山の陶工士作の急須は8,000円で買い取った実績を持つ。
栄楽堂の出張買取対象エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県となっているが、全国規模を対象に宅配買取をおこなっている数少ない骨董美術品買取業者である。見積のみの相談も可、査定料や出張料も無料で、LINEなどで気軽に問い合わせることもできるのが心強い。
- 会社名
- 骨董品買取 栄楽堂
- 住所
- 〒202-0022 東京都西東京市柳沢1-3-12
- 営業時間・定休日
- 10:00~19:00 年中無休
- 査定方法
- LINE査定
- 買取方法
- 宅配買取、出張買取
オークションサイトでの取引価格
ヤフーや楽天ラクマ、モバオク、ebayなどのオークションサイトでの煎茶盆の平均取引価格の相場は以下の通りだ。こちらはあくまでも平均相場で、日々価格の変動があることは念頭に置いておきたい。また、黒柿製くり抜き無垢素材の一文字盆に30,000円、輪島塗の半月盆が40,000円という高価格で取引された実績もあることも付け加えておく。
- ・一文字盆…3,540円
- ・葉盆…12,493円
- ・半月盆…2,759円
煎茶盆の査定ポイント
手持ちの煎茶盆をより高額で買い取ってもらうには、どのような点に気をつけたらよいのだろうか。ここではいくつかの査定ポイントを紹介するので参考にしてもらいたい。
付属品の有無
煎茶盆を購入した際の箱や付属の資料などが残っていたら、一緒に査定に出すのがよいだろう。たとえ箱に汚れや損傷があったとしても、査定額がアップする可能性が高いからだ。もしなかったとしても査定を受け付けている業者は多いので、諦めずにまずは相談してみよう。
ヒビ割れや破損
買取に出そうと考えている煎茶盆がヒビ割れていたり、破損している場合でも修復せずにそのまま査定に出すことをおすすめしたい。専門の知識がないまま古美術品に手を入れてしまうことは、その品の価値を下げることにつながってしまうからだ。専門の修復業者に依頼した場合でも、査定額に結びつかないことも多い。経年変化によるヒビなどは逆に価値として認められることもあるので、何もしないで査定に出すのが賢明だろう。
購入時期と入手経路
煎茶盆の入手経路や購入時期は、査定額に大きく影響する。遺品であっても、購入した店、または贈り物の場合は誰からもらったのかなどを事前に調べておくのがよいだろう。詳細が不明であっても重要となる情報なので、できる限り把握しておきたいものだ。
仕分けや選定
実家や親族の家の蔵などに長年手つかずとなっていた煎茶道具は、個人で仕分けせず、専門の買取業者に任せるのも手である。一見して価値がわからないようなものにも、専門家からすると高価買取対象となる品が出てくるケースは珍しくないからだ。
どこから手を付けていいのかわからない、といった状態でも仕分けや選定を受け付けてくれる骨董買取業者はいくつかある。買取品の量が多い場合は、仕分けから依頼したほうが査定価格が上がる場合があることも知っておこう。
おすすめの買取業者
先に紹介した栄楽堂のほかにも、煎茶盆に精通した骨董品や美術工芸品に強い買取業者は全国にいくつかある。なかでもおすすめなのが以下の5社だ。
よろず屋ありんす
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京都内での店舗買取ほか、関東地方の1都6県を対象に出張買取をおこなっているよろず屋ありんす。日本人形や武具、絵画のほか、食器やアンティークなど骨董品と美術品に特化した買取業者だ。煎茶碗や急須、釜など煎茶道具の買取実績も豊富で、煎茶盆も買取対象リストに入っている。
よろず屋ありんすでは、有名な作家が制作したもの、装飾が凝っているものは特に高価買取になる可能性が高いという。また遺品整理などでどれを買取に出してよいのかわからない場合は、スタッフが出向いて仕分けや搬出、査定まで請け負ってもらえる。その場合の出張費や査定料も無料だ。査定対象品の内容や数量によっては全国への出張も可能とのことなので、心当たりがあるならまずは相談してみることをおすすめしたい。
- 会社名
- よろず屋ありんす
- 住所
- 〒208-0021 東京都武蔵村山市三ツ藤1-48-25
- 営業時間・定休日
- 10:00~18:30 年中無休
- 査定方法
- LINE査定
- 買取方法
- 店頭買取、出張買取
古美術やかた
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術やかたは約80軒もの古美術や骨董を扱う店舗が並ぶという京都の祇園で、長年骨董品の買取をおこなっている買取業者である。骨董美術品の目利きがそろう京都美術倶楽部や大阪美術倶楽部の会員でもあり、伝統美術の保存と継承活動に力を注いでいる。その買取実績の高さは全国でもトップクラスであるといってよいだろう。
煎茶道具は流派関係なく査定対象となり、特に竹製や銀製のもの、唐物などの輸入品は高価買取になる可能性が高いと考えられる。また古美術やかたによると、煎茶盆の価値は形や年代の古さ、また素材の種類で決まるという。
木製なら黄楊木(つげのき)や葡萄(ぶどう)の木の評価が高く、また鉄や銀製、銅器の煎茶盆はとりわけ高額買取対象になるという点も見逃せない。煎茶道具それぞれの査定基準が明確で、安心して任せることができる業者のひとつだ。
- 会社名
- 古美術やかた
- 住所
- 〒605-0933 京都市東山区大和大路通新門前上ル西之町197番地
- 営業時間・定休日
- 11:00~18:00 月曜・火曜日(予約制の買取は定休日も可)
- 査定方法
- 電話相談やメールで画像送付後、見積価格を提案
- 買取方法
- 店頭買取、出張買取
骨董品 買取 MUKKU
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
掛け軸や甲冑から、中国美術や書画、西洋アンティークまで、日本に限らず世界の骨董品や古美術品の買取をおこなっているMUKKUは、東海地方で無料出張買取をおこなう業者だ。オーナーの家系は元々持ちビルや倉庫があったこと、そして家族経営で店舗運営をしていることから経費の大幅な削減が実現。その分を高価買取へと繋げられるよう努力している頼もしい存在である。
煎茶道具、茶道具はともにMUKKUの得意としている買取分野だ。なかでも煎茶道具は特に中国での需要が高まっており、販路が開けていることから買取相場が安定しているという。煎茶盆の高額買取も掲げているので、該当する商品があるなら相談してみるとよいだろう。
- 会社名
- 骨董品買取 MUKKU サカイ美術
- 住所
- 〒454-0005 名古屋市中川区西日置町10-1120(名駅店)
- 営業時間・定休日
- 電話で予約・相談。電話対応は8:00~20:00
- 査定方法
- 訪問査定
- 買取方法
- 出張買取
美術 三冬花 (さんとうか)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術品の高価買取を専門とする美術 三冬花 (さんとうか)は茶道具などの工芸品のほか、骨董品、日本画や洋画などの絵画、掛け軸、ブロンズ像などの彫刻、民芸品などを扱っている。まずは電話やオンライン問い合わせフォームから相談をし、査定対象となる商品のヒアリング後、出張買取の日時取り決めという流れだ。査定料、出張料ともに無料である。
煎茶盆や煎茶碗などの煎茶道具は中国を中心に人気が高く、高額買取も期待できる商品である。また美術 三冬花ではクーリングオフ制度を採用しており、買取後8日以内ならキャンセル及び返却も可能となっている。依頼側の立場に立った対応で信頼できる買取業者といってよいだろう。
- 会社名
- 美術 三冬花
- 住所
- 〒500-8461岐阜県岐阜市加納黒木町2-15
- 営業時間・定休日
- 完全予約制・電話予約受付は21:00まで
- 査定方法
- 出張査定
- 買取方法
- 出張買取
ますけん
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ますけんは、東京都町田市を拠点に骨董品や茶道具、陶磁器などの美術工芸品のほか、家具や酒類の買取もおこなっている買取業者だ。煎茶盆は鉄瓶や急須、茶壷(ちゃつぼ)と並んで煎茶道具の買取対象品となっており、特に銀や錫(すず)、唐木製のものが高価買取対象となる可能性が高い。
煎茶盆の買取実績もあり、また骨董品を扱う買取業者としては珍しく郵送査定や宅配買取を受け付けている。支払いは現金または振込で、査定料や出張費用、査定額に納得がいかなかった場合のキャンセル料などは一切かからない。査定してもらいたい煎茶盆が手元にあるなら、フリーダイヤルまたはメールやオンラインフォームで、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがだろう。
- 会社名
- ますけん
- 住所
- 〒194-0032 東京都町田市本町田1173-1
- 営業時間・定休日
- 9:00~21:00(電話受付時間) 年中無休
- 査定方法
- 訪問査定、持込査定、郵送査定
- 買取方法
- 持込買取、出張買取、宅配買取
まとめ
当コラムでは、煎茶盆の種類や中古買取市場の買取相場、オークションでの平均取引価格、査定ポイントなどを見てきた。該当する品が手元にあるなら、本稿で紹介した買取業者にまずは相談してみることをおすすめしたい。高額買取対象となる煎茶盆の素材や査定額アップ、または下げないためのポイントも紹介したので、買取に出す際に参考にしてもらえたら幸いである。