家のタンスで眠っている貴金属や着物、切手、骨董品・美術品、古銭・記念硬貨など、いらないものは売ってしまおう…。そんなふうに考える人も少なくないだろう。今では店頭買取以外にも、インターネットサイトから「訪問出張買取」を依頼することもできる。
もちろんこれは違法でもなんでもないし、商品を持って店まで足を運ぶ必要もないため、多くの人が選ぶ手段だ。
しかし、そんな便利な訪問出張買取による詐欺被害に遭う人が後を絶たない。家に招き入れたが最後、しつこく高圧的な言葉や態度で、考えられないくらいの安価で強制的に買い取られてしまうのだ。
では、なぜこのような被害に遭ってしまうのだろうか。被害を防ぐためには、悪徳業者とそうでない業者を見分ける方法を覚えておかなければならない。
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どうして悪徳業者に騙されてしまうのか?
訪問出張買取で詐欺に遭ってしまったケースとしては、始めに電話で勧誘されるか、突然訪問されるかの2パターンが多く挙げられる。家に入れてもらうためのセリフは、ほとんど同じようなものだろう。
- 「ご自宅に不要なものがあれば買取いたします!」
この簡単で非常に曖昧な言葉に釣られて、とにかく要らない物をかき集めてしまう。そして家に足を踏み入れた悪徳業者は、最終的に「貴金属はございませんか?」と質問を変えてくるのだ。もちろん買取額は驚くほどに安い。
ここできっぱりと断って追い出すことができればいいのだが、思わずひるんでしまうような強迫的な態度を取られることも多い。そのまま流れるように契約を結び、高価な商品はほんの少しの金銭と交換…ということになるわけだ。
売りたい物の相場を調べておくと安心
訪問出張買取をする悪徳業者に共通しているのは、「相場から逸脱した値段で買い取られる」という点だ。
売買のやり取りは、あくまでどちらにも利点・納得があるからこそ本来は成立する。商品にはいつでも相場があり、その相場を基準に売り手・買い手の双方が納得できる金額で取引する必要があるのだ。
情報の非対称性に注意
売ろうとしている物の買取相場を知っておくと、査定額があまりに安価だったとき「なぜそんなに安いのか?」と説明を求めることができる。その上で、納得できない場合には引き渡しを拒絶する権利があるのだ。しかし、情報の非対称性がある業者と消費者の間ではトラブルになることが多い。当然買取のプロの方が知識を持っている。
相場を調べる方法
相場を調べるには、2通りの方法がある。1つはインターネットでブランド名などで検索して調べる方法。もう1つは、一度店頭に足を運んで査定だけしてもらうという方法だ。
ネットで検索する
インターネットはサイトで検索するだけなので、あまり時間を要することはない。しかし掲載されている値段で売れる保証はないので、実際にはそれより上下する可能性は大きい。スマホですぐに訪問時に検索することも可能だろう。
店頭へ持ち込む
店頭での査定は、労力は必要だが騙される心配はないだろう。訪問時の査定額が店頭よりも安かった場合は、訪問出張買取は断って店頭で買い取ってもらうという手段も選べる。手段が増えることが大事なのだ。買取依頼をする時は相対取引だからこそ、他の比較対象を常に持っておかないと合理的な判断なのか自分で確認が難しい。これは、相手が悪徳業者であっても、そうでなくても使える方法だ。
訪問出張買取の悪徳業者をどこで見分けるか
契約の直前に悪徳業者だと気付いたら、鬼の形相で追い払ってしまえばいい。しかしそれができないから今日でも被害に遭ってしまう人がいるのだ。
では、勧誘の時点で悪徳業者とそうでない業者を判別するために、どのような部分に注意すればよいのだろうか。実は、訪問出張買取での被害防止のために定められた法律がある。これをしっかり押さえておくことで、もしものときに冷静に判断ができるだろう。
この法律には、車やCD類など、一部適用されない商品がある。業者を招く前に、売ろうとしている物が法律の対象であるかしっかり確認しておくと安心だ。
「今すぐ売らないと損ですよ」は基本的にウソ
特に電話口での勧誘で多いと言われる決まり文句として、「今すぐなら高く売れますよ」「早く売らないとチャンスを逃しますよ」と迫られることがある。このようなセリフが耳に入ってきたら、一見おいしい内容でも、ほぼ確実に悪徳業者である。「なぜそう言い切れるのですか?」と聞き返し、根拠をしっかりと話してもらうという手立ても有効だろう。あまり考えずに言っている業者であれば言葉に詰まるはずだ。
「高級な物であればあるほど売買契約には時間をかける」という考え方が正しいことは、十分理解できるだろう。
そもそも、貴金属等の買取相場が短期間で大きく変動することはない。もちろん商品によって変わるのは事実だが、今日売らずにじっくり考えて1か月後に売っても、その差は数円〜数十円程度が一般的だ。
ただし、2020年以降コロナウイルスの影響で金・プラチナの相場は大きく変動・高騰しているのも事実ではあるので時期によって状況も異なる点は厄介だ。各国政府が不況にならないように金融緩和を行った影響で、インフレが起こり、そのしわ寄せが金融資産や現物資産へと出ているのだ。全体的にモノの価値が高騰している。このあたりは日本経済新聞を読み続ける、ネットニュースを監視するか、買取のプロでないと知識を入れ続けるのは難しい。
業者は、その身分と目的を明かす必要がある
訪問出張買取を行う業者は、自分がどのような業者であるのか、具体的に何を買い取りたいのかを売主に伝えておかなければならない。
そこをうやむやにする業者には「何という業者なのか」「何を買い取るのか」など、必要な、あるいは気になる情報を尋ねてみる。こちらの質問に答えられないのであれば、それは悪徳業者であると判断していいだろう。
「不用品」という言葉に注意しておく
電話口など、家に招き入れる前に「不用品を買取ります」とだけ告げる業者は要注意だ。具体的な商品の内容を言わない業者は、絶対に信用してはいけない。これは「はじめに告知した物以外は、査定・買取できない」と定められているからだ。
つまり、業者が勧誘の際に「不用品」としか言わなかった場合、訪問時に「貴金属」の売買を交わすことはできない。その時点で売主が業者に応じる必要はないし、高圧的な態度をとるのであれば警察に通報しても何ら問題はないのだ。
契約書の手続きは必ず行う
訪問出張買取が初めての場合は特に、手続きの工程が少なくてもさほど違和感はないかもしれない。ところが、たとえ訪問出張買取であっても、決められた契約書のやり取りは必須だ。
契約書のやり取りがまったくない、あるいは簡易的な書類しかない場合は悪徳業者である可能性が非常に高い。
「行商従事者証」の提示を求める
訪問時に、少しでも怪しいと感じたら「行商従事者証」の提示を求める必要がある。これは訪問出張買取をする者に課せられている義務で、必ず携帯していなければならない。もし「忘れた」と言われても、決して信用してはいけない。
「行商従事者証」の名前をすべて覚えていなくても、「証明できるもの」などの言い方であれば伝わるはずだ。これを提示できなければ、つまり携帯していない状態で訪問出張買取を行えば、罰則の対象になる。
もし被害にあったら「クーリングオフ制度」を利用
細心の注意を払っていても、ずる賢い悪徳業者はうまく契約成立まで誘導する場合がある。売ってしまってから異変に気付いても、その後の対応が分からず泣き寝入りしてしまうケースも少なくないのだ。
もちろん被害に遭う前に気付くのが一番いいのだが、万が一商品を引き渡してしまった場合の対応法も知っておくことが大切だ。
クーリングオフ制度の内容と有効期限
クーリングオフ制度は、「勢いで売買してしまった物を、もう一度頭を冷やして考え直す」という意味がある。つまり、悪徳業者のしつこい押し買いや脅迫に逆らえず売ってしまっても、契約成立から8日間以内は引き渡しを拒否することができるのだ。
ところが、このありがたい制度も利用できない状況に陥ることがある。それは、悪徳業者の連絡先が分からなくなってしまった場合だ。きちんとした業者であれば、居所が不明になることはまずありえない。
相手の在籍確認は名刺や公式サイトで念入りに
取引時には名刺や相手の携帯番号を控えるようにしよう。出来れば名刺に記載の買取店が実在するのか公式サイトの確認、更には本当に在籍しているメンバーなのか公式サイトからお問い合わせすることで在席確認まで行うと完璧だ。連絡がつかなくなった場合には、早急に消費生活センター等に相談する必要がある。
可能ならばこちらから依頼する
訪問出張買取の詐欺被害は、その大半が電話や訪問での勧誘から始まる。当然、いらない物は早く換金できると嬉しいものだが、そんなに急いでひとつの業者に決めてしまう必要もないだろう。自宅に入ってくる買取のチラシなども注意して欲しい。
電話や玄関先で二つ返事をしてしまう前に、まずはインターネットで色々な業者をリサーチしてみてほしい。勧誘先の会社名が分かれば、その会社の評判を検索してみるのも賢明だ。バイセル、福ちゃん、ブックオフ、ハードオフ、セカンドストリート等の大手買取店であれば安心できるかもしれないが、どこに依頼するにしても出来れば当サイト「ヒカカク!」でも買取店の評判を検索することが出来る。訪問出張買取を行っている会社はたくさんあるので、自分が一番信頼できる業者へ依頼できれば言うことなしだ。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
インターネットでは情報が溢れているから…と不安なのであれば、知人に相談してみると良い情報が集まるかもしれない。
業者を見分けるには「下調べ」が最重要
ここまでのまとめで、重要なポイントを少しは理解していただけただろうか。訪問出張買取の悪徳業者とそうでない業者を見分けるには、何よりも「下調べ」をすることが重要なのである。
押さえておきたいポイントとしては、
- ・売りたい物の相場を知っておく
- ・業者の身分や目的を明確にしてもらう
- ・契約時、書類のやり取りは必須
- ・「行商従事者証」の提示を求める(なければ罰則の対象になる)
これらは業者を招く前にしておくこと、または悪徳業者かもしれないと思ったときの対応方法だ。前述したように、買い取ってもらう業者をいち早く決定する必要はない。勧誘されたからと言ってすぐに家に招き入れる必要もないし、しつこい業者には大きな態度で拒絶することもできるのだ。
ときには「疑う心」を持って被害を防ぐ
このような詐欺被害者に女性や年配者が多いのは、逆らえない悪徳業者の態度が大きく関係していると言える。恐怖心から有無を言わさず契約を成立させるのは、業者の狙いでもあるのだろう。はじめは拒否していても、最悪の場合暴力事件に巻き込まれるということもあり得るのだ。
そんな恐ろしい経験をしないようにするには、やはり家に招かないことが大切。怪しいと感じたら家のドアは開けず、トラブルに発展するようであれば警察に通報して助けを求めなければならない。
また、金銭のやり取りでは特に「疑う心」を持つ必要がある。業者は家族や友人ではないので、相手を信頼するまでには時間をかけなければならないのだ。
優良な業者であれば、こちらの質問にも納得できるように丁寧に答えてくれるだろう。実際に査定や契約に進んだあとでも、少しでも疑問に思ったら遠慮なく質問を投げかければいいのだ。そうしてお互いが安心できるよう、正確にコミュニケーションをとることで信頼関係を築いていくのである。