モーリス(MORRIS)は、イギリス発の自動車ブランドである。自動車事業をスタートしたのは1913年。最初に発表した2人乗り乗用車オックスフォードが大きな話題を呼び、年間5万台販売した。

Morris Minor / Peter Turvey
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モーリスとは?
高品質、低価格
モーリスとは、1910年にウィリアム・モーリスが創業した自動車メーカーである。1890年頃からヨーロッパでは自転車ブームが巻き起こっていたため、モーリス社もはじめは自転車製造メーカーとして創業を始めた。しかし、創業後数年もしないうちにウィリアムの興味は自動車へと移り、1913年には最初のブルノーズ・オックスフォードを製造している。その後次々をラインナップを増やし、第一次戦時下においても自動車需要は低迷することなく順調だった。モーリス社は性能の良い自動車を低価格で販売する会社として評判を呼び、イギリス国内でのシェアを順調に増やしていた。
モーリスが飛躍した2つの要因
第一次世界大戦後、モーリス社はある2つの方法でさらなる飛躍を遂げる。ひとつはクローズドボディの導入、そしてもうひとつはウーズレー社の買収だ。
クローズドボディとは、屋根が固定されたボディのことで、つまりはオープンカー以外の自動車をいう。当時の自動車は基本的にオープンカー仕様だったのだ。しかし、ウィリアムはアメリカにおいてスチールボディを得意とする自動車メーカーでこれを見た瞬間「これからの時代はオールスチールのクロ-ズドボディだ」と確信し、製造に至ったのである。
モーリス社が飛躍したもうひとつの要因、ウーズレー社の買収。ウーズレー社はもともと別な重機メーカーの自動車部門を担う会社だった。ウーズレー社は航空機用エンジンのノウハウを生かした、OHCエンジンを搭載する自動車で戦っていた。しかし、熾烈な自動車製造争いでケ営不振になってしまったため、これを親会社が売りに出したのである。
これを好機と見たモーリス社が買収したことで、そのノウハウがモーリス社にすべて吸収されたのである。このOHCエンジンはモーリス社の傘下にあった小型自動車メーカーでも取り入れられるようになり、全長3メートルほどの小型スポーツカー「ミゼット」が製造された。このミゼットは瞬く間に大ヒットとなり。モーリス社は一気に自動車争いから抜け出すこととなる。
モーリス社の終わり
第二次世界大戦後、モーリス社は窮地に立たされる。進出したフランスでは自動車の業績不振が重なり、熾烈な自動車製造争いでは目立った個性を打ち出すことができず、1968年、ついに別な会社に吸収されてしまった。モーリスブランドの系譜を持つ自動車自体も、1984年にモーリス社の系譜を受け継ぐ最後の乗用車が生産を終了した。さらに2005年には唯一残っていたMGローバーというモーリス社の系列会社も経営破綻、中国のメーカーへ吸収されて商標権も移ったため、モーリス社の歴史はここで幕を下ろすこととなる。
モーリスの小型車
オックスフォードのヒット後、小型車の開発を始めたモーリスは、業界に先駆けてスチールボディを取り入れ、高性能エンジンメーカーを買収。モーリス・マイナーなどを製造し、大成功をおさめた。モーリス・マイナーは、その後モーリスとオースチンと合併してブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)となった後も、小型車ブランドの主力車種という位置付けで販売された。
人気車種の買取価格相場
モーリスは人気があり、1950年代などの旧車も予想以上の高値で売買されている。主な車の参考買取価格を紹介していこう。
モーリス・マイナー(MINOR)
世界ではじめてミリオンセラーとなった車として有名なモーリス・マイナー。初代は1928年発売。その後、モーリス・エイト、モーリス・テンなどの後継車が作られたが、1948年にロンドン・アールズコートモーターショーで再びモーリス・マイナーの名前で発表されたのが、第2世代モーリス・マイナーである。
2ドア・4ドアサルーンや、2ドアコンバーチブル、ウッドフレームモデル、1953年ごろにはバンやピックアップトラックなども製造された。
コンバーチブル ヘルメットテール(ブラウン)80万円
マイナー1000 コンバーチブル(ホワイト)65万円
マイナー1000 デラックス(グリーン)40万円
モーリス・ミニ(MINI)
日本でも人気の小型車MINIは、現在はBMWグループに属しているが、もともとはBMCがモーリス・マイナーの製造で培った技術をベースに開発した車である。初代はモーリス・ミニ・マイナーとして販売された。
クラシック・ミニの人気は根強く、最新型ではなく旧型を好んで乗っているファンも多い。1960代の車なども300万円以上の高価格で販売されているという人気の高さである。
クーパーS ステージ2ヘッド(グレー)120万円
トラベラー(グリーン)110万円
クーパー MK-I (レッド)110万円
マイナー SU1/2ツインキャブ(レッド)100万円
カントリーマン トラベラー(グレー)88万円
その他の人気車種
日本ではミニやマイナーが有名だが、他の車種もファンの間では評価が高い。カウレー(レッド)の買取価格は88万円程度、モーリス1300GT(ブロンズイエロー)の買取価格は70万円程度が目安になるだろう。
旧車を高く売るポイント
中古車買取業者は、基本的に、車種、カラー、年代などによって査定額を算出するため、機械的に査定すると、旧車は買取価格がかなり下がってしまう危険性がある。安く買われてしまうことのないよう、業者選びは慎重に進めたい。
専門店での査定がおすすめ
モーリスの旧車を売却するのであれば、一般の買い取り店よりも、イギリス車や輸入車の専門店の方がよい。輸入車、さらに旧車となると査定が難しく、国産車中心の買取業者では正しく査定することができない場合があるためだ。たとえばモーリス・マイナーは、1971年に製造終了しているにもかかわらずいまだにオーナーズクラブが存在するような人気車種である。モーリスの価値や需要を理解している専門店であれば、高値査定が期待できるのである。
カスタマイズカーの査定
ミニやマイナーは、パーツも入手しやすいため、カスタマイズしている車も多いだろう。一般的にはカスタマイズカーの売却は難しいことも多いが、ミニやマイナーのカスタムは、専門ショップもあるほど一般的なので問題なく売却できるだろう。
良いカスタムであればプラス査定が期待できるので、好条件で買い取ってもらえる店を探したい。複数店に査定をしてもらい、最高額をつけた業者に売るのが良いだろう。
オークションの注意点
人気が上昇しているオークション。個人間の取引であれば、間に入る業者への手数料なども発生しないため、うまくいけば業者に売るよりも高額で落札してもらえるという点で人気がある。
しかし、個人間取引のためトラブルが多いのも事実であり、リスクも大きい。また、個人売買のため書類関係も全て自分で準備する必要があり、売却するまでに手間と時間を要することが多い。よく調べたうえで、慎重に検討することをおすすめする。
オークション代行のメリット・デメリット
オークション代行とは、代行業者に依頼して、ディーラーや中古買取販売店などの集まるオートオークションに出品してもらうという売却方法である。条件が合えば高額取引ができる可能性があり、個人間売買と比べるとリスクは少ないというメリットがある。
しかしながら、自分の設定した価格で売却できるとは限らず、買い手がつくまで時間がかかる可能性が高いというデメリットもある。また当然のことながら、間に入る代行業者に手数料を支払う必要もある。利用を決める前によく調べ、買取業者に売るのとどちらが良いか、見極めてほしい。