明治から昭和初期にかけての嫁入り道具として名高い桐たんす。令和の時代でも着物の収納に桐たんすは重宝されているが、マンション住まいやフローリングの部屋が増えたことからたんすそのものの需要が減っている。衣類の収納にクリアケースやウォークインクローゼットを使う家庭が増えた現在において、中古品の桐たんすは買取してもらえるのだろうか。
今回は、買取可能な桐たんすや桐たんすの売却先、高値で売るコツを詳しく調べてみた。自宅に使わない桐たんすがあって処分に困っている人はぜひチェックしてほしい。
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桐たんすの歴史と用途
桐たんすは江戸時代中期に誕生した家具といわれている。誕生当時、桐たんすは高級品だったので庶民には手の出せない代物だった。桐たんすが庶民の間に広まったのは、江戸時代末期から明治初期にかけてである。庶民もゆとりのある生活ができるようになり、主に花嫁の婚礼道具として使われるようになった。
大正時代末期から昭和のはじめに作られた三段重ねややしゃ仕上げの桐たんすは、現在で使用されるものの原型となった。このときに桐たんすの普及は最盛期を迎えることとなった。しかし、昭和初期の太平洋戦争で生活スタイルが激変したことから、桐たんすが使われることが次第に減っていった。
現在では、結婚した娘に花嫁道具として桐たんすをおくる親はほとんどいないため、需要も減っている。
しかし、需要が減るなか、有名産地や作家ものなど一部の桐たんすは着物愛好家の間で根強い人気がある。また、楽天やAmazonなどオンラインショッピングでは洋室向けの桐たんすが3万円~5万円前後のお手頃価格で売られている。昔ほど人気のある家具ではないが、桐たんすの需要は完全にゼロになったわけではない。
桐たんすのデメリット・デメリット
ここでは、桐たんすのデメリットとデメリットを紹介していく。
メリット
桐たんすを使う主なメリットは次の2つである。
防カビ・防虫効果が高いので衣類が痛まない
桐たんすは湿気に強いためカビが生えにくく、虫を寄せつけないメリットがある。そのため、大事な衣類を長く保存できる家具といえる。桐は空気をたくさん含む木材。その性質を生かして梅雨や夏など湿度が高い季節になると、水分を吸収して木材がふくらみ、たんすの内部に湿度を通さない特徴をもっている。
一方、乾燥する冬には、木材にたまった水分を発散して元の状態にもどる特徴がある。たんす内部に湿気を通さず、1年中一定の湿度を保つのでカビが生えにくいのである。また、桐にタンニンという抗菌・防虫効果に優れた成分が大量に含まれていることも、桐たんすにカビが生えにくい理由の1つといえる。
耐火性バツグンなので燃えにくい
耐火性が優れているところも桐たんすのメリットだ。桐はほかの木材と比べて火がついたり、燃えたりする温度が高い燃えにくい木材である。火事にあったときも表面は黒焦げになっても内部は無傷だったというのはよく聞く話。それだけ桐たんすは耐火性バツグンで何代にわたって使い続けることができる収納家具といえる。
デメリット
桐たんすは防湿性、防虫効果、耐火性に優れているメリットがある一方で、材質がやわらかく傷つきやすい特徴をもっている。特に昔ながらの砥の粉仕上げの桐たんすは、手あかがつきやすく、汚れが目立ちやすい。そのため、小さい子供やペットのいる家庭では、桐たんすの利用はあまりおすすめできない。
時間がたつにつれて、上品な黄色から赤茶や黒っぽい色に変色しやすいのも桐たんすを使うデメリット。特に制作前に十分なあく抜きをしていない安い桐材をつかった桐たんすや砥の粉仕上げのものは、変色が目立ちやすい傾向にある。
買取OKな桐たんすとNGな桐たんすのちがい
一部の着物好きやDIYが趣味の人をのぞき、現在の住宅事情では部屋のスペースをとる桐たんすを収納家具に使う人はあまりいない。衣類の収納にウォークインクローゼットや衣装ケースを使う人が増えていて、たんすは不要と考える人も少なくない。
たんす自体の需要が減るなか、中古の桐たんすは買取してもらえるのだろうか。買取してもらえる桐たんすと買取を拒否される桐たんすのちがいを調べてみた。
買取OKな桐たんすの特徴
次の条件に当てはまる桐たんすは、中古品の買取業者のなかでも買取強化対象するケースが多い。
伝統工芸品に指定された桐たんす
経済産業大臣から伝統工芸品に指定された有名産地の桐たんすは、ほとんどの買取業者で高額買取の対象だ。伝統工芸品に指定された有名産地に、新潟の加茂桐箪笥や埼玉の春日部桐箪笥大阪泉州桐箪笥などがある。特に加茂桐箪笥は、国産性桐たんすで7割以上のシェアを占める人気メーカーだ。桐たんすといえば、加茂桐箪笥を真っ先に思い浮かべる人が多いのではないだろうか
伝統工芸品の桐たんすには著名な作家が手がけたものがたくさんある。田澤謙介、吉沢昭次、石川鬼千などが手がけた桐たんすは高額買取されやすい傾向にある。そのほかにも、飛騨家具、府中家具など老舗の有名家具メーカーの桐たんすは高値で売れることが多い。
アンティーク品の桐たんす
生産地特有の歴史や文化の中から生まれた民芸品の桐たんすも高値で売れる傾向にある。特に宮城の仙台箪笥や新潟の佐渡箪笥、山形の庄内箪笥などが有名だ。江戸や明治、大正など100年以上前に作られた桐たんすは、アンティーク愛好家に人気が高い。特に骨董品や遺品専門の買取業者が積極的に買取することが多い。
板の厚さが4cmある胴丸と大丸の桐たんす
板の厚さが4cmある胴丸と大丸の桐たんすも中古市場で売れやすい傾向にある。胴丸、大丸とは桐たんすの板の厚みをさす用語のことだ。特に大丸はたんすの中でも最高級品の部類に入るので中古市場で高額買取が期待できるといわれている。
買取NGの桐たんすの特徴
買取業者が積極的に買取する桐たんすがある一方で、査定対象外となる桐たんすもある。手元にある桐たんすが買取NGでないか査定前に確認しておこう。
安い桐材で作られた既製品
中国産の安い桐材で大量生産された既製品の桐たんすは、再販しても売れる可能性が低いため、買取を断られるケースが多い。有名産地でない、有名作家の作品でない桐たんすも買取を断られることもたびたび耳にする話だ。
キズや汚れがある状態の悪いもの
修理やクリーニングができないほど深いキズや汚れがひどい桐たんすも買取を断る業者が多い。無料の引き取りすら断る買取業者も珍しくない。修理やクリーニングをしても再販できないからである。
桐たんすを高く売るコツ3つ
売れるものと売れないものの差が激しい桐たんす。査定前に桐たんすを少しでも高く売る方法を3つ紹介しよう。
日頃の手入れをまめにする
桐たんすに限らず、一部の希少価値の高いアンティーク品を除き、中古品は商品の状態が悪いと査定額が大幅に減額される傾向にある。高額買取をねらうなら、桐たんすを湿気のない場所に設置したり、こまめに換気したりしてカビを生やさないようにしよう。南向きや南西など日差しの強い部屋に設置する場合は、変色防止の保護シートをかぶせておくことをおすすめする。
こわれた部品や貼られている紙や布はそのままにする
アンティーク品の桐たんすだと取手が外れていたり、鍵がこわれていたりする場合もある。買取業者で修理に出すのでこわれた部品はそのままにしておこう。自分で修理依頼をすると修理代が高額になることも多い。高い修理代を払った割には査定額が大幅に減額されることも珍しくないため、こわれた部品はそのままの状態で査定に出すようにしよう。
部品だけでなく、桐たんすに貼られている紙や布もはがさないよう注意してほしい。一見、何の意味もない紙や布が高額買取の対象となるケースも多いからだ。
購入時期、購入金額など入手経路を調べておく
調べることができれば、桐たんすの購入時期、購入金額など入手経路を査定前に確認しておこう。購入時期や購入金額が査定額に影響するからだ。詳しいことがわからない場合は、わかる範囲のことを買取業者に伝えるようにしよう。
桐たんすの売却におすすめの買取業者
桐たんすの高額買取を宣伝しておきながら、有名産地や有名作家が作ったもの以外は無料引き取りも断られるケースが多い。数ある買取業者のなかでも、ノーブランドのお手頃価格の既製品や状態が悪い桐たんすも積極的に買取する業者を2つ紹介する。
ラフジュ工房
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ラフジュ工房は、アンティーク家具の専門店だ。家具買取サービスもおこない、国内と海外の幅広いジャンルのアンティーク家具が買取対象である。家具以外にも骨董品や古い美術品の買取も積極的におこなっている。
ほかの業者が買取拒否をする安い既製品の桐たんすや保存状態が悪いものも買取対象とする場合がほとんど。全国対応の出張買取をおこなっているので、店頭に持ち込みするのが無理な人でも安心だ。通販で買った安い桐たんすやキズや汚れがいっぱいあって、査定に出すことを迷っている人は相談してみてほしい。
美乃里商店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美乃里商店は、骨董品や古美術品などアンティーク品専門の買取業者。100年以上前の古い桐たんすならキズや汚れがひどいものでも買取した実績がある。入手経路や作家不明の桐たんすも査定対象となる可能性が高い。祖父母や親せきの遺品の桐たんすの処分に困っている人は、査定依頼に出してみるとよいだろう。
美乃里商店も関東甲信越地方を中心に全国対応の出張買取をおこなっている。関西や九州など遠方に住んでいる人も査定に出す買取業者の1つとして選択肢に入れてみてほしい。
買取NGの桐たんすの処分方法
買取業者やリサイクルショップに桐たんすを持っていき、買取や無料引き取りを断られたときは次の方法で処分しよう。
フリマアプリやオークションサイト
自分で売買の取引をするのが面倒でなければ、フリマアプリやオークションサイトでの売却をおすすめしたい。場合により買取業者よりも高値で売れることがあるからだ。メルカリとヤフオクで2019年6月時点の桐たんすの出品状況や販売価格の相場を調べてみた。
メルカリ
桐たんすの出品数は132件あり、販売価格の相場は1,000~10万円前後だ。通販の既製品から人気メーカー、アンティーク品までとさまざまな種類の桐たんすが売られている。5,000円~3万円前後の価格帯の桐たんすが売れやすいようだ。
商品説明で難ありと記載されている桐たんすでも販売価格2万円前後で売れていた。安い既製品の桐たんすや汚れがひどいものを高値で売りたい人におすすめの売却先といえる。

ヤフオク
ヤフオクの桐たんすの出品数は208件だった。落札価格の相場は1,000円から20万円である。全体の傾向として伝統工芸品や有名な作家の桐たんすはが高値で落札されやすいようだ。
有名作家・水科政治がてがけた加茂桐たんすが落札数25件、最高落札価格5万2,100円だった。人気ブランドや有名作家の桐たんすを高値で売りたい人はヤフオクに出品してみるとよいだろう。

粗大ごみとして処分
お金はいらないから手っ取り早く処分したい人は、自分が住む自治体の粗大ごみに出すことをおすすめする。自治体によるが桐たんすのような箱物家具の処分料は、だいたい2,000~3,000円だ。
安く処分できる反面、自分で自治体指定のごみ収集場まで桐たんすを持っていく必要がある。家具が大きすぎて簡単に外に運び出せない人は、不用品回収業者に依頼しよう。

不用品回収業者に依頼
桐たんすのサイズが大きくて持ち運びができない、2階にあって外に出すのがむずかしい人は不用品回収業者に頼んで処分することをおすすめしたい。不用品回収業者の処分料は、5,000~1万円が相場である。
外への持ち運びは不用品回収業者がおこなうため、桐たんすは部屋に置いたままで構わない。重たい桐たんすを自分たちで外に持ち運ぶのは無理な人におすすめの処分方法である。ただし、2階に桐たんすを設置してあり、外に搬出するさいにクレーンなど必要なときは、処分料とは別に作業費が発生するので注意しよう。

まとめ
衣類の収納にたんすを使う人が減ったことから、それと比例して桐たんすの需要も昔と比べて減っている。しかし、桐たんすは防湿性に優れていて、防カビ・防虫効果があることから、一部の着物愛好家に今でも根強い人気がある収納家具だ。
特に加茂桐箪笥など有名山地の桐たんすや有名作家の作品、アンティーク品は中古品でも高値で売れやすい。手元に使わない桐たんすがある人は、今回紹介した記事を参考にして売却することをおすすめしたい。