絵画などの減価償却資産の取扱いが改正された平成27年1月1日以降、会社経営者や個人事業主、富裕層といった人達が、美術商や買取業者に美術品投資の問い合わせ行う事例が急増している。また近頃では、美術品投資に隠された意外なメリットを紹介するサイトも増えているため、今後も現物資産投資の中で絵画やなどへの注目は高まり続けると捉えて良いだろう。
当ページでは、富裕層だけでなく一般企業においても関心度の高まる美術品投資について、そのシステムやメリット、デメリットといった基礎知識を徹底解説していきたい。
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美術品投資とは何か?
将来的な転売により利益を得る目的で絵画やブロンズ像などの美術品を購入することを、美術品投資と呼ぶ。
例えば、現代アートに詳しいコレクターが「この作家は将来的に価値が高まる」と見込んで絵画作品を購入すれば、それは美術品投資に繋がる行動と考えられる。また投資を行うメリットが増えた近頃では、美術品に詳しいコレクターだけでなく一般的な法人や個人事業主の間でも、美術品投資が注目され始めているのだ。
美術品投資はどんな人に好まれるのか?
国際金融グループ・バークレイズによる調査によると、日本人富裕層は自身の純資産のうち約9%を嗜好品資産といった形で保有していることがわかっている。またその内訳としては、49%が美術品、37%が骨董品とされているため、投資的価値の有無に関わらず日本人富裕層の多くが絵画などの作品に高い関心があると捉えて良いだろう。また美術品や骨董品に興味を示すのは、その多くが比較的年齢の高い層であることもわかっている。最近ではウイスキーやワインなどのお酒、ポケモンカード、MTGなどのトレーディングカードやNIKEのスニーカー、レトロゲーム、クラシックカーなど様々な現物資産への投資も強まっている。
投資ではなく投機目的の人も多い
ここで注意すべきなのは、日本人富裕層の多くは、所有作品の市場価値が60%上昇したタイミングで売却に向けて前向きになる実態だ。これだけ高い数字の回答が出てくる背景には、富裕層の美術品コレクターが所有する美術品に値段が付けられないほど貴重である実態も大きく関係している。要するに流通が少ないために言い値で売ることが出来るのだ。
また嗜好品資産のうち15%は投資ではなく投機目的での所有となるため、人によっては利益を得るよりも収集や資産を所有する喜びを優先する方々も存在するとも言えそうだ。
償却資産の扱いにおける見直しが美術品に投資する人達を増やした
バークレイズの調査結果から投資目的の富裕層がそう多くないと考えられる美術品も、平成27年1月1日より始まった新たな償却資産の取扱い条件によって、幅広い層の人々の間で注目されるようになった。
[Q1] 今回の通達改正の内容はどのようなものですか。
[A] 改正前の通達の取扱いでは、1美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、2取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していました。 しかしながら、美術関係の年鑑等は複数存在しその掲載基準がそれぞれ異なるのではないか、また、20万円という金額基準は減価償却資産かどうかを区別する基準としては低すぎるのではないかといった指摘があったため、美術品等の取引価額の実態等についての専門家の意見等を踏まえ通達の改正を行いました。
改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしました。
なお、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能です。
(注)取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。
新制度において減価償却資産となる美術品には、30万円〜100万円という取得価額の条件がある。また、この範囲内で購入した美術品であれば経費計上できるため、これまで高額な美術品に手が届かないと感じていた会社経営者などがこのカテゴリの投資に注目し始めたことにより、嗜好品資産の所有層が大きく変わったと捉えて良いだろう。
美術品投資への人気が高まる理由と意外なメリット
美術商や画廊に多くの問い合わせが生じる背景には、美術品投資ならではとも言える下記5つの魅力や市場動向が大きく関係している。
展示によるメリット
美術品を中心とした嗜好品資産には、飾る・見る・周囲の人達を楽しませるといった特徴がある。特にこれから紹介する減価償却資産としてのメリットを得るためには、会社の応接室や会議室、ロビーといった場所に、購入した美術品を展示しなければならない。
実際に社内に絵画を飾っていると、「室内の雰囲気が良くなる」とか「美術品に詳しいお客様との会話が弾む」などのメリットも得られるため、展示という使用目的が高いハードルにならないことも、多くの法人が美術品投資に注目する理由のひとつと捉えて良いだろう。
減価償却しやすくなった
平成27年1月1日以降、減価償却資産としての取扱いが変わった美術品は、この投資資産に詳しくない人々でも経費で購入しやすくなった。また従来の制度のように「歴史的価値のある書画骨董はNG」とか、「絵画の場合は号2万円まで」といった細かな条件もなくなったことで、美術品を減価償却資産や投資対象とすることへのネガティブなイメージも緩和したと捉えて良さそうだ。
また減価償却を行った場合は、取得価額分の残価を会社側が保有していることにもなるため、美術品は企業にとっての意外な隠れ預金にもなり得る可能性が高いと言えるだろう。
減耗のしにくさ
基本的に飾っておくだけの美術品は、実用性の高いクラシックカーなどと比べて減耗による価値の低下が生じにくい投資資産だ。
当然、会社の会議室などに飾っておけば、乾燥や紫外線などにより多少のコンディション低下は起こり得る。しかし市場価値が高まり続ける人気作家の絵画などであれば、若干の経年劣化が生じていても将来的に高値で売却することは可能と言えるだろう。
美術商におけるインターネットサービスの充実
インターネットが普及した今の時代は、画廊や美術商、買取業者が各社のホームページを充実させることにより、投資を予定する人々が美術品の情報を集めやすくなっている。
また良心的な業者ではサイト内に問い合わせや査定依頼の専用フォームを設けているため、気軽に専門家に質問ができるこの状況も、美術品という投資資産に対する敷居を下げたと捉えて良いだろう。


海外オークションに参加しやすい時代
バブル期に購入された美術品に注目する海外のオークションハウスの中には、日本人向けの窓口として日本事務所を構えるところも多くなった。
また近頃では、高額落札実績の多い香港オークションと提携する美術商も増えているため、投資資産の売却における選択肢が多彩になった現状も美術品投資にチャレンジする人々の不安を軽減させていると言えそうだ。


美術品投資におけるリスクとデメリット
制度改正やインターネットの普及により個人事業主や一般企業の経営者などにも挑戦しやすくなった美術品投資にも、いくつかのデメリットやリスクもある。
目利きの難しさ
美術品投資で高い利益を得るためには、「将来有望な作家」や「今後市場価値が高まるであろうカテゴリ」を見分ける知識が必要となる。
また減価償却による節税を兼ねた美術品投資では、デビューから間もない若手作家も注目度の高い存在となるため、単純に美術が好きとかではなく将来性などを見通せるだけの力がなければハイリターンは見込めないと捉えて良いだろう。
信用できる美術商との出逢い
投資に適した美術品を自分で判断できない場合は、購入先となる画廊や美術商のスタッフに頼らざるを得なくなる。こうした人々のサポートを受ければ、初めて美術品投資にチャレンジする皆さんでもおそらくスムーズ作品選定ができることだろう。
しかし悪質な業者では現在の市場価格よりも遥かに高い売値を付けることもあるため、注意が必要だ。また購入作品を売却する数十年後は現段階で市場動向が全くわからないとも言えるため、長年の経験から予測のできる美術商との出逢いも投資の成功には必要不可欠と考えて良いだろう。
リターンまでの時間が非常に長い
美術品投資は基本的に、5年〜10年以上という長いスパンで保有をする投資資産となる。例えば、最近初めて展覧会入選をした若手作家が10年後、今以上に活躍していれば、今後も引き続き所有し続けることで更なる投資のメリットが得られることとなる。
しかし急な入用などによって早々売却してしまうと、作品の価値が高まらないうちに現金化する結果となるため、10年以上の長きに渡って美術品を所有し続けられない個人事業主や法人にとって美術品投資は適さない方法とも考えられるかもしれない。
減価償却できない美術品もある
美術品の減価償却は、全ての作品に行えるわけではない。取得価額が30万円に満たない美術品については、社内展示目的であってもその年の消耗品として計上する形となる。
また100万円以上の作品の場合は、「時の経過によりその価値の減少することが明らかなもの」という条件に該当したもののみ減価償却可能となるため、美術品の選定時には投資に欠かせない将来性だけでなく購入価格についてもきちんとチェックすべきと言えるだろう。
法人や個人事業主が美術品投資をする場合のポイント
ここからは、美術品投資のリスクを回避するために、多くの法人や個人事業主の方々が実践しているポイントをご紹介していきたい。
設置場所を決める
投資資産となる美術品で減価償却をするには、「事業の用に供していること」という条件を必ず満たさなければならない。そのため、画廊などを訪ねる前に、実際に美術品を置くスペースを確保しておくのがおすすめだ。
絵画を飾る場所が明確になっていれば、そこに入るサイズの作品を選べば良い。これに対してロビーや応接室といった場所が全く決まっていない場合は、実際に買った美術品に対して「意外とサイズが大きくて他のインテリアとマッチしない」といった問題も生じやすくなるため、注意が必要だ。
インターネットのヤフオクやeBay等で相場情報を調べる
美術品投資を始めるなら、インターネットも上手に活用すべきツールとなる。例えば、実店舗で販売されている作品を公開する画廊などのサイトを見ていれば、自社のイメージに合った作家を発見しやすくなる。
またオンラインストアを開設する専門店のサイトでは、販売価格も公開されているため、いくつかのショップのページを見ていれば相場情報についても把握しやすくなることだろう。
美術商に相談をする
インターネットを使って、ある程度の情報を集めたら、画廊などの美術商に相談してみよう。こういった業者への問い合わせ時に、美術品投資だけでなく減価償却による節税目的であることを伝えれば、30万円以上〜100万円未満の取得価額の作品を選んでもらいやすくなる。
またこうした要望を伝え忘れると、額装や輸送費、運送保険料などによって取得価額が100万円を超える可能性もあるため、節税目的の美術品投資なら必ず包み隠さず事情を話すべきだと言えるだろう。
新美術品投資・ACFアートファンドの特徴
美術品投資の業界には、他の投資資産と同じようにアートファンドと呼ばれる会社が存在する。美術品を取り扱うファンドのサービスは、各社大きく異なる傾向がある。
また2002年より日本でサービスを行うACFアートファンドについては海外ファンドとかなり異なる存在となるため、その違いを知っておくことも自社に合ったサービスと出逢う良策になると言えるだろう。
海外には共同購入・分散出資目的のアートファンドも登場
欧米で人気のアートファンドの多くは、数十億円相当の美術品をたくさんの出資者が分散投資するシステムだ。共同購入とも言えるこの形態のファンドに投資をすれば、美術品の保管や経年劣化に頭を悩まれることはなくなる。
しかし減価償却資産の条件となる社内展示は当然できなくなるため、鑑賞や節税といった美術品投資ならではのメリットも得られなくなると言えるだろう。
話題の商品・ACFアートファンドとは?
これに対して日本国内で行われているACFアートファンドは、制度改正後の新しい減価償却制度に合ったサービス内容だ。
専門のアートコンサルタントがマネジメントするACFアートファンドを利用すると、時価率や換金性の有無、将来的なパフォーマンスなどの調査によって投資に適した美術作品を選んで貰えるため、初めて美術品投資に挑戦する皆さんでもさまざまなリスクやデメリットを回避できるのだ。
資産性調査サービスも人気
この会社では、お客様が購入予定の作品に対して助言を行う資産性調査サービスも行っている。こちらのサービスを選択すれば、知り合いの画廊やネットで見つけた作品の換金性や時価率についても、過去5年間の市場調査などの結果から客観的な意見をもらえる。
また1件50,000円と大変リーズナブルな料金設定となっているため、美術品投資におけるリスク回避に繋がる良策と考えれば、お得な内容だと言えるだろう。
ACFアートファンド利用なら節税も展示もできる
新美術品投資と呼ばれるACFアートファンドを利用すれば、海外ファンドの難点とも言える節税や展示の問題を解消できる。またこのファンドは、税制を利用することを目的とした投資商品となるため、節税をほとんど意識しない海外ファンドよりも遥かに事業主にとってのメリットが増大すると捉えて良いだろう。
まとめ
節税、キャピタルゲイン、展示という3つの利点のある美術品投資は、どんな方法を使う場合であっても美術商やACFアートファンドのような専門家の目利きが必要になると言えそうだ。
もし本格的なコンサルティングが受けられるアートファンドに敷居の高さを感じているなら、サイトから無料で問い合わせのできる美術商に相談をしてみると良いだろう。






