買取店では、品物の価値を証明する書類や付属品などがそろっていたほうが高い金額がつくのが一般的だ。日本刀の場合も、登録証の有無で買取価格が変わるのでは、と考えている人もいるだろう。実際、日本刀を売る際には、登録証の有無を確認されることが多い。
ここでは、登録証があるかどうかが、買取にどのように影響するかを検証していく。買取価格への影響も解説していくので、査定の準備をする際の参考にしてみてはいかがだろうか。
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日本刀には登録証がついているのが一般的
刃渡りが15センチ以上ある日本刀は、種類に関係なく登録証がついているのが一般的だ。登録証は約10センチ四方の小さな紙片で、刀剣と一緒に保管されていることが多い。登録証は昭和26年ごろから発行されているので、古い日本刀の場合も通常はついている。万が一、見つからないときには、刀剣の周りなどを探してみよう。
登録証には刀の基本的な情報が記載されている
登録証は、刀剣の種別や長さ、反りなどが記載された書類だ。目釘穴の数や銘なども記録されているため、刀剣の概要をチェックするときにも役立つ。ちなみに、登録証の発行元は各都道府県の教育委員会だ。刃渡りが15センチ以上で、美術品としての価値がある日本刀については、このような都道府県の教育委員会への登録が必要になっている。
登録証は日本刀を売るときに必要な書類
じつのところ、登録証がないと日本刀は売れないケースがある。登録証がそろっていない刀剣に関しては、買い取りを行わないお店もあるため、金額をつけてもらう前の時点で対応を断られるかもしれない。該当する日本刀を持っている人は、登録を済ませておくのがルールになっているため、買い取りの基準を満たしていないとお店側に判断されてしまうこともあるわけだ。
登録証がある場合は、たとえ、「文字が判読しにくい」といった問題があっても、品物と一緒につけたほうがスムーズに取引が進むことは言うまでもない。
登録証がなくても売れる場合もあるが、所定の手続きが必要になる
買取店によっては、登録証がない日本刀でも買い取りをしている。実際、店頭買取や出張買取を行っている日本刀の専門店のなかには、登録証がなくても柔軟に対応しているところがある。ただ、こういったお店を利用する場合でも、登録証がないと売主やお店側が所定の手続きを行う必要がでてくるので、取引に手間取る可能性がある点は了解しておこう。
ちなみに、古い日本刀を見つけたときなどは、本人や家族が発見届を警察署に出さないと買取店に対応してもらうのは難しくなる。
登録証の有無で買取価格が変わるケース
手数料分を減額される
登録証があるかどうかで買取価格が変わる可能性があるのが、例えば手続きの代行手数料分を買取価格から減額されてしまうケースだ。発見届を済ませている日本刀については、買取店が登録手続きを代行してくれるケースも多い。
例えば、登録証がなくても買い取りが可能なお店では、持ち主に代わって新規登録や再交付、名義変更の手続きなどを代行している。このような代行の業務が発生すると、本来の買取金額から減額されてしまう、といったこともあり得る。
新規登録の際には手数料がかかる
一度も登録をしていない日本刀の場合は、新規登録の手続きが必要になる。新規登録の手続きは都道府県の教育委員会で比較的簡単にできるが、手続きの際には約6,000円の審査手数料がかかる。買取店に手続きを代行してもらう場合は、通常の代行手数料に加えてこのような実費負担金を請求されることがあるだろう。あらかじめ必要な費用を考慮して査定の金額を提示するケースもあるため、相場よりも少し買取価格が下がることも考えられる。
再交付の場合も手数料が必要
発行済みの登録証を紛失してしまった、といった場合は、再交付の手続きをして登録証を発行してもらえる。再交付の手続きは、新規登録の場合と同じく都道府県の教育委員会で行うのが基本だが、この場合も3,500円前後の手数料が必要だ。
買取店の代行手数料と合算して請求された場合は、実質的な買取価格がいくぶん下がるかもしれない。再交付の際にも、本来は本人が教育委員会の審査会に出向かなければならない。買取店では、手続きのために一定の労力や時間を費やさなければならないので、代行手数料分を減額されてしまう可能性はでてくるだろう。
名義変更は無料でできるが、代行手数料はかかる可能性がある
日本刀の持ち主が変わったときの名義変更の手続きは、ほとんどの買取店が行っている。名義変更の手続きは20日以内に行うのがルールになっているが、ハガキを送付するだけの簡単な手続きで済み、費用はとくにかからない。
このように実費がかからない場合でも、買取店によっては代行手数料分を計上しているので、買取価格が少し変わることはあるかもしれない。
お店が査定に慎重になる
登録証がない場合、査定を行う買取店が慎重に査定額を出す可能性がある。登録証には、刀剣の種別やサイズといった基本的な内容が記載されているだけだが、登録番号を照会すれば売りにきた本人が持ち主であるかどうかを確認できる。登録証がない場合は、このような確認作業がすぐに行えないため、いくぶん低い金額をつけるお店もでてくるだろう。
登録証がない日本刀は盗品や偽物の可能性もある
登録証がない日本刀は、盗品や偽物という可能性もゼロではないため、お店でも買取に慎重になるケースが多い。登録証を発行している都道府県の教育委員会には、刀剣の持ち主の氏名などが登録されている。したがって、登録証があれば盗品などの違法な品物である可能性は低くなるわけだ。
また、登録証がある日本刀は、すでに都道府県の教育委員会で審査を受けている。刻印されている銘なども確認済みであれば、偽物である可能性も少なくなるだろう。日本刀には偽物も多く出回るため、買取店でも慎重にならざるを得ないというのが本当のところだ。
鑑定書があれば減額を避けられることも
目利きの査定士がいる買取店の場合は、鑑定の際にスタッフが現物を見ればおおよその価値がわかることが多い。例えば、長さや反り、銘の種類などのチェックポイントから、制作された時代や刀工の名前、流派などが識別できる。しかしながら、お店によってはこのような鑑定力のある査定士がいない場合もある。
こういったお店の場合は、登録証がないと偽物であるかどうかの判断がしにくくなるだろう。ただ、このような場合でも、鑑定書があれば少し話は変わってくる。登録証がなくても鑑定書があるときには、査定の際につけておくと減額を避けられるかもしれない。
盗品や偽物というリスクが少なくなるので、品物によっては相場に近い金額で買い取りしてもらえる可能性がある。
日本刀の基準に合わない
登録証がない刀剣は、正確には日本刀に分類されないケースもあるので、買取価格が下がることも十分あり得る。日本刀の登録証は、都道府県の教育委員会で行われている登録審査会で合格にならないと発行されない。したがって、登録証がない場合はその刀剣が教育委員会が定める日本刀の基準を満たしていない可能性があるわけだ。
登録証がない場合は模造刀の可能性もある
一見、日本刀のように見える刀剣のなかにも、模造刀と呼ばれる品がある。模造刀は通常の刀や脇差などと見た目が似ているため、素人には見分けがつかないケースも多い。
例えば、第二次世界大戦中に作られた軍刀などは、日本刀とは異なる製法、材料で作られた模造刀である場合が少なくない。こういった模造刀は、教育委員会の登録審査会でも日本刀として認められないため、登録証が発行されることはない。
登録審査会で合格になる刀剣は、「伝統的な日本刀の製法で作られていること」や、「美術品としての価値があること」などが条件になっているため、模造刀は対象外になる。
模造刀は査定額も著しく下がることが多い
登録証がある正式な日本刀は、1点で100万円以上の金額がつくことも少なくない。一方、模造刀は買取価格が大幅に下がるケースが多い。お店によっては模造刀をいっさい買い取りしない場合もあるので注意をしよう。レトログッズなどを扱う買取店では、日本刀としてではなく骨董品として模造刀を買い取りする場合もある。ただ、このような場合も、買取価格は日本刀とは大きく異なるのが一般的だ。
判断に迷う刀剣は鑑定力があるお店で相談しよう
登録証がなく、自分で模造刀か日本刀かを見分けられないときには、鑑定力があるお店で相談してみよう。日本刀にはさまざまなバリエーションがあるので、鑑定力がないスタッフが査定を行った場合は正確に判別できないことも考えられる。
見極めが難しい品などは、評判のいいお店を探して相談する、複数の買取店で査定を受ける、などの方法をとって高額査定を狙おう。
登録証は自分で取得することもできる
日本刀に登録証がついていない場合、持ち主が自分で取得することも可能だ。専門店の鑑定で日本刀という結果がでた場合や、ヤフオクなどを見て日本刀であることがわかった場合は、自分で新規登録の手続きをおこなって登録証を取得しておくのも1つの方法になるだろう。この場合、必要になるのが次のようなプロセスだ。
- ・警察署に発見届を提出する
- ・登録審査会に出席して審査を受ける
未登録の日本刀を見つけた場合などは、まず警察署に発見届を出すことが必要だ。発見届の手続きは、登録したい刀剣を警察署に持参すればすぐにできるので、時間も余りかからない。発見届の手続きをすると、都道府県の教育委員会から登録審査会の日程が通知される。登録審査会に出席して審査を受け、無事に合格をすれば登録証が発行される。
また、再交付や名義変更の手続きも自分で簡単に行うことが可能だ。あらかじめ自分で登録の手続きを済ませておけば、買い取りを依頼する際にも代行手数料などはかからない。したがって、買取価格が減額されてしまうといった心配もないと言える。買取価格が下がるのを避けたい場合は、査定を受ける前の時点でできるだけ登録証を用意しておこう。
まとめ
日本刀の買取価格が登録証の有無で変わるかについて調べた。登録証がない場合の減額理由は主に、登録手続きの代行手数料分を買取価格からひかれるといった理由が多いようだ。また、鑑定力のあるスタッフがいない業者に関しては、登録証がないと日本刀のそもそもの価値を判断できないために買取不可となるケースもあるようだ。
日本刀の登録証は、住む地域の教育委員会を経由して比較的簡単に発行できるので、高価買取を目指すのであれば、査定に出す前に、自身で行うのがベターかもしれない。
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