今、現代美術は非常に注目されている。かつて日本では、アート作品を家に飾るという習慣になじみがなく、海外に比べてアートが売れないと言われていた。昨今では芸術祭などの広がりから政府や経済界もアート市場の活性化への期待を寄せていると報じられている。
また人々のアートへの関心が高まり、「アートを購入したい」という人が増えている。この背景には、ネットで検索すれば作家や市場の情報が簡単に手に入り美術品購入の心理的障壁が下がったことが挙げられる。さらには「美術品購入は資産運用になる」という考え方が身近になったことでリスクなどを勉強した上で美術品を持ちたいという考えもあるようだ。
今回は、現代美術の作家の中でも数々の受賞歴を誇り、注目されている作家の一人である名和晃平をご紹介しよう。この記事を参考に、現代美術と名和晃平について知識を深めていただきたい。
本記事のポイント
- 名和晃平は日本だけでなく世界から注目される現代美術家
- 立体作品は高額査定になる傾向がある
- 投資・投機目的で購入したい場合に念頭に置きたいこととは?
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
名和晃平とは、どんな作家か?
名和晃平とは、どのような作家なのか。名和晃平のつくり出す世界と代表作、経歴、受賞歴などとまとめた。
名和晃平のつくり出す世界
名和晃平氏は、今、日本だけでなく世界から注目される現代美術家である。現在、京都造形芸術大学大学院特任准教授などを歴任した。ガラスビーズやプリズムシート、発泡ポリウレタン、ビーズ、シリコーンオイルといった多彩な素材を使い、その特性を生かした最先端のテクノロジーで彫刻を制作し空間を表現する。
その製作活動の軸となっているのが、Pixel(画素)とCell(細胞・器)を組み合わせた独自のPixCellという概念。「ものの表皮」に注目して、現在の情報社会におけるデジタルとアナログの間を揺れ動く体と知覚、感性のリアリティを表現し、問い直す作品を作る。
代表的シリーズに「PIXCELL」が挙げられる。これはパソコンの画面に現れるイメージ(Pixel)をインターネットを介して収集、モチーフの全体をすべて透明の球体で覆い、表面を全て同じ質感と距離感に変化させた。その作品は見る者に独特の知覚体験をもたらすと言われている。
これまでの経歴
1975年、大阪府に生まれる。1998年に京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻を卒業後、2000年に同大学の大学院美術研究科彫刻専攻修了。2003年には同大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了博士号(美術)取得している。
2010年に京都造形芸術大学大学院特任准教授、総合造形コース主任に就任した。現在京都を拠点とて、国内だけではなく、中国(北京)、イタリア(ミラノ)、イギリス(ロンドン)、ドイツ(ハンブルグ)、アメリカ(カリフォルニア)など海外でも個展を開催。
ジャンルの垣根をこえたさまざまなクリエイターとのコラボレーションを展開している。その活躍から現代美術の中でも現在の注目株と言える。
最近では2018年にパリのルーヴル美術館内のガラスのピラミッドにおいて作品を展示。「Throne」と名付けられた10メートルをこす大作で、黄金に輝き人々の注目を集めた。日本各地の山車や神輿の歴史がモチーフとなっていて、3Dモデルによる造形と京都の職人の手仕事を融合させて作られている。
代表作
名和晃平の主な代表作は次のとおりだ。
- ・PixCellシリーズ:鹿の剥製などをガラスビーズで覆った作品
- ・Transシリーズ:人体の3Dスキャンにさまざまなエフェクトを施すことで制作した彫刻作品シリーズ
- ・Manifold(2013):高さ13mにおよぶアルミニウム製の巨大彫刻で「情報・物質・エネルギー」がテーマとなり仮想の3次元空間の中で造形をおこなった作品
主な受賞歴
名和晃平の受賞歴も紹介していく。
- 2004年
- 咲くやこの花賞「美術部門」(大阪市)
- 2005年
- 京都市芸術文化特別奨励者
- 2007年
- 平成18年度京都府文化賞奨励賞受賞
- 2008年
- 六本木クロッシング2007(森美術館)未来への脈動が特別賞受賞
- 2010年
- 第14回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2010最優秀賞受賞
- 2011年
- 平成23年度京都市芸術新人賞受賞
- 2017年
- 平成29年度京都府文化賞功労賞受賞
- 2018年
- Penクリエイター・アワード2018受賞
名和晃平の作品の価値
名和晃平の作品は国内外で高く評価されている。2011年に東京都現代美術館において公立館初の大規模個展を開催した。日本の現代アートの作品ととしてはじめてメトロポリタン美術館に作品が収蔵された。
2012年に鹿の頭部の剥製をビーズで覆った「PIXCELL・GREATER KUDU」がサザビーズ香港のオークションでおよそ5,000万円で落札された。作品の価格は高騰していて、2014年にタグボートで15万円で販売されていた「PixCell・Karuta#1」が、2016年にSBIアートオークションで41.4万円になり、価格は約2.5倍になっている。
22.5万円で販売された「PixCell・Hanafuda#3」も52.9万円の値がつくなど、これも価格が2.5倍に上がり、安定した成長を続ける。日本の現代美術界の先頭をいき、けん引する最も注目される若手アーティストであり、今後も国際的な活躍が大いに期待されている。
名和晃平の作品の買取相場
美術品の買取相場を出している業者は少ない。美術品の査定は難しく、買取業者の方針によっても買取価格が異なってしまうからだ。一般的に、作品の大きさや材質、保存状態など、さまざまな要因で価格が大きく変動する。
名和氏の作品は、その大きさが高さ40センチほどのものから13メートルをこえる巨大な作品もあり、もともと価格もバラバラで大きな差がある。美術品専門の買取業者に価格を調査したが、すべての業者でまず実物の写真を見るか直接見てみないと価格は言えないという回答だった。ただし、上記のようなオークションでの価格は一つの参考になる。
名和氏の活躍とともに価格も上昇しているため、購入後数年でも価格が以前よりも上がっている、ということもあるだろう。実際に名和氏の作品の買取実績のある業者もあったが、価格は非公開ということだった。
価格を公開している買取業者の事例としては、ミライカ美術の「PixCell-Key#5 」180万円と「PixCell-Shoe」220万円。シンワオークションという美術オークションの価格予想「PixCell-Banana#1」である香港ドル2万〜3万円(日本円約30万円〜40万円)がある。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品を売るのはどこが適切か
美術品の売却を考えるなら、個人でネットオークションに出すことはとても危険だ。美術品には偽物も多く、トラブルになりかねない。美術品には本物であるという保証のための保証書や鑑定書がついてくるがこの保証書や鑑定書も、信頼できるところから購入しないと鑑定書ごと偽物という可能性もある。
本物か偽物かどうかの鑑別は、素人判断では難しく、プロの鑑定士も悩むほど高度な作りの偽物まで存在する。金額が大きくなればなるほど、トラブルになった時の代償も大きくなる。
売却先を考えるなら、専門知識の豊富な鑑定士のいる美術品専門の買取業者をおすすめする。不安がある場合、オークション代行をおこなう買取業者も多数あるため検討しよう。買取かオークションへの出品か選ぶことができ、オークションへの出品も慣れているプロがやってくれる。美術品が一番高値で売れる方法を考えるのは、自分一人で悩むより買取業者を頼った方が賢明だ。
LINE査定に対応している買取業者
ここで美術品専門の買取業者をいくつか紹介したい。査定依頼するときの参考にしてほしい。
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品専門の総合美術買取センターは、絵画をはじめ、多種多様な美術品を買取をおこなっている。20年以上の経験を持つ業界トップの鑑定士が豊富な知識と経験をもとに鑑定する。特に著名作家の買取価格には自信があり、豊富な買取実績を有する。
電話、メール、LINE、訪問などさまざまな査定方法と買取方法を選ぶことができ、査定料、出張料は無料。営業拠点は東京だが、全国に対応してくれるため、遠方の人でも利用しやすい。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は、書画、絵画、骨董、美術品などあらゆるジャンルに対応し、在籍する鑑定士は27名。取扱実績は130万点をこえる。「無料お宝鑑定会」を全国で開催し、大勢の人でにぎわう様子がテレビで放映された。鑑定方法は、電話鑑定、写真鑑定、来店鑑定、宅配鑑定、出張鑑定と、5種類から選べる。
また鑑定歴40年を誇り、「おじゃマップ」や「とくダネ!」など人気番組への出演をはじめ、メディアへの出演回数が多いため、美術品に興味のある方は目にしたことがあるかもしれない。単なる高価買取だけではなく、次の世代へ大切に受け継ぐ方々への橋渡しをモットーに、丁寧に鑑定し対応してくれる。
出張買取に対応している買取業者
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画や美術品に特化したアート買取協会は、年間30,000点以上の買取実績があり、創業から15年以上の買取経験を誇る。取り扱う品目が幅広く、取扱作家数は国内外で1200人をこえ業界随一と言われる。
同業の買取業者が弱点とするような遺品整理や相続、管財人など税務問題が関わるケースの経験も豊富で、同業者から相談が来ることもある。さらに法人や企業、公官庁からの問い合わせも来るほどの信頼感がある。
営業拠点は全国に7店舗で、出張費無料で出張買取にも対応する。幅広い情報網があり、作家や作品の価値に精通した経験豊富なスタッフが対応してくれる。
なんぼや
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
全国に多数の店舗を持ち、幅広い美術品の買取をおこなっているなんぼや。駅から近い立地の店舗が多いため利用しやすく、近くに店舗があるという人は作品を持ち込んでの店頭査定も可能だ。
豊富な販売ルートを持ち、1,000万円以上の高額商品であっても現金での支払い可能な豊富な資金力がある。査定料、キャンセル料、振込手数料、宅配買取時の送料、キット代金、出張買取時の出張料などが全て無料だ。
美術オークション
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品の買取実績は30年以上で多様なジャンルに対応している美術品・絵画買取センターは、業界トップの鑑定士がプロとして迅速に査定をおこなう。査定額に自信があるからこそ、査定後のしつこい電話やアポイントなしの訪問をするような悪質な営業活動はおこなわない。
自社開催のアートオークションを毎月開催し、常にうつりかわる市場の相場を熟知している。また、お預かりという形で自社のオークションへ出品も受け付けている。このため査定額よりも高く売却できる場合もあり、大きなメリットだ。
毎日オークション
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
毎日オークションは、インターネットだけのオークションとは本質的に異なる。クリスティーズやサザビーズといった世界的にも有名な海外オークション会社と全く同じ業態で運営されており、取扱点数は国内最大級の、本格的美術品オークションである。自社のオークション会場を保有し、全作品のしっかりと確認後、実際にこの会場でオークションが開かれる。
オークションは誰でも参加でき、参加料は無料。売却に際しては買取だけでなく、プライベートセール、オークション出品も含め作品にとって最も適した売却方法を検討、提案してくれる。
美術品を高く売るためのコツ
美術品を売るということは、少々面倒と感じる方もいるかもしれない。確かに、梱包や査定依頼など手間のかかる作業が多い。しかし、美術品を売るということは、その大切な美術品がよりその価値を高められる場所へ引き継がれるということ。高く売るコツをまとめたため、ぜひ参考にしてほしい。
納得のいく業者を探す
美術品は、大きい作品は持ち運んでの店頭査定や、宅配査定のときの梱包に手間取ることもある。しかし、まずはオンライン査定や写真を使ったLINE査定などをうまく使い、いくつかの業者に査定依頼をしてみよう。
業者間で価格に大きな差が出るのはよくあることだ。業者を1つだけに絞るよりは、複数の業者に相談することで最も適した売却方法が見つかるだろう。
査定依頼は早めにしよう
美術品の相場は常に動いており、査定に出すと価格がはっきり決まるまで時間がかかることがある。場合によっては、1〜2週間ほどかかることもあるだろう。その間に他の人が同じような作品を売りに出すと価格が変動し、思っていた価格と違うなんてことにもなりかねない。
また、保管中に万が一傷がついてしまっては、減額の対象になる。売却を検討するなら早めの決断が重要だ。だが査定後のキャンセルにキャンセル料がかかる業者もあるため、初めに確認すると良い。
まとめ
現在、日本でもアートと生活は近いものとなり、日常の中でも目にする機会が増えてきた。アート作品のある空間は人の心を豊かにし、時間の流れを変える。立ち止まって物事と向きあることができると、気付かされる。
かつては美術館でしか目にすることはなかったが、今では地域行政、ビジネスシーンなど、多様な場面でアート作品が使われるようになった。アート作品の需要の増加に伴い、新たなコレクターが増えていく。彼らがアート作品を購入するのは、単純にアートを楽しみたいという目的の他に、投資も目的の一つになる。
美術品市場の価格の上昇は、おそらく今後も続くと予想される。国内や世界で活躍する日本人も増えてきた。名和晃平はそのうちの一人で、これからの彼の活躍はおおいに期待される。
現時点で美術品をお持ちで今後飾る予定のない作品は、売却の検討も選択肢の一つとしてあっても良いのではないだろうか。前述の通り物には劣化のリスクが必ずあり、劣化してしまうとせっかくの作品でも価格が下がってしまう。大切に保管されているとは思うが、万が一を考えて保管に気を使うくらいなら、売りどきは美術品に関心が高まっている今かもしれない。