松林桂月は、明治・大正・昭和と3つの時代で活躍した日本画家である。日本国内はもちろん海外でも高い評価を得ており、精密な描写や漢詩を取り入れるなど、作品の品格の高さから「最後の文人画家」とも呼ばれている。
ここでは、松林桂月の作品の買取相場や高く売るためのコツを紹介する。松林桂月の作品を所蔵する人は、買取に出すときの参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 松林桂月氏は文化勲章を受章。文化功労者にも選ばれた人物
- 結核で、30歳まで生きられないと言われながら書き続けた
- 涙で濡らしてしまった思い入れの深い作品も
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日本画家・松林桂月の略歴とは
松林桂月は1876年に山口県萩市で生まれ、幼少のころから絵を得意としていた。小学校卒業後は地元の素封家の援助で上京し、本格的に絵の勉強を始める。1894年には幕末から明治にかけて活躍した南画家の野口幽谷に師事し、高い技術を身につけるとともに南画の表現に新たな世界観を生み出し、若干30歳で南画界の重鎮と呼ばれるまでになった。
1906年には官展の中心画家で日本南宗画会を結成し、1919年には帝展の審査員、1944年には帝室技芸員となるなど、めざましい活躍をした。また、1947年には日中文化協会理事、1948年には日本美術協会理事、1954年には日展運営委員会理事となるなど、日本の文化や芸術に大きく貢献した。
1958年には文化勲章を受章。文化功労者にも選ばれ、1961年には日本南画院の会長となり、1963年に永眠後は従三位勲二等旭日重光章を受章している。素晴らしい作品を残すとともに、日本の文化や美術の発展にも尽力した人物である。
松林桂月の日本画作品
松林桂月の作品はどのようなものがあるのか、画法や創作された年代、代表とする作品を見てみよう。
南画
松林桂月の作風は、南画と呼ばれる画法を特徴としている。南画とは中国の元や明の時代の絵画に影響を受けて江戸時代後期に起こった画派であり、水墨を主体として柔らかな筆遣いによる山水画である。松林桂月の作品は水墨による山水画が主であるが、博物館に所蔵されている作品は彩色による鮮やかな作品も多い。
最盛期
松林桂月の最盛期は、40代後半～60代だとされている。この時代には、代表作となる多くの傑作が創作されたほか、桂月の作品の特色である右上から左下に終結するという独自の構図が明確に確立された時期でもある。一枚の絵の中にストーリーを含ませた構図となっている。
代表的な作品
松林桂月の代表的な作品は「怒涛健鷲」「潭上余春」「秋水群雁」「山楼鎖夏」などが挙げられる。特に「怒涛健鷲」は1909年に日本美術協会展で二等褒状を受けた記念すべき作品であり、桂月自身が命を削って挑戦した作品でもある。
作品の創作時に桂月は結核を患っており、30歳を超えるまで生きられないかもしれないと医者に宣告されていた。桂月は命の限り難しい作品に挑戦しようと、波・岩・猛禽をテーマとした作品を描いた。
それぞれのテーマは表現方法が異なるため、高い技術がないと描き切ることができない題材である。同門からは冷やかされ、師である幽谷も親切心から手を貸してくれようとしたが、自分で描きたいと涙を流し訴え、絵絹を汚してしまったとも伝えられている。そのため、桂月にとっても「怒涛健鷲」は思い入れの強い作品である。
松林桂月の作品の査定のポイント
松林桂月の作品を査定に出すときには、査定のポイントをおさえておくことが大切である。では、査定ではどのようなポイントが重要視されるのか見てみよう。
本物であること
松林桂月は水墨画において人気の高い作家であるため、贋作も多く出回っている。そのため、査定においては本物であることが査定の重要ポイントとなる。本物か贋作かは落款などからある程度わかるが、素人には判断が難しいため、プロの鑑定士に鑑定してもらうのが良いだろう。
買取業者のなかには、無料で鑑定してくれるところもあるため、利用するのも手である。本物であれば数十万円の値がつくこともあるが、贋作の場合は全く価値がなくなってしまい、買取を断られてしまうだろう。
付属品がそろっている
査定で重要視されるポイントには、付属品がそろっていることもあげられる。付属品とは、額縁や箱、桂月が描いたことを証明する書物や保証書などである。付属品がすべてそろっていることが本物である証ともなるため、査定のときには全てセットで出すのが賢明だ。
作品の状態
査定では、作品の状態も査定のポイントとなる。カビが生えていたり、紫外線にあたり変色していたり、破れたりしているものは、人気の高い作品であっても価値が下がってしまう。そのため、最善の状態で保管するべく日頃から気をつけることが大事になる。
桂月の作品には掛け軸も多いが、床の間の日あたりが良いと紫外線により変色したり絵絹が劣化したりしてしまう恐れもある。また、倉庫に入れっぱなしでは湿気でカビが生えることもあるだろう。定期的に風をあてるなどして湿気を飛ばす必要がある。
松林桂月の作品を高く売るコツ
松林桂月の作品をできるだけ高く売るには、コツを知っておくことが大切だ。では、高く売るためのコツとはどのようなものがあるか紹介しよう。
基本的には美術品買取業者に依頼する
松林桂月の作品を買い取ってくれる業者は、美術品買取業者だけでなく一般的な買取業者やリサイクルショップなどもある。しかし、専門の鑑定士がいない業者の場合は、市場の価値よりも安い査定がつくことが多い。松林桂月の作品であることを考慮せずに、査定されることもある。そのため、基本的には美術品買取業者や美術オークションに依頼するのがベストである。
複数の業者の査定を受ける
美術品買取業者といっても、査定の金額はそれぞれで異なる。ある業者が20,000円と査定しても、別の業者は150,000円の査定を付けることもある。そのため、査定は複数の業者から受けるのが賢明だ。インターネットには一括査定サービスもあり、1度に複数の業者の査定額を知ることが可能である。また、写真査定や出張査定をしてくれる業者もあるため、利用してみると良いだろう。
買取相場の変動を知る
松林桂月の作品は、常に一定の価格で買取されるわけではない。価格は市場の需要と共に変動するため、買取相場の変動を知ることも大事である。人気が高い作品ほど買取相場が高くなる傾向があるため、日ごろからチェックしておくと良いだろう。メディアで取り上げられて作家や作品が脚光を浴びると、需要が高まることもある。
また、松林桂月の買取を強化している業者は、普通の買取額よりも1．5割増し程の査定をしてくれるケースもある。買取業者のホームページなどで確認すると良いだろう。
買取価格を比較する
松林桂月の作品を買い取ってくれるのは、買取業者やリサイクルショップだけではない。ネットオークションやフリマアプリなどでも売ることができるため、それらの価格比較をしたうえで、最終的にどこに買い取ってもらうか決めるのが良いだろう。
まとめ売りをする
複数の松林桂月の作品を持っているなら、1枚ずつ売るよりもまとめて売るほうが高い金額で買い取ってもらえる。松林桂月以外の絵画や美術品でもまとめ売りの対象となるので、探してみると良いだろう。
季節に合わせた作品を売る
松林桂月の作品は掛け軸も多いが、その場合は季節に合わせた作品を売ると買取価格が高くなる可能性が高まる。春の絵ならば冬の間に、雪の絵なら秋に売りに出すと、季節に合わせて掛け軸をかけ替えたい人のニーズに合った作品となるからだ。山水画は常用の掛け軸であるが、ボタンや寒椿などの植物の絵は季節に合わせて買取に出すと良いだろう。
松林桂月の作品の買取相場
松林桂月の作品の買取相場は、買い取ってもらう場所によって異なる。では、松林桂月の作品を売却できる場所と、それぞれの買取相場を見てみよう。
美術品専門の買取業者
美術品専門の買取業者は、美術品の知識が深い専門の鑑定士による査定であるため、価値の高い作品には相応の値段を付けてもらえるのが利点である。作品のサイズや状態にもよるが、買取相場は20,000円～200,000円である。
ネット買取業者
ネット買取業者は店舗に持ち込まずともメールでのやり取りで買取を依頼できるのが便利である。美術品に強い鑑定士が在籍している業者もあるため、きちんと選べば市場価格に応じた買取価格がつくこともある。買取相場は作品の状態にもよるが、10,000円～150,000円である。
リサイクルショップ
リサイクルショップでも松林桂月の作品を買い取ってくれるが、専門の鑑定士もおらず、美術品を目あてにお店を利用する人もいないため高い金額での買取は期待できない。ほとんどの場合、買取相場は2,000円～10,000円である。
ネットオークション
ネットオークションは、登録料や送料などは負担しなければならないものの、入札形式であるため松林桂月のコレクターによって高い金額で落札されることも期待できる。人気の高い作品は、ネットオークションで売るのも悪くないだろう。
買取価格は真作である鑑定付きのもので20,000円～50,000円である。しかし、オークション終了まで時間がかかるため、すぐに売りたい人には向いていない。
フリマアプリ
フリマアプリもネットオークションと同様に送料の負担は必要である。フリマアプリは自分で売りたい値段が設定できるのが利点である。松林桂月の作品も出展されており、2,500円～120,000円と買取相場に幅がある。
なんでも鑑定団
人気テレビ番組「開運！なんでも鑑定団」でも、作品が持ち込まれたことがある。その際の評価額は、「萩」150,000円（2020年10月6日放送）、掛軸250,000円（2018年3月27日放送）であった。
絵画を買取に出すときに気を付けること
絵画を買取に出すときは、いくつか気を付けるべきことがある。では、どのようなことに気を付けるべきであるのか見てみよう。
目立つ汚れはきれいにしておく
絵画を買取に出す前には、目立つ汚れはきれいにしておく必要がある。さっとホコリを取るだけでも、大きな違いとなる。ただし、乾いた布で拭いても取れない汚れは、無理に取らないほうが良いだろう。作品の価値を損なうことがあるため、汚れたまま持ち込むほうが無難である。
買取業者の評判を調べる
買取業者は全国にたくさんあり、評判が良いものもあれば悪いものもある。買取のお金が入金されないなど、トラブルに巻き込まれることがないように、事前に評判を調べておくことも大切である。
LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターはLINE査定はもちろん、さまざまな買取方法で日本全国対応している。営業拠点は東京に１点集中させ運営コストを抑えることで高価買取を実現している。
緑和堂
買取価格
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ポリシー
ウイルス
対策
関西、中部、関東エリアを中心に骨董品や美術品の買取や販売を行っている緑和堂。出張買取も出張費無料で行っておりLINE査定も実施している。日本画家の松林桂月は買取強化中の作家であり高価買取が期待できる。ホームページには松林桂月の紹介や略歴などが掲載されている。
出張買取に対応している買取業者
おいだ美術
買取価格
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ウイルス
対策
画廊の聖地・銀座に店をかまえて３０年余のおいだ美術。日本画、洋画から現代アートまで絵画作品を中心に年間2000点を越える豊富な買取実績がある。松林桂月の作品は高価買取対象であり、「新緑（絹本）」「寒林（絹本）」「富士（水墨画）」の買取実績がある。
日晃堂
買取価格
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
全国出張買取を実施している日晃堂では松林桂月とその代表作「怒涛健鵰」や「潭上余春」を詳しく紹介しており、高値での買取が期待できる。
まとめ
松林桂月の作品は、本物であること、付属品がそろっていること、状態が良いことが査定のポイントであるため、その部分をしっかりおさえて高額査定を目指すと良いだろう。また、買取業者だけでなく、ネットオークションやフリマアプリでの買取相場もチェックするなど、リサーチに力を入れることも高く売るためのコツといえるだろう。
