織田広喜は哀愁のある都会的な作品を描くことで知られているともに、二科展の理事長を務めたほか、フランス政府芸術文化勲章・シュヴァリエを受章したり、没後従四位を授けられたりといった高い評価を得た画家である。そんな織田広喜の作品の買取相場や価値についてまとめてみた。所蔵している織田広喜の作品を売却するつもりの人は参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 織田広喜は苦しい家計の中で絵を描き続けた作家
- 少女をテーマにした作品が多く、モデルは妻のリラだと言われている
- 買取業者、オークション、フリマ別の取引事例

CONTENTS
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画家・織田広喜の略歴とは
織田広喜は1914年に福岡県に生まれた。幼少期は父が病気がちで苦しい家計を助けるために、陶器の絵付けや提灯の図案書きなど、さまざまな仕事をして過ごした。もともと絵は好きであるものの貧しいため、画家になることは反対されていた。しかし、油絵の指導を受けていた犬丸琴堂が母親を説得して上京するに至った。
金銭的な余裕はなく住み込みで働き、お金を貯め日本美術学校に入学し、藤田嗣治、岡田謙三、鈴木信太郎などの教員の師事を受けた。学校を卒業後も作品の製作を続けるもののなかなか受賞には至らなかったが、1940年、26歳にして初めて二科展に入賞した。
37歳のときに二科展の受賞パーティーで知り合ったリラと結婚し、2年後には息子が生まれ、画家としての認知度も高まるなど人生が軌道に乗り始める。46歳で単身でフランスに渡り、その1年後にはリラと息子を連れてフランスへ赴き、スペインやイタリアなどへ取材旅行に出かけ更に作品の幅を広げた。
晩年リラは病気で寝たきりになってしまうが、献身的な看病をしながら作品作りにも力を注いだ。織田広喜の作品は女性をテーマとしたものが多いが、モデルは妻のリラだとされている。画家として、また愛妻家としての人生を全うした。
織田広喜の作風と代表作品
織田広喜の作品は、彼の人生を投影するように幸せでありながらも儚さや寂しさが漂っているのが特徴だ。生前彼は、作品は見たままを描くのではなく「想像し嘘をつくこと」が必要だと語っている。それゆえ、織田広喜の作品は現実と想像が交錯した幻想的なものが多い。
少女シリーズ
織田広喜は少女をモチーフにした作品をたくさん描いている。少女が背景に溶け込むように描かれているのが特徴で、暖色系で温かみのあるもの、茶系で哀愁の漂うものなど、少女という題材でありながらも異なる印象の作品に仕上がっている。また、右目と左目の大きさが違い、鼻や口においても形が左右対称ではなく、独特のバランスで描かれているのが印象的だ。
賛歌
賛歌は1950年の二科展に出品された作品で、この作品によって二科展の会員に推挙されている。全体的に黄土色の色調で、賛美歌を歌う4人の女性、空に舞う天使、教会と宗教画のような趣がある作品である。500号の大きな作品であるが、35枚の描き古したキャンバスを繋ぎ合わせて作られている。
二科展会員の高岡徳太郎が気に入ったため1万円で手放したが、その後大阪の画廊に買い取られ、所有者が変わるたびに価格が上昇し、最終的に5000万円の値が付いた。織田広喜は20点の自信の作品と交換に賛歌を引き取り、開館準備が進んでいた織田廣喜美術館に寄贈した。
織田広喜の絵画作品の買取価格相場
織田広喜の作品は美術品買取専門店で買い取ってもらえるほか、ネットオークションやフリマアプリでも売ることができる。では、それぞれの買取相場や特徴などについて説明しよう。
美術品買取専門店・美術オークションの買取相場
美術品買取専門店は、絵画や墨絵、陶磁器など美術品を専門に扱っている買取店である。洋画や日本画など、それぞれの分野の知識が豊富な査定員が在籍するため、価値の高い作品は高値で買い取ってもらえるのが特徴だ。
店舗に持ち込んで買い取ってもらうほか、出張買取や宅配買取などもあり、自分の生活スタイルに合わせて売り方が選べるのも魅力である。高額な買取価格でもその場で現金で支払ってもらえ、スピーディーに現金化できるのも利点だ。美術品買取専門店での織田広喜の作品の買取相場は次のようになる。
織田広喜の買取実績・買取相場・落札歴
- 「パリ風景」油彩 500,000円(マレットオークション)
- 「町角の女たち」油彩 300,000〜400,000円予想(SHINWA AUCTION)
- 「ヨットのある風景」油彩 150,000円(マレットオークション)
- 「モンマルトル風景」油彩 150,000円(SHINWA AUCTION)
- 「帽子の少女4号」油彩 30,000円~50,000円(アート買取協会)
- 「パリメリーゴーランド6号」油彩 60,000円~80,000円(アート買取協会)
- 「少女」ガラス絵 20,000円~40,000円(アート買取協会)
- 「夏の夜」不詳 30,000円(SHINWA AUCTION)
- 「衿巻きの女」不詳 15,000円(エコリング)
ネットオークションの落札相場
ネットオークションはオークションサイトに出品して作品を売却するという方法だ。欲しい人がどんどん入札していき、最終的に驚くような金額で落札されることもある。織田広喜の作品もネットオークションに多数出品されており、高い金額で落札されているものも多い。
配送する手間や落札金額の10%ほどを出品手数料として支払わねばならないなどの決まりはある。ネットオークションの織田広喜の作品の落札相場は次のようになる。
ヤフオクでの落札歴
- 「得意なアンニュイな少女4号」油彩 180,000円
- 「月夜の女性15号」油彩 113,000円
- 「森の中の少女F4号」油彩 90,000円
フリマアプリの売却相場
フリマアプリもネットオークションと同じように、フリマサイトに出品して個人に販売する方法である。フリマアプリの特徴は自分で価格を決めて出品することで、納得できる金額で売却できるのが利点だ。
ただし、あまりにも相場とかけ離れた金額で出品すると売れないことがある。美術品買取専門店の買取価格やネットオークションでの落札相場を調べ、相場とかけ離れない程度の価格に設定するとよいだろう。

また、売却金額がすべて自分のものになるわけではなく、出品手数料として売却額の10%ほどを払わねばならない。フリマアプリの織田広喜の作品の売却相場は次のようになる。
メルカリでの落札歴
- 「少女6号」油彩 50,000円
- 「帽子の少女」不詳 28,500円
- 「裸婦」水彩 15,800円

絵画の価値の判断基準
絵画の価値は素人には理解しにくいものであるが、美術品買取専門店の査定で基準とされるのは、作家・作品名、保存状態、サイズ、作品の種類、付属品である。
画家・作品名
画家・作品名は名の知れているものほど価値が高く、査定価格も高い。額縁の裏のシールに作家名と作品名が記載されており、画家のサイン付きのものは価値が高くなる。織田広喜は画家としての知名度も高いため、作品の価値は高く作品によっては査定金額が100万円を超えることもあるかもれない。
保管状態
作品の保存状態は絵画の価値を左右する。変色や退色、シミ、破れなどが目立つ絵画は価値が低く、査定価格も低い傾向がある。そのため、絵画を飾ったり保管したりするときは、紫外線が当たらない場所に置くことが大切だ。
また、湿気でカビが生えることもある。そのため、倉庫などに保管している場合は半年に1回ほどの頻度で風通しの良い場所に置き湿気を取る必要があることも忘れないようにしよう。
サイズ
絵画はサイズによって価値が違ってくる。一般的にはサイズが大きいものほど高い査定金額が付く。ただし、家庭で飾れるサイズのものの人気が高まっているため、小さいサイズでも高額買取されることもある。
作品の種類
作品には油絵や水彩画などの肉筆画や、リトグラフなどの版画といった、様々な種類がある。油絵や水彩画など1点ずつ手書きで描かれるものは価値が高く、大量生産が可能なリトグラフや版画は価値が低い傾向がある。
付属品
絵画には鑑定書やフレームなどの付属品が付いているが、それらがすべてそろっているほど作品の価値は高くなる。有名な画家ほど贋作が多いため、鑑定書によって本物だと証明することが大事である。
また、絵画は画自体だけでなくフレームも念のため持っていきたいところだ。絵画は、フレームから取り出さずにそのまま査定に出すことがベストである。
高く売るためのテクニック
絵画を売るときに、目についた買取店に持って行くだけでは後でもっと高い金額で売れる店を見つけて悔しい思いをする可能性が高い。高く売るためのテクニックを使い、より有利な条件で売却することが大事だ。
複数の買取店の買取価格を比較する
絵画を買取する美術品買取専門店はたくさんある。どこも同じ金額で買い取るわけでなく、それぞれ異なる買取金額を提示してくるため、複数の買取店の買取価格を比較することが大事である。
作品によっては、数万円~数十万円の違いが出ることもあるだろう。また、買取店だけでなくネットオークションやフリマアプリの価格と比較することも大切だ。
査定前にセルフクリーニングをする
絵画がホコリを被ったり、フレームが汚れたりした状態で査定に出すと、査定員の心証が悪くなり減額されることもある。査定に出す前にはできる限りきれいな状態にするためにセルフクリーニングをすることが重要だ。フレームについたホコリを払ったり、目立つ汚れをふき取るだけでもOKだ。
絵画にシミやカビなどがある場合は、自分で取ろうとすると変色させたり破いたりする可能性もあるため、そのまま持ち込む方が無難である。シミやカビを取るために薬品を使うのは禁物である。
まとめ売りをする
複数の絵画を所有している場合は、まとめ売りをするのも高く売るテクニックである。織田広喜の作品だけでなく、息子で洋画家の織田広比古の作品と一緒に売ったり、そのほかの画家の作品と合わせて売るとよい。
買取店は1点ずつ買取るよりもまとめて買い取る方が手間や人件費も節約できるため、その分を買取金額にプラスしてくれる。まとめ売りの数が多いほど、プラスされる金額も高くなる傾向がある。
価格交渉をする
絵画にはブランド品のように定価が無いため、提示された査定金額が高いのか低いのか判断しにくい。しかし、ほとんどの買取店で最初に提示される査定価格は、出せる最高額よりも低い金額であるのが一般的だ。そのため、最初に提示された査定価格をすぐに了承するのではなく、価格交渉することが大事になる。
提示された金額の2割から3割増しの価格で交渉をして、少しでも高い金額で買い取ってもらえるよう努力しよう。最初にいくらで買い取って欲しいと告げておくと、その金額に近づくように査定してくれることもある。場合によっては、他者の見積額を交渉素材にすることも可能だろう。
LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
クーリングオフ制度を導入している総合美術買取センター。各ジャンルに応じた鑑定士が査定してくれるという。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術の大手買取業者である八光堂。織田広喜の買取事例もあるようだ。
出張買取に対応している買取業者
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
各作家のプロフィールに買取相場を載せていることが多いアート買取協会。織田広喜も例外ではなく、「帽子の少女4号」「パリメリーゴーランド6号」「少女」の買取相場を明記していた。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大手買取業者であり、買取ナンバーワンの実績を誇る本郷美術骨董館。テレビ出演も多くしている。
まとめ
織田広喜は知名度も高く受賞歴の多い画家であるため、作品によっては100万円以上の高額買取が期待できる。倉庫の中で眠らせている作品や絵画があるなら、買取店の買取価格を調べたり、ヤフオクなどのネットオークションやメルカリなどのフリマアプリの売却金額をリサーチしたりして、最も高く売れる方法で売却するとよいだろう。また、高く売るためには普段から保管状態に気をつけることも大切だ。