格安SIMやMVNOの普及により日本国内のタブレットやスマホ生活が多様化しつつある近頃では、SNSなどで紹介されているメリットに影響されて海外版・香港版iPadに注目するユーザも多い実態がある。しかしながら国内のApple Storeなどの正規店では購入できない海外版・香港版iPadには、技適や日本の格安SIMが使えるのかといった不安要素も少なからずあるようだ。
そこで今回は、ネット上でも注目されている海外版・香港版iPadを日本で暮らす方々が使うメリットとデメリットから見えてくる。こうした商品の購入や使用をする上で注意すべきポイントを皆さんと一緒に確認していきたい。
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海外版・香港版iPadを買うメリット
一般の人にとって縁遠い存在とも言える海外版・香港版iPadは、下記のメリットに着目するユーザの間で注目度の高い存在になりつつある。
安さ
まず海外版・香港版iPadは、さまざまな中古スマホ専門店で安くお得に購入しやすい商品だ。例えば2018年4月のイオシスでは、大量入荷した海外版SIMフリー版iPadの中古品が17,800円〜の店頭価格で販売されていた。このときの入荷商品は、全てが香港版だったようだ。
これに対して新品未使用の海外版iPadの場合、アメリカ版などを現地購入すれば10,000円ほど安くなるといった話もネット上で見受けられる。しかしながら日本在住のユーザがEXPANSYSなどの個人輸入業者を使った場合、送料や手数料などにより日本版SIMフリーのiPadより高くついてしまうケースもあるようだ。
シャッター音を消せる
価格面とは関係なく海外版・香港版iPadに注目するユーザの多くは、シャッター音やスクリーンショット音を消せる機能を求める傾向がある。例えば、飲食店などの静かな場所で写真を撮るときにシャッター音の消音ができれば、周囲の雰囲気を壊すことなく美味しい料理などの思い出をiPad内に残すことができる。
また台湾版のiPadに関しては、シャッター音やスクリーンショット音の音量調整が可能となっているようだ。したがって、こうした日本版のiPadにはない機能の中には、製造国や販売国によって仕様に多少の違いがある実態を頭に入れた上で、自分のニーズに適した端末選びをするのが理想となるだろう。
外観、物珍しさ
香港モデルや台湾モデルのiPadを買う人の中には、アメリカや日本にはない外観や表記に惹かれる方々もわずかに存在している。例えば、中国大陸で使われているiPadやiPhoneの場合、製造国や製造年、簡単な注意事項といった表記が全て中国語で書かれている。
したがって、外観の色やAppleのアイコンが見える透明ケースやカバーをつけている場合、一見ニセモノのようにも見える中国語表記のiPadを友人や家族に自慢することも可能となるだろう。また中国大陸の場合、簡体字ではなく整体時表記となっている。そのため、こうした密かなこだわりで海外版に注目するのも、少し変わった選び方と言えるかもしれない。
海外版・香港版iPadを買うデメリット、注意点
一部のユーザを魅了するメリットのある海外版・香港版iPadにも、下記のように選択する機種や使い方によっては難点になりかねないポイントがいくつか存在している。
- ・保証サービス
- ・日本でおこなう修理交換
- ・対応周波数
- ・技適マーク
- ・日本版と異なる機能
- ・付属品の形状
- ・日本の格安SIM利用の問題
そこでここからは、前述の注意点について、これから海外版・香港版iPad購入や買い替えを予定する皆さんと一緒により詳しい内容を確認していきたい。
保証サービス加入方法、加入条件、修理交換
海外購入したiPadやiPhoneにも、延長保証サービスのApple Care+はつけられる。
国によってサービス内容に違いはある?
しかしながら実際にApple Storeや電話サポートスタッフに加入相談をした人のブログによると、担当者によっては日本と海外では保証内容が微妙に異なるという理由で加入不可の返答がくることもあるようだ。
しかしながら実際は、Apple Storeの店頭だけでなく電話サポートでもAppleCare+の加入ができるシステムとなっている。また国によってサービス内容に若干の違いはあるものの、アメリカと日本であればほぼ同じサポートが受けられる形となるようだ。
日本で修理交換するときには要注意
上記のポイントを抑えてAppleCare+の加入申込みをした場合、日本だけでなく海外でも故障端末の交換などをおこなえる。しかしながら例えば、香港版iPadを日本で交換した場合、交換品は国内販売されているモデルになってしまう実態があるようだ。
そのため、シャッター音の調整や消音のできる台湾版iPadを日本のApple Storeやサービスプロバイダに修理交換に出した場合、次の端末はシャッター音の出る国内版のモデルになってしまう。そのため、特別な仕様や機能にこだわりがあって海外版のiPadを使っている人は、日本国内で交換や修理をすることへの想定もある程度はしておくべきだと言えるだろう。
海外版・香港版iPadと技適マークの問題
日本で安全にマナーを守ってiPadやiPhoneを使用するときには、技適マークのついた海外版モデルを選ばなければならない。
技適マークとは?
日本では、国内で使用するスマホや携帯電話、タブレットなどに、電気通信事業法や電波法で定めた技術適合基準で認証された端末であることを証明する技適マークの表示を義務付けている。したがって、日本のApple Storeやドコモショップなどのキャリア会社、家電量販店で購入した新品端末であれば、基本的に技適マークがついていると捉えて良いだろう。
技適マークのない海外版iPadは問題がある?
まず電気通信事業法で定めた基準をクリアしていない機器は、電気通信事業者から接続を拒否されてしまうことがある。また日本の法律では、技適マークのない携帯電話やスマートフォン、通信機器でLTEやWi-Fi、Bluetoothなどの電波を使うことを一部の無線機を除き基本的に禁止しているようだ。
そのため、技適マークのないiPadを日本国内で使うと、電波法違反で100万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役といった罰が課せられる。また公共性の高い無線を妨害する電波法違反をした場合は、250万円以下の罰金または5年以下の懲役になることもあるようだ。そのため技適マークのないiPadを日本で使うことは、明らかな法律違反であると捉えてほしい。
技適マークのない海外版iPadでのトラブル
技適マークの付いていない通信機器の多くは、無線機の技術基準や送信出力、使用チャンネルといったルールを守っていない。そのため、こうしたiPadを国内で使った場合、他の電波に干渉してしまう恐れがあるようだ。
そのため例えば、技適マークのないiPadやスマホが消防や救急、警察などの電波を干渉した場合、緊急性を要する無線の妨害が起こることもある。またこうした無線の多くが災害や人々の命に関わる大事な役割を担っている実態を考えると、技適マークのないiPadを安易に使う行為が社会に悪影響を及ぼすこともあると捉えた方が良いかもしれない。
技適マークの有無はどこで確認できるの?
Apple製のiPadやiPhoneの場合、設定→一般→法律に基づく情報の中に技適マークが表示されている。したがって、外国旅行や出張先で海外版・香港版iPadなどの購入をしてくるときには、自分で端末操作をおこない日本の技適マークがあるかどうかの確認をするのが理想となるだろう。
また自分で現物を確認できない状況で海外版・香港版iPadを買うときには、型番などから技適マークの付いたモデルであるかどうかの確認を必ずしなければならない。
日本版機能の問題
現在の端末でおサイフケータイを使っている人は、これから購入予定の海外版モデルにFeliCa機能が搭載されているかの確認もしなければならない。多くのユーザが使用するiPhoneを例にすると、iPhone7の海外版にはおサイフケータイの機能がなかった。
そのため、これから買うiPadで引き続きEdyやSuicaといった支払い方法を使いたいときには、FeliCaを含めた機能面での注意が必要となるだろう。また今使っているiPhoneやiPadと同じ機能を求める人は、国内版SIMフリーモデルの中から選択するのが確実と言えそうだ。
充電アダプターの問題
海外版・香港版iPadの本体や付属品は当然、販売国の仕様でつくられている。したがってこうした商品を日本で使う際には、ACアダプタやダックヘッドと呼ばれるコンセント部分を日本仕様にしなければならない。
ちなみにネット上には、実際に香港版iPadを購入したユーザがAppleのコールセンターに問い合わせをおこない、在宅自己修理用のダックヘッドのみを480円で購入したブログ記事も掲載されている。しかしながらスペシャリスト対応となったこの事例に目を通すと海外版の付属品に関する相談をAppleにする人は非常に少ないと捉えて良いかもしれない。
海外版・香港版iPadは日本の格安SIMで使えるの?
海外版iPadやiPhoneが日本国内に多く流通する近頃では、こうした端末に格安SIMを入れて普通に通信できたという声がインターネット上に多く存在する。しかしながら実際は、外国で製造された全てのiPadやiPhoneと日本の格安SIMの相性が良いというわけではない。
Wi-Fiモデル?セルラーモデル?
まず日本のMVNOや大手キャリアのSIMカードを入れるときには、カードスロットの付いたセルラーモデルを購入する必要がある。国内の中古スマホ専門店やヤフオクなどでは、海外版SIMフリーや海外版SIMロックフリーなどと書かれた商品が、いわゆるセルラーモデルであると考えられる。
これに対して香港や台湾などの現地で買い物をする際には、その端末がWi-Fiモデルではないことをきちんと確認しなければならない。端末のどこかに設けられるケースがほとんどのカードスロットは、一般の皆さんでもすぐにチェック可能な存在だ。そのため、海外の中古専門店などで買い物をするときには、必ず現物を見るのがおすすめとなるだろう。
SIMフリーiPadの回線
カードスロットのあるSIMフリー版のiPadであっても、全てのモデルが日本で使えるわけではない。iPadやiPhoneには、モデルや型番が異なると対応する通信方式や周波数が大きく異なる実態がある。そのため、端末の側面で物理的にSIMカードの挿入ができるスロットの確認ができても、そこに格安SIMを入れればすぐに通信可能というわけではない。
こうした形で周波数やモデル番号によって使える地域の異なるiPadを買うときには、どこで作られた商品をどの国で通信するかの確認を最初にする必要がある。そのため、このような複雑な事情がわからず渡航先での判断が難しいときには、海外版SIMフリーを取り扱うゲオモバイルやイオシス、じゃんぱらなどの国内販売店で購入するのが理想となるだろう。
格安SIMメーカーの動作保証
ちなみに楽天モバイルなどの大手MVNO会社では、ホームページ内で動作確認済み端末の一覧を掲載している。したがって、各社のリスト内に購入予定のモデルがある場合は、海外版iPadに格安SIMカードを入れて問題なく通信できると捉えて良いだろう。
これに対して動作確認済みの端末一覧に購入予定の海外版・香港版iPadの型番が書かれていない場合、通信や動作面のサポートをキャリア側でおこなうことはできず、完全自己責任で使う形となる。そのため、外国でiPadの購入予定がある人は、買い物をする前に今契約中のMVNOサイトで動作確認済み端末一覧をチェックしておこう。
格安SIM会社で動作確認されていないiPadは使っちゃいけないの?
動作確認済み端末一覧に未記載のスマートフォンやタブレット端末は、その会社のSIMカードを入れて通信通話のテストがおこなわれていない商品だ。しかしながら日本に限らず世界にたくさんの通信端末が発売される近頃では、MVNO会社側で全商品の動作確認が追いつかない実情があるとも言われている。
そのため、自分の契約する格安SIMのサイトに購入予定の海外版iPadの記載がない場合は、そのMVNOのSIMカードと端末の組み合わせで通信をおこなったユーザブログなどの有無をインターネット上で確認した上で、比較検討をするのもひとつの考え方と言えるかもしれない。
まとめ
シャッター音や外装デザインの部分で国内版にはない海外版・香港版のiPadは、ここまで紹介したさまざまなポイントをきちんと確認した上で購入すれば、日本の格安SIMを入れて問題なく国内で通信可能であると考えられる。
チェック項目の多さや複雑さにより自分の現状に合った海外版・香港版のiPadの購入をする自信がないときには、海外版SIMロックフリーのiPadやiPhoneを取り扱う日本国内の中古スマホ専門店などで買い物をするのがおすすめとなる。
こうしたショップを利用すれば、自分の契約する格安SIMとの相性などの相談もスムーズにおこなえる。また近年の中古スマホ専門店の中には、店頭でMVNO販売するところも増えているため、海外版SIMフリーのiPadと格安SIMを同時購入、同時契約してみても良いかもしれない。








