テクノロジーの発展とともにさまざまな商品の模造品が増加してきており、偽物かどうかを見抜くのはますます困難になってきている。特に、高級時計については、よほど時計に詳しい人でもない限り、少し見ただけでその真偽を判断するのは容易ではない。
そこで、以下では高級時計メーカーの代名詞でもあるブライトリングについて、同社の歴史を概観したうえで、本物と偽物の見分け方について、いくつかのポイントを紹介する。
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ブライトリングとは
ブライトリングは、時計大国として知られるスイスを代表する時計メーカーの一つである。時計を主力商品としているが、そのモットーは「時計ではなく計器である」というものである。
これは同社と航空業界のつながりを如実にしめしており、もともと航空機向けのさまざまな計器を製造していたという歴史をうかがい知ることができる。
航空機向けの計器メーカーとして有名
ブライトリングは、1884年にレオン・ブライトリングによって創業された「G・レオン・ブライトリング」という時計工房が前身である。この工房は、彼の息子であるガストンによって引き継がれ、さらにその息子のウィリーが3代目を継承することとなる。
同社が大きく発展する契機となったのは、1939年にイギリス空軍から大量のコックピットクロックを受注したことがきっかけであり、これによって航空機向けの計器メーカーとしての地位を確固たるものとしていくこととなる。
主力商品クロノマットを発売
第二次世界大戦中の1939年には、同社を代表するクロノグラフとなる「クロノマット」を発売しているが、このとき販売されたものは回転ベゼルが計算尺となっているユニークなものであった。なお、クロノマットは現在でも同社の主力商品の一つであるが、機械式自動巻となっている現在のものと異なり、当時のものは手巻き式であった。
ブライトリング・ジュネーブに引き継がれる
戦後の1952年には本社をジュネーブに移転しており、1962年にはアメリカの宇宙開発計画として知られるマーキュリー計画の一環として作られた宇宙船・オーロラ7号の乗組員がブライトリングのコスモノートという時計を持って宇宙に旅立っている。
ところが、会社が順調に成長していると思われた1979年に社長のウィリー・ブライトリングは、突如として会社を閉じることを決め、間もなくしてこの世を去ることとなった。その後、アーネスト・シュナイダーによってブライトリング・ジュネーブが設立され、ブライトリングの歴史は同社に引き継がれることとなる。
モータースポーツに参入
会社が新しくなってからも、1984年にイタリア空軍に商品を収めるなど航空業界との関係は続くこととなった。また、モータースポーツにも参入しており、2003年にはベントレーがル・マンに参入するにあたってそのパートナーとなるなど、航空機以外の乗り物にもブライトリングの計器が用いられるようになっている。
加えて、2009年には、レッドブル・エアレース・ワールドシリーズに参戦すべく、ブライトリング・レーシングチームを結成するとともに、このレースのオフィシャルタイムキーパーにもなっている。
フライト・チームを運営
ブライトリングはさまざまなフライト・チームを運営しており、その一つが7機のジェット機を有する曲技飛行体であるブライトリング・ジェットチームである。
このチームは、同社の本拠地であるスイスではなくフランスを拠点として活動しており、パトルイユ・ド・フランスというフランスのパイロット養成所出身者が多く所属していることでも知られる。また、ブライトリング・ウィングウォーカーズというチームは、女性ダンサーが航空機の主翼の上でパフォーマンスをおこなう世界的にも珍しいチームである。
時計の外見からブライトリングの偽物を見分ける
ブライトリングは航空機向けの計器を製造していただけあって、非常に高度な技術を有しており、それが時計にも採用されていることから模造するのは簡単ではないと思われがちである。
しかしながら、実際には巷に類似品や模造品などの偽物が出回っているのが現実であるため、これをいかにして見抜くかが重要となる。なお、時計職人でもない限りは、時計の中までチェックすることは容易ではないため、以下では外見から本物と偽物を見分けるポイントについて見ていくこととしよう。
刻印
ブライトリングの時計には、裏ぶたに同社の刻印が刻まれているのが特徴であるが、本物の場合には誰でもそれと分かるようにくっきりと凹凸が浮き出ているはずである。
この刻印は比較的複雑な形状をしており、固い硬度を有する時計の素材に刻み込むためには、しっかりとした製造工程を踏む必要がある。この点、偽物の場合にはなるべく手数をかけずに製造しようとする傾向があることから、この刻印がはっきりと刻まれず、ぼんやりとしか見えないものも多くある。
そのため、刻印を見て同社のマークがはっきりと見えなかったり、文字の掘り込みが浅いような場合には、偽物と判断することが可能である。なお、裏ぶたはあまり目につく部分ではないが、刻印によって偽物か本物かを見分けることは素人でもわりと容易であるため、まずはここをチェックしてみるとよいだろう。
時計の針
まず、見るべきポイントとしては、時計の針がある。一見すると見逃しがちであるが、本物は重厚な作りになっており、本体にしっかりと接着されているのに対し、偽物は針そのものが簡易な作りとなっており、軽くくっつけただけのように見える。
また、本物の針はやや立体的な形状をしているが、偽物は平面的でいかにも簡単に作れるような感じを受けるものとなっている。このため、針を見て仕上がりに違和感があるようであれば、偽物である可能性を疑ってもよいであろう。
ベゼルのエッジ部分
ベゼルとは、時計の風防の周囲に取り付けられているリング状のパーツのことをいう。簡単に言うと時計の表面の外周に沿って取り付けられているリング状の部品であるが、ブライトリングの本物の場合はこのベゼルの側面にあるエッジが丸みを帯びた形状となっているのが特徴である。
この丸みを帯びたエッジを切り出すためには、高度な金属加工の技術が必要とされる。偽物の場合はエッジ部分が角ばっていたり、いびつな形になっている場合があるため、エッジをチェックするというのも偽物を見破るための有効な方法である。
時計の内部からブライトリングの偽物を見分ける
以上では外見から本物と偽物を見分ける方法について紹介してきたが、ここでは一歩進んで時計の内部を見ることで分かる見分け方について説明することとしよう。
内部までチェックすることはあまり思いつかないかもしれないが、模造品の製造者も同じように考えることから、外見は同じでも内部は全く異なる模造品も世の中には多く存在しているのである。そのため、内部を見れば外見以上に簡単に偽物か本物かを見分けられる可能性が高くなる。
時計の裏ぶた
前述のようにブライトリングの裏ぶたの外観には同社の刻印が記されていることが一般的であるが、その裏側は意外と盲点となる。あまり知られていないが、この裏側にはペラルージュ装飾という幾何学的なデザインが施されており、見えないところにまで徹底的にこだわるブライトリングの職人魂が見て取れる。
一方の偽物の場合には、そこまでのこだわりを持たずに作られていることが多いため、裏ぶたの裏側がまったくの平面であるということも珍しくない。
ムーブメント
本物と偽物で明らかに違ってくるのが、時計の心臓部ともいえるムーブメントである。ブライトリングのムーブメントは100年を超える歴史によって作り上げられてきた、世界でも有数の性能を誇る一品であり、そこには簡単にはまねできない高度な技術が集約されている。
本物は精緻なデザインが施されている
また、裏ぶたと同じくムーブメントにもコートドジュネーブ・ペルラージュ装飾と呼ばれる精緻なデザインが施されており、このデザインそのものを模倣するにも高度なテクノロジーが要求されることとなる。
偽物は粗雑なものが多い
偽物の場合には、何とかしてムーブメントを似せようとはしているものの、それには限界があるため、一見すると似た形状をしているもののディテールが非常に雑になっていたり、あるべき装飾が施されていないような粗悪品が多いのである。
本物はムーブメント一つをとってもため息が出るほどの美しさを醸し出しているのに対し、偽物は粗雑な印象を受けることが多いため、慣れてくれば一見して真偽を見抜くことも不可能ではない。
その他の見分け方
以上で紹介した本物と偽物の見分け方は、多少の時計の知識や技術がある人であれば、誰でも試みることができる方法である。しかしながら、近年では模造技術も非常に高くなってきていることから、それだけでは見抜けないほどに精巧な偽物も登場してきている。
偽造防止策
そのような事態に対応するべく、時計メーカーの多くはそれぞれに偽造防止の方策を講じていると言われており、例えば時計の一部の材質だけを他と異なるものにしていたり、メーカーだけが分かる印を時計の目立たないところに入れておいたりといったこと試みがおこなわれているようである。
ブライトリングの場合にも、当然に同じようなことはおこなわれているはずであるが、それを公表してしまえば偽造防止の意味がなくなるため、基本的にはどのような偽造防止策が用いられているかは企業秘密とされていることが通常であろう。
メーカーに見てもらう
メーカーが用意している偽造防止策を用いて一般人が偽物か本物かを鑑定することは困難であるが、自分で鑑定するのではなくメーカーに鑑定を依頼すれば一発で結果が分かるはずである。
店頭に置かれている商品をメーカーに持って行ってチェックしてもらうことは難しいかもしれないが、もし自分や知人が持っているブライトリングの時計の真偽に不安を覚えるようなことがあるのであれば、メーカーに見てもらうといったことも検討してみてはどうだろうか。
ブライトリングはアフターサポートに力を入れていることでも知られていることから、正規店にいって相談すれば無下に断られることはないはずである。
まとめ
ブライトリングの偽物と本物の見分け方をご紹介した。近年では模造技術も非常に高くなってきていることから、それだけでは見抜けないほどに精巧な偽物も登場してきている。
ご紹介したようにまずは刻印や時計の針、ベゼルのエッジなどの外見を自身で確認し、内部も細かくチェックしてみてほしい。それでもブライトリングの時計の真偽に不安を覚えるようであれば、メーカーに見てもらうことも検討してほしい。尚、ブライトリングを買取依頼・売却するということがあれば以下の記事をチェックして欲しい。
