ジャガー・ルクルトの創業は1833年。現在まで続いているスイスの高級腕時計ブランドの中でも非常に歴史あるメーカーであり、時計の歴史に大変大きな影響を及ぼしてきた。中でも有名なのが、1844年のミクロン単位を測定できる測定器「ミリオノメーター」の発明と、1847年の「龍頭巻き時計」を開発だ。前者は時計製造の効率と精度を大いに高めた。そして後者は、当時は鍵を必要とした時計の巻き上げから鍵そのものをなくした画期的なシステム。まさに時計の歴史を変えた発明の1つと言えるだろう。
創業者であるアントワーヌ・ルクルトは、元々製造機械の部品や時計部品を作っていた技術者であり、そのエンジニアとしての視点から数多くの発明を生み出し、新しいムーブメントを作り出した。ジャガー・ルクルトは、この技術者のDNAが代々引き継がれ、時計ファンを魅了してきた生粋のマニュファクチュールである。
2000年にはリシュモングループの傘下に加わり、ビジネスの基盤を盤石としたジャガー・ルクルト。その技術力を背景にしたタイムピースの数々は、毎年のように注目の的となる。では、その型番とモデル名はどう関連しているのか、あるいは中古品を探す時に役立つ型番の読み解き方は、どうなっているのだろうか。ここではジャガー・ルクルトの型番とモデル名について調べてみたので、お伝えしていこう。
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ジャガー・ルクルトの型番について
まずは、ジャガー・ルクルトのリファレンスナンバーについてのあれこれを説明しておく。特に中古品を探す際には、以下の事項を覚えておいたほうがいいだろう。
「Q」で始まるリファレンスナンバー
ジャガー・ルクルトの型番=リファレンスナンバーは、7ケタの数字で構成される。公式サイトで確認すると、以下のように表記される。
ジャガー・ルクルトの型番の例
- REF. 1548530:マスター・コントロール・デイト
- REF. 2618430:レベルソ・クラシック・スモール
- REF. 8018120:ジオフィジック・トゥルー・セコンド
- REF. 2068570:ジャガー・ルクルトディープシー・クロノグラフ
ただしこれが、ショップや通販サイトでの表記では冒頭に「Q」の文字が入っている。なぜ「Q」なのかは不明だが、ほとんどのショップやメディアのリファレンスナンバーの表記は「Q」から始まり、以下上記の7ケタの数字が続く。他の似たような型番のブランドとの差別化のためだろうか。
従ってここでも、「Q」で始まる型番を使用する。冒頭に「Q」がついただけで、後の7ケタの数字は共通である。ちなみにネットで型番を検索したところ、冒頭に「Q」をつけたほうが精度が高かった。
ケース裏のナンバーと型番は別物
ジャガー・ルクルトの時計のケースの裏には、シリアルナンバーとともに、次のような形でナンバーが刻印されている。
- <123.4.56>
数字はもちろん架空のもの。この、ピリオドの入った6ケタの数字(後にアルファベットが入る場合も)は「ケースナンバー」などと呼ばれており、カタログや保証書、あるいはショップなどで使われているリファレンスナンバーとは異なるので、注意が必要だ。
ジャガー・ルクルトの型番を読み解く
では、ジャガー・ルクルトの7ケタのリファレンスナンバーは、どのような構造になっているのか。以下の振り分けに従って読み解いていこう。なお、冒頭の「Q」は全ナンバー共通なので、ここでは言及しない。
- 型番が【Q aaa bc de】の場合
<aaa>はモデルの種類を示すコード
ジャガー・ルクルトのリファレンスナンバーの最初から3ケタの数字は、どのモデルかを示すコードとなっている。いわゆるモデルナンバーだ。たとえば、「マスター・コントロール・デイト」の型番は以下のようになっている。
マスター・コントロール・デイトの型番
- Q1548530→スティールケース、文字盤シルバー、青レザーストラップ
- Q1548171→スティールケース、文字盤黒、スティールブレスレット)
- Q1542520→ピンクゴールドケース、文字盤白、黒レザーストラップ)
同じ「マスター・コントロール・デイト」だが、ケースの素材や文字盤の色、そしてブレスレットかストラップかで型番が異なっている。共通部は冒頭3ケタの「154」。このように、ジャガー・ルクルトの型番の最初の3ケタの数字は、各モデルのコードを示している。現行モデルのコードナンバーを以下に掲載する。
- 125:マスター・ウルトラスリム・ムーン(34ミリ)
- 128:マスター・ウルトラスリム・デイト
- 130:マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル
- 131:マスター・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・フライングトゥールビヨン
- 132:マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン
- 135:マスター・ウルトラスリム・スケルトン
- 135:マスター・ウルトラスリム・スモールセコンド
- 136:マスター・ウルトラスリム・ムーン(39ミリ)
- 141:マスター・メモボックス
- 142:マスター・ジオグラフィーク
- 153:マスター・クロノグラフ
- 154:マスター・コントロール・デイト
- 155:マスター・カレンダー
- 156:マスター・トゥールビヨン・デュアルタイム
- 161:マスター・エイトデイズ・パーペチュアル
- 166:マスター・グランド・トゥールビヨン
- 203:マスター・コンプレッサー・エクストリーム・ラボ 2
- 205:マスター・コンプレッサー・クロノグラフ
- 207:ジャガー・ルクルトディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ
- 208:ジャガー・ルクルトディープシー・クロノグラフ・サーメット
- 232:レベルソ・グランド・コンプリカシオン・トリプティック
- 233:レベルソ・ジャイロトゥールビヨン 2
- 235:レベルソ・ミニッツリピーター・リドー
- 245:レベルソ・クラシック・ミディアム・デュオ・スモールセコンド
- 253:レベルソ・クラシック・ミディアム
- 257:レベルソ・クラシック・ミディアム・デュエット
- 261:レベルソ・クラシック・スモール
- 266:レベルソ・クラシック・スモール・デュエット
- 325:レベルソ・ワン復刻版
- 326:レベルソ・ワン・コルドネ
- 335:レベルソ・ワン・デュエット・ムーン
- 336:レベルソ・ワン
- 341:ランデヴー・トゥールビヨン
- 343:ランデヴー・ナイト&デイ(36ミリ)
- 344:ランデヴー・ナイト&デイ(34ミリ)
- 346:ランデヴー・ナイト&デイ(29ミリ)
- 348:ランデヴー・セレスティアル
- 352:ランデヴー・ムーン
- 357:ランデヴー・ムーン・ミディアム
- 359:ランデヴー・ソナチネ・ラージ
- 361:ランデヴー・ナイト&デイ ラージ
- 382:レベルソ・クラシック・ラージ
- 383:レベルソ・クラシック・ラージ・デュオ
- 384:レベルソ・クラシック・ラージ・デュオ・スモールセコンド
- 385:レベルソ・クラシック・ラージ・スモールセコンド
- 390:レベルソ・トリビュート・デュオ
- 391:レベルソ・トリビュート・カレンダー
- 394:レベルソ・トリビュート・ジャイロトゥールビヨン
- 395:レベルソ・トリビュート・ムーン
- 502:マスター・グランド・トラディション・グランド・コンプリケーション
- 503:マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン 3・セット
- 504:マスター・グランド・トラディション・トゥールビヨン・シリンダー・パーペチュアルカレンダー
- 506:マスター・グランド・トラディション・パーペチュアルカレンダー・エイトデイズ・スケルトン
- 508:マスター・グランド・トラディション・トゥールビヨン・シリンダー
- 509:マスター・グランド・トラディション・ミニッツリピーター
- 600:ジャイロトゥールビヨン1
- 601:デュオメトル・クロノグラフ
- 603:ハイブリス・メカニカ・グラン・ソヌリ
- 604:デュオメトル・カンティエーム・ルネール
- 605:デュオメトル・スフェロトゥールビヨン
- 606:デュオメトル・ユニーク・トラベルタイム
- 801:ジオフィジック・トゥルー・セコンド
- 810:ジオフィジック・ユニバーサル・タイム
ジャガー・ルクルトのメインストリームは、「マスター・シリーズ」と「レベルソ・シリーズ」。さらにマスターシリーズは、「マスター・グランド・トラディション」、「マスター・ウルトラスリム」、「マスター・コントロール」の3つに大別され、細かいモデル設定がなされていることがよくわかる。数字が飛んでいるところは、過去にコード化されていたモデルのナンバーが多数当てはまる。
<b>はケースで<C>はストラップの素材を示す
ジャガー・ルクルトのリファレンスナンバー4ケタ目がケースの素材、5ケタ目がストラップ(ブレスレット)の素材を示すコードとなっている。その内訳は、以下のとおりだ。
ケースの素材を表すコード
- 1:イエローゴールド
- 2:ピンクゴールド
- 3:ホワイトゴールド
- 4:18Kピンクゴールド/ステンレススチール
- 5:ステンレススチールとイエローゴールド
- 6:プラチナ
- 8:ステンレススチール
- A:サーメット/チタン
- C:セラミック/ピンクゴールド
- H: ピンクゴールド/チタン
- J:セラミック/チタン
- L:セラミック/ピンクゴールド
- T:チタン
このコードは時に例外も見つけられるので、参考としてとらえていただきたい。欠番の「7」は、ロジウムメッキのステンレススチールで使用された例があるが、一例しか見当たらないので、ここでは省いた。
ストラップ(ブレスレット)の素材を示すコード
- 1:ケース素材と同様のブレスレット
- 2:ピンクゴールドブレスレット
- 3:ホワイトゴールドブレスレット
- 4:レザー(デプロジャントバックル)
- 5:レザー(ピンバックル)
- 6:ラバー
- 7:ラバー(連結式)
- C:セラミック
ジャガー・ルクルトの現行ラインナップ製品のほとんどがレザーストラップ仕様のため、現行モデルでは2や3のコードはほとんど見られない。ブレスレット仕様のものはほとんどケースと同様のステンレススチールになっている。
<d>は文字盤の色を表す
6ケタ目の数字が示しているのは、文字盤の色を示しているコードと推測できる。
文字盤の色を表すコード
- 2:シルバーあるいはホワイト系
- 7:ブラック
他にも1はベージュ系等の色の際に使われていると見られるが、白との違いがはっきりと見られないため、確実な「2」と「7」のみを記載。ただし、カタログ上はシルバーダイヤルとなっていても「3」(パール系の白ではないかと見られる)となっている型番を持つモデルもある。7ケタ目はほぼどのリファレンスナンバーでも「0」終わりが占めているが、時折「1」や「2」となっているナンバーを持つ型番もある。これが何を示しているのかは、型番を比較する限りは特徴はわからなかった。
ジャガー・ルクルトの型番はモデルナンバーから推測
ここまで、ジャガー・ルクルトの型番について説明してきた。まとめると、
- ・冒頭に必ずQがつく。
- ・ケース裏の刻印と型番は異なる。
- ・Q直後の数字3ケタはモデルを示す番号。
- ・その後はケースやブレスレット、文字盤の色を表す数字が入っている。
ということだった。ここで大事なのが、やはり3ケタのモデルナンバーであろう。
ジャガー・ルクルトの人気商品は、シンプルなラウンドケースのマスターシリーズと、ポロ競技の際に文字盤を守るために考え出されたという、表から裏へと面を反転することができる四角いケースのレベルソシリーズに分かれる。マスターシリーズの型番は120番前後から200番ぐらいまでを占め、レベルソシリーズは次の200番台からで、ケースが大きいものは300番台に分かれる。それぞれデザインが大きく異なる時計なので、覚えておきたいところだ。
なお、ジャガー・ルクルトの型番に関しては、オフィシャルサイト(http://www.jaeger-lecoultre.com/)を参考にした。前述したように、オフィシャルサイトの型番表記はQを抜かした7ケタの数字のみとなっている。

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