ブシュロンはヴァンクリーフ&アーペルやショーメなどとともにフランスを代表するジュエリーブランドであるが、そのビジネスは宝石に留まらず、精巧な技術を必要とする時計にも及んでいる。
一般的にはブシュロンの腕時計というとあまりなじみがないかもしれないが、実際のその資産価値はどの程度となるのであろうか。
そこで、以下では、ブシュロンというメーカーの歴史を見るとともに、その資産価値についても検証してみることとしよう。
婚戒Boucheron Quatre54 / stellahyc910
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どのようなメーカーか?
フランスを代表するジュエリーブランドであるブシュロンは、グランサンクの一つにも数えられる一流企業である。
このグランサンクというのは、パリにあるヴァンドーム広場とラペー通りの沿道に店舗を構えている高級ジュエリーブランドによって構成されている協会の呼称であり、他にも「フランス高級宝飾店協会」などと呼ばれることもある。
ブシュロンのほかには、ヴァンクリーフ&アーペル、ショーメ、メレリオ・ディ・メレー、モーブッサンの4つのジュエリーブランドが属しており、全部で5つのブランドから構成されることから「パリ5大宝飾店」という別名も存在する。
ブシュロンの歴史
このブシュロンが誕生したのは、1858年のことで、当時は日本はまだ明治維新前の江戸時代後半であった。
創業者は、フレデリック・ブシュロンといい、その名から分かる通りブランド名は彼の苗字から取られたものである。
一流のジュエラーであったフレデリックは、当時としては革新的な数々のジュエリーアイテムを世に送り出している。
例えば、ダイヤモンドを用いたジュエリーのデザインとして、アールヌーボー様式やスネークといった斬新的な装飾を採用したり、自然をモチーフにした造形を取り入れるなどしたのも彼が初めてであると言われている。
その頃のフランスには、現在と異なり王族や貴族などの上流階級が健在であり、ブシュロンのジュエリーは彼らから熱狂的に好まれることとなり、それを身に着けていることが社交界でのステータスともされていた。
いかにブシュロンが高い評価を受けていたかは、1867年のパリ万国博覧会で金賞を受賞しているほか、続く1878年と1889年に開催されたパリ万国博覧会でもグランプリを受賞していることからも明らかであろう。
さらに、フレデリックは、経営者としても優れた才覚を有していたようであり、現在はグランサンクが設けられ、ジュエリー界の聖地ともなっているヴァンドーム広場に初めて店舗を構えたのはブシュロンであることがその証左である。
なお、19世紀、20世紀と単独の企業として成長を遂げてきたブシュロンであるが、2000年にグッチ・グループの傘下に入ることとなり、その後幾度かの組織再編を経て、ケリングの保有する会社となっている。
ブシュロンの時計とは
ブシュロンというと一流ジュエリーブランドというだけあって、リングやネックレスなどのジュエリーアイテムをメインに取り扱っていると思われがちであるが、実際にはそれ以外に多くの腕時計のラインナップを擁している時計メーカーでもある。
創業者であるフレデリック・ブシュロンは、伝承によると陽時計の文字盤の土台に彫られていた「私は慶びの時だけを刻む」という言葉を見たときに、それを時計作りにおける彼のモットーにすることにしたと言われている。
ジュエリーアイテムを制作する際に用いられる精緻な技術は、時計作りにおいても存分に活かされており、ブシュロンの腕時計は、他の高級時計メーカーの作品に引けを取らないほどの完成度を有しているのである。
以下では、そのラインナップにおける代表的な商品について見ていくこととしよう。
エピュール
「エピュール」は、比較的シンプルなデザインとなっており、それだけにブシュロンの技術の高さが手に取った途端に伝わってくる時計となっている。
公式サイトによると「単なるタイムピースではなく、まさに人生の哲学を表現した逸品」であるという解説がなされており、まさにこれを身に着ける人の人生を輝かせる一品であると言えるだろう。
リフレ
「リフレ」はほっそりとしたフォルムが特徴的な、主に女性用の腕時計である。そのデザインは、非常に繊細であり、まさに彫刻といっても過言ではないだろう。
長方形の文字盤はヴァンドーム広場にそびえるエレガントな柱をほうふつとさせるようであり、ブレスレットが交換可能であるというのも、所有者だけの組み合わせを実現できるオプションとして高い評価を得ている。
エピュール ダール
「エピュール ダール」は、これぞブシュロンというような美しいデザインが文字盤に施されている商品である。
そのデザインには、選りすぐられたジュエリーが用いられており、宝石職人と時計職人の持つ卓越した技術が融合したものとして見る者の心を魅了すること間違いなしである。
なお、描かれているデザインには、鳥類などの動物や植物の花々が用いられているものが多い。
アジュレ
「アジュレ」は、ゴールドをはじめとする貴石がふんだんに用いられている商品で、その特徴は文字盤が装飾のなかに埋め込まれているという点にある。
そのため、一見すると腕時計ではなく高級ブレスレットとも見まごう仕上がりとなっており、なかでも「アジュレ カー ジュエリーウォッチ」は、ブシュロンの象徴ともいえるスネークのデザインが美しい他にはない洗練された一品となっている。
セルパン
「セルバン」もスネークのデザインが用いられている商品であるが、アジュレと異なりこちらは文字盤のケースの中に蛇柄の模様が描かれているのが特徴である。
蛇の鱗をモチーフにしたデザインが一つずつ丁寧に刻まれており、職人の洗練された技術をこの目にすることができる極上の腕時計である。
ブシュロンの資産価値とは
ここまでブシュロンの概要とその腕時計の特徴について見てきたが、以下ではその商品の資産価値について検証してみることとしよう。
この点、ブシュロンの腕時計は、時計そのものの価値とそれに用いられている宝石の価値の二つが融合したものであるため、まずはそれぞれの評価の仕方について見てみることとする。
腕時計の価値とは
腕時計の価値を決める要素としてもっとも重要なのは何と言っても、その精巧さである。
特に、腕時計の心臓ともいえるムーブメントの作りはメーカーによって異なっており、高級メーカーともなると簡単にコピーすることは不可能ともいえるほどに手の込んだ仕様となっていることが通常である。
そのため、優れたムーブメントを有している腕時計であればあるほど、高く評価されると考えてまず間違いない。
高評価の要素とは
次に、腕時計を製造しているブランドのステータスもその評価を左右する大きな要素となる。
例えば、ロレックスやフランク・ミュラーといえば高級時計の代名詞であり、その商品は細部を見なくてもそれだけで高い評価を受けるであろうことは容易に想像できるのではないだろうか。
このステータスは一朝一夕に得られるものではなく、100年を超えるような歴史の中で徐々に形作られていくものである。
さらに、ユーザー目線からポイントとなるのがアフターサービスである。
高級な腕時計であればあるほど、日々のメンテナンスが価値を維持するためには不可欠であることから、販売後も手厚いサービスを受けることができるブランドは、高く評価されることになるのである。
宝石の価値とは
宝石の価値の基準を見るためには、ダイヤモンドの評価に用いられる4Cをイメージすればよい。
この4Cとは、カラー、カラット、クラリティ、カットの総称であり、それぞれ色合い、大きさ、透明度、形状を意味している。まず、色合いについては、ダイヤモンドの場合はシロであったりピンクであったりするが、それ以外の宝石の場合にもいかに深みがあって希少な色味をしているかがポイントとなる。
次に、大きさについては大きければ大きいほど希少価値が増すために一般的には評価が高くなると考えてよいであろう。
さらに、透明性については透過度が高いものほど純度が高く良い宝石であると評価されることが一般的である。
最後の形状は、どれほど精巧に宝石が整形されているかという点がポイントとなる。
時計ブランドで何番目か
ブシュロンに限らず、世界には高級腕時計ブランドと呼ばれるメーカーは数多く存在する。
これらの中でブシュロンが何番目にあたるかということは簡単ではないが、一つ言えるのはジュエリーブランドでありながら腕時計ブランドとしても評価されているメーカーは非常に限られているということである。
グランサンクに所属している時点で、ジュエリーブランドとしてはトップクラスにあると考えられるうえに、時計メーカーとしても一流メーカーと遜色のない位置にあることから、考えようによってはブシュロンの腕時計は世界一であると言われてもまったく違和感はない。
明確に一番ということはできないとしても、少なくとも世界のトップ10に入るブランドであることは間違いないであろう。
まとめ
最後に、腕時計としての価値の基準と宝石としての価値の基準をブシュロンの腕時計に当てはめてみてみよう。
腕時計の基準のうち、精巧さについてはブシュロンは申し分ないと言うことができる。また、ステータスについても創業者であるフレデリックの時代から時計作りに取り組んでおり、その評価は現在では揺るぎないものとなっている。
さらに、アフターケアという点でも、ブシュロンは数多くの店舗を世界各国に展開しており、万全の態勢を敷いていると言うことが可能である。
このため、腕時計としての価値だけで見ても、特筆すべきものがあると言えよう。
次に、宝石の価値についてであるが、グランサンクの一つに数えられるブシュロンが取り扱う宝石のクオリティについては、疑いのないところである。
同社の商品は、色合い、大きさ、透明度、形状というすべての要素を高いレベルで備えていることが前提となっていることから、これについても世界有数の高い評価を与えて間違いないだろう。
以上の点を踏まえると、ブシュロンの腕時計は世界的に評価されており、非常に高い資産価値を有すると考えることが可能である。

