2016年に無料リリースされたOS X Sierra搭載のMacを売却する時には、いくつかのポイントをしっかり頭に入れた上でクリーンインストール(初期化)を行う必要がある。
特にプリインストールされたOSからシエラへのバージョンアップを行なっている場合は、初期化時の注意だけでなく多くの処理時間がかかる場合もあると捉えておいた方が良いだろう。
今回は、これからOS X Sierra(シエラ)を入れたMacの売却時にクリーンインストールを行う皆さんと一緒に正しい方法と注意点を細かく確認していきたい。

MacBook Pro / yisris
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OS X Sierra(シエラ)とは?
MacOSシリーズ13番目のバージョンを、OS X Sierra(シエラ)と呼ぶ。10.12というバージョンナンバーを持つシエラは、2016年9月20日にOS X El Captionの光景バージョンとして無料リリースされる形となった。
ちなみにデベロッパープレビュー版については、WWDC2016が行なわれた2016年6月13日から公開されている。
OS X Sierraにおける名前の由来
OS X Sierra(シエラ)という名称は、カルフォルニア州のシエラネバダ山脈から付けられている。Sierraには、スペイン語で山脈という意味もある。OS XからmacOSにシリーズ全体のOS名が変更されたこの時期から、macとiOS、tvOS、watchOSなどとの統一化が図られる形となった。
旧OSとの違い、変更点、特徴
OS X Sierraには、下記のように従来型OSとは全く異なる多彩な新機能が搭載される形となった。
- ・Siri
- ・Picture in Picture
- ・Universal Clipboard
- ・Auto Unlock
- ・Optimized Storage
- ・Apple Pay on the web
これに対してMac OS標準フォーマットであるHFSへの対応やPPTPによるVPN接続、Java6といった機能は、このOSから廃止されている。
OS X Sierra(シエラ)はどんなMacにもインストール可能?
話題性の高いOSシエラは、全てのMac製品に入れられるというわけではない。もし初期化のタイミングで新たにOS X Sierraのインストールを行う予定がある人は、下記のシステム条件(対応環境)に該当するかを確認した上で、処理を流し始めるようにして欲しい。
OS X Sierra(シエラ)のクリーンインストールとは?
クリーンインストールとは、既に入っているソフトウェアを入れ直したり、既存のソフトを新しいバージョンに置き換える作業の総称だ。一般的には、OSの入れ直しをする初期化の際にこの言葉が使われるケースが多いと言われている。
またクリーンインストールは、MacだけでなくWindowsのコンピュータでも用いられる用語となる。
普通のインストールとクリーンインストールの違いとは?
一般的なインストールとの大きな違いは、そのコンピュータに入っているOSやソフトウェアなどを「クリーン」にすることだ。現在使っているMacにただソフトウェアを入れるだけの場合は、インストールとなる。
これに対してクリーンインストールの場合は、「中身の削除により一度クリーンにした上で、再びソフトウェアなどを入れる作業」という考え方となる。
クリーンインストールと比較されることの多い上書きインストール
クリーンインストールと混同する人の多い概念として、上書きインストールという作業がある。コンピュータの初期化を行わず、アプリなどの入ったままのところにソフトウェアのインストールをすることを、上書きインストールと呼ぶ。
Mac内のデータ削除を行わずに済む上書きインストールは、早くソフトウェアなどの置き換えをしたい人に嬉しい方法となる。しかしシステムファイルの障害やウイルス感染などをしている場合は、無意味な処理となってしまうため、注意が必要だ。
クリーンインストールと同じ意味を持つ言葉
Macユーザの個人ブログなどでは、初期化・フォーマット・リカバリといった言葉にクリーンインストールと同じ意味を持たせる傾向がある。
しかし厳密に考えると、フォーマットというのはコンピュータ内に存在するデータを全てきれいに消去することで、白紙の状態に戻すまでの処理となるようだ。
これに対してリカバリの場合は、工場出荷時に戻すという考え方により、無料ダウンロードをしたOS X Sierraを入れる処理とは少し違った意味を持つと認知されることもある。
OS X Sierraのクリーンインストールが必要なのは売却時だけ?
MacOSを白紙の状態にするクリーンインストールは、パソコンの知識に詳しくない人にとって非常に面倒な作業に感じられることもある。しかし大事なMacを安全に売買や使用をするためには、クリーンインストールという手段を頭の片隅に入れておく心掛けも大事なことだと考えられているのだ。
ここからは、Macの売却時を含めてOS X Sierraのクリーンインストールが必要となるシーンやその理由について、少し詳しく見ていこう。
買取専門店にMacの売却をする時
ショップにMacを売る際には、そのコンピュータに入っていたデータを守るためにOS X Sierraなどのクリーンインストールが必要となってくる。売却前にこの作業をしっかり行っておけば、第三者に大事なデータが渡ってしまうリスクが下がると考えられている。
しかしクリーンインストールをしたからといって買取価格が上がるわけではないため、「初期化の方法がわからない」や「初期化する暇がなかった」などの場合は、現状のままで買い取ってもらえることもあるようだ。
友人が使っていたMacをもらった時
友人や家族が長きに渡って使っていたMacをもらった場合も、OS X Sierraなどへのクリーンインストールを行った上で使用するのが理想となる。しかしMacパソコンをくれた側が既に初期化を済ませていた場合は、そのまま使用しても良いだろう。
また比較的新しいOSを使ってみたいという時には、AppleのサイトからダウンロードしたOS X SierraをプレゼントされたMacにインストールしてみても良さそうだ。
友人にMacをあげる時
仲の良い友人や家族などに自分の愛用していたMacをあげる場合も、大事なデータを守るという意味でバックアップとクリーンインストールをするのが理想となる。
またこれから自分のMacを使ってくれる相手のことを考えれば、自分のインストールしたソフトウェアやデータがごちゃごちゃを詰まったままよりも、初期化によってスッキリさせてから手放す方が良心的な対応になることだろう。
Macの調子が悪い時
OS X Sierraへのクリーンインストールは、Macの動作が遅い、購入時よりも調子が悪いといったときのメンテナンスとして行われることもある。こうした気付きを得た時に初期化を行うMacユーザは、重大な障害に発展する前にコンピュータを良い形に回復できる傾向がある。
これに対して見て見ぬふりをしてクリーンインストールを行わずにいると、場合によってはソフトウェア障害などがどんどん酷くなり、大事なMacが動作不能になることもあるようだ。
Macがウイルス感染した時
悪質なWEBサイトの閲覧や添付ファイル付きのメール開封などによりウイルス感染してしまった場合も、なるべく早めにクリーンインストールをするのが理想となる。最新かつ機能性の高いセキュリティソフトを使えば、ウイルスの駆除も行える。
しかし最新ウイルスがHDDのどこに潜んでいるかわからないことを考えると、早めにクリーンインストールを行った方が良いと言えそうだ。
OS X Sierra におけるクリーンインストールの流れとは?
何らかのトラブルや売却予定のあるMacでOS X Sierraのクリーンインストールを行うときの流れは、下記のとおりになる。
- 1.Mac内データのバックアップ
- 2.さまざまなアプリのサインアウト
- 3. OS X Sierraクリーンインストール
ここからはMacの初期化をするまでの流れと注意点について、それぞれのステップごとに詳細を確認していこう。
クリーンインストール前にMacのバックアップをとる
初期化によってMac内のデータを全て削除するときには、必ずコンピュータ内に保管されている情報のバックアップをとる必要がある。
万が一のトラブルに備えて日頃からバックアップの習慣がある人は、外付けHDDなどにきちんと退避データが存在することを確認すれば、新たな方法を模索する必要はない。
これに対して今まで一度もバックアップをとったことのない人は、自分に合った退避方法を模索することから始める必要がありそうだ。
理想的なMacのバックアップ方法とは?
初期化をするためにとるバックアップは、自分で作成したファイルやフォルダだけでなく、システム設定やソフトウェアなども含めた内容で取得するのが理想となる。
そのため、クリーンインストールをするユーザの多くは、MacにプリインストールされているTime Machineというソフトウェアを使う傾向がある。
また人気OSとなるMacの場合は、Sync! Sync! Sync!などの他社ソフトの使用や、写真や音楽などの一部データのみ、Appleのオンラインストレージサービス・iCloudに入れるといった選択肢もあるようだ。
バックアップはMacの中にとれない
初期化に向けてバックアップを取る時には、そのデータを入れる何らかのデバイスを入手する必要がある。例えば、iMacなどのデスクトップのバックアップには、自宅の中で使用する外付けHDDなどの利用がおすすめとなる。
これに対してノートパソコンと一緒にバックアップデータを持ち歩きたいといった場合は、容量の大きなUSBメモリやオンラインストレージの活用といった選択肢もある。
売却準備よりも先にバックアップ準備をしよう
こうした形で初期化に欠かせないバックアップは、買取専門店に売却をする際に必ず行っておくべき処理となる。そのため、将来的に少しでもMacを手放す予定があるなら、買取相場などの調査よりも先にバックアップ用の外付けストレージを購入しておいた方が良いだろう。
またウイルス感染や故障などのトラブルを考えると、本来はMacの購入直後にバックアップを取れる仕組みを整えるのが理想となる。
クリーンインストール前のサインアウト
macのクリーンインストールや初期化を行う際には、下記アプリケーションのサインアウトやペアリング解除をしておくのがおすすめとなる。
- ・iCloud
- ・iTunes
- ・iMessage
- ・FaceTime
- ・Bluetooth
- ・macを探す
- ・AppleCare
OS X Sierra のクリーンインストール処理
OS X Sierraへの初期化は、下記の流れで行なわれるのが一般的となっている。
自分のMacが「OS X Sierraに対応をしているか?」を確認する
初めてOS X Sierraのクリーンインストールを行う際には、このMacOSが自分のコンピュータに対応可能かの判断をする必要がある。
確認方法としては、林檎マークのAppleメニューから「このMacについて」を選択する。その後に表示された画面の中で、自分のMacのバージョンを確認した上で、OS X Sierraのシステム条件と合っているかのチェックをする流れとなる。
OS X Sierraクリーンインストールの具体的な手順とは?
一般的なMacユーザは、下記の流れでOS X Sierraのクリーンインストールを行なっている。
- 1.Mac内のOSを一旦OS X Sierraにアップグレードする
- 2.リカバリモードでmacの起動をする
- 3.ハードディスクを初期化する
- 4.クリーンインストールする
ここからは、それぞれのステップにおける流れと注意点をより詳しく見ていこう。
Mac内のOSを一旦OS X Sierraにアップグレード
OS X Sierraへのアップグレードは、Apple Storeアプリ内から行う。インストールには通常、数十分ほどの時間がかかる。ダウンロード時間はネット環境に依存する形となるため、自宅のWi-Fiなどが不安定な場合は注意が必要だ。
実行ファイルのダウンロード後は、使用許諾契約への同意→アップグレード先のHDD選択→インストール→再起動という流れとなる。
リカバリモードでmacを起動する
macのリカバリモードでの起動は、Option+Rの同時押しをしながら再起動で行える。その後macOSユーティリティが立ち上がったら、ディスクユーティリティを選ぶ。
macのハードディスク初期化
ディスクユーティリティ画面内の「内臓」の中から、OSの入ったディスクを選ぶ。ユーザ自身が名前の変更などをしていなければ、デフォルトのMacintosh HDを選択する形となる。
その後「消去」を選択し、「Mac OS Extended(Journal)」というフォーマットを選んだ上でフォーマットを行う。フォーマット処理が完了すると、システムのハードディスクが空になったことがわかる。
OS X Sierraのクリーンインストール
フォーマット完了を確認したら、画面左上にある赤丸ボタンを押してメニューに戻る。その後、OS X Sierraのインストール画面が表示されたら、「続ける」をクリックし、インストール先としてMacintosh HDを選択する形だ。
こうした方法で行うクリーンインストールは、アップグレードよりも遥かに早く処理が終わる利点がある。処理終了後に表示される「ようこそ」後の画面では、「今は情報を転送しない」を選択した上で、Time Machineからの復元時にトラブルを起こさないためにも、FileVaultディスク暗号化をオフにするのが理想とされている。
OS X Sierra のクリーンインストールをすることで生じるメリット
ここまで紹介した処理を実際に流してみると、Yosemiteなどの古いOSの入ったコンピュータのクリーンインストールを行うと、作業時間の大幅短縮ができることに気付かされる。
どうしてクリーンインストールは普通のインストールよりも早く終わるの?
クリーンインストールにおける最大の利点は、たった1回の処理で最新OSがきれいに入ることだ。例えば、2014年購入のmacでは、YosemiteというOSがプリインストールされている。
そのため、このコンピュータでOS X Sierraを使う際には、Yosemite→El Captian→Sierraという流れで3回のインストールをしなければならない実態があるのだ。
しかし最初に一発で最新OSの入るクリーンインストールを使えば、時間の短縮だけでなくインストール時の失敗も解消しやすくなると言われている。
OS X Sierra のクリーンインストールをする際の注意点
OS X Sierraのクリーンインストールや初期化などの処理をする際には、環境によってはインストールが失敗することも頭に入れておかなければならない。例えば、不安定な環境でクリーンインストールをした場合、最新OSのプログラムダウンロードの問題でエラーが出ることもある。
また以前Windowsで使っていたHDDについても、クリーンインストールの失敗に繋がる要因となるため、場合によってはディスクユーティリティの方式やフォーマット形式においても注意が必要だと言えるだろう。
OS X Sierraのクリーンインストールを失敗した時には?
こうした形でさまざまな失敗要因のあるOS X Sierraのクリーンインストールでトラブルが生じた時には、ひとつずつ疑わしいポイントの確認をしていくしかない。
また複数の注意点をチェックしても問題の解消に至らない場合は、Appleのサポートに電話もしくはメール、チャットを使って問い合わせをするしかないと言えるだろう。
まとめ
最新OSならではのインストール時間などの問題を解消したクリーンインストールは、OS X SierraだけでなくHigh Sierraのユーザたちからも高く注目される方法となっている。
こうした手段の存在を知っておけば、コンピュータの使用中にウイルス感染などのトラブルに見舞われた時にもスムーズに初期化を行える。またmacの中に入った大事なデータを守るといった意味でも、バックアップとクリーンインストールの方法は頭に入れておくのが理想となるだろう。
