価値の変動が少ない資産として、貴金属や宝石の需要は大きい。また家から出てきた不要な貴金属を売りたい、という人も多いだろう。昔は専門店がこの需要に応え、宝石や貴金属の売買を仲介していた。
しかしスマートフォンの普及にともない、ヤフオクに代表されるようなネットフリマやオークションでの個人間の取引が増えている。売るにせよ買うにせよ個人が値段を決めるため、相場を知らないと損をしてしまう危険があるだろう。
ここでは、ヤフオクにおける貴金属や宝石の種類ごとの落札相場について解説する。
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
ヤフオクでのダイヤモンドの相場
まずは宝石類のなかでも、価格が高く出品も多いダイヤモンドから見ていこう。ちなみに、ダイヤモンドが埋め込まれた腕時計や電化製品など、ダイヤモンド以外がメインとなっている品物については、ここでは省くものとする。
3カラットのダイヤモンド
まず、ヤフオクで出回っているもっとも大粒のダイヤモンドは3カラット付近だ。ヤフオクの取扱品のなかでもかなり高価な価格帯となる、100万円前後で毎月数件は落札されている。ダイヤモンドの単品もあれば、プラチナの台座などがつくジュエリーもある。
しかし、貴金属部分は地金ベースで計算されるため、それほど高額にはならない。この100万円というのは、ほぼダイヤモンド自体の値段と考えて良いだろう。
3カラットは重さで言うと0.6gで、大きさで言えば直径で約1cm、高さ0.5cmと、かなり大きい。店頭でもなかなか見られないサイズであるが、ヤフオクでの購入が可能だ。言い換えると、これより大きなダイヤモンドはヤフオクでの売買は難しいため、専門店に行ったほうが良いだろう。
2カラットのダイヤモンド
つづいて、もう少しリーズナブルな2カラットの品も多数落札されている。2カラットは大きさで言えば直径が0.8cm、重さが0.4gと、十分な存在感があるサイズだ。
市場価格は70万円前後と言われるが、ヤフオクでの落札実績を見ると2カラットのダイヤモンドは50万円から60万円で取引が成立している。
もちろん、ダイヤモンドの価値はカラット(重さ)だけではなく、透明度や輝き、カットの質などに左右されるため、一概にこれが得だとは言えない。しかし、個人と直接取引できるということで、掘り出し物が見つかる可能性もあると考えられる。
1カラットのダイヤモンド
1カラットのダイヤモンドになると数も増え、毎月ヤフオクにも数百件の出品がある。値幅はあるものの、10万円から20万円での落札が多く見られる。
一粒で1カラットのダイヤモンドはかなり大粒な部類であるため、品質によっては30万円付近の値がつくものもある。逆に、「合計1カラット」のように小さな粒が集まったものは希少性が低く、値段も10万円を切ってしまうこともあるだろう。
売り買いをするときは、合計カラットだけで見るのではなく粒の大きさにも注目したい。
1カラット未満のダイヤモンド
1カラット未満の小さなダイヤモンドは大量に出品されており、落札額もかなりまちまちだ。非常に小さなダイヤモンド付きのアクセサリーなどは1円での落札も見られるが、一粒で0.5カラットほどのダイヤモンドは5万円程度の値段で取引されている。
この価格帯であれば、金やプラチナなどの台座があるとかなり値段に影響が出てくる。購入の際には金属部分の説明もしっかりと読んでおくと良いだろう。
小粒ダイヤモンドを買う際の注意点
ダイヤモンドは高価なだけに偽物も多く、ジルコニアやモアッサナイトなど、プロの目で見てもすぐにはわからないほど精巧なものもある。とくに粒が小さいほど鑑定が難しいので、小粒のダイヤモンドを買う際には注意が必要だ。
鑑定書があるものを選べば偽物の可能性は低くなるため、なるべく鑑定書付属の商品を選びたい。逆に販売するときには、偽物をそれと知らずに売ってしまわないように鑑定しておくと良い。値付けの参考にもなるので、貴金属の買取ショップで査定してもらうことをおすすめする。
ダイヤモンド以外の宝石の相場
ダイヤモンド以外の宝石も、ヤフオクにおいては活発に取引されている。いくつかの代表的な種類の宝石について、落札価格の相場とともに見ていこう。
サファイア
まず、ダイヤモンドに次いで高額とされるのがサファイアだ。サファイアも大粒のものには高値がつき、たとえば4カラットのものであれば、50万円から70万円ほどで、毎月数件が落札されている。サファイアは加熱して色を出している加工品も多いが、手を加えていない天然物のほうが高額になる。
また、サファイアは青系から無色、黄色やオレンジなど幅広い色を持つことでも知られるが、ヤフオクに出品されるのはほとんどがスタンダードな青系色だ。もっとも珍しく高価な「パパラチアサファイア」のようなオレンジがかった色味のものは、年に数度しか出品されない。
そのため、珍しい色味の天然物を購入したい場合は、専門店に行ったほうが確かである。サファイアも高額なため偽物や加工品が多く、鑑定書付きのものを選びたい。
ルビー
鮮やかな赤で知られるルビーも、ヤフオクで売買できる宝石のひとつだ。高品質なものには高値がつくことが期待できるが、注意点もある。他の宝石と比べ、ルビーは大きさや重さ(カラット数)で値段を決めることが難しいのだ。鮮やかさや色味、透明度などで市場価格は大きく違ってくる。
たとえば、5カラットの大粒のルビーは、最高品質であれば100万円以上の値段がつく。しかし、色がくすんでいたり暗い、低品質のものは同じ店でも買取価格5万円にまで落ちてしまう。
このように、一概に大きさだけでは値段のつけづらいルビーは、ややネットオークション向きでない宝石だと言えるだろう。
ヤフオクでも出品は多く、上は50万円以上のものから、手ごろなものは数千円までと幅広く落札実績がある。ルビーをネット上で購入するときは、なるべく参考写真が多く、透明度や色味がわかるものを選ぶと良いだろう。
エメラルド
エメラルドもまた、貴石と呼ばれ宝石の一種として人気が高い。ヤフオクでも5カラット前後の大粒のものが取引されており、落札額はそのサイズだと25万円から40万円前後である。エメラルドは緑色が濃く深いものほど価値が高いが、鉱石の性質上、内部に内包物を含みやすい。
あまりに大きな異物が中にある場合には価値が下がってしまうため、売買の際には宝石内部をよく観察する必要がある。また、内包物のせいで宝石にしては強度が弱く、割れやすいのも特徴だ。
購入前に傷をチェックするのはもちろんのこと、売ろうと思っているエメラルドが手元にある場合は保管方法にも気を配りたい。身に付けたまま運動をしたり、落としたりするとヒビが入る可能性がある。外に持ちだした後は柔らかい布で汚れを拭きとり、布にくるんで保管しておくと良いだろう。
真珠
ヤフオクでは他に宝石やパワーストーンなども数多く売られているが、なかでも真珠を買う際にはとくに注意が必要だ。真珠は他の宝石と違って貝の体内で生産されるもので、供給量も非常に多く、値段も下がりやすい。
大きな天然物で色や品質が良いものなら一粒10万円以上の値がつくが、人工品もあり、また微妙な色味などは画像での判別は困難だろう。ヤフオクなどネットオークションで高額な真珠を買うときには、低品質なものや偽物に気を付けたい。
貴金属、アクセサリーの相場
宝石だけでなく、貴金属もヤフオクで売買することができる品目の一つだ。とはいっても、いわゆる地金やインゴットの類はほとんど出品されない。金属類はそれぞれにはっきりとした相場があるため、オークションをする意味があまりないのだ。
また、インゴットなどの場合は金属の組成が信頼できるものでないと、額面通りの価値がない。しかし比重を調べたりせずにインゴットの品質を知ることはほぼ不可能であるため、インターネット上ではあまり売買されないのである。
地金の形ではなくアクセサリーであれば多くの取引があるため、ヤフオクで売買することができる。代表的なブランドごとにその落札相場を見ていこう。
ティファニー
高級ブランド、ティファニーのアクセサリーはヤフオクで毎月数百件が落札される人気商品である。高値で売買されているのは、ネックレスやブレスレット、ピアスが主であり、指輪は数が少ない。
他のブランドにも言えることだが、指輪はどうしてもサイズの問題があり、万人が身に付けられるものではないので、値段は控えめになりがちだ。
ティファニーのアクセサリーでとくに高値が期待できるのは、「pt950」つまりプラチナ純度95%で作られたシリーズである。大きめの宝石がついていればピアスで50万円前後、ブレスレットなら80万円以上で落札されている。
付属する宝石の種類やカラット数にもよるが、15万円から20万円前後のものが多いため、相場の参考として押さえておこう。
グッチ
イタリアの人気アパレルブランド、グッチのアクセサリーもヤフオクで買うことができる。高級なイメージのあるグッチだが、アクセサリーに関してはシルバーやピンクゴールドといったリーズナブルな素材を使っているため、だいぶ手頃な値段となっている。
落札相場を見てみると、指輪の多くは1万円から3万円前後だ。ネックレスやブレスレットはやや高くなるものの、5万円前後が主であり、最高で10万円ほどである。
とくにシルバーのアクセサリーは硫化や塩化で黒ずんでしまうことが多いが、プロに頼んで洗浄してもらうと新品同様になる。もし売りに出すなら、綺麗な状態にしてからのほうが良いだろう。
カルティエ
カルティエも日本での知名度も高く、人気のアクセサリーブランドである。他のブランドはシンプルな品が多いのに比べ、カルティエのアクセサリーは凝ったデザインのものが多い。
好みが分かれるということもあり、意外にヤフオクでの出品数は少ない。ゴールドでできたものが多く、ネックレスで20万円から30万円、チャームやチョーカーは5万円から10万円程度が相場である。
指輪を合わせても落札数は毎月数十件であるため、いろいろなシリーズのカルティエが見たいという場合は店頭で探した方が良いだろう。ただオークションなので、販売が終了してめったに市場に出回らない、レアなアイテムが出る場合もある。どうしてもほしいものがあるときはヤフオクでも探してみると良いだろう。
アクセサリーを買う際の注意点
貴金属の地金や宝石とは違い、アクセサリーの場合はデザイン性などもその価値に含まれる。しかし、先に挙げたような有名ブランド以外のものについては、あまりデザイン性は重視されず、市場価格はほぼ地金と付属の宝石の価値で決まってしまう。
資産として宝飾品を買う場合は、鑑定書のついた有名ブランド品を選ぶか、貴金属と宝石の価値に見合った値段のものを購入すると良いだろう。
もちろんファッションアイテムとして買うならば、自分の気に入ったものを選ぶのが一番だ。その場合も、高額品ほど偽物が出回っていることを踏まえ、不明な点があれば遠慮なく出品者に問い合わせをすると良い。
まとめ
最後に相場をまとめたので、参考にしていただければと思う。
- ・3カラットのダイヤモンドは100万円前後
- ・2カラットのダイヤモンドは50万円~60万円
- ・1カラットのダイヤモンドは10万円~20万円
- ・1カラット未満のダイヤモンドは5万円程度
ヤフオクではダイヤモンド以外の宝石も取引されている。
- ・サファイアは50万円~70万円
- ・ルビーは100万円以上
- ・エメラルドは25万円~40万円前後
- ・真珠は10万円以上
傷の状態や保管方法によるが、おおむねこのような相場だ。
ヤフオクは登録者が多いので、価値を理解して購入してくれる人を見つけることや、価値をわかって出品している人を見つけることが比較的簡単だといえる。
ただし個人間の取引のためトラブルが起きる可能性も想定し、注意点は抑えておきたい。