軍刀なんて、自分には一生縁のないものだと思っている人も多いのではないのだろうか。しかし実際には、「亡くなった祖父の遺品整理をしていたら軍刀が出てきた」「実家の押し入れや倉庫を片付けていたら、家人の誰も存在を知らなかった刀があった」というケースは少なからず存在する。そうして発見したはいいものの処分に悩んでいる人や、扱いに困っているため、売ることを考えているという人もいるだろう。
この記事では、軍刀にはどのくらいの価値があるのか、中古の買取相場はどのくらいなのかを紹介する。売りたいけどどこに売ればいいのか分からない、どのくらいで売れるのかを知りたいといった疑問についても整理していく。
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軍刀を売るときの相場は?
軍刀を買い取ってくれる場所としては、刀の買取業者や軍装品や骨董品の買取店などの買取専門店と、ヤフオクやメルカリといったネットオークションサイトの2つが挙げられる。オークションサイトで売る場合と専門店で買い取ってもらう場合では、価格や相場が変わることもある。また、売る前に必要な費用や売るときの流れも違う点があるので、その点を押さえておこう。
軍刀の価値はどこで決まるのか
軍刀と日本刀は別物だと考えている人も多いが、実は軍用に作られた日本刀のことを軍刀と呼ぶ。軍装の一部や権威の象徴として使用されたのが特徴で、そのため戦闘目的というよりは正装時の服飾目的で造られたものが多い。日本刀がそうであるように、軍刀も造られた年代や作者によって一つ一つ価値が違う。
- ・刀のランク
- ・作者
- ・サイズ
- ・細工の美しさ
- ・偽物か本物か
- ・工場で大量生産されたものか一点ものか
といった複数のポイントから、価格が決められる。斬れ味の良いものや出来栄えの良いもの、有名な作者によって造られたものなどはやはり高い値段がつく傾向にあるようだ。一方で、高名な作者の手によるものでも、保存状態が悪すぎた場合などには値が下がってしまうこともある。
逆に無名の作者のものでも、質の良い刀剣なら高く売れることもあるので、似たような刀でも条件によっては値段が大きく変わってしまうことに注意しなければならない。
ネットオークションで売る場合
大手のネットオークションサイトの一つ、ヤフオクでは、軍刀は平均してだいたい110,000円で取り引きされている。安いものでは50,000円ほどで出品されているが、過去には1,200,000円で落札されたものもある。
ネットオークションという環境が持つ特徴として、人気の高い商品、希少度の高い商品には多くの人が入札を繰り返すので、初めに出品者が設定した値段よりも大幅に高い値段で落札されるということがあるからだ。
ネットオークションでは自分で出品したものの値段を決められる。自分の軍刀がどのくらいの価値があるものなのか、正確に判断できるほど詳しい知識を持った人はともかく、多くの人はまず専門のお店や鑑定士に見てもらい、売るならどのくらいの値段がつくのかを査定してもらうことが必要不可欠だ。実は予想していたよりも高い値段で売れることが分かるかもしれない。
買取専門店で売る場合
刀の買取専門店では、刀剣について深い知識を持った専門家が鑑定し、値段を決めるのがほとんどだ。多くの刀剣を見てきたプロに鑑定してもらえば、自分の軍刀にどれだけの価値があるのかを適切に判断してもらえるだろう。
しかし、中にはろくに軍刀についての知識も持たず、きちんと鑑定せず安く買い叩くような業者も中には存在する。もし査定してもらって少しでも疑わしい点が出てきたら、売るのは一旦後回しにして、別の買取店でもう一度鑑定してもらったほうが望ましい。
軍刀を売るときの注意点
軍刀を売る前に、いくつか注意しなければいけない点がある。一般的に、刀を発見した際には、刀剣登録を行う必要がある。もし手元に登録証のない刀があった場合には、警察に行き届け出をしなければならない。
登録証がある刀剣でなければ、個人の所有が認められない上、売買や譲渡することもできないからだ。ただし、軍刀の場合だと、届け出を行わなくても良い場合がある。その違いと、実際に売ることになった際に気をつけなければならない点を整理する。
登録の対象にならないもの
基本的に日本刀は届け出をして登録する必要があるが、全体的にあまりにも劣化し錆びや傷がはなはだしいものや、見かけは日本刀であっても、日本刀の伝統的な製作方法によって造られていないものの場合、届け出をする必要はない。軍刀の場合、工場で大量生産されたものや戦闘目的ではなく飾りとして使用されていたものが多いことから、必ずしも全てが届け出をしなければいけないわけではない。
もちろん、れっきとした日本刀として造られ使用された軍刀もあるので、その場合はきちんと届け出をして登録証をもらわなければならない。いずれにせよ、発見した刀に登録証がつくのかつかないのかは、専門家に見てもらって判断してもらうのが確実だろう。
良い保存状態を保つために
もし自分の持っている軍刀に錆びがついていた場合、売るときに価値が下がってしまうことを懸念して、綺麗な状態にしようとする人は多いだろう。だが、もしその軍刀が発見されたばかりで、なおかつ登録証が必要なのについていなかった場合には、錆びを取るのは少し待たなくてはならない。登録証を発行してもらうまでは、発見されたままの状態を保つ必要があるからだ。
登録証が発行されたら、ようやくお手入れをすることができるようになる。あまりにも錆びや汚れが酷い場合には、専門の技士に依頼をして修理や研磨をしてもらうのが望ましい。一度錆びてしまった刀を元々の姿に戻すのは、なかなか費用がかかる。
発見したときには綺麗な姿だったとしても、保存状態が悪いと時間が経つにつれ錆びていってしまうこともある。綺麗なまま保っておけば、より高い値段をつけてもらうこともできたのに…と、後悔しないように注意だ。
なるべく高く売るには
何を売るにしても「売り時」というものがあり、刀も例外ではない。少し前に刀剣ブームが起き、刀剣類に関する注目は以前よりも高まっていると言えるだろう。そんないまは、刀を売るのに最適な時期だと言える。ネットで刀の買取業者のサイトを見ると、「今が売り時です」とうたっている業者もよく見かける。
そんな「売り時」だからこそ、どこに売るかは買取業者をよく見極めてから決めるのが良いだろう。無料で査定してもらえるお店もあれば、出張買取をしている店もあるなど、買取業者ごとにサービスは変わってくる。そうした違いを比較して店を選ぶことで、売った刀の値段が同じだったとしても、鑑定や買取にかかるお金を安く抑えることができる。
また、ネットオークションで売るのであれば、事前に鑑定をしてもらってから値段を決めて出品するのが必須だ。客観的な刀の値段を知った上で自分が売りたい値段を設定すれば、目の肥えた刀剣愛好家の人たちなどにも、納得して入札してもらうことができる。
中古の軍刀を購入する場合
刀剣類の買取業者の中には、買取だけではなく販売も行っているところもある。そのような専門店で購入する場合は、刀を扱うプロが販売しているものなので心配ないが、ネットオークションで売られている軍刀を購入したいと思った際には、売るとき同様、気をつけなければいけない点がいくつかある。
登録証がついているか
前述したように、一般的に日本刀の所持には登録証が必要だが、軍刀の中には登録証が必要ないものも多い。まずは出品されている軍刀が、どのような種類のものかを確認し、登録証がいるのかいらないのかを判断しよう。
もし登録証が必要な種類の軍刀なのにもかかわらず、登録証の有無が商品説明にはっきりと書かれていない場合、出品者に質問して確認をとる必要がある。万が一そういった商品を落札してしまった場合には、そのまま所持していると銃刀法違反にもなりかねない。入札する前に、まずは登録証について確認してから購入を検討するのがトラブルを避けるコツだ。
購入した後
ネットオークションや専門店で購入した後、まずしなければならないのが所有者の変更登録だ。登録証自体を変更するわけではなく、現在誰が所有者なのかをはっきりしておくために、その地域の教育委員会、文化財課に届け出をする。刀剣を入手してから20日以内に届け出をすることが法律で決まっているので、購入して商品が手元に届いたら、すぐ提出しよう。
また、軍刀をはじめとする日本刀は、ただ所有するだけでなく手入れをすることが求められる製品だ。錆びつかないように管理したり、大きいものであればそれなりの保管スペースが必要になる。購入した後のことも考え、購入を決めるのが望ましい。
まずは軍刀を鑑定してもらおう
ここまで軍刀の価格の相場や、買取業者やネットオークションで売却、購入することに関して触れてきた。どこで取引をするにしても、まずは見る目の確かな専門家に鑑定してもらい、どのくらいの価値になるのかをはっきりさせてから売るのが必要不可欠だ。
刀は細かな条件の違いによって大きく値段も変わってくるものなので、素人ではわからない部分も出てくる。せっかく高く売れるかもしれない軍刀を、二束三文で買われてしまったら元も子もない。改めて高く売るためのポイントをまとめたので、鑑定してもらう前にチェックしておこう。
軍刀の高く売れるポイントまとめ
- ・錆びや傷などが少ない
- ・細工が凝っている
- ・有名な作者の手によるものである
- ・完成度が高い
- ・登録証がある(出所がはっきりしている)
これらの点を兼ね備えていれば、高く売れる可能性が高い。鑑定に行く前に、登録証の届け出や錆びの手入れなどを行っておくことも重要だ。
ネットオークションで取引する際の注意点
専門の買取業者に買い取ってもらう場合と違って、ネットオークションでは素人同士のやりとりとなることがほとんどである。そのため、購入するほうも売却するほうも、登録証の有無はまずはじめに確認しておかなければならないポイントになる。また、知識がなかったばかりに買い叩かれたり、ものに釣り合わない高額な金額を提示されたりしないよう、専門家に相談したりネットで調べたりしてから取引を行うのが望ましい。
まとめ
軍刀の価値や中古買取相場。また、売買の際の注意点などについてまとめた。遺品整理や、実家の片付けなどをしていると思いがけない物が出てくることがある。自分にとって不必要な物でも、必要な人、コレクターなどには大変価値のある物かもしれない。
軍刀が手もとにある場合は、まずは専門家に鑑定してもらい価値を見極めよう。その後、登録証や状態の確認をして、本記事の売買相場、注意点を参考に高額買取を目指してほしい。