グローバル化が進む今日、海外に移住する人は以前よりも大分増えてきた印象だ。海外に長期留学する、海外で仕事を探す、海外転勤する、定年後に物価の安い海外でのんびり暮らす・・などなど。日本から海外に居を移すことは、決して珍しいものではなくなった。
以前から節税や投資ビジネスの関係などで香港やバンコク、シンガポール移住する人などは富裕層にも見られたが、Youtuber中田敦彦氏がシンガポールに移住したり、2020年以降はコロナウイルスの影響もあり、リモートワーク、オンラインでのビデオ会議が普及する流れの中でどこに住んでいるのかという縛りが仕事をする上でなくなっていき、地方へワーケーションする人なども増えている。
ここでは、海外に移住するときに直面する大きな問題「引っ越し」をスムーズに済ませられるよう、不用品の処分方法などを中心に見ていこう。
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海外移住で頭を悩ませる「引っ越し」
海外移住は、何かとハードルが高い。お金もかかるし、ビザの問題から滞在にも仕事にも制限があるのが一般的だ。移住のケースによっても変わってくるが、書類をたくさん揃え、各所に申請を行い、審査を受けるといったことはあまり変わりがないだろう。これらのハードルを一つ一つクリアしていくことで、ようやく移住することができるようになるのだ。
しかし、実際に海外に移住するためには、まだ大きな仕事が残っている。それが「引っ越し」だ。国内で引っ越したことがある人なら、引っ越し自体の面倒臭さはお分かりになると思うが、引っ越し先が海外となると、いろいろと手間も変わってくるうえ、やはり金銭的な負担が大きくなるのだ。
安い引っ越し業者を選ぶのは難しい?
日本において、引っ越し業者はよりどりみどりだ。しかも、業者が多いものだから、競争原理も働いて、割と価格交渉も効く。よくあるのが、複数業者から見積もりを取って、一番条件の良いところに決定する「相見積もり」だ。他社と比較することで、価格交渉の材料になり、結果的に金銭的な負担を減らすことができるのだ。
しかし、引っ越し先が海外になると、事情は大きく変わってくる。まず、引っ越し先が海外になれば、そもそも相応に価格も高くなることに注意しよう。しかし、だからといって海外への引っ越しに対応できる業者はかなり限られているため、価格交渉は難しく、ある程度の金銭的な負担は覚悟しておいた方が無難なのだ。
なお、海外引っ越しの場合、引っ越し業者は実務的に現地の自社子会社あるいは代理業者などと提携することが多く、やはりそのようなビジネススキームを組めるのは大手に限られてくるのだろう。海外引っ越しに対応する主な業者は、次の通りだ。
- ・日本通運
- ・ヤマトロジスティクス(クロネコヤマト)
- ・サカイ引越センター
- ・アート引越センター(原則的に法人のみ)
海外引っ越しの金銭的負担を抑えるには
海外移住には、とにかくお金がかかる。そのため、引っ越しにかかる費用はできる限り抑えたいと思うのが普通ではないだろうか。先ほども少し触れた通り、海外への引っ越しの場合には、対応可能な業者が限られているため価格交渉が難しく、残念ながら金銭的な負担が大きくなりがちだ。
しかし、だからといって引っ越し費用を全く抑えられないのかと言えば、そういうわけではない。以下では、引っ越し先が海外であっても、金銭的負担を抑えられる方法を紹介しよう。
とにかく荷物を減らす
引っ越しの場合、引っ越し元から引っ越し先への距離と、荷物の総量によって大まかに料金が決定される。前者はもはやどうしようもないが、後者はいくらでも調整が効く。つまり、引っ越し前には、とにかく荷物(特に大型の家財)を減らしておくのが、料金を抑えるコツというわけだ。
荷物を減らすのには、2パターンある。1つは「捨てる」こと。従来は、引っ越し前にはとにかく物を捨てていくのが、安くあげるための鉄則とも言えたものだ。しかし、最近では、もっと望ましい方法がある。それがもう1つの「売る」ことだ。
不用品は売る
最近では、不用品を売るのがだいぶ容易になった。業者に買い取ってもらうのはもちろん、ネットオークションやフリマアプリを使って個人に売ることもできるようになり、不用品を現金化する環境はかなり整ってきているのだ。
家財をあらかじめ売却することで、引っ越し料金を抑えることができるかもしれないし、そのうえお金が得られるのだ。場合によっては、引っ越し料金が全て浮くほどになるかもしれないので、ぜひとも検討してみてほしいところだ。
以下では、業者で買い取ってもらう場合、ネットオークションやフリマアプリを通じて売る場合のメリットとデメリットをそれぞれ見てみよう。
業者に買い取ってもらうメリット・デメリット
業者に買い取ってもらう場合、ある程度まとめて買い取ってもらえたり、手間がかからなかったりすることが、引っ越しにおいてはメリットになる。最近では、買い取ってもらいたい物が多い場合には、出張買取に対応してくれる業者も多いため、一気に物を減らしたい場合には有難い限りだ。
しかし、まとめて買い取ってくれるメリットがある反面、一品一品に思うような値段がつかないこともあるので、気を付けよう。
個人で売却するメリット・デメリット
ネットオークションやフリマアプリを使って個人で売る場合、一品ごとに割と高値で売ることができる(自分で価格を設定できる)のが最も大きなメリットだろう。業者では買い取ってもらえない、あるいは値が付かないような物でも、売れる可能性がある。
しかし、個人で売却するのには、出品・取引対応・梱包・発送などの手間が発生するうえに、いつ売れるか、そもそも売れるかどうかといったところで保証がないことに注意しよう。そのため、個人で売却したいのなら、時間に余裕があるうちにやっておくと良いだろう。
引っ越しにあたって売っておくと良いもの
何が売れて何が売れないかというと、今ではほとんどの物が売れる。しかし、引っ越し料金を抑えるにあたっては、「小さなもの・軽いもの」よりも、「大きなもの・重いもの」を優先的に売った方が良いだろう。例えば、次のようなものだ。
家電全般(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、掃除機、オーディオ、レンジ、ガスコンロなど)
家電は、引っ越しの荷物の中でも大きなウェイトを占める。そのうえ、海外に持っていても、規格や電圧などの関係から使用できないこともあるので、日本国内で売ってしまうのがおすすめだ。
特に、テレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどは、家電リサイクル法の対象品目のため、処分する場合には自治体の粗大ごみとは異なる処分料金がかかり、一般に高額だ。そのため、これらは仮に0円であっても、引き取ってもらえるのなら、引き取ってもらったほうがお得になる。

なお、特に家電リサイクル法対象品目では、売却先に気を付けてほしいと思う。特に、路上などで無料又は安価で回収すると宣伝している業者がいるが、不適切な処分(越境処分)を行っているケースがあり、その他にも高額請求などのトラブルが少なくないのだ。業者選びは、慎重に行ってほしい。



家具全般(ソファ、ベッド、テーブル、イス、タンス、テレビ台など)
家具は、家電製品と違い、規格や電圧に左右されず、持って行ってもそのまま使用することができる。しかし、家具のほとんどは大きく、引っ越し費用を釣り上げている主要な原因となっているのだ。そのため、場合によっては、持っていくよりも現地で調達する方が安くつくこともあり、何かしらの思い入れがない限りは、日本国内で売却してしまうのがおすすめだ。
家具の場合、何でも売れるかといえば、残念ながらそういうわけでもない。売れる家具は、基本的に「ブランド家具」であり、廉価なニトリやIKEA、無印良品などの家具は業者ではあまり高くは買い取ってもらえないのが現状だ(廉価な家具は、ネットオークションやフリマアプリを使うと売りやすい)。ソファを筆頭に、カリモクなどのハイブランドであれば、買い取ってくれる業者はたくさんあるので、業者間で相見積もりを取ってみるのも良いだろう。



自転車
引っ越しにあたって、割と忘れがちなのが「自転車」だ。自転車の廃棄は、一般的に自分でごみ処理場に持ち込むか、自治体による回収を依頼することになり、通常は有料だ。そのため、売れるのであれば、やはり売ってしまった方が良いだろう。人気のロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイク、電動自転車などは中古でも欲しがる人が多く、買取も盛んだ。

海外に持ち出せない物
引っ越し先が海外になる場合、検疫や通関上の問題から、持ち込めない物がある。代表的なところでいうと、食品や動植物、危険物などだ。そのため、これらの物はあらかじめ国内でどうにかするしかなく、物によっては売りさばくこともできるだろう。
また、海外に持ち出せない物は、国や地域によっても異なるので、あらかじめ調べておくのが良いだろう。
書籍はどうする?
書籍は、意見が割れるところだ。当然、重いしかさばるので、売れるのであれば売ってしまうのが良いだろう。とりわけ、書籍は買取対象品の代表格でもあるので、売ること自体は容易だ。
では、なぜ売りたくない声があるのかと言えば、それは海外現地ではまず調達できない物だからだ。
筆者も海外に数年滞在していたが、時折無性に日本語に飢えることがある。物流が発達したからといっても、海外で日本語の書籍を手に入れるのはまだまだハードルが高い。そのため、書籍は荷物になっても良いから、一緒に持っていきたいと思う人が多く、筆者もそのうちの一人なのだ。
しかし、思えば、今ではネット配信サービスでパソコンやタブレット、スマホベースで書籍を読むことができるようになったので、これで事足りるようであれば売ってしまうのもありではないかと、個人的には思う。

買取業者の選び方
引っ越しにあたって、買取業者は強い味方だ。賢く利用することで、金銭的な負担が軽くなることは、これまで述べたとおりだ。では、数ある買取業者の中から、最適な業者はどのように選ぶのが良いのだろうか。ここでは、おおまかなポイントを3つ挙げてみよう。
出張買取に対応しているかどうか
もし、引っ越しまでに時間的な余裕がないようなら、出張買取が圧倒的に便利だ。出張買取とは、買取業者の査定員が家まで直接来てくれて、いくらで引き取ってくれるか、その場で査定を出したり、買い取ってくれたりするサービスだ。
今では多くの買取業者が出張買取を行っているが、地域や買取品目などによってそれぞれ条件が異なり、また有料か無料かも異なるので、都合よく対応してくれそうな業者を探してみると良いだろう。
総合的に買い取ってくれる業者か、専門的に買い取ってくれる業者か
買取業者は、幅広いアイテムを買い取ってくれる総合的な業者と、限られた種類のアイテムを専門的に買い取ってくれる業者とに大きく分けることができる。
総合買取店・リサイクルショップのメリット
総合的に買い取ってくれる業者を使うメリットは、一回の買取で、多くの荷物を引き取ってもらうことができることだ。特に引っ越しの場合だと、時間が限られている場合が多く、さっさと手間なく荷物を減らしたいという人にはおすすめだ。



専門買取店のメリット
専門的に買い取ってくれる業者を使うメリットは、査定が一品一品、しっかりと価値を反映しやすいことだ。専門性が高ければ、そのアイテムの適正価値がわかるので、ブランドバッグ・財布やロードバイク、万年筆、腕時計、絵画・美術・骨董品、おもちゃ、ブランド古着、トレーディングカード、ワイン、大型の薄型テレビやダイソンなど高級家電など妥当な値段をつけてくれる可能性が高いのだ。
しかし、この手の業者だと、一気に荷物が片付くということにはならないので、急いでいるときには不向きと言える。
もし、時間的な余裕があるのなら、それぞれの分野に強い業者に、それぞれ査定依頼すると良いだろう。特定の日に集中的に査定に来てもらうと、効率的に済む。
どこまで無料で対応してくれるか
買取業者は数多くあれども、無料サービスの範囲は業者によって変わってくることに気を付けよう。基本的な査定が無料かどうか(特に出張買取の場合)、値が付かなかった物の引取が無料かどうか(特に家電リサイクル法対象品目)、その他何かしら手数料の名目で料金が発生しないかどうかに注意するのが望ましい。
特に、料金の詳細を事前に案内することなく、思わぬところで料金を請求するような不誠実な業者の場合には、たいてい「悪い口コミ」があるものだ。そのため、買取業者に目星をつけたら、念のためその業者の口コミを確認するのが無難だ。
引っ越し業者に買取を依頼することはできる?
最近では、引っ越し業者がオプションサービスとして、不用品の引取処分や買取を行うこともあることをご存じだろうか。この手のサービスを利用すると、いちいち不用品の処分や売却を事前に済ませることなく、引っ越し業者とのやり取りのみで完結できるため、とても手間が省けて助かるのだ。
しかし、残念ながら、これは国内の引っ越しに限った話だ。先ほども少し触れたが、海外引っ越しに対応している業者は、そもそも多くなく、その中でさらに不用品の引取や買取を行っている業者はかなり限られているのだ。
海外引越に対応する業者の不用品引き取り事情一覧
一例として、海外引っ越しに対応している下記大手引っ越し業者の、不用品の引取・買取可否を挙げてみよう。
- ・日本通運
- 引取処分・買取、ともに不可。
- ・ヤマトロジスティクス(クロネコヤマト)
- 買取不可、一般的な家具等の引取処分は1点3,000円~。
- 家電リサイクル法対象品目の場合には、事前にリサイクル券の購入が必要。
- ・サカイ引越センター
- 引取処分・買取処分ともに一応可だが、物や地域によって異なる。
- 買取は、基本的に購入から3~4年までの物が対象。
- ・アート引越センター
- 買取不可、引取処分は有料で対応(但し、引っ越し自体が法人契約に限る)。
サカイ引越センターは買取できる場合がある
大手の中でも、唯一「サカイ引越センター」が買い取ってくれる可能性があるものの、物や地域などによって変わってくるため、過度な期待は禁物だ。また、あくまで引っ越し業者であるので、仮に買取に対応しているとしても、本職の買取業者よりも有利な買取値が提示されるかどうかは微妙なところだ。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
そのため、もし不用品を少しでも高く買い取ってもらいたいと思うのなら、餅は餅屋、やはり買取業者に依頼するのが良いだろう。
なお、引っ越し業者の不用品引取・買取可否の状況については、執筆時点(2018年1月)の情報であり、今後引取や買取を行うようになる可能性もないとはいえない。そのため、もし気になるようなら、問い合わせの際にあわせて確認してみよう。いずれにしても、引取料金や買取値などは、見積もり時に教えてくれるはずだ。
不用品の売却と引っ越しは別々に
結論として、不用品は引っ越し前に買取業者に買い取ってもらい(あるいはネットオークションやフリマアプリを使って自分で売却)、極力荷物を減らした上で、引っ越し業者には引っ越しだけ依頼するのがオーソドックスな方法となるだろう。
海外移住は、思わぬところでお金がかかるものだ。事前の準備ではもちろん、現地についてからも、生活基盤を整え、生活が安定するまでには、結構なお金が必要になる。新天地での生活を気持ちよく始めるためにも、日本国内にいるうちに、家財などの不用品は売却し、移住の経済的負担を軽減させたいところだ。

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