見た目に美しく変化に強いことから、人類の歴史を通して珍重され続けてきたのが金だ。その金を素材として作られた金貨は、重量分の金としてだけではなく、ものによっては、コレクターズアイテムとしてプレミアがつくこともある。金貨は保管や持ち運びに優れる上、場所や時代を選ばず通用し、付加価値も期待できる優れた資産だ。
しかしだからこそ、あの手この手で購入者を欺くものが後を絶たないのが現実である。この記事では、金貨を持つ人、また購入を考える人のために、金貨の偽物と本物を見分ける方法について徹底解説する。
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金貨の歴史は偽造の歴史。被害を防ぐためには知識が必要
金貨は、種類によりその品位(純度)に差こそあれ、金を主な素材としているからこそ、不朽の価値を持つ。その鉄則は、現代においてももちろん変わることはない。例え発行した政府がその翌日に消滅し、通貨としての価値が失われても、金としての価値は変わらないということに意味があるのだ。
しかし、銅やニッケルなど、価値の低い金属で作ったコインを金でできているように見せかけられるならば、製造者は質を信じたものの資産をまき上げることができる。そのため、現代に至るまで贋金づくりの犯罪者が途絶えたことはない。金貨の歴史は偽造の歴史でもあるのだ。
日本で起きた大量の金貨偽造事件とは
1986年、日本政府は「天皇陛下御在位60年記念硬貨」を発行した。硬貨は500円白銅貨、1万円銀貨、10万円金貨の3種類で、このうち10万円金貨は20gの純金で作られていた。
ところが1990年になって、この10万円金貨の偽物が大量に発見されたのだ。その枚数は10万7,946枚、つまり被害額は107億9,460万円という凄まじさだった。発見が遅れたのは、数年の間に円高となる一方、10万円という額面は変わらないため、国外の購入者が日本の業者に売り、購入当時との差額で利益を得ようとしていると受け止められていたためだった。
金貨偽造事件から得られる教訓
見た目が似ていて重さが釣り合っていれば、人は簡単に騙される。本物が1枚あれば、そこから型を取って偽造することは可能だ。この事件は偽造防止技術の向上や、記念貨幣のタイプ変更など、その後の記念硬貨発行に大きな影響を与えることになった。
結局、偽造を行ったとみられるグループを特定できなかったため、事件は迷宮入りとなり、証拠品である偽造金貨は表面を圧延加工したうえで、地金として返却された。贋金をつかまされた被害者は、基本的に泣き寝入りとなるのだ。
偽造金貨による被害を防ぐためには、信頼できる販売者から購入することが肝心だが、素人同士がやり取りするケースなど、その販売者が本物だと信じている場合もある。金貨の購入にあたっては、事前に本物に対する知識を身に付け、偽造の手口を見抜く術を持っておく必要があるのだ。
家庭でできる、金貨を傷つけない本物と偽物の見分け方とは
偽造金貨の問題は、資産として金貨を購入した人はもちろん、デザインの美しさや、古い時代の金貨に歴史的な魅力を感じるコレクターにとっては特に切実だ。
メイプルリーフ金貨やウィーン金貨のように、本物が純金製であれば、偽物を見分けることはある意味で簡単と言える。金貨を偽造する目的は、同じ体積になるよう混ぜ物をすることで、純金製である本物との差額を稼ぐことにある。だから、仮に金貨を割ってみれば真贋は一目瞭然だ。表面だけは純金で覆っていても、内側は銅や鉛など、安物の金属の塊だからである。
しかし、割ってみた結果本物だったなら、泣くに泣けない事態になってしまう。そもそもコレクションアイテムであれば、ほんの小さな傷さえつけることは許されない。この条件は難しいように思えるが、それでもいくつかの方法はある。
もっとも単純にして確実なのは、専門店に持ち込んで検査してもらうことだが、今目の前にある金貨をすぐに調べたい、という人のために、以下、家庭でできる検査方法を紹介する。
金貨を触る
まずは、金貨を触って確かめる方法だ。純金には熱伝導率が高いという特徴があるため、触った瞬間こそヒンヤリとしていても、すぐに手の熱が伝わって温まり、冷たさを感じなくなる。他の金属と比べてみると一層差を感じやすいので、財布の中にある硬貨を使って試してみると良い。
また、金貨を手に持ったときに、見た目よりずっしりと重みを感じるなら、純金である可能性が高くなる。
磁石を使う
磁石を使って見分ける方法もある。偽造品には、表面に金メッキを施し、見た目だけそれらしくしているものも多い。もしも金貨が磁石にくっついたら偽物である。純金は磁石に反応しないからだ。
ただし、ニッケルなど金以外にも磁石に反応しない金属はあるため、くっつかなかったからと言って純金とは断言できない。
金貨を使用したネックレスなどのアクセサリーでは、留め金などの部分が磁石に反応してしまうこともあるため、取り外してから試す必要がある。
比重テストを行う
もしも細かな計算が面倒でなく、料理に使うデジタル計量器と、1ml単位のメモリが付いたガラスのメジャーを用意できるなら、比重テストを行うことができる。純金の比重は1mlあたり19.13~19.51と非常に高く、これを超える金属は滅多にないからだ。
最初に、デジタル計量器で金貨の重さを計っておく。次に、メジャーに水を入れ、水面が静かになるのを待って、その位置を記録する。水面の位置の変化で比重を計るため、正確さが大切である。
その後、金貨をメジャーに沈め、再び水面が落ち着いてから位置を測定する。比重は、物体の質量を、その物体が押しのけた水の体積で割ることで算出されるため、この計算に従って得られた数値が19.13~19.51に近いものであれば、金貨が本物である可能性はかなり高くなるのだ。
購入前の予防策。偽物が紛れ込むパターンを知って備えよう
偽造金貨に騙されないためには、まず購入を考えている金貨の特徴を知っておくことが大切だ。専門家のように細かな部分まではわからなくても、半端な偽物なら一般的な特徴だけで見分けることができる。
コレクターに人気のある金貨には、アメリカのインディアン金貨や、中国のパンダ金貨、オーストラリアのカンガルー金貨などがある。
インディアン金貨の特徴
アメリカの金貨全てに共通し、かつ一番大きな特徴は「裏と表で、絵の上下が逆になっている」ということだ。金貨を枠にはめ込んでペンダントにしたアクセサリーがあるが、その金貨がアメリカのものであれば、裏に向けて見たときに上下の向きが同じ場合は偽物ということになる。
インディアン金貨には2.5ドル金貨と5ドル金貨、10ドル金貨の3種類がある。インディアンの横顔が彫刻された発行年は種類によって若干の差があり、10ドル金貨は1907年~1933年発行、5ドル金貨・2.5ドル金貨は1907年~1929年発行となっている
また、コインの柄はレリーフ(浮き彫り、絵柄が盛り上がっているもの)のものが多いが、インディアン金貨はその逆のカウンターレリーフ(絵柄が掘り下げられ、沈み込んでいる)であるのが特徴だ。つまり、もし柄がレリーフのインディアンコインがあれば偽物ということになる。
パンダ金貨の特徴
パンダ金貨は、愛嬌のあるパンダの絵が彫刻されていて、毎年デザインが変わるため、発行年によっては高いプレミアがつくことがある。特に1982年は発行枚数が15,000枚程度と非常に少ないため、マニアの間では高値で取引されているのだ。そして、それゆえに偽物も多く出回っている。購入を検討するなら念頭に置いておきたいところである。
パンダ金貨の側面には溝が刻まれているが、2002年以降に発行されたものはその溝がらせん状になっている。したがって、2002年以降の年号が彫刻されているのに、側面の溝がねじれていないものは偽造品だ。
カンガルー金貨の特徴
オーストラリアのカンガルー金貨も、毎年デザインが変わることで知られている。そのためやはりデザインに人気が出た年のものにはプレミアがつく。
パンダ金貨よりも価値が大きい
パンダ金貨とカンガルー金貨はどちらも「純金」と呼べるものではあるが、その品位には差がある。パンダ金貨の品位が999/1000であるのに対し、カンガルー金貨は999.9/1000、俗にフォーナインと呼ばれるさらに純度の高いものとなっているのだ。
このため地金としての価値はカンガルー金貨のほうがやや上回ることになる。インゴットとしての価値とプレミアムをあわせ持つため、こちらも偽物が多くみられるものとなっている。
スラブ入りのカンガルー金貨に要注意
コレクターズアイテムでもあるカンガルー金貨は、開封の難しいスラブと呼ばれるプラスチックケースに入った状態で販売されていることが多い。アメリカに拠点を置くコインの世界的な鑑定機関、NGC(Numismatic Guaranty Corporation)では、鑑定後には鑑定ナンバーを記載したホログラム付きのプレートを入れ、スラブに封印してくれる。コインの価値を落とさないためのサービスである。
ところがこれを逆手にとって、銅で作って金をかぶせたコインとホログラム付きプレートをスラブに封じた偽物が出回っているのだ。
ただし、これもしっかりと観察することで、偽物を見分けることができる。まず、偽物のスラブは本物に比べて全体的に白っぽく、中身がやや見えにくいようになっている。プレートはスラブ上部に入っているが、NGCのロゴ部分、特にトレードマークである天秤がぼやけ気味だ。何より、肝心のコインはレリーフの出来が雑で、重量も本物の半分程度しかない。もしもスラブ入りのカンガルー金貨を買ってくれと持ち掛けられたら、その場で計量することがおすすめだ。
おすすめ買取店
金貨の偽物と本物の見分け方について解説してきたが、こちらでは金貨の買取におすすめの業者を紹介する。業者選びに迷っている人は、ぜひ参考にしていただきたい。
さすがや
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対策
金貨などの貴金属の買取を得意とするさすがやは、経験豊富な査定士がプロの目でしっかり査定し、コスト削減を徹底した販売ルートを持つことで、高価買取を実現している。買取方法は店頭・出張・宅配買取から自分に合ったスタイルを選べる。
貴金属であれば刻印がないものや、破片、切れたネックレスなど、どんなものでも買取可能とのことなので、他店で断られたものもあきらめずに、まずは査定依頼してみよう。
まとめ
ネットオークションには、人気の高い金貨が出品されていることも珍しくない。しかし、パソコンやスマートフォンの画面越しでは、金貨の特徴はつかみにくいし、そもそも画像はいくらでもごまかすことができる。詐欺師同然の行為を働く出品者も決して珍しい存在ではない。中には金貨を購入して大金を支払ったのに、とぼけて銀貨を送ってきたなどという例もある。
金貨の本質は、それが金でできているということにあり、普通に売買すれば最低でも金の価格で買い取ってもらえるものを、わざわざ激安で販売する人などいるわけがないのだ。500円からオークションスタート、などという出品に飛びつくのは、大切なお金を自分から捨てに行くようなものである。
本物と偽物の金貨を見分け、偽造被害から身を守るためには、購入する金貨の特徴を把握し、基本的な方法を知っておくこと。そして何より、確かなルートを持つ専門店で購入することがもっとも確実な方法なのだ。





