2017年現在もパリで活躍する松谷武判は、世界的に注目される具体美術の元メンバーだ。木工用ボンドや鉛筆といった変わった画材を使った彼の作品は、美術品オークション市場でも驚くほどの高値が付いている。また現在もアーティストとして多彩な作品を生み出す松谷武判は、具体美術に関する話をさまざまなメディアで語り続けているため、このカテゴリの絵画に魅了される皆さんにとっても注目すべき存在と捉えて良いだろう。
今回は、多くの若手アーティストにも尊敬される松谷武判の話をしながら、彼の描く絵画作品や具体美術の魅力に迫っていきたい。
本記事のポイント
- 松谷武判は現存する具体美術協会のメンバー
- 木工用ボンドという特殊な素材をキャンバスに大量に流す技法が特徴的
- 美術オークションにて数百万円での落札が多い
CONTENTS
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画家 松谷武判の経歴・略歴とは
大阪市出身の松谷武判は、現存する具体美術協会のメンバーだ。1960年代にこの協会で活躍した彼は、フランス政府の留学生選抜コンクールでグランプリを受賞したことをきっかけに、1967年渡仏をしている。その後S.W.ヘイターの版画工房に入門した松谷武判は、同士の助手を経て独立し、1970年に自身のシルクスクリーン版画工房をモンパルナスに作り活動を続けている。
松谷武判も参加していた具体美術って何?
具体美術協会は、吉原治良を中心とした関西の若手前衛作家によって生み出されたアーティスト集団だ。当時の日本美術界の形式主義を否定した具体美術協会では、「人の真似をするな、誰もやらないことをやれ」をコンセプトに、具体的なアクションを起こしている。その中では、炎天下の森林を舞台とした野外展やデパート屋上で行われたアドバルーン展といったイベントも開催されており、単なる絵画の域ではなくパフォーマンス性といった部分でも当時は注目度を高めていた。
具体美術は今も続いているの?
具体美術協会は、リーダーだった吉原治良の死亡に伴い1972年2月に解散する形となった。しかし初期の彼らが行っていた実験性は、ハプニングやインスタレーション、パフォーマンスアートといった戦後美術における幅広い分野の先駆け的存在として世界的な注目度を高めている。また松谷武判を含めた具体美術の元メンバー達は、この協会のコンセプトをベースにそれぞれの活動を行っているため、この集団が18年間の中でもたらした影響は現代にも引き継がれる部分があると捉えられる。
世界的な注目度を高めた具体美術
具体の挑戦性や功績への世界的再評価の高まる近頃では、このカテゴリの作品における美術品オークションの報道が多くのニュースメディアを賑わわせるようになった。セカンダリーマーケットであるオークション市場は高い価値が生まれるまで時間がかかる難点があるため、1960年代〜1970年代に作られた具体美術の作品に注目が高まる今の状況も、特に不思議なことではない。こうした再評価による買取相場の高騰が生じた具体美術は、ちょうど売り時が到来した状態と考えられる。
松谷武判の描く絵画作品の特徴と価値
松谷武判のアート作品は、ビニル接着剤や鉛筆を使った特徴的なものが中心となっている。
松谷武判が語る鉛筆作品の魅力と醍醐味
松谷武判の描く絵画作品は、10メートルもの巨大キャンパスを鉛筆で塗り潰すという大変斬新な内容だ。非常に根気の必要となる制作作業に対して、松谷武判は「日記を書くような感覚」と述べている。また鉛筆には水墨画などで使われる墨汁とは全く異なる趣きや味わいがあるため、松谷武判ならではとも言える独特のモノクロームの世界には、世界のコレクターを魅了できるだけの存在感や緊張感が詰まっていると捉えて良いかもしれない。
松谷武判が具体美術会員になれた意外なきっかけ
小手先だけの作品に対して見向きもしない具体の様式を知った松谷武判は、木工用ボンドという特殊な素材をキャンバスに大量に流す技法を用いて、この協会の会員になることができた。ドライヤーや扇風機で急激に乾かされた木工用ボンドは、平面のキャンバスの中に立体的かつ官能的な造形を生み出す素材になったようだ。こうした形で意識の中でコントロールしにくい造形がもたらした偶然は、松谷武判だけでなく具体美術協会にも良い影響を与えた。
現在でも松谷武判の中に生きる具体の精神
渡仏から40年以上の長きに渡って作品を描き続ける松谷武判の中には、具体美術協会の先輩から教えられたコンセプトや挑戦性が生き続いているだろう。また彼のもとには理想を胸に活躍する若手も集まっているため、具体美術協会という組織がなくなっても当時の想いは現代のアーティストに受け継がれつつあると言える。
松谷武判の作品における買取価格相場とは?
現在も活躍中となる松谷武判の絵画作品は、吉原治良や白髪一雄、元永定正といった具体美術の代表作家と比べて、若干買取相場が低い傾向がある。しかし1960年〜1970年代に生み出された具体美術の作品は、世界の美術館やコレクターが注目する存在となっているため、松谷武判という現存作家であっても古い絵画作品なら高額査定も狙いやすい。
国内美術品オークションにも出品されている
松谷武判の買取相場について調べてみたところ、近代美術品の扱いで知られるシンワアートオークションにて、「繁殖-Red-1」という絵画作品の落札実績が存在した。この業者の落札予想価格は250万円〜400万円となっており、実際には250万円での落札だった。この作品の制作年は1965年となるため、松谷武判における具体美術としての活動による高い価値が付いたことで、ここまで高い価格に繋がったのだろう。そのほかにも、美術品オークションに出品された事例が多くある。
具体美術のオークション価格は世界が注目するレベル
サザビーズやクリスティーズで行われた具体美術のオークションには、従来の日本美術における固定概念を覆すほどの高い価額がついている。また市立美術館の建設を断念した兵庫県加西市については、130万円で購入した白髪一雄の絵画作品に2,000万円もの評価がついたという報道もあるため、具体美術作品に対して高値を付けるのは海外の企業だけではないと言えそうだ。
松谷武判の買取相場・買取実績例
- 「Une goutte」540万円(マレットジャパンオークション)
- 「流れ 91-1-3」506万円(SBI ART AUCTION)
- 「流動-91-2-5」437万円(SBI ART AUCTION)
- 「繁殖-Red-1」250万円(SHINWA AUCTION)
- 「波動 97-1-5」85万円(アート買取協会)
松谷武判の絵画作品における買取・査定ポイント まとめ
最後に、自身が所有する松谷武判の絵画を売却しようとする皆さんに、満足の取引に繋げるための査定ポイントをご紹介していきたい。
まずはオンライン査定で問い合わせをしてみよう
松谷武判を含めた具体美術の扱いに悩む人には、まず買取業者のサイトからオンライン査定を行う方法をおすすめする。この手段で業者の査定士とコミュニケーションを図ると、絵画作品の真贋や査定額などの返答をもらえる。また作品情報をきちんと送っておけば売り時などの話もしやすくなるため、大変便利なオンライン査定の活用度は意外と高いだろう。
問い合わせ時に知らせるべきこととは?
買取業者の鑑定士と具体的な交渉や取引を進めるためには、相手方が価値判断をしやすいように細かな作品情報を伝える必要がある。例えば今回のテーマである松谷武判の絵画を売却予定なら、鉛筆や木工用ボンドといった作品の技法や種類、大きさぐらいは所有者自身で確認できることが多い。オンライン査定では1〜3枚ほどの写真が添付できる形となっているため、作家のサインやコンディションがわかるように撮影する心掛けも必要だ。
松谷武判の絵画作品買取に適したショップの特徴とは?
松谷武判の絵画作品に適しているのは、具体美術や現代アートの買取に積極的な専門店だ。サイト内で具体美術の作家名などを並べるショップは、このカテゴリの作品における販売ルートが豊富な傾向がある。また前述のとおり多くの作品が数百万円〜数億円もの買取額となる具体美術は、資金力の高い企業のみが買い取れるカテゴリとなるため、各社のサイトを確認した上でオンライン査定などを活用する行動がより良い取引に繋がる
店頭買取より出張買取がおすすめの理由
世界のコレクターやオークションハウスから注目される具体美術は、大事な絵画作品をスムーズに持ち出すためにも、出張買取の利用がおすすめとなる。このサービスによって査定士に来てもらえば、巨大な松谷武判の絵画作品を梱包する手間や不安も省けることだろう。また今の時代は総合美術買取センターのように出張料無料の業者も登場しているため、買取業者の少ない地方都市に住んでいても簡単に具体美術などの作品を現金化できる。
各種手数料が無料の業者が特におすすめ
買取業者の比較をする場合は、各社の提示する査定額だけでなく各種手数料が無料である点の確認も必要だ。例えば、査定料、出張料、キャンセル料などを無料とする専門店で主張査定をお願いすれば、査定額に納得できなかった場合でも取引の中止ができる。またさまざまな手数料を無料とする業者の多くは取引数や資金力も高い傾向があるため、このポイントを中心に各社のサービスを比較してみても良いだろう。
LINE査定に対応している買取業者
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、絵画をはじめとして、さまざまな美術品の買取に対応している。また電話やメール、LINEでの査定を行っており、地方に住んでいても対応可能。クーリングオフ制度を導入しているため、万が一納得いかない場合には無条件でキャンセルすることもできる。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アート買取業界は、日本画や現代アートなどの絵画買取から掛け軸や陶磁器などの骨董品の買取まで幅広いジャンルを取り扱っている。経験豊富なスタッフによる査定が無料で受けられ、もし売却が不成立だった場合でも費用はかからない。LINE査定にも対応していてスマホですぐに査定をすることができる。
出張買取に対応している買取業者
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
買取ナンバーワンの実績を誇り、業界大手の本郷美術骨董館。査定方法が充実しており、買取を依頼する際には店頭・宅配・出張のほか、全国で毎月行われている鑑定会に品を持ち込んでその場で鑑定・買取してもらう方法がある。
北岡技芳堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
名古屋・三重・京都に店舗を構えている北岡技芳堂。日本画や版画、コンテンポラリーアートなどのあらゆる美術品の買取に対応しており、宅配・出張・店頭などの買取に対応している。
売却手段は様々
美術品を売却しようと思った場合に、真っ先に思いつくのは買取業者ではなかろうか。しかし、松谷武判は買取業者による買取よりも、美術オークションの方が盛んな印象を受けた。美術オークションは出品に時間がかかる他、必ずしも買取業者よりも高い価格で落札されるというわけではない点がデメリットではあるが、買取業者へ売却してすぐに換金するか、美術オークションに挑戦するか検討してみても良いだろう。
また、美術品は買取業者の財力や販売ルート、求めている度合いや作家への評価などによって、買取価格が大きく乖離する傾向がある。納得がいく取引をするためにも、複数者へ見積もりを出し比較・検討することをお勧めしたい。