日本におけるアンフォルメルの旗手として名高い今井俊満は、絵画の市場において世界的レベルで高価買取の狙える人気作家だ。今井俊満の買取相場に好循環が生まれた背景には、アンフォルメルとの関係が深い具体美術への国際的な関心も大きく影響している。また近年では、1960年代〜1970年代の戦後美術を買取強化する専門店も増えつつあるため、売る側にとっては嬉しい状況が生まれていると捉えて良いだろう。
今回は、多くの業者が買取強化する今井俊満の描く絵画の価値や特徴、買取相場などを徹底解説していきたい。
本記事のポイント
- 今井俊満と切っても切り離せないアンフォルメルとは?
- 数千万円の買取額がつく作品もある
- 買取店を選ぶ基準とは?
CONTENTS
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画家・芸術家の今井俊満とは?
今井俊満は、パリと日本を拠点に活動し、油絵やシルクスクリーン版画などを制作していた洋画家だ。画家・今井俊満の作品への理解を深め、適正な価格を知るためにも彼の略歴を紹介する。
アンフォルメルとは?
非定形という意味を持つアンフォルメルは、第二次世界大戦後の10年間、フランスを中心としたヨーロッパで生まれた抽象絵画運動の総称だ。これまで培ってきた美学を捨ててアンフォルメルに挑戦したヴォルス、マチュー、リオベルなどの作家は、この運動を通してもうひとつの芸術を作ろうとした。
また、理性を超えた意識下で生み出された抽象的な作品は、単なる絵画の域を超えた表現法として当時の芸術界に大きな影響をもたらした。
今井俊満とアンフォルメル運動
1952年からフランスに渡った今井俊満(いまいとしみつ)は、1957年より不定形絵画運動・アンフォルメルに参加している。日本で初めて本格的にアンフォルメル絵画を紹介した「世界・今日の美術展」には、このカテゴリのアーティストとして名高いフランシス、ダピエ、ジュ・マチウなども訪れている。
こうしたイベントを国内開催した今井俊満は、不定形絵画運動と日本を繋げた人物といえる。
アンフォルメルと具体美術との関わり
近年世界的に注目を集める具体美術とアルフォルメルは大きな関係がある。フランスの批評家・シェルダピエは、日本の具体美術協会を抽象絵画の団体として世界に紹介した。
シェルダピエによって具体美術は平面作品がメインになってしまったものの、活動後期に作られた絵画に高い注目が集まる現代の状況を考えると、この協会とアンフォルメルとの出逢いは美術界全体に大きな影響をもたらしたといえる。
今井俊満の作風とは?
日本にアンフォルメルの流行をもたらした頃の今井俊満は、情感をたっぷり込めた重量感溢れるダイナミックな絵画を制作していた。日仏を往来しながら制作活動を行っていた1960年代〜1970年代にかけては、展覧会への出品も非常に多かったと言われている。
しかし、1980年代に入るとアンフォルメルに日本の伝統美を融合させるようになる。1990年代には戦争や女子高生といった少し変わったモチーフで幅広い絵画作品を制作していた。
今井俊満の代表作や人気シリーズ
アンフォルメルに日本の和や伝統美を加えた「花鳥風月」シリーズは、1985年に美術出版社から画集として発売されており、中でも「竜田川」は彼の代表作と言えるだろう。その他の代表作として「風立ちぬ」「桜」「花」などが挙げられる。
また晩年には女子高生をモチーフにした「コギャル」という作品も描き上げており、テーマや趣が異なっても今井俊満らしい斬新かつダイナミックな取り組みは長きに渡って続いた。
日本の情景を描いた「桜図」、「夏図」、「冬図」といったシリーズについては、さまざまな今井俊満作品と一緒に勝山城博物館に所蔵されている。
国内外の受賞実績
日本美術界にアンフォルメルを斡旋した今井俊満は、国内外でさまざまな賞を受賞している。日本では、1962年の日本美術展優秀賞、1979年の紺綬褒章、亡くなってから6年後に受賞した文部大臣表彰が代表的存在だ。
加えて海外でも、フランスの芸術文化勲章オフィシエ、レジオンドヌール勲章、フランス芸術文化勲章コマンドールといった受賞実績がある。
このように日本とフランスの両国でその活動が認められた今井俊満は、その功績を含めて世界の美術館やコレクターから高い評価を受けている。
今井俊満の絵画作品における買取価格相場
今井俊満によって描かれた絵画作品は、ヤフーオークションや美術品オークションを含めたさまざまなシーンで高い相場で買い取られている。
Floraison
1965年に制作された「Floraison」という油絵は、シンワアートオークションでの出品実績がある。15,000,000円〜25,000,000の予想価格だったFloraisonは、実際のところ19,500,000円もの高値で落札された。
今井俊満のような日本における戦後美術の中には、この作品のように数千万円の価額が付くものも珍しくないため、このブームを利用して現金化するのもより良い売り方と捉えて良いだろう。
夏秋草図
日本の伝統美とアンフォルメルが融合した『夏秋草図』は、数ある今井俊満作品の中でも比較的現存数の多い存在だ。ヤフオクなどのインターネットオークションでは、鑑定書付きで30,000円〜45,000円ほどで落札されている。
またコンディションの良い「夏秋草図」については、画廊で2,200,000円もの価額で販売されているため、作品のサイズや状態によって買取相場についても開きがある。
桜図
ミクストメディアで描かれた10号サイズの『桜図』は、ヤフオクにて230,000円で落札された実績がある。ここまで紹介した2作品と比べると、若干価格が低いと感じられるかもしれない。
しかし2,000円スタートのこの作品には、トータル148件もの入札が入っているため、高額美術品の売却に不向きとも言われるインターネットオークションであっても今井俊満については十分な需要がある。
なんでも鑑定団で2,000万円の鑑定価格が出たこともある
2018年、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)で今井俊満の油絵が鑑定に出された際、2,000万円の鑑定価格が出たことがある。
この絵画は画材を8色の絵具のみしか用いらず製作された作品だ。鑑定結果は同番組内において、2018年の鑑定額ランキング5位を飾っている。
今井俊満の絵画作品における買取・査定ポイント
最後に、人気作家・今井俊満の絵画を高額査定に繋げるために欠かせない、6つの査定ポイントをご紹介しておこう。
査定依頼前に簡単な掃除をしておく
絵画作品の査定をする際には、乾拭きの布を使ってホコリをきちんと落とそう。この作業を行わずにオンライン査定用の写真を撮ってしまうと、全体的にくすんだ印象を査定士に与えることとなる。
またどんなに人気の高い今井俊満の作品であっても、コンディションが悪ければ減額査定になってしまうため、普段から簡単なホコリ落としなどをして良い状態で保管する心掛けも必要だと言えるだろう。
今井俊満の絵画作品に適した買取店の特徴とは?
今井俊満の作品売却に適しているのは、不定形絵画運動・アンフォルメルや具体美術への関心の強い専門店だ。例えば、サイト内で具体美術の買取強化を公開する業者には、それだけ豊富な販売ルートと資金力があると判断できる。
またアンフォルメルや具体美術作品は、美術品買取市場におけるトレンドとも言えるため、こうした流行に敏感なショップの査定士に相談をすればより良い売り時も教えてもらえそうだ。
買取業者への問い合わせ前に準備すべきこと
買取業者に問い合わせする際には、査定士に伝える作品情報を所有者自ら確認しておかなければならない。例えば、今井俊満の絵画作品を売却するなら、作品名やシリーズ銘、技法、サイズなどを査定士に伝える必要が出てくると言えるだろう。
また、買取業者側では依頼主から送られてくる写真も大事な判断材料とするため、高額査定を狙うなら撮影も丁寧に行うべきだ。
今井俊満ならどんな作品でも高く売れる?
日本におけるアンフォルメルを代表する今井俊満は、非常に人気の高い作家と考えられる。しかし買取の可否判断には、真贋やサインの有無、コンディション、買取市場における需要なども大きく関係してくるため、人気作家であれば100%高値がつくとは言い難い実態がある。
今現在こうした疑問や不安を抱えているなら、まず買取業者に絵画作品の写真や情報を確認してもらうことをおすすめする。
自宅からの持ち出しや梱包に不安がある場合は?
絵画作品の持ち運びや梱包が面倒な場合は、査定士が依頼主のところに来てくれる出張買取サービスを利用しよう。この方法を選択すれば、自宅にある他の美術品も一緒に買取や引き取りをしてもらうことができる。
また大きな絵画作品の場合は所有者が自ら持ち出すことでぶつける・壊すといったリスクも生まれるため、取扱いの全てを査定士にお願いする出張買取を使った方が安全に売却できると言えるだろう。
LINE査定に対応している買取業者
翠波画廊
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
翠波画廊は、公式サイトで「当画廊の絵画買取サイトでは今井俊満の絵画(油彩・水彩・グワッシュ・版画)の買取には特に力を入れております」と記載している。LINE査定に対応しているため、気軽に査定に出せるだろう。
北岡技芳堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
名古屋をはじめとして、日本全国に対応している北岡技芳堂は、骨董品・絵画・掛軸・茶道具・日本刀・西洋アンティークなどあらゆる美術品を、鑑定・買取している。LINEからも鑑定依頼は可能だ。
公式サイトには、「国際的な美術家として活躍し、国内外で数々の賞を受賞した今井俊満の作品を高価買取する」と記載されている。
出張買取に対応している買取業者
出張買取できる業者を選ぶ際には、さまざまな手数料を無料で対応できる点をチェックしなければならない。例えば、出張費をとる業者に査定依頼をした場合は、買取の有無とは別に高速代やガソリン代を請求されることもある。
また絵画作品の買取査定には、査定料、キャンセル料といったさまざまな手数料があるため、「どこまで無料で対応してもらえるのか」を確認する心掛けが、より良い出張買取の取引を生むと捉えて良いだろう。
おいだ美術
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
おいだ美術は、絵画の買取実績・買取価格の提示が豊富である。今井俊満の買取価格例は掲載されていないが、実際に買い取ったものとして、『ギャル』『桜図』『TOKYO Juliet・・・』など多く挙がっており、ミクスドメディア・アクリル・コラージュなどの肉筆作品からシルクスクリーンなどの版画作品まで幅広く買取を行っている。
公式サイトで買い取った作品を販売しているのも特徴で、『桜』814,000円、『楓図』1,360,000円、『女』403,000円などの値段を確認できる。出張買取エリアは全国が記載されているが、各都道府県を選択すると対応している市が表示されるため、自分の地域は対応しているか確認したいところだ。
アート買取協会
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
LINE査定に加え、アート買取協会は「出張買取の対象外となる作品」もあると前置きしつつも出張買取を実施している。
買取実績例として、『龍田川図』200,000円が記されている。買取作品は、『作品’82』『紅葉図』『風立ちぬ』『女』など。
後悔のない売却場所の選択をしよう
国内外で多くの受賞歴がある今井俊満の作品は、高額買取になる可能性が高い。保存状態や査定時の持ち運びに細心の注意を払い、売却すると良いだろう。
専門のオークションや美術品、特に今井俊満の作品について専門性を有している買取業者の方が高い査定金額を提示する傾向があるため、もし売却するのであれば、場所をよく検討することをおすすめする。