絵画を購入したは良いものの長いこと飾っていない、あるいは遺産相続をしたが興味がない、そんなときは絵画を売却するのも良いだろう。売却する際の方法はいくつかあるが、手に入る金額が高いと嬉しいものだ。そんなときには、委託販売という方法もある。
委託販売とは物の販売を他者にお願いし、売却先を探してもらう方法である。売れる時期が予測しにくいなどのデメリットもあるが入ってくるお金は大きくなりやすい。委託販売をおこなっている業者は少ないが検討する価値はあるだろう。
この記事では、絵画の委託販売やその対応業者などについて説明する。さらに絵画の買取やオークション、高く売るコツなどについても述べているので、ぜひ参考にしてほしい。
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絵画の委託販売について
委託販売については、ご存知ない方も多いだろうと思われる。そこで、ここでは委託販売について簡単にご説明しようと思う。ところで委託販売には、自分の作った作品を依頼する委託販売も存在するが(美術品、ハンドメイド作品など)、この記事では自作ではない物を売る場合を想定しているので注意をしてほしい。
絵画の委託販売とは?
委託販売とは、物の所有者が他者に依頼し、自分の代わりに物を販売してもらう販売方式である。その際、委託した側は相手に手数料を支払う。例えば、個人が絵画を売ろうとしたときに美術商に買い手を探してもらうというのが委託販売の例である。
その際、美術商には手数料が支払われるが、それは絵画の売却代金から出されることが多い。委託販売の魅力は手元に入る金額が高くなりやすいことである。買取の場合、業者は売れないというリスクを考えてしまうので買取価格を低く設定しがちなのである。
絵画の委託販売のメリット・デメリット
委託販売にはメリットとともにデメリットもあるのでよく検討したい。
メリット
- ・買取と比べて、手元に入る金額が高くなる可能性が大きい。
- ・希望の価格で売却することが可能。※ただし、相場を大きく外れた価格で売ることは現実的には難しい
デメリット
- ・買い手が見つかり、売却されるまでお金が入らない。
- ・いつ売れるのかを予測しにくい。
- ・長く待った末、結局売れないという可能性がある。
- ・売れるのを待つ間に、相場が下がる可能性がある。
- ・委託販売に応じてもらえない作品もある。例えば、売却価格の低いことが予想される作品
- ・委託販売をしている業者が少ない。
委託販売の詐欺には注意!
他の売却方法でも言えることなのだが詐欺には十分注意をしてほしい。委託販売では、一時的または長期的に絵画を預ける場合もある。その際、絵画を持ち逃げされる危険があるのだ。実際、絵画を預けた後に連絡がつかなくなったという事例もある。
絵画を預ける場合は、よほど信頼のおける業者でない限り、実店舗のある業者の方が安心ではあるだろう。また業者を選ぶ際には、最低限古物商許可証を所持しているかどうかはチェックするようにしよう。
委託販売以外の絵画の売却方法
絵画の売却方法には、委託販売以外にも買取、アートオークション、ヤフオクなどがある。比較検討して、ご自身に合うものを選ぶと良いだろう。
買取
買取業者や画廊、ギャラリーなどで絵画を買い取ってもらえる。
メリット
- ・すぐに現金化できる。
- ・手間が少ない。
- ・オークションのように他人に知られる心配はない。
デメリット
- ・手に入る金額は大きくなりにくい。
- ・買い取ってもらえない作品も少なくない。
- ・売却する作品が業者の得意分野の物でない場合、相場より低くなることがある。
美術品オークションに出品する
美術品専門のオークションを利用する方法もある。海外ではサザビーズやクリスティーズ、国内では毎日オークション、シンワオークション、SBIアートオークションなどがある。なお、オークションには、業者が参加する業者オークション(交換会)が存在するが、ここでは触れない。
メリット
- ・高く売れる可能性がある。
デメリット
- ・高く売れない可能性もある。
- ・落札されない可能性がある。
- ・落札されなくても費用がかかることがある。
- ・開催日まで待つ必要がある。
- ・手間がかかる。
- ・売却を他人に知られてしまう。
- ・一般人には少々敷居が高い。
ネットオークション、フリマアプリ
ネットオークションやフリマアプリでも絵画を出品することができる。有名どころとしては、ヤフオクやメルカリが挙げられるだろう。ヤフオクの美術品カテゴリには約30万点、絵画カテゴリには約15万5千点の出品がある(2018年6月9日時点)。メルカリにも出品があるが、価格は1万円未満が多い。ちなみにメルカリの美術品カテゴリは、おもちゃ・ホビー・グッズのカテゴリ内に存在する。
メリット
- ・手元に入る金額が高くなる可能性がある。
デメリット
- ・商品説明ページの作成や作品の撮影など、手間がかかる。
- ・買い手が見つかるまでの時間が予測できない。
- ・真贋に関するクレームなどトラブルには自分で対応しなければならない。
- ・慣れていない場合には、少々難易度が高い。
絵画を高く売るには?
せっかく売るのだから、少しでも高く売りたいものだ。ここでは高く売るためのコツをお伝えする。
売却する作品が得意な業者にお願いする
どの業者にも得意な分野、不得意な分野が存在する。例えば現代アートは得意だが古美術は不得意だとか、陶磁器は得意だが絵画は不得意だとか、作家Aは得意だが作家Bは不得意だとかいったように業者によって得意不得意が異なっている。絵画を売却する際は、なるべくその作品が得意な業者にお願いしよう。
何を得意としている業者かは、HPや店舗を見るとおおよそのところは分かる。HPに取り扱い作家を掲載していることもあるのでチェックしてみよう。直接メールや電話で問い合わせてみるのも良いだろう。
なお、物の売却と言えばリサイクルショップに馴染みがある方も多いと思われるが、残念ながら絵画の場合は、一般的にリサイクルショップはおすすめできない。こういったタイプの業者だと絵画に関する知識やネットワークに乏しいため、高い価格を提示できないのだ。なるべく美術品を中心に取り扱っている業者を探そう。
複数の業者に見積もりを出してもらう
業者によって、査定額は異なる。いくつかの業者に見積もりを出してもらうことで、高く売却できる可能性は大きくなる。
作品について調べておく
売却希望の作品や絵画一般について少し知識をつけておくのも良い。まったく知識がないと買取などの際に安い値を付けられてしまうおそれがある。また、業者に問い合わせる際には作品情報が必要になることが多い。
作家名、作品名、製作年代、技法、大きさ、状態などについて調べておくと良いだろう。
相場を調べておく
美術品の相場はハッキリとしないことが多いが、だいたいの相場を調べておこう。そうすることで、極端に安く売却してしまうのを避けることができる。
作品の状態や付属品
作品の状態はキレイな方が良いが、下手に触ると作品を傷めてしまうおそれがある。作品にはあまり無闇には触らないようにしたい。また、鑑定書、保証書、箱などがあれば、一緒に持っていこう。
絵画の委託販売に対応している業者
委託販売をおこなっている業者は少ないが、ここでいくらかご紹介しようと思う。
朝日画廊
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
朝日画廊は1980年創業。銀座に店舗がある。ステキなアートという絵画販売サイトを運営しており、出品は1万件以上。レンタル絵画、美術品の修復・修理などもおこなっている。朝日画廊での売却方法は委託販売、オークション、買取の3種類。作品に合わせておすすめを教えてくれる。
朝日画廊の委託販売
運営する美術品販売サイトにて作品を販売する。作品は、良いものであれば流通性のない作家のものでもOKだ。
【手数料】
- ・出品料(初年度):19,440円
- ・出品料(1年間。2年目以降):6,480円
- ・Webカタログ撮影費:9,720円~(※サイズによる)
- ・売却時の手数料:一律5,400円
- ・送料、梱包代:実費
- ・鑑定料金:別途
朝日画廊の国内アートオークション代行
美術品オークションの出品代行もしている。
【手数料】
- ・出品料:5,400~10,800円
- ・カタログ掲載料:0~21,600円
- ・売却手数料(代行手数料を含む):21.6%(最低12,960円)
- ・保管料:なし
- ・送料、梱包料:実費
- ・不落札手数料:12,960円
- ・鑑定料金:別途
- ※出品取り消しは、違約金が高額
- ※買い手には、手数料約16.2%がかかる。
美蔵画廊
買取価格
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手数料
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ポリシー
ウイルス
対策
美蔵画廊は、絵画買取、通販、委託販売、オークション代行、海外販売を手掛けている業者だ。展示スペースでは、常時300~500点を展示販売している。取り扱いジャンルは日本画、洋画、版画、中国画、書、彫刻、陶器など美術品全般で、取り扱い作家はHPに記載されているので確認してほしい。個展、グループ展のための貸画廊もおこなっており、所在地は埼玉県入間市で、ショッピングセンターの2階にある。
美蔵画廊の委託販売は展示スペースで販売する。Web上ではなく、直接見て購入してもらうことができるのだ。販売期間は3~6か月で売れなければ返却となり、価格や手数料は、協議の上決定する。真贋に関する購入者とのトラブルには画廊は関知しない。また、作品内容によっては取り扱えないので事前に確認が必要だ。
花田美術
買取価格
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手数料
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ウイルス
対策
花田美術は1983年設立された。銀座に店舗を構えており、8点前後の作品を常設している。絵画の売却方法は買取、オークション出品代行、委託販売の3つがあり、希望を聞いたうえで最良の方法を提案している。
取り扱いジャンルには、日本画、洋画、陶磁器などがあり、取り扱い作家一覧がHPに掲載されている。カタログ誌『銀座室礼』を出版しており、美術品売却等に関してYouTube動画も公開しているため、参考にしてもいいだろう。
本郷美術骨董館
買取価格
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手数料
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ポリシー
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対策
創立は昭和51年で、美術・骨董品の買取実績は日本一だ。(2013、2015、2016、2017年。帝国データバンク調べ)テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といったメディアにも数多く登場している。取り扱いジャンルは、絵画、掛け軸、陶器、中国美術、骨董、茶道具、中国切手、現代美術と幅広い。
本郷美術骨董館では、自社主催のオークションへの出品代行をおこなっている。手数料は、50万円未満で成約価格の15%、50万円以上で成約価格の10%である。売買不成立の場合は手数料無料となる。出品できるかどうかについては事前の審査がある。
tagboat(タグボート)
買取価格
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手数料
許可番号
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ウイルス
対策
2008年設立。1万点以上の作品をオンライン販売しており、店舗は持たない。国内外の現代アートを扱っており、若手作家には力を入れている。タグボートの委託販売では、委託された作品をウェブサイトで販売する。
購入が成立した場合は販売価格の75%が支払われ、販売価格が100万円以上の場合は80%になる。購入者側とのやりとりは、全てタグボートがおこなうので、手間要らずだ。
【tagboatの委託販売の流れ】
- 作品情報を送信
- webのお問い合わせフォームから、作品情報などを伝える。
- 査定
- 見積価格が連絡される。
- 契約
- 見積価格でOKであれば、申込書を送付し、契約を締結する。
- 作品の送付
- 作品の状態確認と写真撮影のため、作品を送付する。(作品は6か月間タグボートで保管するが、それ以降は委託者が保管する。)
- 販売開始
- 約1か月以内にサイトで販売をスタートする。
- 販売成立
- 販売が成立したら、作品を発送する。
- お支払い
- 委託者(=作品売却をtagboatに依頼した人)に支払いがなされる。
毎日オークション
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
毎日オークションは、国内有数の美術品オークションである。取り扱い点数は日本最大級。有名なサザビーズやクリスティーズと同じ形式の本格的なオークションで誰でも参加できる。
Webでの入札にも対応しているが、自社のオークション会場を使用している。ジャンルは、絵画・版画・彫刻、西洋装飾美術、ジュエリー&ウォッチ、新作工芸、古美術・茶道具である。年間に約30回程度開催しており、1回の出品点数は平均1200となっている。
毎日オークションでは、オークション以外にプライベートセールもおこなっている。プライベートセールでは、毎日オークションが売却希望者の代わりに購入希望者に作品を販売する。作品情報等を公にしなくて済むというメリットがある。売却価格は相談することができる。
毎日オークションのプライベートセールの流れは、次のようになっている。作品情報の提供→査定→作品の検分→売却条件の打ち合わせ→購入希望者に販売→結果報告→お支払い
SBIアートオークション
SBIアートオークションは、SBIグループ関係のオークションである。1年に4~5回ほど開催されている。ジャンルは、現代アートを中心にデザイン、工芸などさまざま。過去の落札結果がHPから見られるので参考にすると良いだろう。
オークションの他には買取もおこなっている。50か国以上に存在する顧客など、国内外の幅広い販売ネットワークを背景とした買取価格の提示が可能である。また、SBIアートオークションでは、プライベートセールもおこなっている。
プライベートセールでは売却予定作品の買い手を探し、販売してくれるのはもちろんだが、守秘性がメリットのひとつとなっている。現代美術を中心にさまざまな作品を取り扱っており、販売価格や期間は相談して決定する。
まとめ
今回のコラムでは、絵画の委託販売とその対応業者等について述べた。委託販売は、対応業者は少ないが買取よりお金になることも多い。興味を持たれた方は検討してみても良いだろう。
絵画の売却方法には、委託販売以外にも買取や美術品オークション、ヤフオクといったものもある。それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、比較してご自身に合ったものを選択してほしい。
業者を選ぶ際には手放す作品が得意なところを探そう。査定額は業者によって異なるので、複数の業者に見積もってもらうのがおすすめである。絵画は高額の取引になりやすい。持ち逃げなどの詐欺にはくれぐれも注意をしながら、ぜひ最適の売却先を探してほしい。