元ホンダの技術者として版画技法の工学的研究をライフワークとする版画家である小暮真望。その作品の売却を考えているなら、買取相場は特に気になるところだろう。ここでは、買取相場の参考となるインターネット上での販売価格やオークションサイトでの落札価格を紹介する。
また、小暮の画風や画業についても解説を加える。小暮の作品を高く売りたい人や、画業について知りたい人は、ぜひ参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 小暮真望は、軽自動車の総合責任者を務めた側面もある
- 公式サイトを用意し、自ら版画を販売している

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小暮真望の略歴・プロフィール
小暮真望は1948年に生まれ、令和に入っても積極的に活動を続ける現代日本の版画界を代表する画家だ。本田技術研究所に10年間勤務し、在職中は軽自動車の総合責任者を務めるなど技術者・ビジネスマンとしても実績を残した。その経験は、他の画家と比較して一般人に伝わりやすい方法で作品の魅力を伝える姿勢につながっている。
大学時代に山名正夫博士に師事
小暮の版画の師は山名正夫博士である。山名博士は日本の航空工学と流体力学の重鎮であり、航空機設計の権威として世界的に評価されていた。デッサン論や絵画論でも顕著な実績を残しており、小暮は明治大学大学院在学中にこの山名博士の指導を受ける。
博士からじきじきに工学デッサンを厳しく指導されたことが、卒業後のホンダでの業務と画家としての活動につながった。小暮がライフワークとして掲げているテーマも「版画技法の工学的研究」である。
多数の版画展で受賞
小暮真望は多くの版画展での受賞実績も持っている。日本版画会展では、新人賞・東京都知事賞・版画会会友賞を受賞した。毎年各国で開催される国際日本版画展では、オーストラリア・イタリア・ノルウェーなど多数の国における展示で、TIE賞第1位を獲得している。
小暮真望の版画・作品の特徴を解説
小暮の作品や画業にどのような特徴があるかを知っておくことは、作品を適正な価格で売るためにも必要なことだ。ここでは、小暮作品の中でも代表的なシリーズや実績、特徴が際立つ作品などを紹介しながら、小暮の画業全体について解説する。
日本百名山
日本百名山は、もともと小説家・随筆家の深田久弥によるエッセイのタイトルであった。このエッセイが読売文学賞を受賞するなど話題となり、選ばれた100の山が百名山として定着した。小暮真望も深田のエッセイに感銘を受け、百名山のシリーズを描いたことを公式サイトに記している。
ただ、その文中にも書かれている通り、選んだ山の一部は深田の百名山とは異なるものである。作品はシリーズ全体で100作あるが、すでに完売している作品は特に人気が高いと言えるだろう。版画は原則として追加で刷ることはないためだ。そのため、完売している作品の一部を紹介すると下記のようになる。
- ・安曇野と常念岳
- ・筑波の夜明け
- ・八ヶ岳 山麓樹林
- ・白馬 清水の郷
- ・穂高連峰
安曇野や筑波、八ヶ岳や白馬などの名前は知っている人が多いだろう。山が好きな人や特定の山に愛着がある人には特に好かれやすいシリーズではないだろうか。版画としては、12版16色など多くの色を用いたカラフルなものである。
企業カレンダー
小暮真望の画業における特徴のひとつに、企業カレンダーの仕事が多い点が挙げられる。下記のような錚々たる大企業との仕事である。
- ・JCBカード
- ・住友電気工業
- ・新日本証券
- ・クボタ
- ・足利銀行
- ・東邦銀行
- ・西京信用金庫
- ・三機工業
小暮がホンダの軽自動車開発の総合責任者という重責を務めていたことも上記の実績と関係があるだろう。ビジネスマンとのコミュニケーションを自然にとることができたと考えられ、そこから多くの仕事の受注につながったのではないかと思われる。また、企業カレンダーは取引先や顧客に納品するため納期の厳守が必要だが、その点でも小暮の実績は信頼のおけるものだっただろう。
神奈川旅情シリーズ
神奈川旅情シリーズはタイトル通り、神奈川の旅情を感じられる各地の風景を描いたものだ。小暮は神奈川以外でも、奥武蔵などの各地で地域シリーズの作品を描いている。神奈川旅情シリーズの作品は下記のとおりだ。
- ・港の明かり
- ・落日の余韻
- ・映花
- ・秀峰
いずれも公式サイトを見ると176,000円で販売されている。
奥武蔵の自然シリーズ
奥武蔵の自然シリーズでは下記のような作品を描いている。
- ・早苗
- ・浅春
- ・蒼渓
- ・秋想
早苗と浅春の季節は春、蒼渓は夏で秋想は秋の作品である。冬の作品のみがないが、無理に春夏秋冬をそろえずに描きたいものを描いたのであろう。
尾瀬の息吹
1984年に制作された作品で、第25回日本版画会新人賞を受賞している。尾瀬の中でも「尾瀬ヶ原東電小屋付近」の風景を描いたものだ。小暮真望の作品は描かれた場所などの情報が、丁寧に説明されているのも特徴だ。
画家の中には、このように自作について説明することを嫌う者も少なくない。しかし、小暮にそのような傾向は見られず、見る人に対して積極的に情報を与えようとする姿勢を感じる。
ミルフォードサウンドのフィヨルド
イギリス文学史を代表する作家であるラドヤード・キップリングが「世界8番目の不思議」と評した、ニュージーランドの景勝地を描いている。氷河によって生み出されたフィヨルドで知られ、小暮の作品でもミルフォードサウンドのフィヨルドというタイトル通り、フィヨルドが描かれている。
日本人の版画技法で描かれた海外の風景からは、海外の版画家が描いたものとは異なる趣きを感じられるだろう。日本人の版画家の作品は海外の風景を描いたものが少ないため、その点でも特徴的と言える。
光のシンフォニー
2016年に制作された小暮作品の中でも特に新しい版画の光のシンフォニー。夜の明石海峡大橋がライトアップされた姿を描いている。群青色の海と空をバックに白い橋の姿がくっきりと浮かんでいる絵だ。現代風のポップな色使いで、版画に地味な印象を持っている人は版画に見えないと感じることもあるだろう。モチーフが現代的であるため、インテリア性も高いと言える。
小暮真望の版画の買取価格相場
小暮作品の買取相場を知るうえでは、インターネット上での作品の販売価格が参考になる。ここでは、小暮真望の公式サイトでの販売価格とヤフオクでの落札価格を紹介する。価格は2021年7月28日のものであることに留意してほしい。
小暮真望・公式サイトにおける作品の販売価格
小暮は公式サイトを開設しており、サイト上で積極的に自作を販売している。その販売価格の一部を紹介すると下記のとおりだ。
- ・風花…792,000円
- ・春光尾瀬ヶ原…626,400円(2019年6月30日時点、現在販売なし)
- ・爽輝…495,000円
- ・山響清瀑…385,000円
- ・花宴 千本桜…176,000円
- ・桜彩 木曽御嶽山…143,000円
高いものは70万円台、比較的安いものでも14万円程度という価格だ。小品では数万円台の作品も売られている。公式サイトでは価格帯ごとに作品の一覧を見られるようになっているが、このような仕組みを画商でなく画家本人の公式サイトで用意しているのも珍しい。もともとホンダの社員として働いていた経験も生きているのではないかと思われる。
ヤフオクにおける小暮真望の版画・落札価格
ヤフオクでも小暮真望の版画は多数落札されている。その価格の一部を抜粋すると下記のとおりだ。
- ・尾瀬の美…89,480円
- ・丹頂の園…88,000円
- ・仙人池に映る秋麗剱岳…65,000円
- ・新緑の至仏山…7,250円
他にも多数の作品が出品され、そのほとんどが落札されている。安いものでは1万円未満のものもあるが、半分程度の作品は3万円を超えている。約40作品のうち20作品が3万円以上という状態だ。それぞれの入札も数十件ついているものが多く、小暮作品の人気の高さを実感できる。
買取業者における版画・買取価格
人気作家ということもあり、買取業者の買取事例も少なくない。その価格の一部を抜粋すると下記のとおりだ。
- ・春華 北アルプス五竜岳…20,000円(六角堂)
- ・雲海にいずる宝永富士…20,000円(アート買取協会)
絵画は、他の画家でも言えることだが、価格を提示している買取業者が少ない。しかし、2万円前後の買取になることが想定できる。
高値で売却するための3つのコツ
小暮の版画は中古市場でも非常に高い値段で売買されている。そのため普通に売却しても高く売れるが、いくつかのコツを押さえておくことで、より高い値段で売ることも可能だ。ここではそのようなコツの中でも3つのものを紹介したい。
公式サイトで高額で売られている作品はそれを強調する
ヤフオクなどのネットオークション、あるいはメルカリやラクマなどのフリマアプリで小暮の作品を売ることもあるだろう。その作品が公式サイトにて高値で売られているものであれば、作品の情報として積極的にアピールしよう。
小暮真望の作品は公式サイトでほぼすべてを確認でき、完売していないものは値段もわかる。安くても数万円、高ければ70万円台という相場だ。手元にある作品が高額なものだとわかれば、それをアピールすることでより高く売れるようになるだろう。

多くの画商・絵画買取業者から査定を受ける
これは小暮真望の作品に限ったことではないが、画商や絵画買取業者からの査定は1件でも多く受けるべきだ。それによって適正な価格がわかり、不当に安い値段で売らされることを防げるためである。査定の件数が一定に達したら、その段階から価格はさほど上がらなくなる。
逆に言えばその段階までは価格が上がる可能性が高いため、積極的に各社の査定を受けるようにしよう。絵画の査定はどの業者も無料で対応している。方法も出張からLINEまでさまざまなものがあり、時間をとれない人でもサービスを受けやすくなっている。深く考えることなく気軽に査定を試してみるといいだろう。
売るまでの期間はより良い状態で保存する
複数の業者から査定を受けるのであれば、売却までにある程度の時間はかかる。ヤフオクなどに出品するなら、さらに日数がかかることもあるだろう。その期間は以前にも増して保存状態に気を使う必要がある。
特にヤフオクなどに出品した場合、出品時に説明した状態と相手に作品を届けた時点での状態が異なっていれば、当然トラブルに発展する。詳しく説明すればトラブルにはならないが、それでも価値が下がることは間違いない。
小暮真望の作品は版画であり、同じものが限定200部などの部数で多く存在している。そのため状態が悪ければ価値が大きく下がってしまう。そのような事態に陥ることがないよう、保存状態には特に気を配るべきだと言える。

おすすめの買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
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対策
総合美術買取センターは絵画に加えて陶芸作品・骨董品などあらゆるジャンルの美術品を買い取っている。小暮のジャンルである版画についても豊富な売買実績を持っており、版画を売りやすい業者の1社と言える。
査定は電話やメールに加え、LINEや訪問によっても可能だ。いずれの方法も無料で受けられるため、見積もりをとることのデメリットやリスクはないと考えられる。手元の小暮作品がどの程度の価値を持つのか知るためにも、1度気軽に査定を受けてみてはいかがだろうか。
アート買取協会
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対策
アート買取協会では美術品専門店による高額買取査定、年間3万点の買取実績、専門スタッフによる丁寧な鑑定・査定、全国出張買取・宅配買取を実施しておりLINE査定も実施している。小暮真望の作品の買取を強化しており、買取実績として「雲海にいずる宝永富士」の買取価格が2万円との掲載がある。他にも買取作品として多数が例示されている。
出張買取に対応している買取業者
獏
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対策
獏は都内にある獏は美術品買取専門店でLINE査定や出張買取を行っている。小暮真望の絵画(版画)の買取を強化しており異色の作家として紹介している。高価買取のポイントは鮮やかさ。色の配置に特徴がある作家だと紹介されている。
いわの美術
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対策
全国で無料出張買取を行っているいわの美術は、小暮真望の作品買取に力を入れている。小暮真望を『 自然の美と科学、そしてそれらの調和 』をコンセプトとした作家と評価し、シルクスクリーン作品の『 暁光筑波 』などの作品を紹介している。買取強化中の作家のため高価買取が期待できる。
まとめ
最終的に手元にある小暮作品を売るにしても売らないにしても、価値だけは正しく知っておく方がいいだろう。その価値を確認するためにも、1度複数社の査定を受けてみることをおすすめする。思わぬ高値がついたら売ればいいし、特別高いと感じなければそのまま保有し続ければいいだろう。あくまで価値を確認するための手段だと思い、気軽に業者の査定を受けてみてほしい。