サントリーが国産ウイスキーの製造にチャレンジし始めてから、まだ1世紀も経たないが、日本のウイスキーは世界5大ウイスキーのひとつとして数えられるほどにその品質を成長させている。日本ウイスキーメーカーの最大手であるサントリーが持つ、大阪・山崎と山梨・白州、このふたつの蒸留所からは名品、逸品が数多く生み出されている。
今回紹介する山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルもそのひとつである。ウイスキー好きなら一度は飲んでみたいと言い、メーカーサイドですら本当は売りたくなかったという声が飛びだすほどのウイスキーだ。ここでは、山崎蒸留所で作られたオーナーズカスクバーレルの買取相場や査定情報についてまとめていく。
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山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルとは
山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルとは、サントリーの山崎蒸留所で蒸留されていた、樽買いの元祖となった高級ウイスキーである。
ウイスキーの樽買いというロマン
サントリーが2005年から開始した試み、それは顧客がウイスキーを樽買いできるシステムである。世界でも初の売り方で、当時大変話題になっていた。その名の通り、樽ごと買い取って自分のものにするということで、非常にロマンのある話だ。
しかし、樽がどーんと自宅に送られてくるわけではなく、オーナーがリクエストすると、700ミリリットルのボトルに詰めて届けられる仕組みとなっている。樽には、さまざまなサイズがあるのだが、その中でもポピュラーと言えるサイズが180リットルから200リットルと比較的小さいバーレルサイズだ。ちなみに、ほかにも大きい順にバット、ホッグスヘッド、クオーターというサイズがあり、バーレルはこの中で言うと上から3番目のサイズに当たる。
そう、ここでお伝えしようとしている山崎蒸留所オーナーズカスクはまさにこのバーレルで樽売りをしていたウイスキーの走りと言えるものであった。2010年以降はあまりの人気のため樽買いを受け付けていないが、今でも再開を望むファンが多くいるという。
このオーナーズカスクを樽買いできた頃は、サントリーの山崎蒸留所と白州蒸留所で貯蔵され、熟成されたモルト原酒をブレンダーと呼ばれるプロが吟味していた。その中から選りすぐりのものを蒸留所内の専用テイスティングルームで味わい、気に入ったものを樽ごと買えるという、セレブのような体験を通してオーナーは樽を自分のものとしていたのである。
最も高価な山崎蒸留所オーナーズカスク
当時発売されていた樽の中で、最も高価なものは1979年に蒸留された樽ナンバーRF1032というものであった。発売時点ですでに25年熟成されていた計算になるから、これは価値が出るのも自然だろう。
これは、樽が日本独特の木材であるミズナラ材でできており、サイズの大きなバットタイプ樽でボトル290本分のウイスキーだった。ミズナラはジャパニーズオークと呼ばれ、日本のウイスキー人気を支える元とも言える。白檀や伽羅の香りを感じさせるウイスキーを生み出すのが特徴で、北海道を主原産地としている。
この樽のウイスキーはやや甘く、なめらかな味わいである。ミズナラ材由来の甘い香木の香りがしっかりと伸びてくるのが特徴だ。サントリーにもミズナラ樽の1979年ものは10樽ほどしかないそうで、ブレンダーが本当は売りたくないと言うほどの品なのである。
このウイスキーは樽買いで3,000万円の高値が付き、超プレミアムなウイスキーとしてウイスキーファン垂涎の一品として注目を集めたことは言うまでもない。ただし、このバット樽は500リットルほどの容量があるため、単純に容量だけでバーレルに換算すると、バーレルひと樽分では1,000万円を超える価格であったと言える。
最もリーズナブルな山崎蒸留所オーナーズカスク
反対に、最もリーズナブルに楽しむことのできる樽は1994年蒸留の4D 3004という樽ナンバーで、ホワイトオーク材を使用したものだ。こちらは50万円程度で買うことができた。いずれにせよ高価なウイスキーであることは確かで、発売当初から話題になっていたので知っている人もいるだろう。
これらの値段を決める要素として、貯蔵されていた樽の木材は何だったのか、そして何年間貯蔵されていたのか、などのポイントが挙げられる。
国産ウイスキー誕生の地
ちなみに、サントリーの山崎蒸留所は日本の国産ウイスキー誕生の地である。サントリーの創業者であった鳥井信治郎の日本人の繊細な味覚にあった、日本のウイスキーをつくりたいという想いが発端となり、始まったのが日本のウイスキー作りだ。彼がその理想を実現させるため、良質な水と自然環境を求めて蒸留所を開いたのが京都の南西に位置する天王山のふもとの地、山崎だった。
山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルの査定相場とは
先に述べたように、最も高価なバーレルではひと樽で1,000万円の値がつくものもあった。しかし、今では樽買いのシステムはないので、当時作られたウイスキーがボトルで販売され、世の中に出回っている。
高値のつくウイスキーとは
一般的に、貯蔵年数が長いものほど高い値がつくというのがひとつの原則と言えるが、木箱に入っていたり、保存状態が良かったり、人気の限定品であるなどの付加価値が加われば、値段にも反映される。ただし、同じ醸造年のウイスキーであったとしても、ボトルに詰めた年としては直近であればあるほど、さらに価値が上がる。ウイスキーは、樽からボトルに詰め替えた時点で熟成が止まるからだ。つまり、できるだけ長い時間樽の中で熟成されたウイスキーほど価値が高くなるというわけだ。
高価なウイスキーだけが人気とは限らない
しかし、人気となるポイントはただウイスキーとしての品質が高いという点だけではない。アルコール度数が60%程度あるオーナーズカスクが多いが、ものによっては50%程度のものもある。ややアルコール度数が低いものは飲みやすく、いろいろな人が楽しみやすいウイスキーだ。それだけに、飲食店のオーナーなどが購入意向を見せるケースもあるため、一概に高価なウイスキーだけが注目を集めて売れやすいというわけではないという点も念頭に置いておこう。
ヤフオクの査定相場
ヤフオクなどを覗いてみると、基本的に樽はホワイトオーク、サイズは700ミリリットルで未開封状態のものがほとんどである。その3つの条件で、価格の比較をしてみよう。まず、高価なものとしては1998年のものが約40万円で落札されている。さらに91年蒸留のもので約17万円のほか、95年もので約16万円、92年で14万円といった落札価格が出ていた。
買取専門店の査定相場
次に酒類の買取専門店での査定金額を調べてみた。山崎オーナーズカスクバーレルについては、7万円ほどでの買取額というのがベースラインとなっているようだ。92年、94年蒸留で7万円、90年蒸留で8万円、97年ものでは5万円代という値が出ており、そこにボトル詰めの年や保存状態、限定品かどうか、樽の種類が何であるかなどの付加価値が上乗せされていくことで高値が付くケースがある。
山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルを売るなら
もし、あなたが山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルのボトルを持っていて、買取を希望しているなら、できるだけ高い金額で査定してくれるところに売りたいと願うだろう。では、どのようなタイミングで、どこで売れば最も高い値段で売れるのだろうか。
高く売れるタイミング
メーカーがその商品の休売を発表した直後などは、値段が高騰しやすくなる。もう手に入らなくなることを懸念した自然な行動と言えるが、ウイスキーを投資目的で購入する人もいるので、そういった人たちにとっても買いどきとなるため、価格が上がる。また、蒸留年から10年以上経過しているウイスキーも、同様に価値が上がる場合が多い。また、もしも休売しそうだという情報を入手した場合には、様子を見て売りに出すと高く売れる可能性がある。
様子を見るときのバロメーターとしては、オークションサイトの入札件数だ。活発に入札がおこなわれているような銘柄は、売りどきと言える。もしも休売タイミングではなかったとしても、ヤフオクなどで入札件数が多いようであれば、やはり売りどきと考えてよい。
高く売れる場所
売り先の候補として考えられるのは、ウイスキーの買取専門業者やお酒の専門業者、古物商にオークションやフリマなどだ。
専門業者の場合、山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルの相場感は7万円~8万円、付加価値が付いて10万円ほどになることもある。しかし、インターネットのオークションやフリマサイトなどでは10万円を下回るやり取りは見られず、高く売ることができる可能性が高い。ただし、出品準備や落札後の梱包・発送などの手続きも自分でおこなう必要があること、なかなか注目が集まらない場合や自分の納得のいく価格で落札されない場合があることは理解しておく必要がある。
そういったことを考慮し、即金性があることや正しく価値を鑑定してもらえるという意味では、ショップの買取は安心だ。ただし、ショップであればすべて安心とは言い切れない。もしも、あなたが大事なお酒を持ち込んだショップが、しっかりとした理由の説明なく値付けをおこなうようであれば、いったん考えさせてほしいと伝えてその場を去り、持ち帰るべきかもしれない。
山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルは価値のあるウイスキーだ。正しくその価値を理解し、正当な値付けをおこなえる鑑定士のいるショップに売ることをおすすめする。
高価買取を目指すなら
もし、あなたが山崎蒸留所オーナーズカスクバーレルを所持していて、売ろうと考えているのならば、少しでも査定額が上がるように事前にできることがある。
箱などの付属品を保存する
まず、外箱をキレイに保存することだ。そして、中に入っているギャランティカードは捨てずに保存し、ボトルに貼ってあるラベルもキレイな状態で保てるよう気を付けよう。こういった点が損なわれていると、減額対象となってしまうからだ。
複数の買取業者を比較する
いくつかの買取業者を比較し、しっかりとした鑑定士のいるショップを見極めよう。ショップによっては、査定額アップキャンペーンをおこなっている時期があったり、物により、時期により、買取を強化しているときもねらい目だ。
個人間売買も検討する
ショップだけではなくネットオークションやフリマアプリなども見て、同様のアイテムの入札状況をチェックしよう。活発なやり取りがされている時期を逃さず売りに出すことができれば、高値で売ることも夢ではないので、トライしてみることをおすすめする。
まとめ
山崎蒸留所オーナーズカスクは、ウイスキー好きにはたまらない樽買いの元祖と言える高級ウイスキーだ。あまりの人気の高さから現在は休売しているため、市場価格が高騰している。手元に飲む予定のない山崎蒸留所オーナーズカスクがあるならば、一度査定を受けてみるのもいいだろう。
より高く売るならばオークションサイトやフリマサイトの利用をおすすめする。ただし、手間がかかる上にトラブルが発生することもあるため、安心でスムーズな取引を望むのであれば買取専門店のほうが良い。その際には、複数の買取業者を比較することが大切だ。より納得いく取引ができるよう、この記事を参考にしてほしい。