日本酒をたしなむ人で黒龍の名前を知らない人はいないだろう。それなりの料理店のメニューには必ずと言っていいほど載っており、大吟醸以下のグレードならリカーショップで入手可能である。しかし黒龍の本当の価値は純米大吟醸の限定品にある。今回は黒龍石田屋の買取相場や査定情報について解説する。
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黒龍 石田屋とは?
黒龍は黒龍酒造株式会社がリリースしている日本酒のブランドである。今でこそ株式会社の業態をしているが、黒龍酒造の前身は石田屋という酒蔵である。初代石田屋二左衛門が1804年(文化元年)に永平寺町松岡に創業してから、200年を超える歴史を持っている。
蔵の所在地である福井県吉田郡永平寺町松岡はかつて松岡藩が酒造りを藩の奨励産業にするほど、水質に恵まれている。九頭竜湖から流れ出す九頭竜川はミネラル豊富で、鮎やサクラマスが泳ぐほどの清流なのだ。しかも日本海側の寒い気候が低温発酵に向いているので、水質的にも気候的にも日本酒作りには最適の立地だと言えるだろう。
福井県吉田郡永平寺町には最盛期に17の酒蔵が軒を連ねたが、現在まで残るのは石田屋(現・黒龍酒造)と残り1つだけである。200年の間、事業を続けるのは簡単なことではない。
単に伝統を守っているだけでは時代遅れになってしまう。伝統はその時代の最先端技術の集まりであり、今の継承者もまた工夫を凝らして引き継いでいくのだ。やり方を変えないことだけが伝統を引き継ぐことではなく、必ずしも良いわけでもないのである。
黒龍と九頭竜について
黒龍酒造では黒龍と九頭竜という2つのブランドを守っている。黒龍の名前の由来は九頭竜川の旧名である黒龍川からとられた。九頭竜と黒龍に関する伝承はかなり深い。日本中に九頭竜伝承があり、地域によってアレンジされている。
ただし最古の九頭竜伝承は九頭竜湖と九頭竜川にある。西暦477年に九頭竜川(当時の黒龍川)の治水工事がおこなわれて、黒龍大明神信仰が起きたからだ。その後、時代が下ると千葉や神奈川の箱根にも九つの頭を持つ龍の伝承が生まれるようになる。
中でも千葉県では九頭竜がヤマタノオロチ(八岐大蛇)と混同した伝承が伝わっている。日本最古の書物である古事記によれば、八岐大蛇を討伐したのはスサノオノミコト(須佐之男命)であるが、千葉の鹿野山麓の鬼泪山(きなだやま)に伝わる伝承ではヤマトタケル(日本武尊)が討伐したことになっており、物語の筋立ても細部が異なっている。
このように九頭竜や黒龍の伝承はさまざまなバリエーションで各地に散らばっている。黒龍という名前自体が川の氾濫を表しているという民族学者の意見もあり、荒れ狂う暴流を抑えることが信仰へとつながったという見方もあるのだ。つまり黒龍と九頭竜も名前の語源は同一であり、単に蔵近くの地名というだけでなく、神の名前でもある。
黒龍の種類について
黒龍には数多くのラインナップがある。公式ホームページで紹介されているのは下記の通りである。
- 黒龍 無二2012~2015
- 黒龍 石田屋 純米大吟醸
- 黒龍 二左衛門 純米大吟醸
- 黒龍 大吟醸 しずく
- 黒龍 大吟醸
- 黒龍 八十八号
- 黒龍 龍 大吟醸
- 黒龍 純米大吟醸 火いら寿
- 黒龍 いっちょらい
- 黒龍 純吟 純米吟醸
- 黒龍 特吟 大吟醸
これらの中で無二と純米大吟醸の石田屋、仁左エ門はプレミアがつくほどの名酒であり、なかなか手に入れることは難しい。特に無二は2012年~2015年に醸造した純米大吟醸原酒を、ヴィンテージごとにマイナス2度で氷温貯蔵熟成させたもので、ごく少量だけリリースされている。
無二シリーズは入札でしか手に入らないので、一般人が直接購入することは不可能である。しかも入札に参加できる販売店は黒龍酒造から入札会に招待される60店舗のみで予算に自信があっても付き合いが浅いと呼んでもらえないのだ。
また、黒龍酒造のホームページでは取り扱っている日本酒の定価を記載している。これはホームページ自体を持たない蔵が多い中では異例であり、プレミア日本酒を扱う蔵としても例外である。定価が誰にでも分かる形で公開されると流通価格との差が目に見えてしまうからだ。
少量生産のプレミア日本酒の多くは定価が不明である。現地では数千円で手に入る酒が、東京やネット販売では10倍になることが珍しくない現状では、消費者に対して誠実な蔵だと言えるだろう。ちなみに黒龍石田屋大吟醸の定価は720mlで1万円であるが、流通価格は38,000円ほどである。無二のシリーズは入札に参加できる販売店の一部がネット販売しているが、1本15万円~50万円で、無二は入札なので定価が無いのだ。
加えてマイナス2度の低温貯蔵ができるため、2013年醸造など日本酒の常識からすれば変質するほどの時間が経過しても大丈夫である。なお黒龍のシリーズは日本酒であるにも関わらず、全て冷酒で味わうことが推奨されている。温めて飲むには向いていない日本酒なのだ。
日本酒と酵母
日本酒の製造工程を紹介する。以下のように手間暇かけて美味しい日本酒が造られているのだ。
米を精米する
日本酒は米を原料としていることが知られているが、米をそのまま発酵させているわけではない。まずは生米を精米する。このときに使われる米は酒米と呼ばれる酒造りに特化した品種である。
精米は単に米ぬかを落とすだけでなく、中心部以外を削り取るのだ。酒税法によれば純米大吟醸は中心部を除いて総重量の6割以上を削り落とさないと認められない。この段階でかなり米は純化されているが、さらに洗米して浸漬する。
次に浸漬した米を蒸して熱を取る。こうして米のでんぷんが酒造り用に変化していくが、麹用、酒母用、醪用の3種類は熱の飛ばし方が違う。同じタイミングで全部の米を炊いて準備するわけではない。
まずは蒸した米に麹菌を付着させて、麹を作る。麹菌は酒蔵に充満しており、独自の生態系を築く蔵の歴史の証人である。麹ができたら、次は酵母と蒸米を投入して2~3週間発酵させる個とで酒母ができ上がる。
発酵させる
酵母づくりが終わったら醪を作る。酵母をタンクにいれて、蒸米と麹と水を投入して発酵させる。こうしてできたものが日本酒の原型である醪(もろみ)である。
日本酒はウイスキーやワインのように一度の仕込みで終わらない。発酵の工程が分割されており、3回に分けて蒸米を投入するのが大きな違いである。
発酵期間が終わると日本酒と酒粕部分に分ける上槽をおこなう。ここで醪を絞るのだが、あえて酒粕部分を一緒にボトリングする日本酒もある。あえてろ過しない日本酒はブランド名に「おりがらみ」と名付けられ、濁り酒になるのだ。
また、日本酒部分の中でも酒粕以外の澄んだ部分を全量使うのではなく、上澄みと酒粕部分の中間層だけを取り出した日本酒は中取りなどと呼ばれ通常より高値で販売される。こうして完全に日本酒の部分が分離されたらろ過と火入れをおこなう。ろ過は残った酒粕を完全に分離して清酒にするための工程であり、火入れは酵母菌を殺菌して腐敗を止める工程である。
菌は生きているので活動を止めないと酒が変質してしまうのだ。なお、火入れをせずにボトリングした日本酒は生酒と呼ばれ、ボトルの中で酵母菌が生きたままである。そのため味が変質しやすく傷みやすいので賞味期限は短いが、文字通り生の日本酒の風味が味わえる特徴がある。
火入れで殺菌が済んだ日本酒は最後に貯蔵された後、加水、あるいは醸造アルコールを添加を添加されてボトリングされるのだ。もちろん純米大吟醸はサトウキビから抽出された醸造アルコールを添加しない米100%の日本酒である。
工程の中で、おりがらみ、中取り、生酒の3種類のバリエーションが作られることもあり、黒龍にもそれぞれがあるが数が少なくプレミアもついていない。単体では値段が付かないことがあるので、注意してほしい。
日本酒のヴィンテージ
日本酒には賞味期限があるためヴィンテージは存在しない。製造者である黒龍酒造の公式アナウンスでは冷蔵保存すれば半年は味が落ちないが、可能なら3か月以内に飲むことを推奨している。日本酒製造の工程から分かるように、菌の力の影響が大きいので、殺菌のために火入れをしても長期保存できないのだ。
日本酒はワインやウイスキーとは違って古ければ良いというわけではなく、適切なタイミングで飲まなければ価値がない。ハイレベルな日本酒の酒としてのクオリティやレア度は、ヴィンテージワインやヴィンテージウイスキーに劣らないものだが、長期貯蔵できないため投資には向かない酒である。
超レア日本酒が世界でオークションにかかったり、流通価格で100万円を超える金額まで値上がりしない理由だと言える。ただし黒龍 無二に関してはマイナス2度で保存できる例外であるため、2012年から2015年まで1セットで最高150万円の値段がついたことがあるが、現状(2019年)はネット通販でも見かけない。
黒龍酒造が2015年以降に無二をリリースしたことが無いので、今ではほぼ入手不可能な酒である。もし無二が手元にあって、適切な温度管理がされていれば1本8万円~10万円くらいで査定されるだろう。外箱付きで一そろいになっていればさらに良い。
黒龍 石田屋の買取相場と査定
黒龍 石田屋 純米大吟醸の買取相場は15,000円ほどである。メーカー公式ホームページに記載された定価の1万円を超えてしまっているが、流通価格が38,000円ほどなので妥当な金額だと言えるだろう。同じく純米大吟醸の黒龍 二左衛門も720mlで定価1万円、買取価格も15,000円であるが流通価格は32,000円ほどである。
醸造アルコールを添加した大吟醸以下のグレードの黒龍からは720mlに加えて一升瓶(1.8リットル)がリリースされている。定価は一升で1万円、五合(720ml)で5,000円であるが、買取価格が定価と同じくらいで、流通価格は定価の1.5倍である。
ただし黒龍八十八号や火いら寿は買取価格が2,000円~3,000円程度であり、プレミア価格とは呼べない。黒龍 いっちょらい、黒龍 純吟、黒龍 特吟に関しては単体では買取価格が付かない恐れがあるので注意してほしい。黒龍シリーズはどれも定価で手に入れることは困難であるが、まとまった買取価格が付くのは大吟醸と純米大吟醸だけである。
なお、黒龍 石田屋をもし定価で入手できるのなら、そのまま転売しても利益を出すことができるが簡単ではない。純米大吟醸の黒龍は年に1~2回の限定販売となっており、通年販売されているわけではないからだ。しかもその多くは黒龍酒造の特約店へ卸されるので直接購入することはできない。
ホームページを持ち、定価まで公開している黒龍酒造だが、意外なことにネット通販に積極的ではない。手作り小規模高品質を追求する流儀を守っているので、蔵と付き合いの深い特約店での対面販売を推奨しているのだ。黒龍や九頭竜を提供している飲食店の一覧はホームページで公開されているが、特約店は記載されていない。
問い合わせフォームで特約店について質問すると教えてもらえるので気になったら聞いてみても良いだろう。定価で入手するのは特約店とリアルな人間関係を築く必要があり、転売目的で購入することはまず不可能である。
黒龍 石田屋を高く買取してもらうコツ
黒龍 石田屋を高く買取してもらうには、日本酒には期限があるためできるだけ早く手放すことが大切だ。期限切れや期限切れ間近の酒が高額査定されることは無い。また適切な条件下で保管されていることも重要である。
黒龍酒造の公式サイトでは保管条件についてオフィシャルな回答がある。黒龍 石田屋の場合は冷蔵庫での保存が推奨されており、最長で6か月が賞味期限である。黒龍のラベルには製造年月日が記載されているので、改ざんすることは不可能だ。
また、外箱付のエディションの場合は箱が付属していないと査定金額が下がってしまう。付属品がそろっているだけでなく、ラベルに傷やにじみがないことも重要だ。
保存環境としても冷蔵が必須だが、単に冷蔵庫で保存しただけでは十分ではない。湿度たっぷりの冷蔵庫に保管してボトルが結露してラベルがにじんだり、剥がれてきたりしたら外観で分かる程に劣悪な保管状態にあったとみなされるため査定価格は相当に下がってしまう。買取業者は保管状態をチェックできないので当然の自己防衛判断だと言えるだろう。
大黒屋では8,000円~16,000円で買取中
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大黒屋は誰もが知っている大手のチケット・ブランド買取店。あまり知られていないが、近年ではお酒買取も強化しており、ウイスキー、ワインをはじめとして黒龍など高級高級酒の査定に力を入れている。宅配、出張、店頭での買取が可能となっている。
大黒屋の黒龍 買取価格表
商品名 | 買取価格 |
---|---|
黒龍 石田屋 純米大吟醸 720ml 2020.11月 | 16000円 |
黒龍 石田屋 純米大吟醸 720ml 2019.11月 | 8000円 |
黒龍 二左衛門 純米大吟醸 720ml 2020.11月 | 16000円 |
黒龍 二左衛門 純米大吟醸 720ml 2019.11月 | 8000円 |
黒龍 大吟醸 しずく 720ml 2020年製造 | 5000円 |
黒龍 大吟醸 しずく 720ml 2019年製造 | 2000円 |
黒龍 大吟醸 しずく 1800ml 2020年製造 | 10000円 |
黒龍 大吟醸 しずく 1800ml 2019年製造 | 5000円 |
黒龍 大吟醸 1800ml | 500円 |
黒龍 八十八号 720ml | 1000円 |
黒龍 龍 大吟醸 1800ml | 1000円 |
黒龍 龍 大吟醸 720ml | 500円 |
黒龍 純米大吟醸 火いら寿 720ml | 500円 |
黒龍 FIFA公認完全限定品 | 1000円 |

まとめ
雑な管理をされた酒とそうでない酒では査定が違ってくる。日本酒は手元に持っておく時間が長ければ長いほど価値が失われていく酒である。自分で楽しむつもりがなく、現金化するつもりなら躊躇している時間はない。
すぐに査定をすることをおすすめする。その際は今回ご紹介した高く買取してもらうコツを確認しながら少しでも満足いく取引ができるようにしてほしい。