グラハム(GRAHAM)は、イギリスが生んだ天才時計師であり、「クロノグラフの父」と称される ジョージ・グラハムに敬意を表し、その精神を現代に甦らせるべく、1995年に誕生した比較的新しいブランドだ。
ただ、会社自体はスイスのラ・ショー・ド・フォンにあり、「SWISS MADE」の称号を許されたスイスの時計ブランドである。また、ジョージ・グラハムの名を冠するだけに、その製品のほとんどがクロノグラフで占められる。ここでは、そのグラハムの腕時計の型番とモデル名の関係、型番の読み解き方について説明していく。
Graham Chronofighter 1695 / corum legend
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グラハムの人気モデル
グラハムからは多数のモデルが発売されているが、人気が高いのが「クロノファイター」、「シルバーストーン」、「ソードフィッシュ」の3つのモデルだ。それぞれの特徴は、下記の通りである。
クロノファイター
第二次世界大戦時の英国空軍パイロットの腕時計が原点となっており、非常に人気の高いモデルである。左サイドに巨大なクロノグラフプッシャーとリュウズを同軸に配し、スタートとストップの機能をこのレバーだけで簡単に行えるのが特徴だ。
シルバーストーン
イギリスの有名なレーシングサーキットが原点のモデルである。クロノグラフのストップ、リセット、再スタートが瞬時に行えるフライバック機能を備え、第2時間帯表示により世界の別の地域の時刻を表示することもできる。
ソードフィッシュ
クロノグラフ積算計をサファイアクリスタルの拡大鏡で強調したデザインが特徴的である。12時間系/秒針と30分積算計カウンターを保護するドーム型サファイアクリスタルが視認性を強化し、「クル・ド・パリ」のモチーフを施したリューズとプッシュボタンにより確実なグリップ感を実現している。
グラハムの型番について
まずはグラハムの型番がどういう構造なのか、実際のモデルの型番をピックアップして見てみよう。なお、グラハムの型番については、グラハムの公式サイトに記載の型番=リファレンスナンバーを参照した。
「クロノファイター ヴィンテージ」の型番
左サイドに巨大なクロノグラフプッシャーとリュウズを同軸に配したケースデザインが最大の特徴となっている、クロノグラフのコレクション。スタート&ストップ機能をこのレバーだけで簡単に行えるようになっている大型リリースレバーは、イギリス空軍のパイロットからの提案をもとに開発されたという。
- <クロノファイター ヴィンテージ>
- (1)ノーズアート ”サリー” リミテッド:REF.2CVAS.B21A
- (2)ノーズアート ”リリー” リミテッド:REF.2CVAS.U05A
- (3)ノーズアート ”アンナ” リミテッド:REF.2CVAS.B22A
- (4)ノーズアート ”ニーナ” リミテッド:REF.2CVAS.U04A
軍用機の機首に描かれている美女のイラストが文字盤に描かれた限定モデル。44ミリスティールケース、機械式自動巻ムーブメント(キャリバーG1747)のクロノグラフ(6時の位置にスモールカウンター、9時の位置に曜日、日付表示という特徴は同様。異なるのは文字盤の色(イラスト)とブラックカーフレザーのストラップの色である。(1)は文字盤=黒/ストラップ=黒、(2)は文字盤=青/ストラップ=青、(3)は文字盤=黒/ストラップ=グリーンカーキ、(4)は文字盤=青/ストラップ=青という構成だ。
「クロノファイター スティール」の型番
同じく「クロノファイター」のコレクションから、「クロノファイター スティール」のシリーズモデルからピックアップしてみよう。
- <クロノファイター スティール>
- (1)スティール:REF.2CCAU.G01A
- (2)スティール:REF.2CCAU.S01A
- (3)ターゲット:REF.2CCAC.U04A
- (4)ターゲット:REF.2CCAS.U04A
(1)(2)と(3)(4)は文字盤のデザインが少々異なるタイプの製品。4つとも、ケース直径47ミリ、キャリバーG1747の自動巻クロノグラフは同様。
(1)はPVD加工のスティールケースに、ブラックカーボンのトリガー、ブラックセラミックのベゼルと多様な素材が使われている。文字盤は黒でストラップはグリーンラバー。(2)はケース周りの素材は(1)と同様で、文字盤はグレーでストラップが黒のファブリック。(3)は加工ナシのスティールケース、カーボントリガー、セラミックのベゼルといった陣容。文字盤は青いスモークダイヤルで中身が透けて見えるタイプ。ストラップはブルーのデニム。(4)も全てスティール製素材。文字盤は薄い青のスモークダイヤル。ストラップはホワイトラバーという構成になっている。
「シルバーストーン RS スケルトン」の型番
もう1つ、今度は「シルバーストーン」コレクションの中から「RS スケルトン」をピックアップする。
- <シルバーストーン RS スケルトン>
- (1)RS スケルトン:REF. 2STAC.B14A
- (2)RS スケルトン:REF. 2STAC1.B01A
- (3)RS スケルトン:REF. 2STAC2.B01A
- (4)RS スケルトン:REF. 2STAC3.B01A
- (5)RS スケルトン:REF. 2STAB.B09A
- (6)RS スケルトン:REF. 2STAB.B01A
いずれも250本限定モデル。(1)(2)(3)の違いは秒針の色のみ。すると型番の前半部の後に数字の順番がついた。(1)のみベゼル直下のスケルトンの文字盤周囲に黄色いスケールが入る。(5)と(6)は長針と短針が(1)〜(4)のデザインとは違っているタイプで、(2)と(6)などは秒針の赤は同様で、長針と短針のデザインがほんの少し違うだけ。差異はほとんどない。
一方で型番の前半部「C」と「B」がなぜ違うのかは材料に乏しく、デザイン(色)が違うということしか言いようがない。
グラハムの型番の特徴
ここまでグラハムの型番を紹介してきたが、その特徴はとらえ難く、非常に分かりづらい数字と英字の構成である。ただし、その特徴がないわけではないので、まとめてみよう。
「2」で始まるグラハムの型番
他のブランドの場合、型番の冒頭に必ずアルファベットがつくケースは多々見られるが、必ず数字で始まり、以降がアルファベットという例は見たことがない。グラハムの型番は必ず「2」で始まる。これは全モデルに共通している。また、コレクションによる違いも例外はあるものの、確認できる。
- ●「2C」で始まる→クロノファイター
- ●「2S」で始まる→シルバーストーン
クロノファイターの機種のうち、「クロノファイター GMT」というモデルのみ、型番が「2O」で始まる。グラハムの製品ラインは、現在のところ主にこの2ライン。この他に「Geo.Graham」というコンプリケーションを集めたコレクションがあるが、こちらのモデルは全て「2G」で始まる。
2ユニットに分かれる型番が示すもの
グラハムの型番は、ピリオドによって2つのユニットに分けられている。グラハムの場合は前後半部でケース部分全体を示していると思われる。ここで再度、前述の「クロノファイター スティール」の型番を見てみよう。
- <クロノファイター スティール>
- (1)スティール:REF.2CCAU.G01A
- (2)スティール:REF.2CCAU.S01A
- (3)ターゲット:REF.2CCAC.U04A
- (4)ターゲット:REF.2CCAS.U04A
上記クロノファイターの型番前半部、ファーストユニットで比較すると4ケタ目までが共通で、5ケタ目のアルファベットが変化している。各機種で異なっているのは、素材の加工の度合い。末尾「U」はスティールにPVD加工が施されており、末尾「C」は加工なし。末尾「S」はポリッシュスティールと表記されている。すなわちファーストユニットは、内部機構も含めたケース部分が、アルファベットの構成によって示されていると見られる。冒頭4ケタ目までの文字が同一であれば、同じムーブメント・同じケースデザインのモデルと考えてよいだろう。
一方型番後半部、セカンドユニットは文字盤上のデザインの型番と思われる。(3)と(4)のようにセカンドユニットが同様であれば同じ文字盤(針のデザインや色、インデックスのデザインや色も含む)と考えてよい。一方(1)の「G01A」と(2)の「S01A」は同系統のデザインでインデックスと針の色違い。恐らくは最初のアルファベットが色を示しており、数字の部分がデザインのパターンを示していると思われる。末尾「A」はほぼどのモデルも「A」で、2モデルにのみ「B」が存在するが、その違いについてはわからなかった。
グラハム型番のファーストユニットの種類
ここでは、グラハムの各型番のファーストユニット部をモデル別に記載していこう。これをみれば、グラハムの機種の種別、機種名と型番がすぐにわかるはずだ。
「クロノファイター」の型番ファーストユニット
- ●Chronofighter Vintage GMT: 2CVBC
- ●Chronofighter Vintage:2CVAS
- Nose Art Ltd:2CVAS
- Aircraft Ltd:2CVAV
- Pulsometer Ltd:2CVCS
- ●Chronofighter Superlight:2CCBK
- ●Chronofighter Steel:2CCAU/2CCAC/2CCAS/2CCAD ※「Target」と「Black & White」も共通
- ●Chronofighter Black Arrow:2CCAU
- ●Chronofighter Prodive:2CDAV/2CDAB
- ●Chronofighter GMT:2OVGS/2OVGG
- ●Chronofighter Classic:2CXAS
- Romantic:2CXNS/2CXMS
- Lady Moon:2CXCS/2CXBS
ヴィンテージ系統が「2CV」、クラシック系統が「2CX」、通常モデルの系統が「2CC」とおおまかに分けられる。
「シルバーストーン」の型番ファーストユニット
- ●Silverstone RS Racing:2STEA
- ●Silverstone RS GMT:2STDC
- ●Silverstone RS Skeleton:2STAC/2STAB/2STAG/2STAZ
- ●Silverstone RS Endurance:2STCB
- ●Silverstone RS Supersprint:2STBC
すべてのモデルが「2ST」で統一されていた「シルバーストーン」のコレクション。イギリスのレーシングサーキットを称えて考案さたモデル群で、クロノグラフのストップ、リセット、再スタートが瞬時に行えるフライバック機能を備える。
「ジオ・グラハム」の型番ファーストユニット
- ●Geo.Graham Tourbillon:2GGCP
- ●Geo.Graham Orrery Tourbillon:2GGBP
- ●Geo.Graham The Moon:2GGAW
「Geo.Graham」だから「2GG」。他のモデルとはうってかわったコンプリケーションを備えた高級腕時計のコレクション。日本の公式サイトには掲載されていないので、日本には正規輸入はされていない可能性が高い。
グラハムの腕時計を高く売るためのコツ
グラハムの腕時計の型番と、モデル名について触れてきたが、いざ腕時計を売りたいと思った時にモデルを知っているだけでは高く売ることは難しい。ここでは、グラハムの腕時計をより高く売るためのコツを紹介していきたい。
適正価格を確認しよう
まず、自分が持っているモデルがどのくらいで買い取られるのかを知っておく必要がある。買取業者によってはグラハムに関する知識のないスタッフが査定を実施するため、知識のあるスタッフが在籍している業者と買取価格に大きな差が生じてしまう場合があるのだ。オークションサイトなどを見ておおよその買取価格を把握することもできるが、複数の買取業者に査定を依頼するのもよいだろう。また、買取業者を選ぶ際に、グラハムの腕時計の買取実績があるかどうかを確認したほうがよい。
付属品を必ずつけるようにしよう
腕時計を買取に出す際には、付属品を必ずつけるようにしたほうがよい。購入時に時計が入っていた箱はもちろん、説明書や余りゴマも必ずつけるようにしよう。付属品が揃っていない場合は、買取価格がかなり下がってしまう場合がある。また、過去に正規点でのオーバーホール(分解清掃)をしている場合は、オーバーホールの証明書があると買取価格が高くなることが多い。
腕時計を綺麗に磨いておくようにしよう
買取に出す前に、腕時計を綺麗にしておくことが大事だ。見た目は買取価格に大きく影響するため、乾いた布で本体を拭いておくのはもちろん、隙間の汚れやホコリもできる限り取り除いておくほうがよい。
おすすめの買取業者3選
では、グラハムの腕時計を売るのにおすすめの買取業者を紹介したい。実際に買取に出す際の参考にしてほしい。
なんぼや
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
年間35万点以上の買取実績がある買取業者。インターネットを中心とした独自の買取ルートを保持しており、買取をした商品を海外にも販売している。コンシェルジュと呼ばれる知識豊富なスタッフが査定を行ってくれるのだ。
アンティグランデ
買取価格
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対策
1日の時計鑑定数は100本以上という時計買取専門店。傷がある時計や、壊れている時計も積極的に買取を実施しているのが強みだ。腕時計の査定に関する知識を持った鑑定士や修理技師が1店舗に集結しており、適切な評価をしてくれる。
ピアゾ
9社一括査定を行ってくれる買取業者。オークションのように9社に買取価格を競わせるため、高価買取が実現されているという。一括査定してくれるため、適正価格がすぐわかるのもおすすめのポイントだ。腕時計の査定実績は1万件を超えている安心の買取業者だ。
まとめ
数字の「2」で始まるグラハムの型番は、「2C」ならクロノファイター、「2S」ならシルバーストーンと覚えておくといいだろう。日本で正規に購入できるのは、おそらくはこの2ラインである。使用するムーブメントや性能によるモデル間の差異はあまりなく、「ノーズアート リミテッド」のような限定モデルに人気が集まると予想される。
なお、日本版のサイトには「オーバーサイズ」、「オーバーサイズダイバー」、「ソードフィッシュ」といったモデル名の機種がラインナップされているが、本国の公式サイトを見る限り、すでにラインナップからは落とされていたことから、当記事では旧モデルとして扱っていない。「2OV」で始まる型番のモデルはすでに品切れも多くなっており、欲しいモデルがあれば、早めの購入をおすすめしたい。また、自分が持っているモデルの適正価格を把握した上で、買取に出すのがよいだろう。